いつかはこうなる
2005年10月15日『--約2800万円の賠償命じる 函館赤十字病院のミス認定--
北海道の函館赤十字病院で受けた動脈瘤(りゅう)の手術で全身まひなどの後遺症が出たとして、福岡市の女性(56)とその夫が、病院を管理する日本赤十字社(東京都)に約9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、函館地裁の大久保正道(おおくぼ・まさみち)裁判長は13日、日赤に約2800万円の支払いを命じた。
大久保裁判長は判決理由で「医師が動脈瘤の破裂の危険性を十分に認識せず、止血対策を十分に整えることをしなかった」と病院側のミスを指摘。減額の理由については「本件手術以外にもくも膜下出血をしており、被告のミスがなくても後遺症があった可能性が高い」と述べた。
判決によると、2000年1月、北海道上磯町に住んでいた女性は激しい頭痛で函館赤十字病院に入院。くも膜下出血のため手術を受けたが、手術中の動脈瘤破裂などによる大量出血で脳障害が起き、全身のまひや意識障害などの後遺症が出た。
同病院は「判決文をよく読んで、今後の対応を決めたい」と話している。』
「医師が動脈瘤の破裂の危険性を十分に認識せず、止血対策を十分に整えることをしなかった」というのはちょっと信じられないことである.脳動脈瘤の手術をする脳外科医が破裂のリスクを知らないわけはないし,出血に対する準備をできるかぎりするのは常識である.手術前に家族に説明し同意を得る際にも必ず破裂と出血のリスクの説明がなされるはずであるが,それを怠っていたのであろうか.
それと止血対策といっても破裂した動脈瘤の親血管を止血のために閉塞させれば脳梗塞を起す可能性もあるのである.だから止血ができても結果的に大きな後遺障害を起す可能性もある.要するに破裂した際には可能なかぎりの処置を施しても重大な結果になることが避けられない場合があることは脳外科医なら誰でも知っていることである.
刑事訴訟でないだけましではあるが,2800万円の賠償額が適当かどうかは意見がわかれるところであろう.ちなみに脳動脈瘤の手術の技術料は68万円程度である.破裂脳動脈瘤は初回の破裂で約50%が死亡するといわれる.残り50%のうち半分の約25%が社会復帰できるとしても残り25%の患者さんは後遺障害で苦しむわけである.もちろん不幸にして寝たきりになってしまう患者さんもその中にいるわけである.
仮に手術した患者さんの5%が寝たきりになったとして,その家族が手術の結果だけで同様の訴訟を起したらどうなるであろうか.動脈瘤が1個X68万円X19例=1292万円.損害賠償1例X2800万円.これではいずれ手術する病院はなくなり脳外科医になる医師は激減し脳外科の治療レベルも低下するだろう.
これなら損害賠償分の保険料を診療報酬に上乗せするか,もしくは手術の結果に補償をもとめる場合は自由診療とするのでなければ成り立たないだろう.それでも金銭的な問題は緩和されても執刀医が刑事訴訟に巻き込まれるリスクは避けられないのである.脳外科医である以上,脳動脈瘤の患者を救命するためにしたことで訴えられることが避けられないとしたら脳外科医にも救済処置が欲しいと考えるのはいけないことであろうか.
北海道の函館赤十字病院で受けた動脈瘤(りゅう)の手術で全身まひなどの後遺症が出たとして、福岡市の女性(56)とその夫が、病院を管理する日本赤十字社(東京都)に約9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、函館地裁の大久保正道(おおくぼ・まさみち)裁判長は13日、日赤に約2800万円の支払いを命じた。
大久保裁判長は判決理由で「医師が動脈瘤の破裂の危険性を十分に認識せず、止血対策を十分に整えることをしなかった」と病院側のミスを指摘。減額の理由については「本件手術以外にもくも膜下出血をしており、被告のミスがなくても後遺症があった可能性が高い」と述べた。
判決によると、2000年1月、北海道上磯町に住んでいた女性は激しい頭痛で函館赤十字病院に入院。くも膜下出血のため手術を受けたが、手術中の動脈瘤破裂などによる大量出血で脳障害が起き、全身のまひや意識障害などの後遺症が出た。
同病院は「判決文をよく読んで、今後の対応を決めたい」と話している。』
「医師が動脈瘤の破裂の危険性を十分に認識せず、止血対策を十分に整えることをしなかった」というのはちょっと信じられないことである.脳動脈瘤の手術をする脳外科医が破裂のリスクを知らないわけはないし,出血に対する準備をできるかぎりするのは常識である.手術前に家族に説明し同意を得る際にも必ず破裂と出血のリスクの説明がなされるはずであるが,それを怠っていたのであろうか.
それと止血対策といっても破裂した動脈瘤の親血管を止血のために閉塞させれば脳梗塞を起す可能性もあるのである.だから止血ができても結果的に大きな後遺障害を起す可能性もある.要するに破裂した際には可能なかぎりの処置を施しても重大な結果になることが避けられない場合があることは脳外科医なら誰でも知っていることである.
刑事訴訟でないだけましではあるが,2800万円の賠償額が適当かどうかは意見がわかれるところであろう.ちなみに脳動脈瘤の手術の技術料は68万円程度である.破裂脳動脈瘤は初回の破裂で約50%が死亡するといわれる.残り50%のうち半分の約25%が社会復帰できるとしても残り25%の患者さんは後遺障害で苦しむわけである.もちろん不幸にして寝たきりになってしまう患者さんもその中にいるわけである.
仮に手術した患者さんの5%が寝たきりになったとして,その家族が手術の結果だけで同様の訴訟を起したらどうなるであろうか.動脈瘤が1個X68万円X19例=1292万円.損害賠償1例X2800万円.これではいずれ手術する病院はなくなり脳外科医になる医師は激減し脳外科の治療レベルも低下するだろう.
