パンダの消える動物園
2006年10月30日 医療の問題 コメント (3)『 周産期母子医療センター:厚労相「来年度中に整備」-衆院厚生労働委
大淀町立大淀病院に入院していた妊婦が、転院先の大阪府内の病院で出産後に死亡した問題で27日、民主党の柚木道義衆院議員が衆議院厚生労働委員会で質問。柳沢伯夫・厚労相が答弁した。主なやり取りは次の通り。
----今回の奈良の悲劇は、なぜ起こったのか。
◆担当医に過失があったかなかったか。答えを留保する。今後、総合周産期母子医療センターの整備などで再発防止に努めたい。
----センター整備は都道府県にまかせていると言いながら、厚労省はこの6月に未整備8県の担当者を呼んで指導したというではないか。奈良も含めいつまでにセンターを整備するつもりか?
◆来年度中に行う。
----大変重い答弁をいただいた。来年度というのは、計画か、実施か。
◆来年度中に実施し、動かすということ。
----大変前向きな答弁をいただいた。
警察が業務上過失かどうか捜査に入っている。先に福島県の産科医が逮捕された事例もあったが原因、責任について意見が分かれる件では、警察が追及するより専門家の機関が究明する方が重要。慎重であるべきでは。
◆より専門的・技術的な調査が大事と思う。国交省の航空・鉄道事故調査委員会のような体制が必要だ。時期としては、今年度中に試案を厚労省が出して来年度には有識者の意見を聞きたい。
----(搬送先が長時間決まらなかったのは)25日の毎日新聞夕刊にあるように、満床、分娩(べん)中、麻酔医不在などいくつか理由はある。奈良県のハイリスク分娩母体の県外搬送率は約40%と他のある県の4倍。これまでは全国有数とされる大阪府の産婦人科診療総合援助システムのおかげでやり繰りしてきた。それも限界。奈良と大阪について、一般の救急医療と母子医療センターをプラスした、県境を越えた医療網の構築を省としてもリードできないか。
◆府県がネットワークを組むことは非常に有意義。府県の話し合いが進むことが大事だが、厚労省としてもバックアップして参りたい。』
笛を吹くのは勝手だが,パンダのいない檻を整備したところで誰が芸をするのだろうか.一生懸命に自分のできる芸を見せたのに,芸が下手だと牢屋へ移されるようではパンダの絶滅は近いだろう.パンダを集約してセンターで芸をさせたところで,観客が増えてより芸への要求が厳しくなるのでは,たとえ餌が多少良くなったとしても状況が改善されるとは思えない.
今は奈良のパンダたちにばかり注目が集まっているが,他の地方で頑張っているパンダやヒグマやツキノワグマたちも芸の厳しさと観客のマナーにすでに嫌気がさしているのではないだろうか.議員様や大臣様が国会でなにを言うのも勝手だが,いくら芸達者なクマ達でも勝手な言い分に付き合う気がなければ逃散するだけだということを忘れないほうがいいだろう.
大淀町立大淀病院に入院していた妊婦が、転院先の大阪府内の病院で出産後に死亡した問題で27日、民主党の柚木道義衆院議員が衆議院厚生労働委員会で質問。柳沢伯夫・厚労相が答弁した。主なやり取りは次の通り。
----今回の奈良の悲劇は、なぜ起こったのか。
◆担当医に過失があったかなかったか。答えを留保する。今後、総合周産期母子医療センターの整備などで再発防止に努めたい。
----センター整備は都道府県にまかせていると言いながら、厚労省はこの6月に未整備8県の担当者を呼んで指導したというではないか。奈良も含めいつまでにセンターを整備するつもりか?
◆来年度中に行う。
----大変重い答弁をいただいた。来年度というのは、計画か、実施か。
◆来年度中に実施し、動かすということ。
----大変前向きな答弁をいただいた。
警察が業務上過失かどうか捜査に入っている。先に福島県の産科医が逮捕された事例もあったが原因、責任について意見が分かれる件では、警察が追及するより専門家の機関が究明する方が重要。慎重であるべきでは。
◆より専門的・技術的な調査が大事と思う。国交省の航空・鉄道事故調査委員会のような体制が必要だ。時期としては、今年度中に試案を厚労省が出して来年度には有識者の意見を聞きたい。
----(搬送先が長時間決まらなかったのは)25日の毎日新聞夕刊にあるように、満床、分娩(べん)中、麻酔医不在などいくつか理由はある。奈良県のハイリスク分娩母体の県外搬送率は約40%と他のある県の4倍。これまでは全国有数とされる大阪府の産婦人科診療総合援助システムのおかげでやり繰りしてきた。それも限界。奈良と大阪について、一般の救急医療と母子医療センターをプラスした、県境を越えた医療網の構築を省としてもリードできないか。
◆府県がネットワークを組むことは非常に有意義。府県の話し合いが進むことが大事だが、厚労省としてもバックアップして参りたい。』
笛を吹くのは勝手だが,パンダのいない檻を整備したところで誰が芸をするのだろうか.一生懸命に自分のできる芸を見せたのに,芸が下手だと牢屋へ移されるようではパンダの絶滅は近いだろう.パンダを集約してセンターで芸をさせたところで,観客が増えてより芸への要求が厳しくなるのでは,たとえ餌が多少良くなったとしても状況が改善されるとは思えない.
今は奈良のパンダたちにばかり注目が集まっているが,他の地方で頑張っているパンダやヒグマやツキノワグマたちも芸の厳しさと観客のマナーにすでに嫌気がさしているのではないだろうか.議員様や大臣様が国会でなにを言うのも勝手だが,いくら芸達者なクマ達でも勝手な言い分に付き合う気がなければ逃散するだけだということを忘れないほうがいいだろう.
