『 -- 50代土木作業員を指名手配 佐賀の男児ひき逃げ放置 --

 佐賀県唐津市厳木町で小学5年の家原毅(つよし)君(11)が車にひき逃げされ、重傷のまま別の場所に放置された事件で、県警は23日未明、業務上過失傷害と道交法違反の疑いで、唐津市船宮町、土木作業員坂口三之治(さのじ)容疑者(53)に対する逮捕状を取り、全国に指名手配した。

 調べでは、坂口容疑者は20日午後5時ごろ、唐津市厳木町の県道と市道が交わる三差路をトラックで走行中、自転車で走っていた毅君をはねて頭の骨などが折れる大けがを負わせたにもかかわらず、助けなかった疑い。

 県警は、落ちていた車の部品などから、容疑車両を紺色のトラックに絞り込んだ。21日、該当するトラックを同市内で発見し、坂口容疑者が事故当日、運転していたと断定した。』

 被害者を別の場所に移動して放置したり,自転車も別の場所に移動して事故が発覚するのを遅らせようとしたらしい.これは助けなかったどころの話ではなく,自分が逃走するために死亡するかもしれない被害者を放置したわけである.

 被害者が助かったとしてもこれは殺人未遂であろう.交通事故までは過失だろうが,ひき逃げは立派な殺人行為である.ましてや事故を隠ぺいするために故意に被害者を移動して放置するなど極刑に値するだろう.

 毅君は頭蓋骨々折,急性硬膜外血腫,脳挫傷で緊急開頭手術となったようだ.予後は血腫の大きさと脳挫傷の程度によるだろうが,どうか手当てが間に合って救命され,また小学校へ通える日が来ることを祈るばかりである.
『 -- 医師の本音、専用ブログで紹介 --

 「科によって給料あげるとかしないと、みんな耳鼻科医とか皮膚科医とかになっちゃうぜ」(循環器内科医)、「研修医の息子が外科医になろうかなって…… 複雑な心境」(外科医)――そんな医師の本音をインターネットで読める専用ブログサイトが4月から始まった。閲覧は誰でもでき、医師と一般の人との距離を縮めることが狙いだという。

 サイトは「ドクターズブログ」。00年から医療関係者限定のサイトを手がける「ソネット・エムスリー」(本社・東京都港区)が運営する。ブログの書き込みは、身元確認した会員約29万人のうち、約12万5000人を占める医師に限って認めている。

 福島県の県立病院での妊婦死亡をめぐって産婦人科医が逮捕された事件を受け、会員サイトで様々な議論が起こったこともあり、ブログサイトを新設した。

 ブログを公開する医師は徐々に増え、今では170人を超えた。日常業務から、恋愛や趣味など幅広い。

 「やぶ医師のつぶやき」ブログは、脳外科医希望の新人医師が減っているとの新聞記事について「米国では、脳外科医なら年収4500万円。日本では、開業医の収入が高く、勤務医は診療科によらず低め。大学教授ですら1000万円ちょっと」などと解説する。

 「美人女医さんのひ・み・つ」ブログでは、娘を妊娠中、診察してもらった産婦人科医の「大丈夫!」という口癖に、「この訴訟社会に、産科でこの口癖はスゴイ」と感心しながら「(私は)マネ、できないけど……」と付け加えている。

 同社は「医師の率直な意見や思いを提供することで、医師や医療の不信感をなくすことにつながれば」といっている。』

 これだけブログが普及してくればいつかは出てくるような気はしていた.でも,登録で身元確認された医師であると言ってしまうとなりすましが現われるような気もするし,登録者の情報がWinnyなんかで漏れる危険なんかを考えると私にとってはリスクが高い.それにDiaryNoteは秘密日記が面白い.だから当分ここで書いていくだろう.

 さて,ブログは医師や医療の不信感をなくすだろうか.私はそんなことはないだろうと思う.もちろん不信感を減らす場合もあるだろうが,逆に増大させる場合もあるだろうから.ブログは個人の中の物事に対するイメージを匿名性を保ちながらネット上に拡散させるだけである.ブログに本音を書かなければならないルールなんてないのである.その点で実社会との違いは匿名性が保たれるという仮定のみである.

 日常の対人関係では匿名の発言はできないから発言には即責任が生じる.ブログではその対人関係が匿名で見えないから自由な発言がしやすい.だから,私が脳外科医として本音を書くこともできるのである.だが,注意してもらいたいのはいつも本音で書いているとは限らないということである.なんでも生のままで書いたらきっと読むに堪えないだろうし,誤解を与える書き方ではかえって不信感が増大してしまうだろう.

 私のブログで結果として医師や医療への不信感がなくなるのなら結構な話であるが,私の書き方が悪いのか,読む方の理解力がないのか,残念ながらコメントをいただいても真意がわからず返答不能なものも稀にあるのである.だが,似たようなことは患者や家族との関係でも日常経験することで不思議でもなんでもない.人間のコミュニケーション能力というものは,その人間の経験により獲得されたものであるからいつも話があうとは限らないのである.

 中学校2年生の国語の教科書に、西江雅之著の「伝え合い」という単元があるそうだ.学習のねらいは、たとえ言葉が通じても,その使い手の属する世界や身に付けている習慣によって同じ言葉でも意味合いが異なってしまうことで、本文には言葉は通じているが、話し手と聞き手の意味のとり違いの例が載っているそうである.価値観の多様化した現代ではこういう教育も必要なのだろう.

