若手は弁護士さんも同じだね
2006年10月5日 社会の問題『 -- 新人弁護士、東京一極集中 合格者増した効果でず --
今秋、司法修習を終えて弁護士登録した1144人の半数が東京に集中していることが、日本弁護士連合会(日弁連)のまとめで分かった。一方で山梨、函館、釧路、鳥取の弁護士会への登録はゼロだった。身近に相談できる弁護士がいない「司法過疎」を解消しようと、政府は司法試験合格者数を大幅に増やしてきたが、東京一点集中は進む一方で、日弁連は地方で働くよさを知ってもらう計画に初めて取り組む。
新たに弁護士登録したのは04年の司法試験合格者で、今月、司法研修所を修了した1386人の一部。その他は裁判官、検事の道に進む。
全国50の地裁所在地別にみると、新人の登録は東京が579人。大阪128人、愛知55人、横浜48人が続く。
一方、ゼロの4カ所のほか岩手、秋田、徳島、高知には1人、栃木、福井、富山、山形、旭川には2人しか新人は来なかった。
すでに全国に約2万人の弁護士がいるが、5割弱は東京に集中。司法改革で、政府は司法試験合格者を90年の500人規模から増やし続け、昨年は約1500人が合格した。しかし勤務地を選ぶのは本人の自由。高給と言われる渉外事務所や企業関連の仕事が多い東京の新人登録率は03年以降昨年まで57%、53%、56%で推移し、人気は根強い。
来年には新司法試験の合格者も加わり、修習修了者の数は今年より約1000人増える見通し。「大都市だけでは就職難は必至」という危機感から、日弁連は各地の弁護士会の情報提供などを通して、地方の弁護士を増やす活動を進める。
地方の司法の活性化などを目指し、今年6月にできた日弁連弁護士業務総合推進センター副本部長の秋山清人弁護士は「1人でもできるのが弁護士の仕事の魅力だが、最近の若手は大都市・大規模事務所志向が強い。地方で活動するやりがい、生活の充実度を知ってもらえば状況は変わると思う」と話している。』
「最近の若い者は...」とでも言いたいのだろうか.司法試験合格後の弁護士さんも,大都市の大病院での研修を希望する医師国家試験合格後の研修医も考え方が同じだというだけだろう.国の政策が格差社会を助長して,大都市と地方都市での格差がはっきりしてきたのに,若手の医師や弁護士に地方都市での仕事に夢を持てと言うのはやはり無理があるんじゃないでしょうか.
今秋、司法修習を終えて弁護士登録した1144人の半数が東京に集中していることが、日本弁護士連合会(日弁連)のまとめで分かった。一方で山梨、函館、釧路、鳥取の弁護士会への登録はゼロだった。身近に相談できる弁護士がいない「司法過疎」を解消しようと、政府は司法試験合格者数を大幅に増やしてきたが、東京一点集中は進む一方で、日弁連は地方で働くよさを知ってもらう計画に初めて取り組む。
新たに弁護士登録したのは04年の司法試験合格者で、今月、司法研修所を修了した1386人の一部。その他は裁判官、検事の道に進む。
全国50の地裁所在地別にみると、新人の登録は東京が579人。大阪128人、愛知55人、横浜48人が続く。
一方、ゼロの4カ所のほか岩手、秋田、徳島、高知には1人、栃木、福井、富山、山形、旭川には2人しか新人は来なかった。
すでに全国に約2万人の弁護士がいるが、5割弱は東京に集中。司法改革で、政府は司法試験合格者を90年の500人規模から増やし続け、昨年は約1500人が合格した。しかし勤務地を選ぶのは本人の自由。高給と言われる渉外事務所や企業関連の仕事が多い東京の新人登録率は03年以降昨年まで57%、53%、56%で推移し、人気は根強い。
来年には新司法試験の合格者も加わり、修習修了者の数は今年より約1000人増える見通し。「大都市だけでは就職難は必至」という危機感から、日弁連は各地の弁護士会の情報提供などを通して、地方の弁護士を増やす活動を進める。
地方の司法の活性化などを目指し、今年6月にできた日弁連弁護士業務総合推進センター副本部長の秋山清人弁護士は「1人でもできるのが弁護士の仕事の魅力だが、最近の若手は大都市・大規模事務所志向が強い。地方で活動するやりがい、生活の充実度を知ってもらえば状況は変わると思う」と話している。』
「最近の若い者は...」とでも言いたいのだろうか.司法試験合格後の弁護士さんも,大都市の大病院での研修を希望する医師国家試験合格後の研修医も考え方が同じだというだけだろう.国の政策が格差社会を助長して,大都市と地方都市での格差がはっきりしてきたのに,若手の医師や弁護士に地方都市での仕事に夢を持てと言うのはやはり無理があるんじゃないでしょうか.
たまにはウィスキーもいいのかも
2006年10月3日 医食同源『 -- ウイスキーで糖尿病予防か アルコール抜きラット実験 --
ウイスキーの成分に糖尿病予防効果があるというラット実験の結果を、サントリーと矢部千尋(やべ・ちひろ)京都府立医大教授らが3日までにまとめた。
アルコール分は抜いており、たるから染み出たポリフェノール類の効果ではないかという。
サントリーによると、糖尿病にしたラットの餌に、アルコールなどの揮発成分を除いたウイスキー粉末を0・02%混ぜた。5週間後、通常の餌のラットは空腹時の血糖値が3倍に上昇したが、粉末を混ぜたラットは1.6倍だった。糖尿病と関係が深い血液中の過酸化脂質濃度は、通常の餌だと約2倍になったが、粉末を混ぜたラットはほとんど上がらなかった。
ブドウ糖を与えると、30分後の血液中のインスリン濃度は、通常の餌のラットの約1.8倍になった。
サントリーは「適度な飲酒は糖尿病を予防するとの疫学調査結果もあり、適量のウイスキーは予防効果があるのではないか」としている。』
私は蒸留酒はブランデーとウィスキーと焼酎と泡盛しか飲まない.しかも銘柄もほぼいつも決まっている.ブランデーはレミー・マルタン,ウィスキーはニッカのシングルカスク,焼酎は25度のいいちこ,そして泡盛は与那国島の60度のどなんとなっているのだ.もちろんバブルの頃はいろんなところでいろんなお酒を飲む機会に恵まれたのでおいしいお酒はいっぱい飲んだはずなのだが,自然とこれらに落ち着いてしまった.
で,ウィスキーの話だが国産ではサントリーのほうが一般的に人気があるらしいが,わたしはニッカウィスキーの余市工場に特別な思い入れがあるのでニッカ党なのである.その昔はキングスランドという銘柄が好きだったのだが,シングルカスクが発売されてからはこちらにしている.そのうちに英国のスコッチウィスキーの品評会か何かで世界一の称号を与えられてからはシングルカスクが絶対的なものとなっている.
シングルカスクというのは実は一つの銘柄ではなく,ウィスキーの製造年だけでなく樽も個別に管理され瓶詰めされたものの総称である.だから,製造年と樽によってそれぞれ味が違うところが面白い.そうなるといろんな味や香りを試したくなるのが人情である.自分が医師になったばかりの頃や博士号を取得した頃に樽詰めされたものが発売されるとネットで買い込んだりして,夜中に封を切っては味見してちょっとしたタイムカプセル気分を味わえるのである.これが私のウィスキーの楽しみ方である.
昔の手術の記録や実験データなどは当時愛用していたMacのHDに今でも残っているはずであるが,気がつくと私の脳は仕事以外に毎日どんな生活をしていたのかほとんど憶えていないのである.しかし,ウィスキーを飲みながら当時何をしていたのかぼんやり考えているといつのまにか居眠りしてしまうのだけは当時も今も変わっていないようだ.
さて本題だが,ウィスキーを飲む人も少なくなっているのだろう.気持ちはわかるが,サントリーのひも付き研究を信じる人なんているのだろうか.真実はどうであれ,私はアルコールを抜いたウィスキー粉末なんて飲む気にはなれないのだが.