どう説明しても損害賠償じゃないの
2006年10月27日 医療の問題 コメント (1)『 -- 防衛医大医療過誤、遺族敗訴を破棄 最高裁 --
元立正大教授の男性(当時61)が防衛医大病院(埼玉県)で脳の手術を受けた後に死亡したことを巡り、「医師の説明義務違反があった」などとして、遺族が国を相手に約9600万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が27日、あった。最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は「どの術式を受けるか、あるいは手術を受けずに様子を見るか、患者が熟慮の上判断できるようにわかりやすく説明する義務を尽くさなかった」として、遺族を敗訴させた二審・東京高裁判決を破棄。説明内容についての事実関係の審理を尽くすよう、同高裁に差し戻した。
判決によると、元教授は95年12月、同病院で破裂していない脳動脈瘤(りゅう)があると診断された。翌年2月にプラチナ製の形状記憶合金(コイル)で動脈瘤に血が入らないようにふさぐ手術を受けたが、コイルが動脈内に流れ出し、開頭手術でも取り除けず、およそ半月後に死亡した。
脳動脈瘤は放置しても6割は破裂しないとされ、今回の手術は緊急性のない予防的なものだった。同小法廷は「コイル塞栓(そくせん)術は脳梗塞(こうそく)を発生させるなどの危険があり、こうした医学的知見について説明すべきだった」と述べた。』
「脳動脈瘤は放置しても6割は破裂しない」と最高裁が認定したのかどうかはわからないが,「コイル塞栓(そくせん)術は脳梗塞(こうそく)を発生させるなどの危険があり、こうした医学的知見について説明すべきだった」とあるのは,防衛医大病院ではそれさえも説明しなかったということなのだろうか.医療事故関係のニュースではいつものことだがよくわからない点が多い.
未破裂脳動脈瘤が脳ドックなどで見つかったら,予防的治療をするのかしないかの2つに1つである.そして,手術には開頭術と血管内手術があるが,必ずしもどちらでも好きなほうでというものでもない.動脈瘤の部位や形状によって安全性には差があると考えられるのだが,たとえより安全な方を選んだとしても1%程度のリスクは残ると考えるべきだろう.
手術だからではなく,世の中に100%安全なんていうものはないと考えるのがあたりまえだと思うからである.未破裂動脈瘤について言えば,手術をしなくても破裂すれば50%くらいの確率で死亡するし,開頭術でもコイル塞栓術でも死亡するリスクは0ではないから,当事者になれば死亡率は100%である.問題は自分がその当事者になるかどうかであって,全体に対する発生確率を考えても自分のことはわからないということである.
脳外科医の立場で言えば,手術のリスクはある程度までは自分の腕でコントロール可能であるが,不測の事態は常に起こり得るわけで外科医であればそれは職業上のリスクであり避けることはできない.最近では,手術の結果が悪ければ訴訟になる確率は以前より高くなったと思われる,それも民事訴訟ならまだしも刑事訴訟ではどうにも対処のしようもない.
民事訴訟に巻き込まれないためにできることと言えば,手術の前に説明と同意に十分な時間をかけるというのはもちろん大切だろうが,話をしながら家族の様子を伺うことも重要だろう.以前にも書いたが,先生と呼ばれる職業の人たちは要注意である.この場合,それでも医師であれば手術のリスクを理解してもらえる可能性は高いだろうが,それ以外の職種では「先生におまかせします.」といいながらも結果に対する期待値が高すぎて結果に不満が出ることもあるだろうから,こういう患者や家族に対しては普段にもまして慎重な対応が必要だろう.
結局,医師がいくら十分に説明したつもりであっても,相手がそれをどのように理解したかが問題で,それを事前に正確に把握する手だてはない.手術の際に不測の事態が起きることが理解されないまま不満足な結果に終われば,「そんな説明は聞いていない」「そんなことが起きるとは思わなかった」となり損害賠償請求のリスクは避けられないのではないのだろうか.
こう考えてみると,無過失責任保険のような救済制度は産科だけでなく,すべての外科手術に必要だということになると思われる,現在は,まだそこまで議論にもなっていないし,それも医師や病院側で準備するような話になっているようだが,本来であれば手術で救われる患者側もまさかの時のために相応の負担をするべきではないかと思うのは私だけだろうか.
元立正大教授の男性(当時61)が防衛医大病院(埼玉県)で脳の手術を受けた後に死亡したことを巡り、「医師の説明義務違反があった」などとして、遺族が国を相手に約9600万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が27日、あった。最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は「どの術式を受けるか、あるいは手術を受けずに様子を見るか、患者が熟慮の上判断できるようにわかりやすく説明する義務を尽くさなかった」として、遺族を敗訴させた二審・東京高裁判決を破棄。説明内容についての事実関係の審理を尽くすよう、同高裁に差し戻した。
判決によると、元教授は95年12月、同病院で破裂していない脳動脈瘤(りゅう)があると診断された。翌年2月にプラチナ製の形状記憶合金(コイル)で動脈瘤に血が入らないようにふさぐ手術を受けたが、コイルが動脈内に流れ出し、開頭手術でも取り除けず、およそ半月後に死亡した。
脳動脈瘤は放置しても6割は破裂しないとされ、今回の手術は緊急性のない予防的なものだった。同小法廷は「コイル塞栓(そくせん)術は脳梗塞(こうそく)を発生させるなどの危険があり、こうした医学的知見について説明すべきだった」と述べた。』
「脳動脈瘤は放置しても6割は破裂しない」と最高裁が認定したのかどうかはわからないが,「コイル塞栓(そくせん)術は脳梗塞(こうそく)を発生させるなどの危険があり、こうした医学的知見について説明すべきだった」とあるのは,防衛医大病院ではそれさえも説明しなかったということなのだろうか.医療事故関係のニュースではいつものことだがよくわからない点が多い.
未破裂脳動脈瘤が脳ドックなどで見つかったら,予防的治療をするのかしないかの2つに1つである.そして,手術には開頭術と血管内手術があるが,必ずしもどちらでも好きなほうでというものでもない.動脈瘤の部位や形状によって安全性には差があると考えられるのだが,たとえより安全な方を選んだとしても1%程度のリスクは残ると考えるべきだろう.
手術だからではなく,世の中に100%安全なんていうものはないと考えるのがあたりまえだと思うからである.未破裂動脈瘤について言えば,手術をしなくても破裂すれば50%くらいの確率で死亡するし,開頭術でもコイル塞栓術でも死亡するリスクは0ではないから,当事者になれば死亡率は100%である.問題は自分がその当事者になるかどうかであって,全体に対する発生確率を考えても自分のことはわからないということである.