これなら損害賠償分の保険料を診療報酬に上乗せするか,もしくは手術の結果に補償をもとめる場合は自由診療とするのでなければ成り立たないだろう.それでも金銭的な問題は緩和されても執刀医が刑事訴訟に巻き込まれるリスクは避けられないのである.脳外科医である以上,脳動脈瘤の患者を救命するためにしたことで訴えられることが避けられないとしたら脳外科医にも救済処置が欲しいと考えるのはいけないことであろうか.
『---遺伝子情報を使用せず 採用、保険加入でIBM---
米コンピューター大手IBMは10日、特定の病気へのかかりやすさを知る手掛かりとなる遺伝子情報を、新規社員を採用する際の判断材料などとして使用しない方針を発表した。米大手企業としてこうした方針を明言したのは初めてとみられる。ロイター通信が伝えた。
血液などの遺伝子を精密分析することで得られる遺伝子情報が雇用や昇進に悪影響を及ぼす「遺伝子差別」への懸念が増す中、IBMの決定は遺伝子分野でのプライバシー問題と企業活動の関係をめぐる議論に影響を与えそうだ。
発表によると、IBMは新規社員採用時に加え、現社員についても健康保険加入などの適性検査で遺伝子情報は一切使用しない。担当者は「遺伝子情報は個人の特性をほぼ決定する情報ではあるが、会社への貢献やチームワークなど社員としての資質とは何の関係もない」と同通信に話した。
米メディアによると、潜在的に病気になる可能性のある社員を特定することで、社員の健康管理に役立ち、健康保険料の企業側負担を減らすことができるとして、一部の企業が入社希望者を対象とした遺伝子診断の実施を検討。
既に社員の遺伝子情報を収集、管理する請負業務をビジネス化する動きも見られるが、「究極のプライバシー」とされる遺伝子情報を企業が利用することへの反発は強く、第三者に情報が漏えいする可能性も指摘されている。』
日本ではまだあまり一般的な話ではないが,今後ジーンチップの普及とともに遺伝子診断は一般化すると思われる.これが純粋に予防医学や治療に利用されるのなら問題ない.その場合,得られた情報は医師と患者のみが知ることで医師には守秘義務があるから外部に漏れる心配もない.
問題はこれら情報を医療目的以外で使用することに法的な規制をかけられるかどうかであろう.遺伝子の研究がさらに進みこれら情報が企業に漏れればあらゆる点で新たな差別が生まれることは明白であろう.特に保険料不払いで問題になるほど保険料を払いたくないわが国の保険会社や社員の医療費で会社が傾いてしまった米国のGMのような会社では利益追求のための手段として利用できるなら是非欲しい情報だろう.
わが国も医療費を減らすことに躍起になっているのが現状で,すでに手段を選ばない状態になっているようだが,究極の個人情報である遺伝子情報を企業の手にゆだねるようなバカな真似だけはやめて欲しいものだ.
米コンピューター大手IBMは10日、特定の病気へのかかりやすさを知る手掛かりとなる遺伝子情報を、新規社員を採用する際の判断材料などとして使用しない方針を発表した。米大手企業としてこうした方針を明言したのは初めてとみられる。ロイター通信が伝えた。
血液などの遺伝子を精密分析することで得られる遺伝子情報が雇用や昇進に悪影響を及ぼす「遺伝子差別」への懸念が増す中、IBMの決定は遺伝子分野でのプライバシー問題と企業活動の関係をめぐる議論に影響を与えそうだ。
発表によると、IBMは新規社員採用時に加え、現社員についても健康保険加入などの適性検査で遺伝子情報は一切使用しない。担当者は「遺伝子情報は個人の特性をほぼ決定する情報ではあるが、会社への貢献やチームワークなど社員としての資質とは何の関係もない」と同通信に話した。
米メディアによると、潜在的に病気になる可能性のある社員を特定することで、社員の健康管理に役立ち、健康保険料の企業側負担を減らすことができるとして、一部の企業が入社希望者を対象とした遺伝子診断の実施を検討。
既に社員の遺伝子情報を収集、管理する請負業務をビジネス化する動きも見られるが、「究極のプライバシー」とされる遺伝子情報を企業が利用することへの反発は強く、第三者に情報が漏えいする可能性も指摘されている。』
日本ではまだあまり一般的な話ではないが,今後ジーンチップの普及とともに遺伝子診断は一般化すると思われる.これが純粋に予防医学や治療に利用されるのなら問題ない.その場合,得られた情報は医師と患者のみが知ることで医師には守秘義務があるから外部に漏れる心配もない.
問題はこれら情報を医療目的以外で使用することに法的な規制をかけられるかどうかであろう.遺伝子の研究がさらに進みこれら情報が企業に漏れればあらゆる点で新たな差別が生まれることは明白であろう.特に保険料不払いで問題になるほど保険料を払いたくないわが国の保険会社や社員の医療費で会社が傾いてしまった米国のGMのような会社では利益追求のための手段として利用できるなら是非欲しい情報だろう.
わが国も医療費を減らすことに躍起になっているのが現状で,すでに手段を選ばない状態になっているようだが,究極の個人情報である遺伝子情報を企業の手にゆだねるようなバカな真似だけはやめて欲しいものだ.