ウイスキーの成分に糖尿病予防効果があるというラット実験の結果を、サントリーと矢部千尋(やべ・ちひろ)京都府立医大教授らが3日までにまとめた。
アルコール分は抜いており、たるから染み出たポリフェノール類の効果ではないかという。
サントリーによると、糖尿病にしたラットの餌に、アルコールなどの揮発成分を除いたウイスキー粉末を0・02%混ぜた。5週間後、通常の餌のラットは空腹時の血糖値が3倍に上昇したが、粉末を混ぜたラットは1.6倍だった。糖尿病と関係が深い血液中の過酸化脂質濃度は、通常の餌だと約2倍になったが、粉末を混ぜたラットはほとんど上がらなかった。
ブドウ糖を与えると、30分後の血液中のインスリン濃度は、通常の餌のラットの約1.8倍になった。
サントリーは「適度な飲酒は糖尿病を予防するとの疫学調査結果もあり、適量のウイスキーは予防効果があるのではないか」としている。』
私は蒸留酒はブランデーとウィスキーと焼酎と泡盛しか飲まない.しかも銘柄もほぼいつも決まっている.ブランデーはレミー・マルタン,ウィスキーはニッカのシングルカスク,焼酎は25度のいいちこ,そして泡盛は与那国島の60度のどなんとなっているのだ.もちろんバブルの頃はいろんなところでいろんなお酒を飲む機会に恵まれたのでおいしいお酒はいっぱい飲んだはずなのだが,自然とこれらに落ち着いてしまった.
で,ウィスキーの話だが国産ではサントリーのほうが一般的に人気があるらしいが,わたしはニッカウィスキーの余市工場に特別な思い入れがあるのでニッカ党なのである.その昔はキングスランドという銘柄が好きだったのだが,シングルカスクが発売されてからはこちらにしている.そのうちに英国のスコッチウィスキーの品評会か何かで世界一の称号を与えられてからはシングルカスクが絶対的なものとなっている.
シングルカスクというのは実は一つの銘柄ではなく,ウィスキーの製造年だけでなく樽も個別に管理され瓶詰めされたものの総称である.だから,製造年と樽によってそれぞれ味が違うところが面白い.そうなるといろんな味や香りを試したくなるのが人情である.自分が医師になったばかりの頃や博士号を取得した頃に樽詰めされたものが発売されるとネットで買い込んだりして,夜中に封を切っては味見してちょっとしたタイムカプセル気分を味わえるのである.これが私のウィスキーの楽しみ方である.
昔の手術の記録や実験データなどは当時愛用していたMacのHDに今でも残っているはずであるが,気がつくと私の脳は仕事以外に毎日どんな生活をしていたのかほとんど憶えていないのである.しかし,ウィスキーを飲みながら当時何をしていたのかぼんやり考えているといつのまにか居眠りしてしまうのだけは当時も今も変わっていないようだ.
さて本題だが,ウィスキーを飲む人も少なくなっているのだろう.気持ちはわかるが,サントリーのひも付き研究を信じる人なんているのだろうか.真実はどうであれ,私はアルコールを抜いたウィスキー粉末なんて飲む気にはなれないのだが.
じゃあ技術料は成功報酬にしたらどうだ
2006年10月3日 医療の問題 コメント (1)『 -- 死亡率:手術多い病院ほど低い傾向 診療報酬論議に影響----心臓、食道・肺がん手術 -- 胸部外科学会調査
心臓手術と食道がん、肺がんの手術では、手術件数が多い病院ほど死亡率が低い傾向があるとのデータを1日、日本胸部外科学会(松田暉理事長)が発表した。厚生労働省は今春、手術件数の多い病院に高い診療報酬を与える制度を「根拠が薄い」と廃止し、再び同様の基準を設けるべきかについて検討会で議論中だ。同学会は「件数は少なくても死亡率が低い病院があり、一律の規制は適当でない」と説明するが、今回の結果は議論に影響するとみられる。
同学会は00-04年に全国の計約700病院で心臓、食道がん、肺がんの手術を受けた患者計約30万人について、病院ごとの死亡率と手術件数との関係を分析した。病院名を公表しない約束で、各病院からデータを集めた。
その結果、心臓の「大動脈置換術」では、年平均20件以上を実施した病院で、手術後30日以内の死亡率が7・9%だったのに、同5件未満の病院では18・5%と2倍以上高くなった。後天性心臓病の手術全体でも、年100件以上の75病院の平均死亡率2・3%に対し、年25件未満の90病院では同4・8%だった。
食道がんでは、年75件以上の6病院で、在院死亡率が平均1・6%だったが、25件未満の716病院では平均6・5%と4倍の差があった。25件未満では、死亡率が20%を超える病院もあった。
肺がんでは、年150件以上の病院で死亡率0・3%、10件未満では1・6%だった。
◇治療成績の公表を----佐野俊二・岡山大医学部教授(心臓血管外科)の話
手術件数が多いほど死亡率が下がるのは、プロの大工が日曜大工よりうまいのと同じで、ごく当然だ。手術が年25件未満、つまり月1、2件では明らかに足りない。心臓外科医はプロとして治療成績を公表すべきだ。その代わり優秀な医師は高い報酬が得られる制度にしてほしい。』
腕に自信のある外科医の本音は「手術成績の優秀な医師には高い報酬を」だろうが,厚生労働省の「手術件数の多い病院に高い診療報酬」という制度の本音は要するに医療費削減であって,優秀な医師が高い報酬が得られる制度ではなかった.厚生労働省が優秀な医師の待遇改善をするなんていう話は聞いた事がないし,そもそも手術の技術料はもともとどう考えたって安すぎると私は思う.私の専門の脳神経外科にしても一つの技術料が100万円を超える手術なんて皆無である.自由診療の美容外科と比べてみれば健康保健診療での技術料がいかに低く抑えられているかわかるだろう.
前回の「手術件数の多い病院に高い診療報酬」という制度では,この安い技術料を手術数の少ない病院ではさらに削っただけである.これでは小規模病院では外科は不採算になる.要するに外科を大規模病院に集約する方向に向かわせたのだと思うが,これだと個人病院はもちろん,市立病院などのもともと経営の厳しい地域の基幹病院でさえも外科はやってられなくなる.地域の救急医療では手術を受ける機会がなくなればそれはすなわち患者の死を意味する.手術を受けられずに死亡した場合は手術の死亡率にはならないが,救命が目的であればこれでは本末転倒だろう.
そんなに手術成績と診療報酬を連動させたいのであれば,一例ごとに技術料を成功報酬にしたらどうだろうか.これなら外科医は納得できるのではないだろうか.もっともその場合,成功した場合の報酬は今の2倍以上にはしてもらわないと「優秀な医師は高い報酬」なんてことにはならないだろう.どうせ医療費削減が目的なんだろうからそんなことになるはずはないと思うのは私だけだろうか.
心臓手術と食道がん、肺がんの手術では、手術件数が多い病院ほど死亡率が低い傾向があるとのデータを1日、日本胸部外科学会(松田暉理事長)が発表した。厚生労働省は今春、手術件数の多い病院に高い診療報酬を与える制度を「根拠が薄い」と廃止し、再び同様の基準を設けるべきかについて検討会で議論中だ。同学会は「件数は少なくても死亡率が低い病院があり、一律の規制は適当でない」と説明するが、今回の結果は議論に影響するとみられる。
同学会は00-04年に全国の計約700病院で心臓、食道がん、肺がんの手術を受けた患者計約30万人について、病院ごとの死亡率と手術件数との関係を分析した。病院名を公表しない約束で、各病院からデータを集めた。
その結果、心臓の「大動脈置換術」では、年平均20件以上を実施した病院で、手術後30日以内の死亡率が7・9%だったのに、同5件未満の病院では18・5%と2倍以上高くなった。後天性心臓病の手術全体でも、年100件以上の75病院の平均死亡率2・3%に対し、年25件未満の90病院では同4・8%だった。
食道がんでは、年75件以上の6病院で、在院死亡率が平均1・6%だったが、25件未満の716病院では平均6・5%と4倍の差があった。25件未満では、死亡率が20%を超える病院もあった。
肺がんでは、年150件以上の病院で死亡率0・3%、10件未満では1・6%だった。
◇治療成績の公表を----佐野俊二・岡山大医学部教授(心臓血管外科)の話
手術件数が多いほど死亡率が下がるのは、プロの大工が日曜大工よりうまいのと同じで、ごく当然だ。手術が年25件未満、つまり月1、2件では明らかに足りない。心臓外科医はプロとして治療成績を公表すべきだ。その代わり優秀な医師は高い報酬が得られる制度にしてほしい。』
腕に自信のある外科医の本音は「手術成績の優秀な医師には高い報酬を」だろうが,厚生労働省の「手術件数の多い病院に高い診療報酬」という制度の本音は要するに医療費削減であって,優秀な医師が高い報酬が得られる制度ではなかった.厚生労働省が優秀な医師の待遇改善をするなんていう話は聞いた事がないし,そもそも手術の技術料はもともとどう考えたって安すぎると私は思う.私の専門の脳神経外科にしても一つの技術料が100万円を超える手術なんて皆無である.自由診療の美容外科と比べてみれば健康保健診療での技術料がいかに低く抑えられているかわかるだろう.