脳外科医の立場で言えば,手術のリスクはある程度までは自分の腕でコントロール可能であるが,不測の事態は常に起こり得るわけで外科医であればそれは職業上のリスクであり避けることはできない.最近では,手術の結果が悪ければ訴訟になる確率は以前より高くなったと思われる,それも民事訴訟ならまだしも刑事訴訟ではどうにも対処のしようもない.
民事訴訟に巻き込まれないためにできることと言えば,手術の前に説明と同意に十分な時間をかけるというのはもちろん大切だろうが,話をしながら家族の様子を伺うことも重要だろう.以前にも書いたが,先生と呼ばれる職業の人たちは要注意である.この場合,それでも医師であれば手術のリスクを理解してもらえる可能性は高いだろうが,それ以外の職種では「先生におまかせします.」といいながらも結果に対する期待値が高すぎて結果に不満が出ることもあるだろうから,こういう患者や家族に対しては普段にもまして慎重な対応が必要だろう.
結局,医師がいくら十分に説明したつもりであっても,相手がそれをどのように理解したかが問題で,それを事前に正確に把握する手だてはない.手術の際に不測の事態が起きることが理解されないまま不満足な結果に終われば,「そんな説明は聞いていない」「そんなことが起きるとは思わなかった」となり損害賠償請求のリスクは避けられないのではないのだろうか.
こう考えてみると,無過失責任保険のような救済制度は産科だけでなく,すべての外科手術に必要だということになると思われる,現在は,まだそこまで議論にもなっていないし,それも医師や病院側で準備するような話になっているようだが,本来であれば手術で救われる患者側もまさかの時のために相応の負担をするべきではないかと思うのは私だけだろうか.
頑張ってればいいことあるさ
2006年10月27日 私の写真集 コメント (2)
日本ハム優勝やりましたね.
新庄選手の笑顔も泣き顔も素敵でした.
広い野原に霜が降りていたので,寒いなあと思いながら景色を眺めていたら,後ろでコンコンコンという音がしました.
林の中でエゾアカゲラが朝食を採っていました.
皆さま,今週もご苦労様でした.
週末はやはり峠では雪が降るみたいです.
峠越え予定の方は車の冬装備をお忘れなく.
新庄選手の笑顔も泣き顔も素敵でした.
広い野原に霜が降りていたので,寒いなあと思いながら景色を眺めていたら,後ろでコンコンコンという音がしました.
林の中でエゾアカゲラが朝食を採っていました.
皆さま,今週もご苦労様でした.
週末はやはり峠では雪が降るみたいです.
峠越え予定の方は車の冬装備をお忘れなく.
『 -- 鈴花ちゃん入園拒否、市の処分取り消す 東京地裁判決 --
息を吸う時に気管がふさがる障害があり、定期的に吸引器で痰(たん)を吸い出すことが必要な東京都東大和市の青木鈴花ちゃん(6)と両親が、保育園への受け入れを拒否した東大和市に入園を認めるよう求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。杉原則彦裁判長は鈴花ちゃんの身体や精神の状態について、「障害のない児童と同じと見ることができ、保育は可能」と判断。市の処分は裁量権を逸脱し違法として取り消し、入園の承諾を義務づけた。
鈴花ちゃんは現在、入園の承諾を仮に市に義務づけた1月の東京地裁決定を受け、市内の保育園に通っている。しかし、市が「痰の吸引は医療行為にあたり、対応できない」との方針を改めず、訴訟が継続していた。
杉原裁判長は「市町村には児童が心身ともに健やかに育成する上で真にふさわしい保育を行う責務がある」とし、「障害者だからといって一律に保育を認めないことは許されない」と述べた。
判決後、鈴花ちゃんは父親の繁宜(しげよし)さん(41)に「(保育園に)行っていいんだよね」と話しかけた。来春からは小学生。記者会見では「これからがんばって小学校に行きます」と笑顔を見せた。繁宜さんは「これで仮の入園から、本当に入園を認めていただけると思っている」と語った。
東大和市の尾又正則市長は「判決内容を厳粛に受け止め、原告のお子さんについては現在の保育園で責任を持って対応します。控訴はしません」とのコメントを出した。』
昨夜のプロ野球日本シリーズの試合は接戦でたいへん面白かった.日本ハムのにわかファンになった私も夏の甲子園以来のテレビ観戦で十分に楽しませてもらったが,それ以上に感動したのが試合の途中でやっていたこのニュースである.
この裁判については以前から知っていたけれど,鈴花ちゃんの声を聞いたのは今回が初めてだった.気管カニューレからもれる息を交えながら,低くて小さい声だったけれど,「これからがんばって小学校に行きます」としっかり自分の言いたいことを言う姿に感動しました.まわりの人たちの力もあるのだろうけど,病気を克服してのあの笑顔には感心させられました.
最近のニュースを見ていると鈴花ちゃんより年上なのに情けない人ばかりで,日本全体がおかしくなったように錯覚しそうになるのだけれど,鈴花ちゃんを見て自分ももっと頑張ろうと思った人もきっと多いことと思います.彼女のおかげで,ああいう笑顔がもっと増え,そして絶えることのないように医療関係者や教育関係者はもっともっと頑張らなくてはならないと私も素直に思うことができました.