『--横浜市に1億円賠償命令 救急医療施設で診察ミス--
横浜市救急医療センター(同市中区)の診察ミスが原因で長男(10)の全身にまひが残ったとして、両親らが約2億1800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は29日、市と小児科医に1億円と介護費用などとして月々30万-50万円を今後支払うよう命じた。
小林正(こばやし・ただし)裁判長は判決理由で「小児科医は気道閉塞(へいそく)を起こす恐れがある急性喉頭蓋(こうとうがい)炎に気付き、適切な対応を取るべきだったのに怠った」と診察ミスを認めた。
判決によると、長男は4歳だった1999年3月「のどが苦しい」と訴え受診。長男は急性喉頭蓋炎の疑いがあったが、小児科医は見過ごし、薬を処方して診察を終えた。長男は翌日未明、一時呼吸停止となり病院に運ばれ、全身まひの後遺症を負った。
横浜市医療政策課は「判決をよく読み、対応を決めたい」としている。』
『--救急医療センターの深夜診療を廃止--
横浜市は十五日、同市中区の市救急医療センター(桜木町夜間急病センター)で午前零時〜翌朝六時までの深夜帯における診療をとりやめる方針を明らかにした。一方で、市内の方面別に毎日の深夜帯に患者を受け入れる「基幹病院」を整備し救急医療の充実を図るとしている。小児救急のあり方が問われる中、同日の市会定例会では議員から同センターの方向性や、初期救急のあり方をめぐり質問が相次いだ。
一九八一年に開設した同センターは、深夜帯に初期救急患者を受け入れる市内唯一の施設。午後八時から翌朝六時まで、内科・小児科の患者を受け付ける夜間救急の要だ。
しかし入院設備がないことから、午前零時以降に入院・転送が必要な重症患者の割合が高くなる実態に、対応しきれない状況があった。さらに近年では小児科専門医の確保が困難な状況で、乳幼児を持つ親のニーズに応えられないことも課題だった。
同市は重症者に迅速・的確な対応を図るため、小児救急拠点病院を中心に、深夜帯の内科・小児科の初期救急を担当する「基幹病院」構想を提案。市内の方面別に六カ所以上整備する。市民への周知期間を設け、来年四月からの実施を目指すという。
同日の定例会では指定管理者の導入に先立ち診療時間を変更すると提案。質問に立った議員からは「関係団体や各病院の合意形成はできているのか」「複数の基幹病院で対応することで運営経費はどうなるのか」「深夜帯診療の廃止で市民サービスの低下を招かないか」など市民生活に直結した救急医療の方向性を探る質問が相次いだ。 』
夜間救急で内科・小児科をやっている医師の本音は小児の夜間診療はお断りということだろう.急性喉頭蓋炎で今にも窒息というのを見逃したのならわかるが,急変して気道閉塞を起こす恐れに対する適切な処置とは何であろうか.念のため耳鼻科に紹介しておけばよかったなどというのなら「のどが苦しい」だけですべて転送するのがいいのだろうか.
結果的に不幸な転帰をとったので診察した医師を訴えるという訴訟が増える中で,医師側がこのようなトラブルに巻き込まれたくなければもっとも単純な答えは「夜間救急患者お断り」ということであろう.病院としても救急医療などは人手が要る割りに診療報酬が低く割が合わないのでやめたいのが本音だろう.
救急医療を充実させるといっても自分の都合で日中は受診せずに夜間に救急車をタクシー代わりにするような患者が深夜営業のコンビニに行くような感覚でやってくるのでは救急当番医のストレスは増すばかりだろう.救急医療自体が不幸な転帰をとってしまうのではないかと心配しているのは私だけだろうか.
横浜市救急医療センター(同市中区)の診察ミスが原因で長男(10)の全身にまひが残ったとして、両親らが約2億1800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は29日、市と小児科医に1億円と介護費用などとして月々30万-50万円を今後支払うよう命じた。
小林正(こばやし・ただし)裁判長は判決理由で「小児科医は気道閉塞(へいそく)を起こす恐れがある急性喉頭蓋(こうとうがい)炎に気付き、適切な対応を取るべきだったのに怠った」と診察ミスを認めた。
判決によると、長男は4歳だった1999年3月「のどが苦しい」と訴え受診。長男は急性喉頭蓋炎の疑いがあったが、小児科医は見過ごし、薬を処方して診察を終えた。長男は翌日未明、一時呼吸停止となり病院に運ばれ、全身まひの後遺症を負った。
横浜市医療政策課は「判決をよく読み、対応を決めたい」としている。』
『--救急医療センターの深夜診療を廃止--
横浜市は十五日、同市中区の市救急医療センター(桜木町夜間急病センター)で午前零時〜翌朝六時までの深夜帯における診療をとりやめる方針を明らかにした。一方で、市内の方面別に毎日の深夜帯に患者を受け入れる「基幹病院」を整備し救急医療の充実を図るとしている。小児救急のあり方が問われる中、同日の市会定例会では議員から同センターの方向性や、初期救急のあり方をめぐり質問が相次いだ。
一九八一年に開設した同センターは、深夜帯に初期救急患者を受け入れる市内唯一の施設。午後八時から翌朝六時まで、内科・小児科の患者を受け付ける夜間救急の要だ。
しかし入院設備がないことから、午前零時以降に入院・転送が必要な重症患者の割合が高くなる実態に、対応しきれない状況があった。さらに近年では小児科専門医の確保が困難な状況で、乳幼児を持つ親のニーズに応えられないことも課題だった。
同市は重症者に迅速・的確な対応を図るため、小児救急拠点病院を中心に、深夜帯の内科・小児科の初期救急を担当する「基幹病院」構想を提案。市内の方面別に六カ所以上整備する。市民への周知期間を設け、来年四月からの実施を目指すという。
同日の定例会では指定管理者の導入に先立ち診療時間を変更すると提案。質問に立った議員からは「関係団体や各病院の合意形成はできているのか」「複数の基幹病院で対応することで運営経費はどうなるのか」「深夜帯診療の廃止で市民サービスの低下を招かないか」など市民生活に直結した救急医療の方向性を探る質問が相次いだ。 』
夜間救急で内科・小児科をやっている医師の本音は小児の夜間診療はお断りということだろう.急性喉頭蓋炎で今にも窒息というのを見逃したのならわかるが,急変して気道閉塞を起こす恐れに対する適切な処置とは何であろうか.念のため耳鼻科に紹介しておけばよかったなどというのなら「のどが苦しい」だけですべて転送するのがいいのだろうか.