前回の「手術件数の多い病院に高い診療報酬」という制度では,この安い技術料を手術数の少ない病院ではさらに削っただけである.これでは小規模病院では外科は不採算になる.要するに外科を大規模病院に集約する方向に向かわせたのだと思うが,これだと個人病院はもちろん,市立病院などのもともと経営の厳しい地域の基幹病院でさえも外科はやってられなくなる.地域の救急医療では手術を受ける機会がなくなればそれはすなわち患者の死を意味する.手術を受けられずに死亡した場合は手術の死亡率にはならないが,救命が目的であればこれでは本末転倒だろう.
そんなに手術成績と診療報酬を連動させたいのであれば,一例ごとに技術料を成功報酬にしたらどうだろうか.これなら外科医は納得できるのではないだろうか.もっともその場合,成功した場合の報酬は今の2倍以上にはしてもらわないと「優秀な医師は高い報酬」なんてことにはならないだろう.どうせ医療費削減が目的なんだろうからそんなことになるはずはないと思うのは私だけだろうか.
まだちょっと早いのですが...
2006年10月2日 私の写真集 コメント (6)
今朝,ここを見たらすでに250008アクセスとなっていました.
仕事や勉強でお疲れにもかかわらず,いつも拙文を読んでいただきありがとうございます.
日頃の感謝の気持ちをこめて,この写真をアップさせていただきます.
仕事や勉強でお疲れにもかかわらず,いつも拙文を読んでいただきありがとうございます.
日頃の感謝の気持ちをこめて,この写真をアップさせていただきます.
これでよかったのですね?
2006年9月30日 社会の問題 コメント (7)『 -- 向井さん夫妻の双子代理出産、出生届認める…東京高裁 --
タレントの向井亜紀さん(41)と夫で元プロレスラーの高田延彦さん(44)が、米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子(2)について、東京都品川区が出生届を不受理とした問題で、東京高裁(南敏文裁判長)は29日、出生届を受理するよう、品川区長に命じる決定をした。
法務省は「出産した女性を母とする法解釈に反する」として、代理出産で生まれた子供の出生届を受理しない姿勢をとっており、今回の判断は大きな議論を呼びそうだ。
向井さんの代理人などによると、向井さんは2000年秋、子宮がんにかかっていることがわかり、子宮を摘出する手術を受けた。02年8月、本人の卵子による受精卵を、第三者の女性の子宮に移植して出産してもらう代理出産を行うことを表明。その後、3度目の体外受精で30歳代の米国人の代理母が妊娠し、03年11月下旬、この代理母が男の双子を出産した。』
代理出産で生まれた子の出生届を認めるということは,代理出産でも実子として認められるということだ.まだ,この判例が確定したわけではないが,これが認められれば不妊症もしくは母体に問題があって妊娠できない夫婦には朗報であろう.向井さんご夫婦は敢えて米国まで行って既成事実を日本の司法に突きつける形で希望を遂げられたのだからさぞかし嬉しいことだろう.
だが,法の下の平等という点から考えると,これが認められれば事態はこれでは収まらないだろうと思う.事実のみで考えれば母体に問題がなくたって代理出産は可能で,しかもそれが実子として認められるとなれば国内でも契約によって代理出産するケースが今後続発するに違いない.経済的に余裕のある人たちが,自身のリスクを避けるためや,仕事上の都合で代理出産を依頼したっていいわけである.
私の倫理観では人間の生と死だけは平等が保たれるべきだと思うのであるが,最近の医療をとりまく状況はそうではないらしい.今や,お金があれば健康や年齢にかかわらず欲しい時に子供もつくってもらえる時代になったということだろう.少子化なのに子供が虐待死する時代であれば,こうまでして望まれて生まれてくる子供はきっと幸せになるのだからそれでいいということなのだろうか.
ついでに,母親が進行ガンで代理母の出産を前に亡くなってしまった場合はいったいどうするのだろうか.まさか,中絶したりはしないんだろうが,母親が死亡しているのに出生届が受理されるのだろうか.法律が医学の進歩に対応しきれていないという問題もあるのだろうが,今回のケースがきっかけとなって今後いろいろな状況に対して司法の対応が迫られることになるのだろう.
こうなってくると,どこまでが医療でどこからが医業なんだか産科に関してはよくわからなくなってきたような気がする.いつも可能性のあることはすべて起こると考えているから,そのうち代理母業なるものが成立するかもしれないかと思うとぞっとするのは私だけであろうか,
タレントの向井亜紀さん(41)と夫で元プロレスラーの高田延彦さん(44)が、米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子(2)について、東京都品川区が出生届を不受理とした問題で、東京高裁(南敏文裁判長)は29日、出生届を受理するよう、品川区長に命じる決定をした。
法務省は「出産した女性を母とする法解釈に反する」として、代理出産で生まれた子供の出生届を受理しない姿勢をとっており、今回の判断は大きな議論を呼びそうだ。
向井さんの代理人などによると、向井さんは2000年秋、子宮がんにかかっていることがわかり、子宮を摘出する手術を受けた。02年8月、本人の卵子による受精卵を、第三者の女性の子宮に移植して出産してもらう代理出産を行うことを表明。その後、3度目の体外受精で30歳代の米国人の代理母が妊娠し、03年11月下旬、この代理母が男の双子を出産した。』
代理出産で生まれた子の出生届を認めるということは,代理出産でも実子として認められるということだ.まだ,この判例が確定したわけではないが,これが認められれば不妊症もしくは母体に問題があって妊娠できない夫婦には朗報であろう.向井さんご夫婦は敢えて米国まで行って既成事実を日本の司法に突きつける形で希望を遂げられたのだからさぞかし嬉しいことだろう.
だが,法の下の平等という点から考えると,これが認められれば事態はこれでは収まらないだろうと思う.事実のみで考えれば母体に問題がなくたって代理出産は可能で,しかもそれが実子として認められるとなれば国内でも契約によって代理出産するケースが今後続発するに違いない.経済的に余裕のある人たちが,自身のリスクを避けるためや,仕事上の都合で代理出産を依頼したっていいわけである.
私の倫理観では人間の生と死だけは平等が保たれるべきだと思うのであるが,最近の医療をとりまく状況はそうではないらしい.今や,お金があれば健康や年齢にかかわらず欲しい時に子供もつくってもらえる時代になったということだろう.少子化なのに子供が虐待死する時代であれば,こうまでして望まれて生まれてくる子供はきっと幸せになるのだからそれでいいということなのだろうか.
ついでに,母親が進行ガンで代理母の出産を前に亡くなってしまった場合はいったいどうするのだろうか.まさか,中絶したりはしないんだろうが,母親が死亡しているのに出生届が受理されるのだろうか.法律が医学の進歩に対応しきれていないという問題もあるのだろうが,今回のケースがきっかけとなって今後いろいろな状況に対して司法の対応が迫られることになるのだろう.
こうなってくると,どこまでが医療でどこからが医業なんだか産科に関してはよくわからなくなってきたような気がする.いつも可能性のあることはすべて起こると考えているから,そのうち代理母業なるものが成立するかもしれないかと思うとぞっとするのは私だけであろうか,
1980年代の洋楽ヒットを聞いていたらテイスト・オブ・ハニーの「スキヤキ」が聞こえてきた.そういえば坂本九さんが飛行機事故で亡くなってもう21年にもなるのですね.
10月中旬には脳神経外科学会総会のため京都に行くのだが,やっぱり何となく最近の飛行機の整備は信用できない.とりあえず全日空便でお願いしたのだが大丈夫だろうか.