息を吸う時に気管がふさがる障害があり、定期的に吸引器で痰(たん)を吸い出すことが必要な東京都東大和市の青木鈴花ちゃん(6)と両親が、保育園への受け入れを拒否した東大和市に入園を認めるよう求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。杉原則彦裁判長は鈴花ちゃんの身体や精神の状態について、「障害のない児童と同じと見ることができ、保育は可能」と判断。市の処分は裁量権を逸脱し違法として取り消し、入園の承諾を義務づけた。
鈴花ちゃんは現在、入園の承諾を仮に市に義務づけた1月の東京地裁決定を受け、市内の保育園に通っている。しかし、市が「痰の吸引は医療行為にあたり、対応できない」との方針を改めず、訴訟が継続していた。
杉原裁判長は「市町村には児童が心身ともに健やかに育成する上で真にふさわしい保育を行う責務がある」とし、「障害者だからといって一律に保育を認めないことは許されない」と述べた。
判決後、鈴花ちゃんは父親の繁宜(しげよし)さん(41)に「(保育園に)行っていいんだよね」と話しかけた。来春からは小学生。記者会見では「これからがんばって小学校に行きます」と笑顔を見せた。繁宜さんは「これで仮の入園から、本当に入園を認めていただけると思っている」と語った。
東大和市の尾又正則市長は「判決内容を厳粛に受け止め、原告のお子さんについては現在の保育園で責任を持って対応します。控訴はしません」とのコメントを出した。』
昨夜のプロ野球日本シリーズの試合は接戦でたいへん面白かった.日本ハムのにわかファンになった私も夏の甲子園以来のテレビ観戦で十分に楽しませてもらったが,それ以上に感動したのが試合の途中でやっていたこのニュースである.
この裁判については以前から知っていたけれど,鈴花ちゃんの声を聞いたのは今回が初めてだった.気管カニューレからもれる息を交えながら,低くて小さい声だったけれど,「これからがんばって小学校に行きます」としっかり自分の言いたいことを言う姿に感動しました.まわりの人たちの力もあるのだろうけど,病気を克服してのあの笑顔には感心させられました.
最近のニュースを見ていると鈴花ちゃんより年上なのに情けない人ばかりで,日本全体がおかしくなったように錯覚しそうになるのだけれど,鈴花ちゃんを見て自分ももっと頑張ろうと思った人もきっと多いことと思います.彼女のおかげで,ああいう笑顔がもっと増え,そして絶えることのないように医療関係者や教育関係者はもっともっと頑張らなくてはならないと私も素直に思うことができました.
個人の嗜好なら他人に害を及ぼすな
2006年10月24日 社会の問題 コメント (4)☆☆☆ 気がつけば260000ヒット.毎度ありがとうございます! ☆☆☆
『 -- 喫煙率数値目標にJT反発 「個人の嗜好に介入」 厚労省 設定に --
厚生労働省が目指す喫煙率削減の数値目標導入に、日本たばこ産業(JT)が反発している。厚労省が3つの数値案を示したことに対し、JTは20日、記者会見し「個人の嗜好(しこう)に行政が数値を示して介入するのは行き過ぎた規制だ」と反対を表明した。
数値目標は、厚労省が2000年に長期計画「健康日本21」を策定した際にも、たばこ業界などの反対で見送られた経緯がある。同省は来月にも開く厚生科学審議会の部会で専門家らの意見を聞き一案に絞り込みたい考えで、"再挑戦"は年末にかけ正念場を迎える。
厚労省によると、04年の喫煙率は成人男性43・3%、成人女性12・0%。男性は先進国の中で最も高い部類で、女性は低いが20-30代で増加傾向にある。
同省の示した3案は、喫煙率を10年度までに(1)1997年の喫煙率の約半分に当たる「男性25%、女性5%」(2)やめたい人が全員禁煙に成功した場合を想定した「男性30%、女性10%」(3)やめたい人の一部が禁煙に成功した場合の「男性35%、女性10%」-以下にするとの内容。
2005年2月には「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効。国内では国に先行して18府県が既に数値目標を導入しており、厚労省は好機と判断した。
これまでに厚労省には計570件の意見が寄せられ、賛成は305件。最も厳しい「男性25%、女性5%」が205件の支持を集めた。反対は265件で「喫煙するか、しないかは本人の自由」「分煙も進み、年々喫煙率は減少しているので目標値は必要ない」などの意見があった。
JTは「肺がんのリスク要因はほかにもいろいろあるのに、たばこだけを厳しく規制するのはバランスを欠く」と主張。「数値を達成するために、増税もされかねない」と警戒している。』
健康に明らかに害のある物質を排除するのは当然のことだ.非喫煙者に迷惑をかけないのなら個人の嗜好というのも結構だが,喫煙が健康に悪い事が明らかで,受動喫煙により非喫煙者の健康を害するだけでなく,健康保険制度上の不平等を招いているとしたらどうだろうか.
「肺がんのリスク要因はほかにもいろいろある」などというのは,子供じみた言い訳にすぎない.生活必需品であれば多少のリスクは受け入れなければならないこともあるだろうが,煙草はそうではない.人体に有害な嗜好品を販売したという視点でみれば,増税どころか,国民の健康被害による損失分をJTが補填する責任さえあるのではないだろうか.
『 -- 喫煙率数値目標にJT反発 「個人の嗜好に介入」 厚労省 設定に --
厚生労働省が目指す喫煙率削減の数値目標導入に、日本たばこ産業(JT)が反発している。厚労省が3つの数値案を示したことに対し、JTは20日、記者会見し「個人の嗜好(しこう)に行政が数値を示して介入するのは行き過ぎた規制だ」と反対を表明した。
数値目標は、厚労省が2000年に長期計画「健康日本21」を策定した際にも、たばこ業界などの反対で見送られた経緯がある。同省は来月にも開く厚生科学審議会の部会で専門家らの意見を聞き一案に絞り込みたい考えで、"再挑戦"は年末にかけ正念場を迎える。
厚労省によると、04年の喫煙率は成人男性43・3%、成人女性12・0%。男性は先進国の中で最も高い部類で、女性は低いが20-30代で増加傾向にある。
同省の示した3案は、喫煙率を10年度までに(1)1997年の喫煙率の約半分に当たる「男性25%、女性5%」(2)やめたい人が全員禁煙に成功した場合を想定した「男性30%、女性10%」(3)やめたい人の一部が禁煙に成功した場合の「男性35%、女性10%」-以下にするとの内容。
2005年2月には「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効。国内では国に先行して18府県が既に数値目標を導入しており、厚労省は好機と判断した。
これまでに厚労省には計570件の意見が寄せられ、賛成は305件。最も厳しい「男性25%、女性5%」が205件の支持を集めた。反対は265件で「喫煙するか、しないかは本人の自由」「分煙も進み、年々喫煙率は減少しているので目標値は必要ない」などの意見があった。
JTは「肺がんのリスク要因はほかにもいろいろあるのに、たばこだけを厳しく規制するのはバランスを欠く」と主張。「数値を達成するために、増税もされかねない」と警戒している。』
健康に明らかに害のある物質を排除するのは当然のことだ.非喫煙者に迷惑をかけないのなら個人の嗜好というのも結構だが,喫煙が健康に悪い事が明らかで,受動喫煙により非喫煙者の健康を害するだけでなく,健康保険制度上の不平等を招いているとしたらどうだろうか.