結果的に不幸な転帰をとったので診察した医師を訴えるという訴訟が増える中で,医師側がこのようなトラブルに巻き込まれたくなければもっとも単純な答えは「夜間救急患者お断り」ということであろう.病院としても救急医療などは人手が要る割りに診療報酬が低く割が合わないのでやめたいのが本音だろう.
救急医療を充実させるといっても自分の都合で日中は受診せずに夜間に救急車をタクシー代わりにするような患者が深夜営業のコンビニに行くような感覚でやってくるのでは救急当番医のストレスは増すばかりだろう.救急医療自体が不幸な転帰をとってしまうのではないかと心配しているのは私だけだろうか.
『--「首相の靖国参拝は違憲」大阪高裁判決、賠償は認めず--
小泉首相の靖国神社参拝をめぐる違憲訴訟の控訴審判決に臨むため、大阪高裁に入る原告団=30日午前9時42分、大阪市北区で
01年から03年にかけての3度にわたる小泉純一郎首相の靖国神社参拝で精神的苦痛を受けたとして、台湾人116人を含む計188人が、国と小泉首相、靖国神社に1人あたり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。大谷正治裁判長は、参拝が首相の職務として行われたとしたうえで、「国内外の強い批判にもかかわらず、参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え、特定宗教を助長している」として、憲法の禁じる宗教的活動にあたると認めた。一方で、信教の自由などの権利が侵害されたとは言えないとして、原告らの控訴を棄却した。
小泉首相の靖国参拝をめぐる訴訟の判決は、全国の6地裁と2高裁で計9件言い渡されており、いずれも賠償請求を退けている。このうち昨年4月の福岡地裁判決が違憲判断を示したが、高裁の違憲判断は初めて。過去には中曽根康弘元首相の靖国神社公式参拝について、大阪高裁が違憲の疑いがあるとする判決を出している。
今回の訴訟の対象になったのは、小泉首相の昨年までの4回の参拝のうち、01年8月13日、02年4月21日、03年1月14日に行ったもの。
判決はまず、参拝が首相の職務にあたるかを検討。公用車を使用し首相秘書官を伴っていた▽公約の実行としてなされた▽小泉首相が私的参拝と明言せず、公的立場を否定していなかったこと――などから、「内閣総理大臣の職務と認めるのが相当」と判断した。
さらに、3度にわたって参拝し、1年に1度の参拝をする意志を表明するなど参拝実施の意図が強固だったと認定。「国と靖国神社の間にのみ意識的に特別にかかわり合いを持ち、一般人に国が靖国神社を特別に支援している印象を与えた」とした。
そのうえで、参拝の効果について「特定の宗教に対する助長、促進になると認められ、我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超える」として、憲法20条3項の禁止する宗教的活動にあたると結論づけた。
一方で、首相の参拝が原告らに対して靖国神社への信仰を奨励したり、その祭祀(さい・し)に賛同するよう求めたりしたとは認められないと指摘。原告らの権利や利益は侵害されていないと判断し、損害賠償請求は一審に続いて退けた。
訴訟は、台湾立法院議員で原住民族「タイヤル族」の高金素梅さん(40)らが参加し、03年2月に起こされた。原住民族の中には第2次大戦中に日本軍のもとで戦った戦没者の遺族も含まれ、「日本の植民地支配で被害を被っており、戦前日本の精神的支柱である靖国神社への首相の参拝で苦痛を受けた」などと主張した。
昨年5月の一審・大阪地裁判決は、首相が3回の参拝で公用車を使ったり、秘書官を同行させたりした点について「緊急事態や警備のため」と指摘し、首相の職務行為に当たらないと判断。参拝で原告らが不利益を被ったとは言えないとして、憲法判断に踏み込まないまま原告の請求を棄却した。原告はこれを不服として控訴していた。
靖国神社は「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出した。 』
政教分離は価値観が多様化した現代には当然のことと思われる.小泉首相はこの判決を「する必要のない憲法判断をしている」と言ったそうだが,国家のためには必要もない参拝を頑固に続けるのも首相であるから説得力はない.
そもそも靖国神社に祀る,祀られたと言い争うが死者にとって何の意味があるのだろうか.人間は死ねば肉体はなくなり,その人の記憶でさえいずれ人々から消え去るものなのである.ましてや宗教が世の中を改善することなどあるのであろうか.宗教が人間の精神の糧となり行動によい影響を与えることもあるかもしれないが,一方には宗教が紛争の種になり続けているという現実がある.
ひとには宗教が必要であるにしても同時にそれは悪でもあることを理解できれば異なる宗教に寛容にもなれるのだろうが,教義がそれを拒むのであろう.靖国神社が「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出すのもおそらく神社が国の宗教であることを自認しているからなのではないだろうか.
他人の価値観を頑固に認めなければ喧嘩になるのは個人でも国家でも同じことであろう.小泉首相も今年の阪神ファンのように少しは大人になって道頓堀川に飛び込むようなまねはやめてもいいような気もするが,確固たる思い込みがなければ政治家になんてなれないだろうからやはり参拝は中止しないとみるべきなのだろうか.