 『医者の考え方を理解してもらえれば,医者の言うことも理解してもらえるだろう.』と考えるのは医者の思い過ごしで,現実には『担当医の説明より,みのもんたさんの言うことのほうが信じられる』とか,『処方された薬は飲まないが,テレビでやっていた健康食品は毎日欠かさない』という世界なのだから医者がやりにくいのも当然だろう.こんな世界がブログで変わるなんて信じられないのは私だけだろうか.


私も最近知ったのですが...
日曜日のためか今朝は散歩の夫婦が多いようだった.

公園のチューリップの写真を撮っていたら,通りがかりのどこかのだんなさんが「ラベンダー咲いてるよ.」と大きな声で言い,後ろの奥さんがすぐに「ムスカリよ!」と言っているのが聞こえた.


 研修医に最も不人気な診療科となった脳神経外科の医師に愛の手を!

『  -- 研修後の若手医師、大学病院敬遠 脳神経外科も不人気 --

 全国80の国公私立大と付属病院からなる全国医学部長病院長会議は19日、臨床研修を終えて大学に残る若手医師の割合が、4年前に比べて20ポイント減少したという調査結果を発表した。研修後の診療科別の志望をみると、形成外科や皮膚科が増え、脳神経外科や外科が減っていた。会議は、現行の臨床研修制度は地域医療を担う大学病院の弱体化を招くと指摘。近く、制度の改善策を緊急提言する。

 臨床研修(初期臨床研修)は04年に必修化され、必修化1期生が今春、医師としての進路を選ぶことになる。以前の臨床研修制度は、給与面や教育プログラムの規定がなかったため、大学病院側にとっては若手を自由に安く使える労働供給源としての面もあった。

 同会議は80大学を対象に初期臨床研修の修了者の動向を調べ、68大学が回答した。その結果、大学を卒業し、その大学で後期臨床研修を受けた若手医師の割合は、平均で51%。02年の72%に比べ21ポイント減った。地域別では四国44ポイントと北海道で43ポイント減少し、その幅は著しかった。

 専門家の間では「地方に住むのを嫌がって大都市部に流れているのでは」との指摘がある一方、「地方の別の医療機関に流れているだけ」との見方もある。調査を担当した岩手医大医学部長の小川彰教授は「医師を地域に供給してきた大学病院のシステムは崩壊している」とみている。

 一方、研修後の診療科目別の増減率をみると、最も減少率が大きかったのは脳神経外科で42%減、次いで外科(33%)、小児科(28%)と続いた。反対に、形成外科は41%増で、ほかに皮膚科(24%)、麻酔科(23%)の増加が目立った。調査を担当した小川教授は「仕事がきつく、しかも生命に直接かかわる診療科への希望が減っている」とみている。

 厚生労働省の担当者は「最近の研修医は専門医志向が強く、多くが臨床経験を望んでいる。本来なら専門技術が学べる大学病院に研修医が集まっていいはずだ。一部に魅力ある研修プログラムを用意するなど工夫している大学病院もあるが、多くは研修医のニーズに応え切れていない。臨床研修制度が医師不足の原因になっているとはいえない」と話している。』

 外科系は脳外科>外科>(小児科)>整形外科>産婦人科の順に不人気なんですね.予想はしてましたが最下位というのはちょっとショックですね.胸部外科は外科に含まれているんでしょうか.さらに北海道と四国が不人気なのはやはり地理的要因なんでしょうか,それとも大学病院の研修体制の問題なんでしょうか.いずれにしてもこれからは大学病院は経営的にもかなり厳しい状況になり弱体化はまぬがれないのではないでしょうか.

 臨床研修制度がもたらした結果がこれだとすると,なんのための臨床研修だったのかわかりませんね.まあ,他科で研修した知識を生かして形成外科医や皮膚科医に一次救急をやってもらい,脳外科医が必要な場合に転送してもらえるんなら文句はないんですが.

 それと,厚生労働省の担当者の話はあいかわらずピンボケで,その責任回避の発言には毎度のことながら失望させられますね.
見守る
秋田の事件は小学生を狙った連続殺人なのだろうか.

景気が悪いせいなのか.
負け組が増えたせいなのか.
それとも日本人の脳に異変でも起きているのだろうか.

本当のところは私も自分のことで精一杯なんだけれど,
いつも小さくてかわいいものを暖かく見守れる人になりたい.
『 県立大野病院事件に対する考え

 福島県立大野病院で平成16年12月に腹式帝王切開術を受けた女性が死亡したことに関し、手術を担当した医師が、平成18年3月10日、業務上過失致死、および医師法21条違反の罪で起訴された件について、日本産科婦人科学会、および日本産婦人科医会は、すでに「お知らせ」、「声明」を公表し、さらに「声明」を補足するために厚生労働省にて記者会見の場をもち、両会の考え方を示してまいりました。
 このたび両会は、本件の重要性に鑑み、ここにあらためて「県立大野病院事件に対する考え」を発表いたします。