「肺がんのリスク要因はほかにもいろいろある」などというのは,子供じみた言い訳にすぎない.生活必需品であれば多少のリスクは受け入れなければならないこともあるだろうが,煙草はそうではない.人体に有害な嗜好品を販売したという視点でみれば,増税どころか,国民の健康被害による損失分をJTが補填する責任さえあるのではないだろうか.
『 -- <ゲド戦記>挿入歌の歌詞が朔太郎の詩と酷似 --
ヒット中のアニメ映画「ゲド戦記」の挿入歌「テルーの唄(うた)」の歌詞が萩原朔太郎(1886〜1942)の詩「こころ」と酷似している――。現代詩作家の荒川洋治さん(57)が月刊誌「諸君!」11月号で告発し、波紋を広げている。
「テルーの唄」は「ゲド戦記」監督の宮崎吾朗さん(39)の作詞。一方、萩原朔太郎は大正・昭和期を代表する詩人。詩集「月に吠える」や「青猫」で知られ、「こころ」は25年刊行の「純情小曲集」に収められた。
両者の類似部分を荒川さんは列挙する(こころ、テルーの唄の順)。「こころをばなににたとへん」/「心を何にたとえよう」▽「音なき音のあゆむひびきに」/「音も途絶えた風の中」▽「たえて物言ふことなければ」/「絶えて物言うこともなく」――など。
荒川さんは「道行くふたりという人物設定、状況、空気、語調は、たいへんにている。構成もにている」と指摘する。
荒川さんは、宮崎さんがインタビューで朔太郎の詩を参考にしたことを明らかにしていることや、「ゲド戦記」の公式サイトでも「こころ」を「参考資料」として掲げていることを認めた上で、「問題がある」と批判。「『作詞・宮崎吾朗』とすることに、少しのためらいも感じなかったのだろうか。ここは『原詩・萩原朔太郎 編詞・宮崎吾朗』とでもするべきではないか」と主張する。
荒川さんの主張に対し、映画を製作したスタジオジブリは「一切ノーコメント」としている。
著作権問題に詳しい日本文芸家協会副理事長、三田誠広さんの話 表現を微妙に変えていて、「こころ」の盗作とは言い難い。しかし、朔太郎の詩がなければこの歌詞が書けないことは明らか。モラルの問題として、朔太郎への感謝の言葉を入れるべきだ。ネットなどには出ているというが、シングルCDの購入者には分からない。先行する芸術への尊敬の気持ちが欠けている。』
「ゲド戦記」の予告編を映画館で見た時に,アニメの雰囲気は「もののけ姫」みたいだなと思い,なんとなくどこかで見た事があるような感じがするのはそのせいだと思っていたが,歌にもオリジナリティーが無かったということだったわけだ.
見るほうは楽しければそれでいいという人がほとんどだろうが,創る人がこれでは芸術にならない.「トトロ」の時に宮崎駿さんの人と自然の関わり合いの話を聞いて感心したのだが,宮崎吾朗さんにはアーチストの心というものが少ないのだろうか.
なんとなく観たいという気が起きなくて,その後は気にしていなかったのだけれど,「風の谷のナウシカ」なら熱心に何度も繰り返し観ていた娘が映画館に観に行きたいとも言わなかったのも,子供ながらに何かを感じたからなのかもしれないと思いました.
ヒット中のアニメ映画「ゲド戦記」の挿入歌「テルーの唄(うた)」の歌詞が萩原朔太郎(1886〜1942)の詩「こころ」と酷似している――。現代詩作家の荒川洋治さん(57)が月刊誌「諸君!」11月号で告発し、波紋を広げている。
「テルーの唄」は「ゲド戦記」監督の宮崎吾朗さん(39)の作詞。一方、萩原朔太郎は大正・昭和期を代表する詩人。詩集「月に吠える」や「青猫」で知られ、「こころ」は25年刊行の「純情小曲集」に収められた。
両者の類似部分を荒川さんは列挙する(こころ、テルーの唄の順)。「こころをばなににたとへん」/「心を何にたとえよう」▽「音なき音のあゆむひびきに」/「音も途絶えた風の中」▽「たえて物言ふことなければ」/「絶えて物言うこともなく」――など。
荒川さんは「道行くふたりという人物設定、状況、空気、語調は、たいへんにている。構成もにている」と指摘する。
荒川さんは、宮崎さんがインタビューで朔太郎の詩を参考にしたことを明らかにしていることや、「ゲド戦記」の公式サイトでも「こころ」を「参考資料」として掲げていることを認めた上で、「問題がある」と批判。「『作詞・宮崎吾朗』とすることに、少しのためらいも感じなかったのだろうか。ここは『原詩・萩原朔太郎 編詞・宮崎吾朗』とでもするべきではないか」と主張する。
荒川さんの主張に対し、映画を製作したスタジオジブリは「一切ノーコメント」としている。
著作権問題に詳しい日本文芸家協会副理事長、三田誠広さんの話 表現を微妙に変えていて、「こころ」の盗作とは言い難い。しかし、朔太郎の詩がなければこの歌詞が書けないことは明らか。モラルの問題として、朔太郎への感謝の言葉を入れるべきだ。ネットなどには出ているというが、シングルCDの購入者には分からない。先行する芸術への尊敬の気持ちが欠けている。』
「ゲド戦記」の予告編を映画館で見た時に,アニメの雰囲気は「もののけ姫」みたいだなと思い,なんとなくどこかで見た事があるような感じがするのはそのせいだと思っていたが,歌にもオリジナリティーが無かったということだったわけだ.