小泉首相の靖国神社参拝をめぐる違憲訴訟の控訴審判決に臨むため、大阪高裁に入る原告団=30日午前9時42分、大阪市北区で
01年から03年にかけての3度にわたる小泉純一郎首相の靖国神社参拝で精神的苦痛を受けたとして、台湾人116人を含む計188人が、国と小泉首相、靖国神社に1人あたり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。大谷正治裁判長は、参拝が首相の職務として行われたとしたうえで、「国内外の強い批判にもかかわらず、参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え、特定宗教を助長している」として、憲法の禁じる宗教的活動にあたると認めた。一方で、信教の自由などの権利が侵害されたとは言えないとして、原告らの控訴を棄却した。
小泉首相の靖国参拝をめぐる訴訟の判決は、全国の6地裁と2高裁で計9件言い渡されており、いずれも賠償請求を退けている。このうち昨年4月の福岡地裁判決が違憲判断を示したが、高裁の違憲判断は初めて。過去には中曽根康弘元首相の靖国神社公式参拝について、大阪高裁が違憲の疑いがあるとする判決を出している。
今回の訴訟の対象になったのは、小泉首相の昨年までの4回の参拝のうち、01年8月13日、02年4月21日、03年1月14日に行ったもの。
判決はまず、参拝が首相の職務にあたるかを検討。公用車を使用し首相秘書官を伴っていた▽公約の実行としてなされた▽小泉首相が私的参拝と明言せず、公的立場を否定していなかったこと――などから、「内閣総理大臣の職務と認めるのが相当」と判断した。
さらに、3度にわたって参拝し、1年に1度の参拝をする意志を表明するなど参拝実施の意図が強固だったと認定。「国と靖国神社の間にのみ意識的に特別にかかわり合いを持ち、一般人に国が靖国神社を特別に支援している印象を与えた」とした。
そのうえで、参拝の効果について「特定の宗教に対する助長、促進になると認められ、我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超える」として、憲法20条3項の禁止する宗教的活動にあたると結論づけた。
一方で、首相の参拝が原告らに対して靖国神社への信仰を奨励したり、その祭祀(さい・し)に賛同するよう求めたりしたとは認められないと指摘。原告らの権利や利益は侵害されていないと判断し、損害賠償請求は一審に続いて退けた。
訴訟は、台湾立法院議員で原住民族「タイヤル族」の高金素梅さん(40)らが参加し、03年2月に起こされた。原住民族の中には第2次大戦中に日本軍のもとで戦った戦没者の遺族も含まれ、「日本の植民地支配で被害を被っており、戦前日本の精神的支柱である靖国神社への首相の参拝で苦痛を受けた」などと主張した。
昨年5月の一審・大阪地裁判決は、首相が3回の参拝で公用車を使ったり、秘書官を同行させたりした点について「緊急事態や警備のため」と指摘し、首相の職務行為に当たらないと判断。参拝で原告らが不利益を被ったとは言えないとして、憲法判断に踏み込まないまま原告の請求を棄却した。原告はこれを不服として控訴していた。
靖国神社は「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出した。 』
政教分離は価値観が多様化した現代には当然のことと思われる.小泉首相はこの判決を「する必要のない憲法判断をしている」と言ったそうだが,国家のためには必要もない参拝を頑固に続けるのも首相であるから説得力はない.
そもそも靖国神社に祀る,祀られたと言い争うが死者にとって何の意味があるのだろうか.人間は死ねば肉体はなくなり,その人の記憶でさえいずれ人々から消え去るものなのである.ましてや宗教が世の中を改善することなどあるのであろうか.宗教が人間の精神の糧となり行動によい影響を与えることもあるかもしれないが,一方には宗教が紛争の種になり続けているという現実がある.
ひとには宗教が必要であるにしても同時にそれは悪でもあることを理解できれば異なる宗教に寛容にもなれるのだろうが,教義がそれを拒むのであろう.靖国神社が「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出すのもおそらく神社が国の宗教であることを自認しているからなのではないだろうか.
他人の価値観を頑固に認めなければ喧嘩になるのは個人でも国家でも同じことであろう.小泉首相も今年の阪神ファンのように少しは大人になって道頓堀川に飛び込むようなまねはやめてもいいような気もするが,確固たる思い込みがなければ政治家になんてなれないだろうからやはり参拝は中止しないとみるべきなのだろうか.
『--アーチェリー山本 6連覇かかった国体に出場できず--
アテネ五輪男子アーチェリー銀メダルの山本博(埼玉・大宮開成高教)が、チームを組む他の選手の登録ミスから個人で6連覇のかかる岡山国体に参加出来なくなったことが27日分かった。3人1組の埼玉チームの1人が、一昨年の静岡国体に出身地の佐賀から出場。違う県から代表になる場合には2大会、間を空けなければならない規約があり、チーム全体の出場が取り消しになった。 』
高校野球ではレギュラーでない部員の不祥事でも甲子園に行けなくなる.それでさえも私としては納得できない部分もあるのだが,国体の規約というのも連帯責任の考え方なのだろうか.
山本選手といえば学生時代に聞いた名前であったが,アテネ五輪でも大活躍したので私はなぜか大変嬉しかったのである.だから個人記録のかかった試合に出られないのは大変残念だ.
甲子園の1回欠場も人生で大きな意味をもつのでチームの不祥事で出場できない高校球児も大変かわいそうだが,選手生活も終盤に近いであろう山本選手には特に同情を禁じえないのである.別に五輪メダリストだからではなくスポーツに人生を賭けてきた者に対する尊敬の念からであるが何とかならないものだろうか.