 はじめに、本件の手術で亡くなられた方、およびご遺族の方々に対して謹んで哀悼の意を表します。

 このたび、産婦人科の医療行為について、個人が刑事責任を問われるに至ったことはきわめて残念であります。

 本件は、癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高く、対応がきわめて困難な事例であります。
 起訴状によれば、本件における手術中、児娩出後に用手的に胎盤の剥離を試みて胎盤が子宮に癒着していることを術者である被告人が認識した時に、「(被告人には)直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行し、胎盤を子宮から剥離することに伴う大量出血による同女の生命の危険を未然に回避すべき業務上の注意義務があるのに、(被告人は)これを怠り、直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行せず、同日午後2時50分ころまでの間、クーパーを用いて漫然と胎盤の癒着部分を剥離した過失により、」とあり、被告人が直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行しなかったことと、胎盤の癒着部分の剥離に用いた手段に過失がある、とされています。
 癒着胎盤の予見のきわめて困難である本件において、癒着胎盤であることの診断は、胎盤を剥離せしめる操作をある程度進めた時点で初めて可能となるものであります。したがって、結果的には癒着胎盤であった本例において、胎盤を剥離せしめる操作を中止して子宮摘出術を行うべきか、胎盤の剥離除去を完遂せしめた後に子宮摘出術の要否を判断するのが適切かについては、“個々の症例の状況”に応じた現場での判断をする外なく、それはひとえに当該医師の裁量に属する事項であります。
 また、本件のような帝王切開例における胎盤の癒着部を剥離せしめる手段としては、用手的に行うことだけが適切ということはなく、クーパーをはじめ器械を用いることにも相当の必然性があり、この手技の選択も当該医師の状況に応じた裁量に委ねられなければ、治療手段としての手術は成立し得ません。

 本件の転帰に関してはたいへん心を痛め、真摯に受け止めておりますが、外科的治療が施行された後に、結果の重大性のみに基づいて刑事責任が問われることになるのであれば、今後、外科系医療の場において必要な外科的治療を回避する動きを招来しかねないことを強く危惧するものであります。

平成18年5月17日
                   社団法人 日本産科婦人科学会
                        理事長  武谷 雄二

                   社団法人 日本産婦人科医会
                        会 長  坂元 正一
                                  』

 どこまでが医師の裁量かという議論は常にあってもいいと思う.しかし,手術室の中で予期し得なかった緊急事態になったときに当該医師の状況に応じた裁量に委ねられないというのであればその患者にはその医師の手術を受ける資格はない.そういう意味での『何かの時には先生にお任せします.』というのが医師と患者の信頼関係ではないだろうか.自分の望んだ結果でなければ訴えるというのが世の中の風潮であるかも知れないが,それを医療の世界に持ち込んでも患者の利益はないだろう.産科や小児科だけでなく僻地の医療が崩壊している本当の原因は患者側にあり,さらに現場の医師のことを考えられない行政にもあると私は思うのだがどうだろうか.
本日の散歩写真
今朝も天気が良くて気持ちのよい散歩だった.

 心と体の健康のためだから,その日の気候や体調で目的地を変えている.山の頂上まで登ったり,公園の花を撮りながらぶらぶらしたり.

 リスもわかっているのか随分と近くまで寄れるようになった.野鳥の写真も撮りたいのだが,こちらの気配ですぐに飛んで行ってしまう.まだまだ,私の修業が足りないようだ.

『 -- 修学旅行中の高校生1人死亡、1人不明 沖縄・波照間島 --

 17日午後1時45分ごろ、沖縄県竹富町の波照間島のニシ浜ビーチで、修学旅行に来ていた横浜市の男子高校生3人が波にさらわれ、2人の行方がわからない、と地元の消防団から八重山署に通報があった。約1時間後、1人がリーフ沿いで浮いているのを発見され、波照間診療所に運ばれたが、死亡が確認された。残る1人は見つかっておらず、警察と海上保安部が夜まで船やヘリコプターで捜索した。

 同署などによると、死亡したのは横浜市立鶴見工業高校3年の青柳宏三郎さん(17)。青柳さんらはこの日午前、男子生徒32人と教師2人、添乗員1人の計35人で島を訪れた。島内を観光後、午後1時ごろからビーチで水遊びをしていた。

 救助された1人は「3人で腰付近の深さの所を歩いていたら波にさらわれてしまった」と話しているという。この生徒はたまたま足のつく場所に流れ着き、救助に向かっていたダイビング船に助けられた。地元の人によると、現場付近は当時、台風1号の影響で波があった。波照間島は周囲約15キロで、有人島としては日本最南端に位置する。』

 修学旅行での痛ましい事故のニュースだが,腰の深さの所で波にさらわれるというところが気になった.おそらくリップ・カレント(離岸流)が発生していたのだろうか.水の流れる力がいかに恐ろしいものかということは流されてみたことがないと理解できないだろうが,台風の影響で波が出ているのにもかかわらず海で水遊びをするのが危険だということは知らなかったではすまされないかもしれない.

 実際,リップ・カレントによる事故はライフガードの人ならおそらく誰でも知っているはずであるが,高校の先生たちが水遊び程度ならと海をあまくみていたのが命取りになったのではないだろうか.やはり,可能性のあることはすべて起こると思わないと危険を回避することはできないということなのだろう.それにしても楽しい思い出になるはずの修学旅行で友人を目の前で失った級友にとっては一生記憶に残る悪夢の1日となるに違いない.