見るほうは楽しければそれでいいという人がほとんどだろうが,創る人がこれでは芸術にならない.「トトロ」の時に宮崎駿さんの人と自然の関わり合いの話を聞いて感心したのだが,宮崎吾朗さんにはアーチストの心というものが少ないのだろうか.
なんとなく観たいという気が起きなくて,その後は気にしていなかったのだけれど,「風の谷のナウシカ」なら熱心に何度も繰り返し観ていた娘が映画館に観に行きたいとも言わなかったのも,子供ながらに何かを感じたからなのかもしれないと思いました.
記事の出来次第で見えてくるものもある
2006年10月17日 医療の問題 コメント (6)『 -- 分べん中意識不明 18病院が受け入れ拒否…出産…死亡 --
奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、分べん中に意識不明に陥った妊婦に対し、受け入れを打診された18病院が拒否し、妊婦は6時間後にようやく約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に収容されたことが分かった。脳内出血と帝王切開の手術をほぼ同時に受け男児を出産したが、妊婦は約1週間後に死亡した。遺族は「意識不明になってから長時間放置され、死亡につながった」と態勢の不備や病院の対応を批判。大淀病院側は「できるだけのことはやった」としている。
妊婦は同県五条市に住んでいた高崎実香さん(32)。遺族や病院関係者によると、出産予定日を過ぎた妊娠41週の8月7日午前、大淀病院に入院した。8日午前0時ごろ、頭痛を訴えて約15分後に意識不明に陥った。
産科担当医は急変から約1時間45分後、同県内で危険度の高い母子の治療や搬送先を照会する拠点の同県立医科大学付属病院(橿原市)に受け入れを打診したが、同病院は「母体治療のベッドが満床」と断った。
その後、同病院産科当直医が午前2時半ごろ、もう一つの拠点施設である県立奈良病院(奈良市)に受け入れを要請。しかし奈良病院も新生児の集中治療病床の満床を理由に、応じなかった。
医大病院は、当直医4人のうち2人が通常勤務をしながら大阪府を中心に電話で搬送先を探したがなかなか決まらず、午前4時半ごろになって19カ所目の国立循環器病センターに決まったという。高崎さんは約1時間かけて救急車で運ばれ、同センターに午前6時ごろ到着。同センターで脳内出血と診断され、緊急手術と帝王切開を実施、男児を出産した。高崎さんは同月16日に死亡した。
大淀病院はこれまでに2度、高崎さんの遺族に状況を説明した。それによると、産科担当医は入院後に陣痛促進剤を投与。容体急変の後、妊娠中毒症の妊婦が分べん中にけいれんを起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、けいれんを和らげる薬を投与した。この日当直の内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、CT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け入れなかったという。
緊急治療が必要な母子について、厚生労働省は来年度中に都道府県単位で総合周産期母子医療センターを指定するよう通知したが、奈良など8県が未整備で、母体の県外搬送が常態化している。
大淀病院の原育史院長は「脳内出血の疑いも検討したが、もし出血が判明してもうちでは対応しようがなく、診断と治療を対応可能な病院に依頼して、受け入れ連絡を待っていた」と話した。
一方、高崎さんの遺族は「大淀病院は、総合病院として脳外科を備えながら専門医に連絡すら取っていない。適切な処置ができていれば助かったはずだ」と話している。』
他のニュースでは「18病院が転送拒否」というところばかりが強調されているので,「産婦人科は基幹病院に出産が集中したせいでどこも満床になって受け入れ不能になり,こういう不幸な出来事も起きうるのか」などと思っていたら,このニュースを読んでびっくり.
ここまで詳しく報道されると,転送拒否される以前に大淀病院側が「できるだけのことはやった」というには,問題があることが見えくる.当直の内科医の指摘を受け入れて頭部CTを産科医が撮っていれば,脳出血の診断がついていたはずであることが悔やまれる.
脳神経外科を標榜して脳神経外科専門医もいる病院であれば,より正確な状況判断がくだせたであろうこと,そして,その情報を家族に知らせた上で,治療方針を説明し転送するかどうかを決定する機会があったこと,脳出血の合併が明らかであれば転送先もより早く絞り込めて最悪でももっと早く国立循環器病センターに収容された可能性があったことなどである.
もっとも,妊婦の脳出血の場合は妊娠中毒症によるものと同じくらい脳動脈瘤破裂のことが多いと言われているから救命できたかどうかはわからないのではあるが,遺族が病院側の説明に対して「大淀病院は、総合病院として脳外科を備えながら専門医に連絡すら取っていない。適切な処置ができていれば助かったはずだ」と言いたくなる気持ちは理解できる.
あやうく私も「18病院転送拒否」というセンセーショナルなタイトルに何も知らずに勝手に納得してしまうところであった.マスコミの言うことを鵜呑みにしてはいけないといつも思っていたはずなのに知らないうちに違う方向へ誘導されてしまいそうになるとは,恐ろしいことだ.
奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、分べん中に意識不明に陥った妊婦に対し、受け入れを打診された18病院が拒否し、妊婦は6時間後にようやく約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に収容されたことが分かった。脳内出血と帝王切開の手術をほぼ同時に受け男児を出産したが、妊婦は約1週間後に死亡した。遺族は「意識不明になってから長時間放置され、死亡につながった」と態勢の不備や病院の対応を批判。大淀病院側は「できるだけのことはやった」としている。
妊婦は同県五条市に住んでいた高崎実香さん(32)。遺族や病院関係者によると、出産予定日を過ぎた妊娠41週の8月7日午前、大淀病院に入院した。8日午前0時ごろ、頭痛を訴えて約15分後に意識不明に陥った。
産科担当医は急変から約1時間45分後、同県内で危険度の高い母子の治療や搬送先を照会する拠点の同県立医科大学付属病院(橿原市)に受け入れを打診したが、同病院は「母体治療のベッドが満床」と断った。
その後、同病院産科当直医が午前2時半ごろ、もう一つの拠点施設である県立奈良病院(奈良市)に受け入れを要請。しかし奈良病院も新生児の集中治療病床の満床を理由に、応じなかった。
医大病院は、当直医4人のうち2人が通常勤務をしながら大阪府を中心に電話で搬送先を探したがなかなか決まらず、午前4時半ごろになって19カ所目の国立循環器病センターに決まったという。高崎さんは約1時間かけて救急車で運ばれ、同センターに午前6時ごろ到着。同センターで脳内出血と診断され、緊急手術と帝王切開を実施、男児を出産した。高崎さんは同月16日に死亡した。
大淀病院はこれまでに2度、高崎さんの遺族に状況を説明した。それによると、産科担当医は入院後に陣痛促進剤を投与。容体急変の後、妊娠中毒症の妊婦が分べん中にけいれんを起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、けいれんを和らげる薬を投与した。この日当直の内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、CT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け入れなかったという。
緊急治療が必要な母子について、厚生労働省は来年度中に都道府県単位で総合周産期母子医療センターを指定するよう通知したが、奈良など8県が未整備で、母体の県外搬送が常態化している。
大淀病院の原育史院長は「脳内出血の疑いも検討したが、もし出血が判明してもうちでは対応しようがなく、診断と治療を対応可能な病院に依頼して、受け入れ連絡を待っていた」と話した。
一方、高崎さんの遺族は「大淀病院は、総合病院として脳外科を備えながら専門医に連絡すら取っていない。適切な処置ができていれば助かったはずだ」と話している。』
他のニュースでは「18病院が転送拒否」というところばかりが強調されているので,「産婦人科は基幹病院に出産が集中したせいでどこも満床になって受け入れ不能になり,こういう不幸な出来事も起きうるのか」などと思っていたら,このニュースを読んでびっくり.
ここまで詳しく報道されると,転送拒否される以前に大淀病院側が「できるだけのことはやった」というには,問題があることが見えくる.当直の内科医の指摘を受け入れて頭部CTを産科医が撮っていれば,脳出血の診断がついていたはずであることが悔やまれる.
脳神経外科を標榜して脳神経外科専門医もいる病院であれば,より正確な状況判断がくだせたであろうこと,そして,その情報を家族に知らせた上で,治療方針を説明し転送するかどうかを決定する機会があったこと,脳出血の合併が明らかであれば転送先もより早く絞り込めて最悪でももっと早く国立循環器病センターに収容された可能性があったことなどである.
もっとも,妊婦の脳出血の場合は妊娠中毒症によるものと同じくらい脳動脈瘤破裂のことが多いと言われているから救命できたかどうかはわからないのではあるが,遺族が病院側の説明に対して「大淀病院は、総合病院として脳外科を備えながら専門医に連絡すら取っていない。適切な処置ができていれば助かったはずだ」と言いたくなる気持ちは理解できる.
あやうく私も「18病院転送拒否」というセンセーショナルなタイトルに何も知らずに勝手に納得してしまうところであった.マスコミの言うことを鵜呑みにしてはいけないといつも思っていたはずなのに知らないうちに違う方向へ誘導されてしまいそうになるとは,恐ろしいことだ.
人の世がどうであろうとも季節はただ変わっていくだけだ.
今年も残すところ75日と10時間あまりとなった.
つまり2006年も残り約20%ということだ.
明日から脳神経外科学会で京都に行ってきます.
では,皆さま今週も残りのお仕事頑張ってください.
今年も残すところ75日と10時間あまりとなった.
つまり2006年も残り約20%ということだ.
明日から脳神経外科学会で京都に行ってきます.
では,皆さま今週も残りのお仕事頑張ってください.
『県立志摩病院:4医師退職の意向 県議会委、院長が窮状訴える /三重』
『四万十市立市民病院:医師不足でピンチ、夜間救急指定返上も /高知』
『現場から:田沢湖病院の救急指定取り下げ 重労働が招く医師の「過疎」 /秋田』
最近1週間で見かけた公立病院の医師不足のニュースタイトルをならべてみた.
こうなることは以前に予想した通りだが,そのスピードがここに来て加速しているような気がする.この勢いで一気に地方の医療は崩壊してしまうのだろうか.
『四万十市立市民病院:医師不足でピンチ、夜間救急指定返上も /高知』
『現場から:田沢湖病院の救急指定取り下げ 重労働が招く医師の「過疎」 /秋田』
最近1週間で見かけた公立病院の医師不足のニュースタイトルをならべてみた.
こうなることは以前に予想した通りだが,そのスピードがここに来て加速しているような気がする.この勢いで一気に地方の医療は崩壊してしまうのだろうか.
と書いた札は,わがままな要求をする患者や家族が来たら診察室のドアに貼っておきたいですね.
(冗談ですよ!冗談!)...
(冗談ですよ!冗談!)...
この連休の海や山での遭難死者が50人にもなるようだ.天気予報があっても,いつもながら自然の力にはなすすべもない.
病気も同じようなものではないだろうか.検査が終わって,よく「大丈夫ですよね.」と聞く患者さんがいるが,私が「それくらいは大丈夫.」などと言ったところで,病気は待ってくれたりはしないのである.日頃から用心するに越したことはない.全ては,日常生活における自分の心がけ次第ということだ.
病気も同じようなものではないだろうか.検査が終わって,よく「大丈夫ですよね.」と聞く患者さんがいるが,私が「それくらいは大丈夫.」などと言ったところで,病気は待ってくれたりはしないのである.日頃から用心するに越したことはない.全ては,日常生活における自分の心がけ次第ということだ.
健康保険医療は配給制になるのか?