これに比べると『結核の入院命令を拡大解釈した通知を厚生労働省が16年ぶりに廃止した』件に対する厚生労働省結核感染症課の塚原太郎課長の「都道府県で結核対策に支障が出ることは理解しているが、新通知により違法状態は解消したという認識だ。法律に外れたことをやる自治体には補助金を出せないことになる。当時の資料が残っておらず、なぜ間違った通知を出したのかは分からない。良かれと思って出したと思う。法律の範囲内で対策が十分取れないなら、これまでに法律を変えるべきだったかもしれない。」というコメントは無責任な発言だ.自治体や医学会から批判が出るのは当然だろう.
要約すると--前任者がやったことなのでわからない.法律に従っただけだから現場が混乱しても仕方がない.法改正しなかった方が悪い.--というところだろうか.国民が知らないうちに行政指導で法律をねじ曲げておきながら誰も責任をとる必要がないのだから厚生官僚には恐れ入るしかない.連帯責任は無責任というのはこういう事を言うのであろう.好き勝手をやって失敗したらやり直せばいいというのは子供の理屈である.
アテネ五輪男子アーチェリー銀メダルの山本博(埼玉・大宮開成高教)が、チームを組む他の選手の登録ミスから個人で6連覇のかかる岡山国体に参加出来なくなったことが27日分かった。3人1組の埼玉チームの1人が、一昨年の静岡国体に出身地の佐賀から出場。違う県から代表になる場合には2大会、間を空けなければならない規約があり、チーム全体の出場が取り消しになった。 』
高校野球ではレギュラーでない部員の不祥事でも甲子園に行けなくなる.それでさえも私としては納得できない部分もあるのだが,国体の規約というのも連帯責任の考え方なのだろうか.
山本選手といえば学生時代に聞いた名前であったが,アテネ五輪でも大活躍したので私はなぜか大変嬉しかったのである.だから個人記録のかかった試合に出られないのは大変残念だ.
甲子園の1回欠場も人生で大きな意味をもつのでチームの不祥事で出場できない高校球児も大変かわいそうだが,選手生活も終盤に近いであろう山本選手には特に同情を禁じえないのである.別に五輪メダリストだからではなくスポーツに人生を賭けてきた者に対する尊敬の念からであるが何とかならないものだろうか.
これに比べると『結核の入院命令を拡大解釈した通知を厚生労働省が16年ぶりに廃止した』件に対する厚生労働省結核感染症課の塚原太郎課長の「都道府県で結核対策に支障が出ることは理解しているが、新通知により違法状態は解消したという認識だ。法律に外れたことをやる自治体には補助金を出せないことになる。当時の資料が残っておらず、なぜ間違った通知を出したのかは分からない。良かれと思って出したと思う。法律の範囲内で対策が十分取れないなら、これまでに法律を変えるべきだったかもしれない。」というコメントは無責任な発言だ.自治体や医学会から批判が出るのは当然だろう.
要約すると--前任者がやったことなのでわからない.法律に従っただけだから現場が混乱しても仕方がない.法改正しなかった方が悪い.--というところだろうか.国民が知らないうちに行政指導で法律をねじ曲げておきながら誰も責任をとる必要がないのだから厚生官僚には恐れ入るしかない.連帯責任は無責任というのはこういう事を言うのであろう.好き勝手をやって失敗したらやり直せばいいというのは子供の理屈である.
『日本は「豊かさ」で10位 寿命、医師数など国際比較
社会経済生産性本部が22日発表した2005年版「国民の豊かさの国際比較」によると、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の中で総合10位にランクされた。
平均寿命や医師数、高学歴率など56の指標を元に、各国の「豊かさ」を指標化し比べた。日本は前年調査より4つランクを上げたものの、世界第2の経済大国の実力と比べ、「豊かさ」が伴っていない実態があらためて浮かび上がった。
分野別で日本が上位だったのは、CO2排出量や自治体のごみ処理量などを比較した「環境」での4位。病院のベッド数や乳児死亡率などの「健康」は8位だった。
個別の指標では、平均寿命が1位で、15歳の生徒の科学力は2位。一方で人口1000人当たりの医師数(27位)や教師1人当たりの生徒数(26位)などの悪さが目立った。国民1人当たりの政府の累積債務では最下位となった。
総合1位はルクセンブルク、2位ノルウェー、3位スウェーデン。米国は12位、英国は19位、韓国は20位だった』
平均寿命や学力は高いのに医師数や教師の数が少ないということは医療と教育の効率は高いということだろう.だが,それは医師や教師にとっては労働環境が悪いということだ.低コストで医療や教育をするのは結構だが現場が荒廃してしまってはいずれレベルの低下をまねき現状維持は困難になるだろう.
現状で満足できるならいいが,国民1人当たりの政府の累積債務では最下位ということは借金で築いた豊かさということで破産したときにはすべてが無に帰すというのでは意味がないだろう.選挙で大勝した小泉首相はどちらに転んでも歴史に残る首相になるのだろうが,出来れば塀の内側に転んでほしいものである.
社会経済生産性本部が22日発表した2005年版「国民の豊かさの国際比較」によると、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の中で総合10位にランクされた。
平均寿命や医師数、高学歴率など56の指標を元に、各国の「豊かさ」を指標化し比べた。日本は前年調査より4つランクを上げたものの、世界第2の経済大国の実力と比べ、「豊かさ」が伴っていない実態があらためて浮かび上がった。
分野別で日本が上位だったのは、CO2排出量や自治体のごみ処理量などを比較した「環境」での4位。病院のベッド数や乳児死亡率などの「健康」は8位だった。
個別の指標では、平均寿命が1位で、15歳の生徒の科学力は2位。一方で人口1000人当たりの医師数(27位)や教師1人当たりの生徒数(26位)などの悪さが目立った。国民1人当たりの政府の累積債務では最下位となった。
総合1位はルクセンブルク、2位ノルウェー、3位スウェーデン。米国は12位、英国は19位、韓国は20位だった』
平均寿命や学力は高いのに医師数や教師の数が少ないということは医療と教育の効率は高いということだろう.だが,それは医師や教師にとっては労働環境が悪いということだ.低コストで医療や教育をするのは結構だが現場が荒廃してしまってはいずれレベルの低下をまねき現状維持は困難になるだろう.