10月中旬には脳神経外科学会総会のため京都に行くのだが,やっぱり何となく最近の飛行機の整備は信用できない.とりあえず全日空便でお願いしたのだが大丈夫だろうか.
『 -- 音楽を学んだ低年齢小児は記憶能力が高まる --
Jennifer Warner WebMD Medical News
Reviewed By Louise Chang, MD
低年齢の小児における音楽レッスンは脳の発達を促進し、記憶能力を向上させる可能性がある。
低年齢小児は、音楽の訓練を受けると、1年の訓練期間に、聞こえてきた音楽に対する脳の反応が変わるだけでなく、記憶力も改善する可能性があることが認められた。
「1年間音楽を勉強した小児は音楽を勉強しなかった小児より音楽を聴く技能が向上するということは、さほど意外なことではないだろう」と研究者のLaurel Trainor氏はニュースリリースで述べている。
「他方で、音楽のレッスンを受けた小児は、読み書き能力、言語性記憶、視空間処理、算数、IQなどの音楽以外の能力と相関する一般的記憶能力が音楽のレッスンを受けない小児より向上するということは非常に興味深い」とMcMaster大学(カナダ、ハミルトン)の心理学・神経科学・行動学の教授であるTrainor氏は述べている。
今後の研究でこれらの結果が確認されれば、親にとって音楽家のタマゴにかかる騒音などに耐える良い理由になる可能性がある。
音楽は幼い脳を養う
『Brain』で発表された同研究では、4-6歳の小児12例を対象に、1年間にわたり音楽などの脳の開発手段に対する脳の反応を比較した。
研究の開始時点で、小児の半数がSuzuki音楽スクールに入学し、残りの半数は学校外で音楽レッスンを受けなかった。
その結果、1年間の研究期間中に両群間に発達の差が認められた。
予想通り、音楽レッスンを受けた小児は音楽レッスンを受けなかった小児より、メロディー、ハーモニー、およびリズム処理に大きな向上が認められた。さらに、音楽の訓練を受けた小児の方が、注意および音識別に関わる脳の部位において、バイオリンの音に対する脳の反応が大きかった。
しかし、同研究では、音楽レッスンを受けた小児の方が、数桁の数字を聞いて、それを覚えておき、繰り返すという非音楽的な一般的記憶検査の向上の度合いも大きかったことが認められている。
「これは音楽訓練を受けた低年齢小児と同訓練を受けなかった低年齢小児における脳の反応の変化が1年の訓練期間の後に異なることを示した最初の研究である。こうした変化は音楽訓練に伴ってみられる認知機能向上と関連する可能性がある」とTrainor氏は述べている。
Fujioka, T. Brain, Sept. 20, 2006; vol 129: pp 2593-2608. News release, Oxford University Press. 』
なんとなくそうだろうとはみんな思っていただろうが,今までこういうことはちゃんと研究されていなかったのですね.私は,音楽は大好きでいろんなジャンルの曲をPowerMacのiTuneと5.1chのサラウンドスピーカーで自室にいる時はほとんど常時聞いています.でも,音楽教育というものは学校の音楽の時間以外は受けたことがありません.楽器の演奏ができないということが今は残念でなりません.
もっとも子供の頃は習いものは大嫌いで音楽教室など行く気にもなりませんでしたから自業自得です.習得に時間のかかるものは小さい頃からやっておいたほうが良いということが今頃わかっても手遅れですね.音楽の訓練を受けていたら少しは記憶力も良くなっていたのかと思うと子供の頃に外で元気に遊んでばかりいてよかったのだろうかとちょっと複雑な心境になるのは私だけでしょうか.
Jennifer Warner WebMD Medical News
Reviewed By Louise Chang, MD
低年齢の小児における音楽レッスンは脳の発達を促進し、記憶能力を向上させる可能性がある。
低年齢小児は、音楽の訓練を受けると、1年の訓練期間に、聞こえてきた音楽に対する脳の反応が変わるだけでなく、記憶力も改善する可能性があることが認められた。
「1年間音楽を勉強した小児は音楽を勉強しなかった小児より音楽を聴く技能が向上するということは、さほど意外なことではないだろう」と研究者のLaurel Trainor氏はニュースリリースで述べている。
「他方で、音楽のレッスンを受けた小児は、読み書き能力、言語性記憶、視空間処理、算数、IQなどの音楽以外の能力と相関する一般的記憶能力が音楽のレッスンを受けない小児より向上するということは非常に興味深い」とMcMaster大学(カナダ、ハミルトン)の心理学・神経科学・行動学の教授であるTrainor氏は述べている。
今後の研究でこれらの結果が確認されれば、親にとって音楽家のタマゴにかかる騒音などに耐える良い理由になる可能性がある。
音楽は幼い脳を養う
『Brain』で発表された同研究では、4-6歳の小児12例を対象に、1年間にわたり音楽などの脳の開発手段に対する脳の反応を比較した。
研究の開始時点で、小児の半数がSuzuki音楽スクールに入学し、残りの半数は学校外で音楽レッスンを受けなかった。
その結果、1年間の研究期間中に両群間に発達の差が認められた。
予想通り、音楽レッスンを受けた小児は音楽レッスンを受けなかった小児より、メロディー、ハーモニー、およびリズム処理に大きな向上が認められた。さらに、音楽の訓練を受けた小児の方が、注意および音識別に関わる脳の部位において、バイオリンの音に対する脳の反応が大きかった。
しかし、同研究では、音楽レッスンを受けた小児の方が、数桁の数字を聞いて、それを覚えておき、繰り返すという非音楽的な一般的記憶検査の向上の度合いも大きかったことが認められている。
「これは音楽訓練を受けた低年齢小児と同訓練を受けなかった低年齢小児における脳の反応の変化が1年の訓練期間の後に異なることを示した最初の研究である。こうした変化は音楽訓練に伴ってみられる認知機能向上と関連する可能性がある」とTrainor氏は述べている。
Fujioka, T. Brain, Sept. 20, 2006; vol 129: pp 2593-2608. News release, Oxford University Press. 』
なんとなくそうだろうとはみんな思っていただろうが,今までこういうことはちゃんと研究されていなかったのですね.私は,音楽は大好きでいろんなジャンルの曲をPowerMacのiTuneと5.1chのサラウンドスピーカーで自室にいる時はほとんど常時聞いています.でも,音楽教育というものは学校の音楽の時間以外は受けたことがありません.楽器の演奏ができないということが今は残念でなりません.
もっとも子供の頃は習いものは大嫌いで音楽教室など行く気にもなりませんでしたから自業自得です.習得に時間のかかるものは小さい頃からやっておいたほうが良いということが今頃わかっても手遅れですね.音楽の訓練を受けていたら少しは記憶力も良くなっていたのかと思うと子供の頃に外で元気に遊んでばかりいてよかったのだろうかとちょっと複雑な心境になるのは私だけでしょうか.
石頭都知事でしたっけ?
2006年9月22日 社会の問題 コメント (6)『 -- 「当然控訴」と石原都知事 国旗国歌訴訟で --
入学式や卒業式での国旗国歌の強制は違憲と判断した東京地裁判決について、石原慎太郎都知事は22日の定例会見で「当然控訴します。あの裁判官は都立高校などの実態、現場を見た方がいい」などと述べた。
石原知事は「平均的なレベルの高校を見たが、(生徒は)先生の言うことを聞かない。規律を取り戻すため、ひとつの手だてが国旗国歌への敬意だと思う」とした。
起立斉唱をしなかった教職員は責任を問われるとした都教委の通達は国の学習指導要領に基づき、正当と反論。懲戒処分も「教師が義務を怠ったことになるから当たり前と思う」と述べた』
日の丸を見上げて君が代を斉唱しただけで,教師や生徒はみんな愛国心にあふれ国旗や国歌に敬意を払っているとみなせるとでも言うのだろうか.なんだかナチスドイツの『ハイル・ヒットラー』みたいで気味が悪いが,こんなことが先生の言うことを聞かない生徒に規律を取り戻す手だてになると信じているとは,なんと単純で短絡的思考の持ち主であろう.