2006年10月6日 医療の問題『 -- 高齢者医療の定額化検討 厚労省、年度内に方針 --
厚生労働省は5日、社会保障審議会に設置した後期高齢者医療の在り方に関する特別部会(糠谷真平(ぬかや・しんぺい)部会長)の初会合を開き、2008年4月に始まる75歳以上を対象とした医療制度での診療報酬体系などをめぐる検討を始めた。
厚労省は、高齢者医療費の抑制や患者負担の軽減を図るため、病気の種類や治療方法ごとに報酬を定める「定額制」(包括払い)を導入する方針を固めており、定額制や終末期医療の対応をどう評価するかなどが検討の焦点となる。来年3月に基本的な方針をまとめる。
この日の会合で委員側から、財政面への配慮から高齢者医療費を削ることに反対する意見や、終末期医療で家族の合意の在り方について議論を求める声もあった。
今後は、自宅での日常的な医学管理から、最期のみとりまで一貫して対応できる主治医の普及のほか、医師、看護師、ケアマネジャーらの連携による医療・介護サービス、入院によるホスピスケアの普及などをテーマに協議を進めていく。』
定額制の話になると必ず「患者負担の軽減」というお決まりの言葉がつくのだが,本当に患者負担が軽減されるだろうか.疾患ごとに定額ということは医療サービスの内容にかかわらず料金が同じということである.これでは配給券を持って病院へ行くようなものではないだろうか.最初からサービスの範囲が診療報酬で限定されている医療で病状に応じて必要十分な治療が受けられるのだろうか.
同じ病名でも軽症な患者さんでは治療の割に高額な負担をすることになったり,重症の患者さんでは治療の割に負担が軽くなる可能性があるとはいえ,病院側の都合で必要十分な治療が受けられないことはないのだろうか.病気が治らなければ退院できず病院側も困るからそんなことはないというのだろうか.
厚生労働省が定額制を導入したがっているのは,病院が過剰な診療を行い医療費の増大を招いていると考えているからなのかもしれないが,理由はどうあれやることは高齢者医療費の支出抑制であるから医療サービスの総量は確実に減少するわけである.問題は,それが適切に減少するのかどうかである.
ここで私が思い出すのは,以前に介護保険制度が導入され病院の在宅医療サービスが減少した時のことである.これは健康保険医療で提供されたサービスを介護保険制度を創設することにより医療費から切り離したわけだが,はたして介護保険で提供されるサービスは低コストで高品質だっただろうか.そして,その後どうなったのかは最近のニュースを見れば明らかだろう.
結局,介護保険も現在は支出抑制のために介護度の見直しと制限事項の増加のため実質的な患者負担は増加しているのが現実である.厚生労働省がやった最近の医療改革を検証すればひたすら健康保険で受けられるサービス量を低下させてきただけであることがわかるだろう.医療費削減だけが目的で財政難を理由に医療を配給制にするような定額制の導入はわが国の健康保険制度が終末期になっていることを示していると考えるのは私だけだろうか.
厚生労働省は5日、社会保障審議会に設置した後期高齢者医療の在り方に関する特別部会(糠谷真平(ぬかや・しんぺい)部会長)の初会合を開き、2008年4月に始まる75歳以上を対象とした医療制度での診療報酬体系などをめぐる検討を始めた。
厚労省は、高齢者医療費の抑制や患者負担の軽減を図るため、病気の種類や治療方法ごとに報酬を定める「定額制」(包括払い)を導入する方針を固めており、定額制や終末期医療の対応をどう評価するかなどが検討の焦点となる。来年3月に基本的な方針をまとめる。
この日の会合で委員側から、財政面への配慮から高齢者医療費を削ることに反対する意見や、終末期医療で家族の合意の在り方について議論を求める声もあった。
今後は、自宅での日常的な医学管理から、最期のみとりまで一貫して対応できる主治医の普及のほか、医師、看護師、ケアマネジャーらの連携による医療・介護サービス、入院によるホスピスケアの普及などをテーマに協議を進めていく。』
定額制の話になると必ず「患者負担の軽減」というお決まりの言葉がつくのだが,本当に患者負担が軽減されるだろうか.疾患ごとに定額ということは医療サービスの内容にかかわらず料金が同じということである.これでは配給券を持って病院へ行くようなものではないだろうか.最初からサービスの範囲が診療報酬で限定されている医療で病状に応じて必要十分な治療が受けられるのだろうか.
同じ病名でも軽症な患者さんでは治療の割に高額な負担をすることになったり,重症の患者さんでは治療の割に負担が軽くなる可能性があるとはいえ,病院側の都合で必要十分な治療が受けられないことはないのだろうか.病気が治らなければ退院できず病院側も困るからそんなことはないというのだろうか.
厚生労働省が定額制を導入したがっているのは,病院が過剰な診療を行い医療費の増大を招いていると考えているからなのかもしれないが,理由はどうあれやることは高齢者医療費の支出抑制であるから医療サービスの総量は確実に減少するわけである.問題は,それが適切に減少するのかどうかである.
ここで私が思い出すのは,以前に介護保険制度が導入され病院の在宅医療サービスが減少した時のことである.これは健康保険医療で提供されたサービスを介護保険制度を創設することにより医療費から切り離したわけだが,はたして介護保険で提供されるサービスは低コストで高品質だっただろうか.そして,その後どうなったのかは最近のニュースを見れば明らかだろう.
結局,介護保険も現在は支出抑制のために介護度の見直しと制限事項の増加のため実質的な患者負担は増加しているのが現実である.厚生労働省がやった最近の医療改革を検証すればひたすら健康保険で受けられるサービス量を低下させてきただけであることがわかるだろう.医療費削減だけが目的で財政難を理由に医療を配給制にするような定額制の導入はわが国の健康保険制度が終末期になっていることを示していると考えるのは私だけだろうか.
天気が悪くても連休がいい
2006年10月6日 私の写真集
せっかくの連休なのに天気が悪いみたいで残念ですね.
でも,私は天気が悪くても連休があるだけで嬉しいです.
家でゆっくり休養するもよし,プールや温泉へ行くもよし.
ただし,受験生と医学生は天気の悪い日こそしっかり勉強してください.
雨の中の紅葉も写真的にはいいんですけど風が強いと困ります.
紅葉を求めての山登りはまた今度になりそうです.
でも,私は天気が悪くても連休があるだけで嬉しいです.
家でゆっくり休養するもよし,プールや温泉へ行くもよし.
ただし,受験生と医学生は天気の悪い日こそしっかり勉強してください.
雨の中の紅葉も写真的にはいいんですけど風が強いと困ります.
紅葉を求めての山登りはまた今度になりそうです.