 患者さんと話をすると,病気も自分が経験するまではまるで自分には無縁のように思っていた人が多い.だが,自殺を除けば病気や事故以外で亡くなる人間なんていないのだ.つまり,あなたが病気や事故に遭う確率はほぼ100%なのである.それなのに自分の体を大切にしなかったり,危険に対して無防備な人があまりに多いのではないだろうか.こういうことが自然に理解できるようになれば1日を大切にするようになり,毎日をもっと有意義に過ごせるようになるのだろう.
『 -- 改革の前提65兆円は過大? 厚労省より低い試算も --

 少子高齢化の進展で2025年度の国民医療費は65兆円と現在の約32兆円に比べ倍増、制度が維持できない-というのが、現在国会で審議している医療制度改革関連法案の前提だ。法案では高齢者を中心とした負担増などで59兆円に抑制する。だが、日本医師会は25年度で 49兆円にしかならないと試算、改革の前提に疑問を投げかけている。

 Q どうしてこんなに大きく違う。

 A 医療費の伸びをどうみるかが違っているからだ。厚生労働省は1995-99年度の平均で1人当たり医療費の伸びを一般2・1%、高齢者3・2%とし、これに人口変動を加味した。日医は診療報酬が初めて引き下げられた2002年度を除く01-05年度の平均で、一般1・4%、高齢者1・3%とした。

 Q 厚労省が基にした時期は古いね。

 A 2000年4月からは医療費の抑制にもつながる介護保険が導入され、03年4月からはサラリーマンの窓口負担が2割から3割に引き上げられた。厚労省は「大きな制度変更がなかったそれ以前のほうが、高齢化による伸びがよく表れている」としている。通常は直近5年間を基にするが、今回は参考にならないというわけだ。

 Q でも、日医は直近の時期を基にしている。

 A 2000年度からの医療費の伸びは、相次ぐ制度変更で大きく鈍化しているのは事実。制度変更を元に戻すわけではないので、日医は「むしろ直近の方が実態をよく反映している」としている。神奈川県の保険医でつくる同県保険医協会も直近の伸びを基に47兆8000億円と試算した。

 Q 厚労省の推計は過大なのだろうか。

 A それは分からない。ただ、厚労省が過去に25年度の国民医療費をどう推計していたかをみると、1994年には141兆円と見積もっていた。それが97年には104兆円、2000年81兆円、02年70兆円、今回は65兆円と次々に下方修正してきた。この間には介護保険導入をはじめさまざまな制度変更もあったが、わずか10年あまりで半分以下というのはね...。

 Q 国会でも疑問が出ている。

 A 野党は「厚労省推計はわざわざ伸びの高かった時期を基にして、危機感をあおっている」と批判している。日医などの試算だと、少なくとも高齢者を中心とした負担増などは必要なくなる。推計の仕方で改革の方向が変わるだけにきちんとした検証が必要だね。』

 わざわざ伸びの高かった時期を基にして、危機感をあおっているとしても何故そうするのか本当の理由がわからない.

『 -- 首相、「私は医師会の協力勢力」 パーティーであいさつ --

 小泉首相は16日、東京都内で開かれた日本医師会の唐沢祥人会長の就任披露パーティーで「私は医師会の抵抗勢力でなく、医師会の協力勢力であることをお忘れなく」とあいさつし、自民党と関係がぎくしゃくしていた日本医師会に秋波を送った。

 日本医師会は4月の会長選挙で「反小泉」路線の植松治雄・前会長に代わり、「政権与党との関係修復」を掲げる唐沢氏を新会長に選出した。

 首相は「高度成長時代と違って、皆さんの団体の言うことばかり聞くわけにもいかない」とクギを刺しつつも、「自民党に格別のご支援をお願いしたい」と語り、関係改善に意欲を見せた。』

 財政が破綻しつつある中で健康保険制度を維持するために医療費を縮小する必要があるのはわかるが,わざわざ過大に見積もる理由はなんなのだろうか.

 医師会も植松治雄・前会長時代はまるで無策で厚労省にやられっぱなしという感じだったが,唐沢祥人・新会長は適正な医療費と診療報酬を実現し,国民の健康を守る医療が荒廃することのないように頑張ってくれるのだろうか.

『 -- 医療制度改革法案、衆院委で可決 与党が採決強行 --

 自民、公明両党は17日の衆院厚生労働委員会で、高齢者の負担増を柱とする医療制度改革関連法案を強行採決し、賛成多数で可決した。野党側は「審議は道半ば」として採決に抵抗したが、与党側は審議打ち切りと採決を求める緊急動議を出し、採決に踏み切った。』

 今後の医療がどうなるかの見通しは明らかにならないまま,着々と医療費圧縮への施策だけは進んでいるようである.
『 -- ニコチンパッチ保険薬に 厚労省、今月中に --

 川崎二郎厚生労働相は12日の衆院厚生労働委員会で、禁煙時に体内のニコチン濃度が低下する際の禁断症状を抑える「ニコチンパッチ」を公的保険の対象とすることを明らかにした。近く医薬品の保険適用の可否を検討する中央社会保険医療協議会を開き、今月中に保険薬とする。

 禁煙治療については、4月から公的医療保険の対象となったが、パッチが保険適用外であることから、パッチを使うと違法な「混合診療」に該当。厚労省は4月 28日の医療機関向け通知で「使えば禁煙指導全体が(全額自己負担の)自由診療となる」と明確にしていた。保険適用を急いだのは、医療現場の混乱や日本禁煙学会からの批判を受けたためとみられる。