そういえば安倍晋三・自民党新総裁は,国旗国歌法の成立過程で「義務規定は盛り込むべきだった」と発言しており,「愛国心」を前面に出す教育基本法の改正を推し進めようとしているらしいが,義務を課せば愛国心を教育できると考えている点で都知事と同じである.
口先や形式だけで「愛国心」教育なんてできるほど簡単ではないということがわかっていないとしか思えない.首相や都知事であれば「都立高校などの実態、現場を見るだけじゃなくて日本全体を良く見て考えてたほうがいい」のではないだろうか.教育委員会の人たちも政治的プロパガンダに肩入れしてないで,もっと教育そのものについての議論をするべきではないだろうか.
『子は親の鏡』という言葉があるが,人間の子供というものは周囲の大人を見て育つものであるというのは真実だと思う.今の子供たちの問題はすなわち大人の問題である.今の日本の大人に「愛国心」はあるのだろうか.大人の心に国土の自然を大切にし,資源を大切にし,美しい山や川や海を子供に残せる余裕があれば,放っておいても子供は歴史や伝統に敬意を払い,自分の祖国に誇りを持って他国の色々な価値観をも理解できるようにもなるのではないだろうか.
本来,祖国のために働く政治家が見かけだけの「愛国心」を唱えて,安直に教育に口出しするようなことは「恥」ではないのだろうか.そんなことをしている暇があるなら他にもっとやることがあるのではないだろうか.政治家に知性があるのなら,難波孝一裁判長の判決の「国旗と国歌は強制ではなく、自然のうちに国民に定着させる」にはどうすればよいかをもっと深く考えて欲しいものである.
入学式や卒業式での国旗国歌の強制は違憲と判断した東京地裁判決について、石原慎太郎都知事は22日の定例会見で「当然控訴します。あの裁判官は都立高校などの実態、現場を見た方がいい」などと述べた。
石原知事は「平均的なレベルの高校を見たが、(生徒は)先生の言うことを聞かない。規律を取り戻すため、ひとつの手だてが国旗国歌への敬意だと思う」とした。
起立斉唱をしなかった教職員は責任を問われるとした都教委の通達は国の学習指導要領に基づき、正当と反論。懲戒処分も「教師が義務を怠ったことになるから当たり前と思う」と述べた』
日の丸を見上げて君が代を斉唱しただけで,教師や生徒はみんな愛国心にあふれ国旗や国歌に敬意を払っているとみなせるとでも言うのだろうか.なんだかナチスドイツの『ハイル・ヒットラー』みたいで気味が悪いが,こんなことが先生の言うことを聞かない生徒に規律を取り戻す手だてになると信じているとは,なんと単純で短絡的思考の持ち主であろう.
そういえば安倍晋三・自民党新総裁は,国旗国歌法の成立過程で「義務規定は盛り込むべきだった」と発言しており,「愛国心」を前面に出す教育基本法の改正を推し進めようとしているらしいが,義務を課せば愛国心を教育できると考えている点で都知事と同じである.
口先や形式だけで「愛国心」教育なんてできるほど簡単ではないということがわかっていないとしか思えない.首相や都知事であれば「都立高校などの実態、現場を見るだけじゃなくて日本全体を良く見て考えてたほうがいい」のではないだろうか.教育委員会の人たちも政治的プロパガンダに肩入れしてないで,もっと教育そのものについての議論をするべきではないだろうか.
『子は親の鏡』という言葉があるが,人間の子供というものは周囲の大人を見て育つものであるというのは真実だと思う.今の子供たちの問題はすなわち大人の問題である.今の日本の大人に「愛国心」はあるのだろうか.大人の心に国土の自然を大切にし,資源を大切にし,美しい山や川や海を子供に残せる余裕があれば,放っておいても子供は歴史や伝統に敬意を払い,自分の祖国に誇りを持って他国の色々な価値観をも理解できるようにもなるのではないだろうか.
本来,祖国のために働く政治家が見かけだけの「愛国心」を唱えて,安直に教育に口出しするようなことは「恥」ではないのだろうか.そんなことをしている暇があるなら他にもっとやることがあるのではないだろうか.政治家に知性があるのなら,難波孝一裁判長の判決の「国旗と国歌は強制ではなく、自然のうちに国民に定着させる」にはどうすればよいかをもっと深く考えて欲しいものである.
朝夕は肌寒く感じる日が多くなってきた.気温が下がってきたためだろうか,今週は入院が多かった.ここ3日間程は救急外来と病棟の重症患者さんの急変などで大忙しだった.今夜もすでに満床状態での当直である.連休前だから安静だといいのだが..
明日から連休.週休2日制の方は特に嬉しくもないでしょうが,私にとっては貴重なお休みです.しかし,微熱が続く風邪がわが家で流行しているので自宅で休養の予定です.皆さまも風邪などひかないようご注意を.
明日から連休.週休2日制の方は特に嬉しくもないでしょうが,私にとっては貴重なお休みです.しかし,微熱が続く風邪がわが家で流行しているので自宅で休養の予定です.皆さまも風邪などひかないようご注意を.
『 -- 都教委の「強制は違憲」東京地裁が判決 --
入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代斉唱を強制するのは憲法で保障された思想・良心の自由を侵害するとして、東京都立高の教職員ら約400人が都教育委員会を相手取り、起立や斉唱の義務が存在しないことの確認を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は「強制は違法、違憲」と判断し、起立や斉唱の義務がないことを確認したうえ、一人当たり3万円の慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡した。
都教委は03年10月23日、都立学校の各校長に「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」という文書を通達。国旗に向かって起立▽国歌斉唱▽その際のピアノ伴奏▽こうした職務命令に従わない場合に服務上の責任を問われることを教職員に周知??との内容で、これに従わず懲戒処分を受けた教職員らが提訴していた。
判決では、「国旗掲揚、国歌斉唱に反対する者も少なからずおり、このような主義主張を持つ者の思想・良心の自由も、他者の権利を侵害するなど公共の福祉に反しない限り、憲法上保護に値する権利。起立や斉唱の義務を課すことは思想・良心の自由を侵害する」と判断。
さらに、「通達や都教委の一連の指導は、教職員に対し、一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制することに等しく、教育基本法10条1項で定めた『不当な支配』に該当し違法」と指摘した』
歴史は繰り返すとは言い古された言葉だが,思想・良心の自由というのは民主主義の基本であって,たとえ教育の場であっても国旗掲揚+国歌斉唱=愛国心の証,みたいな思想の強制は誤りであることを,東京都知事以下,都教委の人たちはもういちど学習する必要があるだろう.
日の丸も君が代も歴史的に見れば,富国強兵へ向けての国民へのプロパガンダの手段とされたイメージが強く,国旗掲揚、国歌斉唱に反対する人たちはそういった天皇陛下を奉りながら戦争へ突入していった時代のネガティブなイメージが払拭できないのではないだろうか.
教育についていえばわが国が馬鹿げた「ゆとり教育」などというものでうたたねをしている間に高度成長時代の日本の教育を手本にした国々がすでに学力で上回るようになっている.東京都知事を筆頭にした懐古趣味の方々がいつまでも愛国心教育などという形式主義にこだわっているようでは教育現場の再構築は遅々として進まないことだろう.
今,わが国で教育しなければならないことは個々の価値観を尊重する真の民主主義と個人差をみとめた上での合理的な能力主義である.少子化の時代には,団塊世代のような多数の中からの競争による選抜では多くの優秀な人間を効率的に教育することは不可能であろう.ましてや自分で考え各自の価値観を持つことを否定するような「不当な支配」による教育では日本の未来はお先真っ暗なのではないだろうか.
追加)
『 -- <国旗国歌>小泉首相が違憲判決に疑問 --
小泉首相は21日、入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代斉唱を強制したことを違憲とした判決について「法律以前の問題じゃないでしょうかね。人間として、国旗や国歌に敬意を表すというのは」と述べ、疑問を投げかけた。思想・良心の自由については「裁判でよく判断していただきたい」と述べるにとどめた』
小泉さんの視点では人は国のために存在するということなのでしょう.私の視点ではもちろん国は人のために存在するものだから,国旗や国歌はいわばアイコンやテーマソングみたいな物で,それ自体に敬意を表する価値はないと思います.アイコンやテーマソングは自分でものを考えない人にはわかりやすいかも知れませんが,いずれにしても愛国心とはちょっと違うと思うのですが,どうでしょうか.