現状で満足できるならいいが,国民1人当たりの政府の累積債務では最下位ということは借金で築いた豊かさということで破産したときにはすべてが無に帰すというのでは意味がないだろう.選挙で大勝した小泉首相はどちらに転んでも歴史に残る首相になるのだろうが,出来れば塀の内側に転んでほしいものである.
懲りない(無責任な?)人々
2005年9月23日 医療の問題『--手術数による報酬加算廃止 生存率向上と因果関係なし 厚労省、来年4月から--
厚生労働省は21日、来年4月の診療報酬改定で、一定数以上の手術件数を満たした病院に対する報酬加算を廃止する方針を固めた。同制度は医療の質を高めることを狙って導入されたが、手術件数と患者の生存率向上など治療成績との因果関係が見られないとする調査結果が発表され、制度の存在意義が薄れたと判断した。
制度は2002年4月、1年間に実施された手術数が一定数に満たない病院の手術料を3割減額する仕組みとしてスタート。しかし「手術数の少ない過疎地の病院などで必要な手術ができなくなる」などの声を受け、04年度からは、患者への積極的な情報提供などの条件を満たせば、減額をしないことにし、このほか、一定の手術数を満たした場合には報酬を5%加算する仕組みに変更した。
こうした中、今年6月、外科手術に関連した学会でつくる外科系学会社会保険委員会連合が723施設、22万件のデータを分析し、手術件数と治療結果との因果関係が相関しているとは言えないとする調査結果を発表した。
同省はこの結果を受けた形で廃止を検討。「制度導入時は、手術数と治療成績は関係があるとの米国の研究結果を参考にしたが、それに反論する研究まで確認できていなかった。根拠がない以上、制度を続けられない」(保険局)としている。
ただ、医師個人では技量と手術件数の関連はあるとみられ、同省は難易度や時間、技術力を踏まえた新たな評価方式を検討する方針だ。』
手術数をクリアするために適応の無い手術をひたすらやるしかなければ事故も当然増加するだろう.手術数の少ない地方の病院の外科医はやる気をなくすか,症例数の多い病院へすでに移ってしまっている.脳外科志望の学生はほとんどいないだろう.
大学からの派遣の場合も手術数の多い病院を希望する研修医が多いために手術数の少ない病院に経験のある専門医が多く,救急などで症例数の多い病院には手術をたくさんしたい研修医が多いというのが現実だから症例数が多いほうが事故のリスクは高いとみるのが専門家だろう.
『手術数と治療成績は関係があるとの米国の研究結果を参考にした』とは責任逃れの言い訳にしか聞こえない.そもそも米国とは医療の事情が違うことはわかっていたはずであるから制度の導入時にちゃんと検討しなかったではすまされない.いかにも官僚的な無責任な発言に怒りを感じる外科医は私だけではないだろう.
それでもまだ懲りないのか『ただ、医師個人では技量と手術件数の関連はあるとみられ、同省は難易度や時間、技術力を踏まえた新たな評価方式を検討する方針だ。』などと言っているのにはあきれるだけだ.これは長時間勉強した人ほど点数がいいと言っているようなもので学習曲線というものがわかっていないようである.医療は結果で評価されるものであって,結果が同じなら報酬も同じであるべきで,技量や時間は直接関係ないだろう.
そして診療報酬は手術の難易度で決定されるべきであるのは当然のことであるが,技術を習得するのにかかる時間も難易度に組み入れて欲しいものだ.脳外科医は一人前になるのに10年はかかる(10年やっても一人前にならない人もいる)のであるから難易度に技術の習得にかかる時間も考慮に入れてくれるのでなければ脳外科医不足は解消されないだろう.
厚生労働省は21日、来年4月の診療報酬改定で、一定数以上の手術件数を満たした病院に対する報酬加算を廃止する方針を固めた。同制度は医療の質を高めることを狙って導入されたが、手術件数と患者の生存率向上など治療成績との因果関係が見られないとする調査結果が発表され、制度の存在意義が薄れたと判断した。
制度は2002年4月、1年間に実施された手術数が一定数に満たない病院の手術料を3割減額する仕組みとしてスタート。しかし「手術数の少ない過疎地の病院などで必要な手術ができなくなる」などの声を受け、04年度からは、患者への積極的な情報提供などの条件を満たせば、減額をしないことにし、このほか、一定の手術数を満たした場合には報酬を5%加算する仕組みに変更した。
こうした中、今年6月、外科手術に関連した学会でつくる外科系学会社会保険委員会連合が723施設、22万件のデータを分析し、手術件数と治療結果との因果関係が相関しているとは言えないとする調査結果を発表した。
同省はこの結果を受けた形で廃止を検討。「制度導入時は、手術数と治療成績は関係があるとの米国の研究結果を参考にしたが、それに反論する研究まで確認できていなかった。根拠がない以上、制度を続けられない」(保険局)としている。
ただ、医師個人では技量と手術件数の関連はあるとみられ、同省は難易度や時間、技術力を踏まえた新たな評価方式を検討する方針だ。』
手術数をクリアするために適応の無い手術をひたすらやるしかなければ事故も当然増加するだろう.手術数の少ない地方の病院の外科医はやる気をなくすか,症例数の多い病院へすでに移ってしまっている.脳外科志望の学生はほとんどいないだろう.