 禁煙指導は従来、保険のきかない自由診療として全額が患者の自己負担で行われてきた。しかし4月の診療報酬改定で、ニコチン依存症と診断された患者に対して日本循環器学会などが作成した標準手順書に基づく治療をした場合の保険適用が認められた。

 学会の手順書がパッチ使用を前提としているため、パッチ自体は保険適用外でも、その分を患者が負担すれば、検査や問診には保険を適用できると判断して禁煙治療した医療機関が相次いだ。ところが、パッチ分だけの自己負担は認められず、地域の医師会が注意を促すなど、医療現場に混乱が起きていた。

 日本禁煙学会は「治療が手順書を前提としながら、パッチを使えば、保険の適用外となるのは自己矛盾だ」として、4月にさかのぼってパッチを保険適用することを求める要望書を厚労省に提出していた。』

 いまさら何だという感じで,相変わらずいいかげんな保険適用である.いまさら認可するのならもっと効果のありそうなこっちのほうがいいかも.

『 -- 米ファイザーの禁煙薬認可 脳で作用、禁断症状を緩和 --

 米食品医薬品局(FDA)は11日、米医薬品大手ファイザーが申請していた禁煙薬「チャンピックス」の販売を承認したと発表した。AP通信によると、禁煙ガムやパッチとは異なる内服用の禁煙薬としては、1997年承認の「ザイバン」(英グラクソ・スミスクライン)以来となる。

 ニコチンの代替成分が、脳内でニコチンの影響を受ける部位に作用して禁断症状を和らげるとともに、たばこを吸った場合にニコチンの作用をブロックする働きもある。FDAは国民の健康への利益が大きいと判断、優先審査の対象にした。

 喫煙者に12週間服用してもらう臨床試験の結果、5人に1人が一年後も禁煙を続けられていたという。

 米国の喫煙人口は成人の5人に1人、4500万人近くに上るといわれ、うち約3200万人は禁煙を望んでいるという。』

 それにしても5人に1人だっていうんだからやっぱり煙草を1箱1000円にしたほうが節煙効果は高いと思うのだがどうだろうか.

 ついでに言うと,いまだに受動喫煙をさせてくれる人が世の中にはいるのだが,こういう人たちをうまく撃退する機械をだれか開発してくれないだろうか.
散歩写真
最近は朝の天気が気になります.天気がいいと朝の散歩写真が楽しいからです.
午前5時から1時間くらい散歩するのがとっても気持ちいいです.今まで海に潜ったり,高い山に登ったりしてきました.それは珍しいものもありましたが,ここ2,3年の散歩写真は,なんのことはない身近な自然の中の花や動物たちのとの出会いと,写真を撮ることの楽しさを思い出させてくれました.デジカメ以外にもロモグラフィーやポラロイドといったカメラもあります.あなたも気に入ったカメラを持って散歩してみてはどうでしょうか.

皆さま今週もご苦労様でした.お休みには散歩写真でストレス解消しましょう.

『 -- 若手医師、脳外科離れ 激務・訴訟リスクを恐れ? --

 今春、2年間の臨床研修後に脳神経外科を専門分野として選んだ若手医師が、数年前に比べ2割程度減ったことが、日本脳神経外科学会の調査で明らかになった。同学会理事会に11日報告された。理事らは「産婦人科医や小児科医などと同様、仕事のきつさや訴訟リスクが敬遠されたのではないか」とみている。

 担当した寺本明・日本医大教授らによると、調査は全国の大学の脳外科や学会訓練施設に指定されている約390施設が対象。04年に必修化された臨床研修の1期生が2年の前期研修を終えたのを機に、今春、脳外科を選んだ医師の数を調べたところ170人だった。99〜02年の同学会の新入会員数は203〜229人で、2割前後少ない。

 全国80大学のうち23大学では、新たに脳外科を選んだ医師が一人もいなかった。都道府県別でみても9県でゼロで、地方から影響が出る恐れが指摘されている。

 志望者減の理由は調べていないが、トラブルによる訴訟や昼夜を問わないなど厳しい勤務条件が原因で減っているとされる産婦人科医や小児科医と同じ構図とみる。また「臨床研修のカリキュラムが、脳外科に魅力を感じさせるものになっていないのではないか」との見方も出ている。

 若手医師の進路に関して最近のまとまった調査はないが、日本産科婦人科学会によると、大学病院などの常勤産婦人科医は03〜05年で8%減り、お産の扱いをやめた病院も相次いでいる。

 小児科も志望者減が著しい。日本小児科学会の調査によると、今春、研修後に小児科を志望したのは276人。03年度に比べ4割以上減った。

 厚生労働省調査によると、04年の医師総数は00年に比べ5.7%増えたが、小児科医、脳神経外科医の伸びはこれを下回り、産婦人科医は4%減っている。』

 脳外科専門医は多すぎるという意見をだいぶん前に聞いたことがある.ちょうど専門医になる頃で,専門医試験が非常に難しいのは専門医を増やさないためなんだと思っていた.それから10年以上経ってみると専門医というのは単に脳外科医ですよと自己紹介するための名刺みたいなもので,だから何だと言われると今でも答えに困ってしまうようなものである.高度に専門的な知識を持っていることに違いはないが,医学博士号と同程度であると言ったらまずいだろうか.