補足:その後のニュース)
『 -- 式での起立・斉唱定めた都教委通達は「違憲」 東京地裁 --
入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代の斉唱を強要するのは不当だとして、東京都立の高校や養護学校などの教職員が都教委などを相手に、起立や斉唱義務がないことの確認などを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は、違反者を処分するとした都教委の通達や職務命令は「少数者の思想・良心の自由を侵害する」として違憲・違法と判断。起立、斉唱義務がないことを確認し、違反者の処分を禁止した。さらに、401人の原告全員に1人3万円の慰謝料を支払うよう都に命じた。都側は控訴する方針。
教育現場での国旗掲揚や国歌斉唱を巡り、憲法19条が保障する思想・良心の自由の侵害を明確に認めた判決は初めて。同種の訴訟では、処分を争う教諭側が敗訴する例が相次いでいた。
判決は、都教委の通達などは各校長の裁量を許さない強制的なもので、教育基本法が禁じた「不当な支配」にあたるとし、都教委の指導を全面否定する内容となった。
問題の通達は03年10月に各校長あてに出された。教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう定め、違反すれば、停職を含む懲戒処分の対象とした。
今回の裁判の特徴は、職務命令や処分が出る前に、起立や斉唱などの義務自体がないことの確認を求めた点だ。都教委は「具体的な権利侵害がない」と門前払いを求めたが、判決は「回復しがたい重大な損害を被る恐れがある」として、訴えは適法と判断した。
難波裁判長は、日の丸や君が代が皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきた経緯に言及。式典での掲揚や斉唱に反対する主義・主張を持つ人の思想・良心の自由も憲法上保護に値する権利だと述べた。
通達について「教育の自主性を侵害し、一方的な理論や観念を生徒に教え込むことに等しい」と指摘。国旗掲揚の方法まで指示するなど「必要で合理的な大綱的な基準を逸脱した」として、校長への「不当な支配」にあたるとした。
その上で、起立や斉唱の強要は思想・良心の自由を保障する憲法19条に違反すると判断。国旗・国歌は自然に定着させるのが国旗・国歌法の趣旨であることにも照らし、教職員への職務命令は違法とした。 』
入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代斉唱を強制するのは憲法で保障された思想・良心の自由を侵害するとして、東京都立高の教職員ら約400人が都教育委員会を相手取り、起立や斉唱の義務が存在しないことの確認を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は「強制は違法、違憲」と判断し、起立や斉唱の義務がないことを確認したうえ、一人当たり3万円の慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡した。
都教委は03年10月23日、都立学校の各校長に「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」という文書を通達。国旗に向かって起立▽国歌斉唱▽その際のピアノ伴奏▽こうした職務命令に従わない場合に服務上の責任を問われることを教職員に周知??との内容で、これに従わず懲戒処分を受けた教職員らが提訴していた。
判決では、「国旗掲揚、国歌斉唱に反対する者も少なからずおり、このような主義主張を持つ者の思想・良心の自由も、他者の権利を侵害するなど公共の福祉に反しない限り、憲法上保護に値する権利。起立や斉唱の義務を課すことは思想・良心の自由を侵害する」と判断。
さらに、「通達や都教委の一連の指導は、教職員に対し、一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制することに等しく、教育基本法10条1項で定めた『不当な支配』に該当し違法」と指摘した』
歴史は繰り返すとは言い古された言葉だが,思想・良心の自由というのは民主主義の基本であって,たとえ教育の場であっても国旗掲揚+国歌斉唱=愛国心の証,みたいな思想の強制は誤りであることを,東京都知事以下,都教委の人たちはもういちど学習する必要があるだろう.
日の丸も君が代も歴史的に見れば,富国強兵へ向けての国民へのプロパガンダの手段とされたイメージが強く,国旗掲揚、国歌斉唱に反対する人たちはそういった天皇陛下を奉りながら戦争へ突入していった時代のネガティブなイメージが払拭できないのではないだろうか.
教育についていえばわが国が馬鹿げた「ゆとり教育」などというものでうたたねをしている間に高度成長時代の日本の教育を手本にした国々がすでに学力で上回るようになっている.東京都知事を筆頭にした懐古趣味の方々がいつまでも愛国心教育などという形式主義にこだわっているようでは教育現場の再構築は遅々として進まないことだろう.
今,わが国で教育しなければならないことは個々の価値観を尊重する真の民主主義と個人差をみとめた上での合理的な能力主義である.少子化の時代には,団塊世代のような多数の中からの競争による選抜では多くの優秀な人間を効率的に教育することは不可能であろう.ましてや自分で考え各自の価値観を持つことを否定するような「不当な支配」による教育では日本の未来はお先真っ暗なのではないだろうか.
追加)
『 -- <国旗国歌>小泉首相が違憲判決に疑問 --
小泉首相は21日、入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代斉唱を強制したことを違憲とした判決について「法律以前の問題じゃないでしょうかね。人間として、国旗や国歌に敬意を表すというのは」と述べ、疑問を投げかけた。思想・良心の自由については「裁判でよく判断していただきたい」と述べるにとどめた』
小泉さんの視点では人は国のために存在するということなのでしょう.私の視点ではもちろん国は人のために存在するものだから,国旗や国歌はいわばアイコンやテーマソングみたいな物で,それ自体に敬意を表する価値はないと思います.アイコンやテーマソングは自分でものを考えない人にはわかりやすいかも知れませんが,いずれにしても愛国心とはちょっと違うと思うのですが,どうでしょうか.
補足:その後のニュース)
『 -- 式での起立・斉唱定めた都教委通達は「違憲」 東京地裁 --
入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代の斉唱を強要するのは不当だとして、東京都立の高校や養護学校などの教職員が都教委などを相手に、起立や斉唱義務がないことの確認などを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は、違反者を処分するとした都教委の通達や職務命令は「少数者の思想・良心の自由を侵害する」として違憲・違法と判断。起立、斉唱義務がないことを確認し、違反者の処分を禁止した。さらに、401人の原告全員に1人3万円の慰謝料を支払うよう都に命じた。都側は控訴する方針。
教育現場での国旗掲揚や国歌斉唱を巡り、憲法19条が保障する思想・良心の自由の侵害を明確に認めた判決は初めて。同種の訴訟では、処分を争う教諭側が敗訴する例が相次いでいた。
判決は、都教委の通達などは各校長の裁量を許さない強制的なもので、教育基本法が禁じた「不当な支配」にあたるとし、都教委の指導を全面否定する内容となった。
問題の通達は03年10月に各校長あてに出された。教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう定め、違反すれば、停職を含む懲戒処分の対象とした。
今回の裁判の特徴は、職務命令や処分が出る前に、起立や斉唱などの義務自体がないことの確認を求めた点だ。都教委は「具体的な権利侵害がない」と門前払いを求めたが、判決は「回復しがたい重大な損害を被る恐れがある」として、訴えは適法と判断した。
難波裁判長は、日の丸や君が代が皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきた経緯に言及。式典での掲揚や斉唱に反対する主義・主張を持つ人の思想・良心の自由も憲法上保護に値する権利だと述べた。
通達について「教育の自主性を侵害し、一方的な理論や観念を生徒に教え込むことに等しい」と指摘。国旗掲揚の方法まで指示するなど「必要で合理的な大綱的な基準を逸脱した」として、校長への「不当な支配」にあたるとした。
その上で、起立や斉唱の強要は思想・良心の自由を保障する憲法19条に違反すると判断。国旗・国歌は自然に定着させるのが国旗・国歌法の趣旨であることにも照らし、教職員への職務命令は違法とした。 』
『 -- イラク過激派、ローマ法王発言に次々攻撃予告 --
ローマ法王ベネディクト16世がイスラム教の聖戦(ジハード)を批判したととれる発言をしたことに対し、イラクのイスラム教スンニ派の過激派組織が次々と非難と攻撃予告の声明を出している。19日には「イラク・イスラム軍」の名義で「イタリア大使館を攻撃する」との声明が出た。シーア派の宗教指導者らも批判を続けており、17日に法王が釈明した後も反発は止まっていない。
インターネットに掲載されたイラク・イスラム軍を名乗る声明は「バチカンは米同時多発テロ5周年を機に預言者を侮辱した。デンマークの新聞と同じだ」として、今年初めの預言者ムハンマドの風刺画問題に絡めて批判。「19日にイタリア大使館を攻撃する。イラクにいるキリスト教徒兵(欧米からの派遣部隊)殺害を続ける」と表明している。
イラク過激派の声明は確認されただけで5団体目。イラク・アルカイダ機構は17日付で「バチカンはブッシュが始めた新たなる十字軍の侵略を後押しした」などとして「ジハードの継続」を宣言した。
シーア派の宗教指導者も批判を続けている。ロイター通信によると、高位指導者のハサニ師は18日、「国連安全保障理事会で決議をつくり、法王を裁判にかけるべきだ」と述べた。南部バスラでは同日、抗議デモが行われた。 』
ローマ法王の発言はイスラム教世界に対する挑発と受け取られたようだ.キリスト教的世界観からムハンマドを批判するのでは,たしかにブッシュ大統領のイラクへの攻撃と同じようにとられるのも仕方がないことだろう.不用意な発言でテロリストに攻撃の口実を与えたのでは無意味などころかマイナスである.本当に平和を望むならさっさと発言を取り消し謝罪するべきだろう.