 研修医制度がはじまったころには新入医局員が2年間は来なくなることばかりが話題になっていたが,私はむしろ臨床研修終了後に脳外科医をめざすものが半減すると心配していたから2割減ならまだいいほうだったような気がする.それよりも小児科や産婦人科がこんなひどい状況になることは当時予想していなかったことである.もっとも,脳外科医である私が小児科医にならなくてよかったと思うくらいだから研修医たちがそう感じても不思議はないのかもしれない.

 脳外科医はこれから若手が相対的に少なくなり高齢化していくことになるのだろうか.いまのところ救急対応で深刻な事態になるとは思えないが,いずれ産婦人科のように頭部外傷や脳出血などの対応に問題が出る可能性はあるだろう.ところで,脳神経外科学会は今後積極的に脳外科医を増やすつもりなのだろうか.それとも少数精鋭でやっていくつもりなのだろうか.各種ガイドラインに従って自ら手術適応をせばめて手術の数を減らしたり,脳梗塞を神経内科医や循環器内科医にみてもらえばそれほど脳外科医はいらないという考え方もあるだろう.

 脳外科医を目指す医師が減少した理由が仕事のきつさや訴訟リスクというのはたしかにあるだろうが,本当の理由はもっと他にあるのではないだろうか.胸部外科や一般外科だって仕事はきついし訴訟のリスクもそれほど変わるとは思えないからだ.私が脳外科医になりたての頃に感じたのは,脳神経というのは未だに未知の部分が多く論理的に明快でなく理解しにくい,手術時間が長いだけでなく顕微鏡を使う手術の技術の習得に時間がかかり術者になれる人が限られている,そして,その割には診療報酬や社会的な評価が相対的に低い,ということである.

 一言でいえばやりがいがないということになるのではないだろうか.そのせいか,脳外科医には自己完結型の人が多いような気がする.悪く言えばひとりよがりな人間であるが,あえて未知の領域や困難な状況を自分の力で克服することに喜びを見いだせる人にとっては魅力的な診療科だろう.もっともそんな物好きな人間がそれほどいるわけはない.臨床研修制度のおかげで研修医は進路の決定のための比較がしやすくなったのだろうが,せっかく医師になったのだから,勇気を持って脳神経外科を選択してもらいたいものだ.
『 -- TBS系列に苦情650件 ダイエット法で嘔吐、下痢 --

 TBS系の健康情報番組で紹介した白インゲン豆ダイエット法を試した視聴者が嘔吐(おうと)や下痢などを訴えた問題で、TBSは9日、同局や系列局に電話やメールで寄せられた苦情が同日午後3時までに延べ650件に上ったと発表した。

 大半が同様の症状を訴えるもので、入院するなどした人はいないという。

 TBSは、ダイエット法が症状を引き起こした可能性が高いことを認め「深くおわびします」とのコメントを出した。

 同局が複数の専門家に見解を求めたところ、生の豆に含まれるレクチンなどの成分が加熱不十分のため残り、胃や腸の粘膜の炎症を起こした可能性が高いことが分かったという。

 問題の番組は6日放送の「ぴーかんバディ!」。白インゲン豆を約3分間いった後に粉末化し、ご飯にまぶして食べるダイエット法を紹介した。

 TBSは情報番組やホームページなどで、このダイエット法を試みないよう注意を呼び掛けている。』

 なぜテレビの番組でやっていることをそのまま信じて実行してしまうのだろうか.ダイエット法という言葉に誘われてしまう気持ちもわからないではない.だが,実際にやるまえにやらせが多いテレビのことだからウソじゃないんだろうかとは思わないのだろうか.650件の苦情というには実際にやった人はかなりな数にのぼるのだろう.テレビの影響力は恐ろしいものである.

 健康番組はおろかテレビをほとんど見ない私にとっては番組の内容はわからないし,ダイエット法について考える気もない.しかし,テレビ局の視聴率のために企画されている健康情報番組による健康や医療に対する視聴者の誤解に基づくトラブルが病院側にしわ寄されるのは大変迷惑であると思っている医療人は私だけではないだろう.

 ちゃんと医師による監修を受けたり,医師自身が解説している番組も多いようなので最近はそれほど間違った情報が流れているわけではないのだろう.外来で患者さんの話を聞いていると問題は情報の受け手がちゃんと理解できていないということのような気がするのである.実際に外来で患者さんに話してわかっているようでも,次回に質問をすると何もわかってないのであるから,テレビのように一方的に情報を流して理解させるのはそもそも無理なのだろう.

 外来で最近疲れるのは,テレビで見たことが正しくて,こちらの説明がおかしいような不満を言われることである.そもそもテレビの説明もちゃんと理解できていないのにである.それを間違いを正しながら,解説を推測しながらまるでテレビのように説明しなければならない.これならテレビで好き勝手な解説をしているほうがはるかに楽である.

 結局,テレビの健康番組は国民の健康意識を高めるかもしれないが,正しい医療知識の普及や疾病の予防効果のほどは疑わしいのではないだろうか.もっとも,そんなことはどうであれ,痴呆症の薬や健康食品が売れればそれでいいのがテレビ業界なのだろう.テレビ番組を見るのは構わないが,見るだけでなく考えることも忘れないでほしいものだ.

 
はいポーズ
まだ水曜日だというのに外来で疲れてしまった.
今朝も天気が良くて散歩に出かけた.桜はほぼ満開になっていたが,午後から天気がくずれたのでもう散ってしまったのかもしれない.
今回登場のリス君はまだ子供なのか体が小さくて警戒心もあまりないようだ.
こんなに近くで写真を撮らせてくれるなんて.どうもありがとう.
かわいい仕草を見せてもらって仕事で疲れた心を癒しましょう.
■1■回す人5人を最初に書いておく。
パス
■2■お名前は?
脳外科医
■3■おいくつですか?
35から年齢を意識するのはやめた.
■4■ご職業は?
脳外科医
■5■ご趣味は?
現在は散歩写真とブログ
■6■好きな異性のタイプ
清潔.誠実.優しい.クール.質素.賢い.控え目.大人.の女性.
■7■特技は?
不要な記憶を意識から消し去ること.
■8■資格はなにか持ってますか?
持っていて役立つのは普通免許,医師免許だけ
■9■悩みは何かありますか?
悩まないで合理的に決断して行動するようにしている.
■10■お好きな食べ物とお嫌いな食べ物は?
好きな食べ物:和食,家庭料理
嫌いな食べ物:食べ放題の焼き肉,外食はもう飽きた.
■11■あなたが愛する人へ一言
細かいことで神経をすり減らして健康を損なわないこと.
■12■回す人5名指名すると同時にその人の他者紹介を簡単にお願いします。
パス
おだやかな日に
桜が咲いて天気もよくて公園は花見客で混雑.昨朝も散歩に出た.
公園はゴミだらけでカラスが残飯に群れている.カラスも人と同じように都会で生きるのに必死なのだろう.そして花見の席取り係の人がその先のビニールシートでごろ寝している.そこまでして花見をするのは仕事だからなのだろうか.

そんなことは関係ないとでも言わんばかりに凛と咲くさくら.
おだやかな日々に美しいものだけ見て生きてゆきたいものです.
動物園で考える
『 -- ホッキョクグマ、カバも絶滅危惧種に-多様性維持へ協力訴え-国際自然保護連合 --

 世界各国の政府や非政府組織(NGO)、科学者で組織する国際自然保護連合(IUCN、本部スイス)は2日、絶滅が危惧(きぐ)される動植物リストの2006年版を発表した。今年は前年比3.4%増の1万6119種を掲載。ホッキョクグマ、カバなどが新たに含まれた。
 ホッキョクグマは、地球温暖化の影響で北極海の氷が解け、餌となるアザラシの捕獲が困難となっており、今後45年間で30%以上も減少すると懸念されている。カバは1994年に世界2位の3万頭が生息していたコンゴ(旧ザイール)で、密猟により95%も減少した。
 IUCNは「生物の多様性は急速に脅かされているが、関係者が幅広く協力すれば、この傾向を止めることができる」と訴えている。 』

 かわいいホッキョクグマの赤ちゃん(生後5ヶ月?)であるが,すでに絶滅危惧種である.かけがいのない地球とか生命とかいいながらも自然破壊をしないと生きていけないかのような人間.子供のころに比べるとこのまちの身近な自然も随分少なくなった.そして動物園で仕事や生活だけの毎日に気づく.それではここの動物たちと同じではないか.

皆さま今週もご苦労様でした.
残りのお休みも海や山,そして車の事故に気をつけてください.
『 -- 副作用情報、医師から直接 薬害防止へ厚労省収集 新薬で市販後半年間 安全対策迅速化狙う --

 厚生労働省は2日までに、副作用が起きる危険性が高い新薬について、健康被害の発生や製造販売業者による薬害防止対策の実施状況を、市販から半年にわたって医師から直接、情報収集する取り組みを始めた。

 従来、副作用の発生など市販後の調査は、薬の製造販売業者が医師らから情報を集め、厚労省に報告することになっている。国が主体となった定点観測が加わることで、薬の緊急使用中止や添付文書改訂などの安全対策を迅速に実施できる。また、業者の市販後調査が妥当かどうかもチェックしやすくなるという。

 新制度の対象は、新たに承認された薬のうち(1)似た化学構造や作用を持つものがない(2)全症例での使用成績調査が承認条件とされた(3)国内の臨床試験(治験)が50症例未満と少なく、主に海外の治験データで承認されたか、欧米主要国で未発売-のいずれかに該当する医薬品。

 専門家の意見を参考に年間5品目程度を選び、相当量の使用が見込める担当医を大学病院や診療所から薬ごとに5?6人選ぶ。

 担当医は、副作用の発生のほか、副作用を防ぐための肝機能や心電図の検査などの注意事項を業者が病院に情報提供しているかどうかや、こうした対策を病院側が守っているかどうかについて、月に1回以上、厚労省に報告する。

 医薬品による副作用は、赤ちゃんに薬害を起こしたサリドマイドや、スモンの原因となった整腸剤キノホルム、多くの死者が出ている肺がん治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)など後を絶たない。』

 厚生労働省は安全対策に前向きなように見えるが,果たしてそうなのだろうか.ここで注目すべき点は対象が新薬で市販後半年に限るということである.こんな短期間で副作用のデータが出てくる新薬などまずあり得ない.もし,あったとしたら市販前に治験をやる意味などないだろう.だから聞こえはいいが実効性は疑わしい.