宗教を信じることは人間の一つの特性であり,生活の規範を宗教に求めるのも勝手だが,一つの価値観にすぎない信仰を理由に他人を害する事はいかなる場合も許されるはずがないだろう.キリスト教徒にしても,イスラム教徒にしてもすぐにそれぞれの神を口にするが,この有史以来続く長い宗教的対立の究極にあるものは人類の破滅ということに今すぐに気がつくべきではないだろうか.
新しいローマ法王はドイツ人だそうだが,ドイツといえば同じ十字でもハーケンクロイツを連想してしまう.イスラエル,米国は対アラブの当事者であるが,イタリアが巻き込まれたとなれば,日本にもまた飛び火してくるかも知れないと心配になるのは私だけだろうか.
ローマ法王ベネディクト16世がイスラム教の聖戦(ジハード)を批判したととれる発言をしたことに対し、イラクのイスラム教スンニ派の過激派組織が次々と非難と攻撃予告の声明を出している。19日には「イラク・イスラム軍」の名義で「イタリア大使館を攻撃する」との声明が出た。シーア派の宗教指導者らも批判を続けており、17日に法王が釈明した後も反発は止まっていない。
インターネットに掲載されたイラク・イスラム軍を名乗る声明は「バチカンは米同時多発テロ5周年を機に預言者を侮辱した。デンマークの新聞と同じだ」として、今年初めの預言者ムハンマドの風刺画問題に絡めて批判。「19日にイタリア大使館を攻撃する。イラクにいるキリスト教徒兵(欧米からの派遣部隊)殺害を続ける」と表明している。
イラク過激派の声明は確認されただけで5団体目。イラク・アルカイダ機構は17日付で「バチカンはブッシュが始めた新たなる十字軍の侵略を後押しした」などとして「ジハードの継続」を宣言した。
シーア派の宗教指導者も批判を続けている。ロイター通信によると、高位指導者のハサニ師は18日、「国連安全保障理事会で決議をつくり、法王を裁判にかけるべきだ」と述べた。南部バスラでは同日、抗議デモが行われた。 』
ローマ法王の発言はイスラム教世界に対する挑発と受け取られたようだ.キリスト教的世界観からムハンマドを批判するのでは,たしかにブッシュ大統領のイラクへの攻撃と同じようにとられるのも仕方がないことだろう.不用意な発言でテロリストに攻撃の口実を与えたのでは無意味などころかマイナスである.本当に平和を望むならさっさと発言を取り消し謝罪するべきだろう.
宗教を信じることは人間の一つの特性であり,生活の規範を宗教に求めるのも勝手だが,一つの価値観にすぎない信仰を理由に他人を害する事はいかなる場合も許されるはずがないだろう.キリスト教徒にしても,イスラム教徒にしてもすぐにそれぞれの神を口にするが,この有史以来続く長い宗教的対立の究極にあるものは人類の破滅ということに今すぐに気がつくべきではないだろうか.
新しいローマ法王はドイツ人だそうだが,ドイツといえば同じ十字でもハーケンクロイツを連想してしまう.イスラエル,米国は対アラブの当事者であるが,イタリアが巻き込まれたとなれば,日本にもまた飛び火してくるかも知れないと心配になるのは私だけだろうか.
知らない(変な?)名前ばかりです
2006年9月19日 医療の問題 コメント (4)『 -- ジェネリック医薬品、医師の7割が信頼性に「?」--
新薬の特許が切れた後に同じ成分で開発され、価格が安く抑えられた後発医薬品(ジェネリック医薬品)について、日本医師会は、医師の約7割が「使用に慎重あるいは懐疑的な意見を持っている」とする調査結果を発表した。日医は「現場での信頼性が確立されているとはいえない」として厚生労働省などに問題点を訴えていくという。
5月末から7月、ホームページを通じて後発品の品質や効果について会員の意見を募り、約580人から回答があった。
後発品の「効果」について尋ねたところ、有効回答154人のうち「問題なし」との答えが31%だったのに対し、「問題あり」は69%。「品質」(有効回答104人)についても54%が「問題あり」とした。「安定供給」(同89人)については7割が、副作用や安全などの「医薬品情報提供」(同116人)については8割が「問題あり」と答えた。
後発品は開発費がほとんどかからないため、価格は新薬の2〜7割。厚労省は医療費抑制のため利用促進を打ち出し、4月に規制が緩和され、市場参入が相次ぐなど使用が広がっている。 』
厚生労働省が利用促進し,効果も変わりないとメーカーが宣伝しているのだから,患者さんに希望されれば外来でも処方するしかない.第一,品質や副作用なんて外見ではわからないし,臨床試験のデータもないのだから評価のしようがないと思う.正直なところ何年も大量に使ってきた自分の経験も同等品とはいえ役立つのかどうかさえわからないのだ.
今や院外処方であるから外来処方をジェネリック医薬品に変更してもほとんど病院の利益にはならない.療養型病床などは定額なので高価な先発品を使うよりもジェネリック医薬品を使うほうが病院の収益は大きい.診療報酬は激減したので療養型病床のある病院はジェネリック医薬品を率先して導入しているはずである.おかげで処方箋に知らない名前ばかりが並んで担当医は苦労するだろう.
これからは患者さんが自分で治療を選択できる時代というわけである.格差社会では,お金に余裕のある人は先発のブランド品,コストパフォーマンスを追及する人はジェネリックという選択でいいんでしょうか.もっともそれもパフォーマンスが保証されていなければおかしな話になると思うのだが,本当はどうなのだろうか.
新薬の特許が切れた後に同じ成分で開発され、価格が安く抑えられた後発医薬品(ジェネリック医薬品)について、日本医師会は、医師の約7割が「使用に慎重あるいは懐疑的な意見を持っている」とする調査結果を発表した。日医は「現場での信頼性が確立されているとはいえない」として厚生労働省などに問題点を訴えていくという。
5月末から7月、ホームページを通じて後発品の品質や効果について会員の意見を募り、約580人から回答があった。
後発品の「効果」について尋ねたところ、有効回答154人のうち「問題なし」との答えが31%だったのに対し、「問題あり」は69%。「品質」(有効回答104人)についても54%が「問題あり」とした。「安定供給」(同89人)については7割が、副作用や安全などの「医薬品情報提供」(同116人)については8割が「問題あり」と答えた。
後発品は開発費がほとんどかからないため、価格は新薬の2〜7割。厚労省は医療費抑制のため利用促進を打ち出し、4月に規制が緩和され、市場参入が相次ぐなど使用が広がっている。 』
厚生労働省が利用促進し,効果も変わりないとメーカーが宣伝しているのだから,患者さんに希望されれば外来でも処方するしかない.第一,品質や副作用なんて外見ではわからないし,臨床試験のデータもないのだから評価のしようがないと思う.正直なところ何年も大量に使ってきた自分の経験も同等品とはいえ役立つのかどうかさえわからないのだ.