 それなのに.副作用の例としてサリドマイドや、キノホルム、イレッサを挙げているのがマスコミの副作用に対する認識の低さを表しているようで情けない.マスコミが批判的な目で国民の安全を考えるのではなく,厚生労働省のPRをするのだったらどこかの公共放送と同じだろう.最近のニュースには,まるで素人のブログと同じかそれ以下の内容の報道が多いような気がするのは私だけだろうか.

 私は安全性や効果について納得できなければ新薬は使わない主義なので1年ぐらいは様子をみることが多い.昔は製薬会社に接待されると使わないと悪いような気がしたこともあったが,最近は接待されても平気で放置しておくことが多くなった.新薬を自分の患者さんで試してみるよりは,問題が少なくて効果がありそうなことがわかってから使うほうがいいと思っている.

 しかし,最近のジェネリック医薬品については私があまり使いたくなくとも患者さんが希望すれば処方を断れなくなってきている.理由はお金がかからないからなのだが,なにせ今まで使ったことがないものが多いので,副作用がどうなのかはわからない.厚生労働省が医療費削減のために処方を奨励しているようだし,マスコミも安いと宣伝するしで,外来でジェネリックを希望される患者さんが増えてきている.世の流れと言えばそれまでだが,それでいいのだろうか.

 以前も脳賦活剤と言われ効果がなかったり,副作用のため消滅していった薬品群を経験している私としては,一品目づつ医薬品としての効果や副作用が検証されていないジェネリック医薬品を信用する気になれないのだ.もし,製造工程で不純物でも混じっていたらどうなるのか.効果や副作用が正規品と比べて本当に差がないのか.

 結局,ジェネリック医薬品は患者が選んで使用するのだから患者と製造業者が責任を持てばいいということなのだろうか.メーカー品と同等ということが前提なので厚生労働省は問題があれば製造者の責任にするだけだろう.処方する医師としては効果や副作用についてなにも情報がないのだから「ジェネリック医薬品についてはすべて免責」ということなら喜んで使わせていただきたいのだがどうだろうか.
『 -- 手術で感染し死亡と提訴 --

 愛媛県八幡浜市の市立八幡浜総合病院で手術を受けた男性=当時(55)=が感染症を併発して死亡したのは、医師らが感染予防や術後の適切な処置を怠ったためなどとして、遺族が市に対し約6000万円の損害賠償を求める訴訟を松山地裁に起こした。

 訴状によると、男性は2005年4月、同病院でぼうこうがんと診断され摘出手術を受けた。術後翌日から、高熱や切開部の化膿(かのう)などの症状が出始め、約2週間後、感染症の壊死(えし)性筋膜炎を併発し死亡した。

 遺族は「手術中の消毒や術後管理などが不十分で開口部から細菌に感染したとみられ、診断と治療も遅れた」と主張している。

 病院側は「医療ミスがあったとは考えていない。裁判で主張を明らかにしたい」としている。』

 亡くなった患者さんには大変お気の毒な話であるが,手術前に合併症として感染のリスクがあるということを聞いていなかったのであろうか.こういう話は以前にもあったが,術後の感染症に限らず治療の合併症で命を落とすことが理解できないような家族がいる患者さんには今後はリスクの高い医療は提供されなくなるだろう.医療者側にとっても患者側にとっても安全性の高い治療が選択され,結果的にがん患者さんの生存期間が短かくなったとしてもそれは仕方がないことだろう.

 患者さんが手術の合併症で死亡して,その金銭的賠償を求めるのは最近では珍しいことではない.お金が目当てなのかもしれないし,担当医や病院に復讐したいのかもしれない.主張をするのはよいが,これを医療ミスだというのならきちんと科学的に因果関係を証明して欲しいと思うのは私だけではないだろう.もちろん,手術の適応があったかどうかを含めて病院や医師の判断が妥当であったかも多くの医師の意見を聞いて検証されるべきである.

 などと理想を述べてはみたが,科学的に証明することは実際にはかなり難しく時間もお金もかかることだろう.おまけに裁判で病院や医師が勝っても何も得るものはない,そもそも患者本人が死亡しているのに遺族と争う事になんの意味があるのだろうか.手術ごとに損害賠償保険を任意でかけて,その分を治療費に上乗せするのでなければそもそも感染症や出血のリスクが高いがん患者の手術はお断りしたいというのが病院側の本音ではないだろうか.だから病院側にとってハイリスクでローリターンな外科が産婦人科と同じ運命をたどる可能性もある.

 外科系診療科が生き残るためにはどうしたらよいのだろうか.今後,こういった訴訟が流行することにより術後合併症による死亡率はおそらく低下すると思われる.そして少なくとも医療訴訟に対抗する医療者側の意識や技術は確実に進歩することだろう.しかし,これを医学の進歩と素直に言える医師はどこにいるのだろうか.
よろしくね!
 今朝は桜の開花状況を確かめに公園へ散歩に出た.残念ながらまだだったが,今年初めてリスを見かけた.いっしょうけんめいに餌を探している様子.
 別に邪魔する気はないんだけれど,これからも時々は朝の散歩で写真を撮らせてもらうからよろしくね.

皆さま今週もご苦労様でした.
明日から連休ですが,くれぐれも事故に遭わないよう気をつけてお出かけください.

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