今や院外処方であるから外来処方をジェネリック医薬品に変更してもほとんど病院の利益にはならない.療養型病床などは定額なので高価な先発品を使うよりもジェネリック医薬品を使うほうが病院の収益は大きい.診療報酬は激減したので療養型病床のある病院はジェネリック医薬品を率先して導入しているはずである.おかげで処方箋に知らない名前ばかりが並んで担当医は苦労するだろう.
これからは患者さんが自分で治療を選択できる時代というわけである.格差社会では,お金に余裕のある人は先発のブランド品,コストパフォーマンスを追及する人はジェネリックという選択でいいんでしょうか.もっともそれもパフォーマンスが保証されていなければおかしな話になると思うのだが,本当はどうなのだろうか.
夜明けが遅くて平日の散歩はあきらめたが,休日はそれでも1時間ほどはまだできる.いつまで続けられるかわからないし,無理に続ける気もないが,たまにはいいシャッターチャンスに恵まれることもあるからやっぱり散歩写真はやめられない.
タイトルは写真の薔薇の名前です.秋なのに華やかな色だったので惹かれました.
タイトルは写真の薔薇の名前です.秋なのに華やかな色だったので惹かれました.
いい事も,いやな事も
2006年9月16日 こころの問題 コメント (2)『 -- 別居2カ月は修復可、5カ月で夫の声忘れる インコの妻 --
別居状態が2カ月なら夫婦関係は修復できるが、5カ月をすぎると妻は夫の声を聞いても素知らぬ顔??。一夫一妻制の鳥として知られるセキセイインコのメスは、意外にドライな性質であることが、日本女子大理学部(東京都文京区)の研究チームの実験で分かった。「死別した場合などに、昔の夫の記憶が残り続けると、次の繁殖の障害になるからではないか」と研究チームは推測している。21日から島根大学で始まる日本動物学会で発表する。
セキセイインコの妻、5カ月で夫の声忘れる
セキセイインコは1羽ごとに鳴き声のパターンが微妙に異なり、妻は自分の夫の声を聞き分けて鳴き返すことが知られている。
動物の記憶を研究テーマにしている日本女子大大学院生の兼定彩さん、宮本武典教授(行動神経科学)らの研究チームは、セキセイインコのカップル12組を引き離し、互いに鳴き声が聞こえないようにした。その上で、夫の声と別のオスの声を交互にスピーカーで妻に聞かせ、反応の違いを調べた。
その結果、引き離してから2カ月までは、妻が鳴き返した回数のうち夫に対する反応は7割を占めた。ところが、5カ月が経過すると、夫の声に対する反応も、別のオスの声に対する反応も、ともに5割程度と、違いがみられなくなった。これは、夫の声に対する記憶がなくなったことを示しているという。
宮本教授は「音声を学習する能力が高いオウム類やスズメ類、ハチドリ類などのメスも同様の性質をもつ可能性が高い」と話している。』
人間の場合はどうなんだろうか.人によっては認知症にでもならない限り一生忘れないような気がする.もう30年くらい会っていない高校の同級生の声でもちょっと考えると思い出せる.勿論,顔だって思い出せる.病気で高校時代に亡くなってしまった友人との会話さえ.
そうかと思うと,ほんの10年前にどんな毎日を送っていたかと思い出そうとしてもまったく記憶が無い部分もあるのに驚く.私の記憶力で人と違っている事は忘れようと思った事を記憶から消し去ることができることだ.だから,どうでもよいことや厭な記憶で憶えておきたくない事は気づくとその時期の記憶と一緒にきれいに消えているのである.何故なのかは自分でもわからない.
でも,厭な記憶でも憶えておきたいことはしっかり憶えている.まわりの状況まで克明に記憶する事も可能である.多くの場合,対人関係でつらい想いをした時のことは私の中でいわば人生の教訓として残しておきたいのだ.こうすることで,人から傷つけられるリスクを減らすことができる.自分にとって好ましくない人間はできるかぎり避けるのが一番である.この場合,失敗した経験は成功した経験より有用だと思う.
いい事は出来る限り記憶しておいたほうがいい.成功するイメージを持つ事は不安に打ち勝つ勇気を与えてくれる.私は,難しい手術をする時はいつも以前の成功した難しい手術のイメージを思い出すようにしている.注意深く手術する事と不安感を持つことは違う.いい思い出をたくさん持つ事は毎日をポジティブに生きるために大切なことである.
セキセイインコはそんなことを考えて忘れているとは思えないが,ひょっとすると人間の脳にも忘れる本能というものはあるのかもしれない.
別居状態が2カ月なら夫婦関係は修復できるが、5カ月をすぎると妻は夫の声を聞いても素知らぬ顔??。一夫一妻制の鳥として知られるセキセイインコのメスは、意外にドライな性質であることが、日本女子大理学部(東京都文京区)の研究チームの実験で分かった。「死別した場合などに、昔の夫の記憶が残り続けると、次の繁殖の障害になるからではないか」と研究チームは推測している。21日から島根大学で始まる日本動物学会で発表する。
セキセイインコの妻、5カ月で夫の声忘れる
セキセイインコは1羽ごとに鳴き声のパターンが微妙に異なり、妻は自分の夫の声を聞き分けて鳴き返すことが知られている。
動物の記憶を研究テーマにしている日本女子大大学院生の兼定彩さん、宮本武典教授(行動神経科学)らの研究チームは、セキセイインコのカップル12組を引き離し、互いに鳴き声が聞こえないようにした。その上で、夫の声と別のオスの声を交互にスピーカーで妻に聞かせ、反応の違いを調べた。
その結果、引き離してから2カ月までは、妻が鳴き返した回数のうち夫に対する反応は7割を占めた。ところが、5カ月が経過すると、夫の声に対する反応も、別のオスの声に対する反応も、ともに5割程度と、違いがみられなくなった。これは、夫の声に対する記憶がなくなったことを示しているという。
宮本教授は「音声を学習する能力が高いオウム類やスズメ類、ハチドリ類などのメスも同様の性質をもつ可能性が高い」と話している。』
人間の場合はどうなんだろうか.人によっては認知症にでもならない限り一生忘れないような気がする.もう30年くらい会っていない高校の同級生の声でもちょっと考えると思い出せる.勿論,顔だって思い出せる.病気で高校時代に亡くなってしまった友人との会話さえ.
そうかと思うと,ほんの10年前にどんな毎日を送っていたかと思い出そうとしてもまったく記憶が無い部分もあるのに驚く.私の記憶力で人と違っている事は忘れようと思った事を記憶から消し去ることができることだ.だから,どうでもよいことや厭な記憶で憶えておきたくない事は気づくとその時期の記憶と一緒にきれいに消えているのである.何故なのかは自分でもわからない.
でも,厭な記憶でも憶えておきたいことはしっかり憶えている.まわりの状況まで克明に記憶する事も可能である.多くの場合,対人関係でつらい想いをした時のことは私の中でいわば人生の教訓として残しておきたいのだ.こうすることで,人から傷つけられるリスクを減らすことができる.自分にとって好ましくない人間はできるかぎり避けるのが一番である.この場合,失敗した経験は成功した経験より有用だと思う.
いい事は出来る限り記憶しておいたほうがいい.成功するイメージを持つ事は不安に打ち勝つ勇気を与えてくれる.私は,難しい手術をする時はいつも以前の成功した難しい手術のイメージを思い出すようにしている.注意深く手術する事と不安感を持つことは違う.いい思い出をたくさん持つ事は毎日をポジティブに生きるために大切なことである.
セキセイインコはそんなことを考えて忘れているとは思えないが,ひょっとすると人間の脳にも忘れる本能というものはあるのかもしれない.
また今度,また明日,また来年
2006年9月15日 私の写真集 コメント (1)
もう夏の写真は撮れない.
どんなに夏が恋しくても来年までおあずけ.
ちょっと気になる風景があっても立ち止まれない.
生きるということはただ走り続けるだけのことなのだろうか.
もしそうだとしてもせめて自分の走った跡だけは残しておきたい.
そういうところから未練が生じて悩みが増えていくものなんだろうな.
どんなに夏が恋しくても来年までおあずけ.
ちょっと気になる風景があっても立ち止まれない.
生きるということはただ走り続けるだけのことなのだろうか.
もしそうだとしてもせめて自分の走った跡だけは残しておきたい.
そういうところから未練が生じて悩みが増えていくものなんだろうな.