大学からの派遣の場合も手術数の多い病院を希望する研修医が多いために手術数の少ない病院に経験のある専門医が多く,救急などで症例数の多い病院には手術をたくさんしたい研修医が多いというのが現実だから症例数が多いほうが事故のリスクは高いとみるのが専門家だろう.
『手術数と治療成績は関係があるとの米国の研究結果を参考にした』とは責任逃れの言い訳にしか聞こえない.そもそも米国とは医療の事情が違うことはわかっていたはずであるから制度の導入時にちゃんと検討しなかったではすまされない.いかにも官僚的な無責任な発言に怒りを感じる外科医は私だけではないだろう.
それでもまだ懲りないのか『ただ、医師個人では技量と手術件数の関連はあるとみられ、同省は難易度や時間、技術力を踏まえた新たな評価方式を検討する方針だ。』などと言っているのにはあきれるだけだ.これは長時間勉強した人ほど点数がいいと言っているようなもので学習曲線というものがわかっていないようである.医療は結果で評価されるものであって,結果が同じなら報酬も同じであるべきで,技量や時間は直接関係ないだろう.
そして診療報酬は手術の難易度で決定されるべきであるのは当然のことであるが,技術を習得するのにかかる時間も難易度に組み入れて欲しいものだ.脳外科医は一人前になるのに10年はかかる(10年やっても一人前にならない人もいる)のであるから難易度に技術の習得にかかる時間も考慮に入れてくれるのでなければ脳外科医不足は解消されないだろう.
『もう、家に帰ろう』
2005年9月22日 その他『--手術ミスで死亡と遺族提訴 山口大に約4800万円請求--
山口大病院(山口県宇部市)で、鼻の内視鏡手術を受けた同市の無職男性=当時(77)=がくも膜下出血で死亡したのは、頭蓋(ずがい)底に誤って穴を開けられたためだとして、広島市在住の男性の長男ら遺族が15日までに、山口大に計約4800万円の損害賠償を求め、広島地裁に提訴した。
広島地裁(橋本良成(はしもと・よしなり)裁判長)で同日、開かれた第1回口頭弁論で、山口大側は「過失はない」と争う姿勢を示した。
訴えによると、男性は2003年3月4日、副鼻腔(びくう)にできた腫瘍(しゅよう)を除去するため内視鏡手術を受けた。男性は大量に出血し、手術後、嘔吐(おうと)したため検査すると、頭蓋底に穴が開いており、くも膜下出血を発症していることが判明。男性は意識が戻らないまま、同27日に死亡した。
原告側は「内視鏡手術を選択したのは無謀。手術中に頭蓋底に穴が開いたのは間違いなく、病院に過失がある」と主張している。』
くも膜下出血が手術操作で生じたかどうかが争点になるのだろう.手術中に偶然にもともとあった未破裂脳動脈瘤が破裂したということなら過失は問えないだろう.
前頭蓋底の骨がもともと欠損していて髄液漏になる高齢者もいるくらいだから手術前に穴がなかったことを確認していたのでなければ手術中に頭蓋底に穴が開いたという主張も難しいだろう.
ほかにも腫瘍で頭蓋底の骨が脆弱になっていたなど色々な可能性が考えられるが,副鼻腔の腫瘍を内視鏡手術すること自体はよくあることだと思う.だから悪い結果が出てから「内視鏡手術を選択したのは無謀」と主張するのなら,なぜ手術に同意したのかという疑問が残るのではないだろうか.
手術前にすべての可能性について言及することは現実的でないし,手術する側とされる側で互いにリスクについて理解し同意することが前提である.この信頼関係を崩すくらいなら手術はやらないほうがいいだろう.
山口大病院(山口県宇部市)で、鼻の内視鏡手術を受けた同市の無職男性=当時(77)=がくも膜下出血で死亡したのは、頭蓋(ずがい)底に誤って穴を開けられたためだとして、広島市在住の男性の長男ら遺族が15日までに、山口大に計約4800万円の損害賠償を求め、広島地裁に提訴した。
広島地裁(橋本良成(はしもと・よしなり)裁判長)で同日、開かれた第1回口頭弁論で、山口大側は「過失はない」と争う姿勢を示した。
訴えによると、男性は2003年3月4日、副鼻腔(びくう)にできた腫瘍(しゅよう)を除去するため内視鏡手術を受けた。男性は大量に出血し、手術後、嘔吐(おうと)したため検査すると、頭蓋底に穴が開いており、くも膜下出血を発症していることが判明。男性は意識が戻らないまま、同27日に死亡した。
原告側は「内視鏡手術を選択したのは無謀。手術中に頭蓋底に穴が開いたのは間違いなく、病院に過失がある」と主張している。』
くも膜下出血が手術操作で生じたかどうかが争点になるのだろう.手術中に偶然にもともとあった未破裂脳動脈瘤が破裂したということなら過失は問えないだろう.
前頭蓋底の骨がもともと欠損していて髄液漏になる高齢者もいるくらいだから手術前に穴がなかったことを確認していたのでなければ手術中に頭蓋底に穴が開いたという主張も難しいだろう.
ほかにも腫瘍で頭蓋底の骨が脆弱になっていたなど色々な可能性が考えられるが,副鼻腔の腫瘍を内視鏡手術すること自体はよくあることだと思う.だから悪い結果が出てから「内視鏡手術を選択したのは無謀」と主張するのなら,なぜ手術に同意したのかという疑問が残るのではないだろうか.
手術前にすべての可能性について言及することは現実的でないし,手術する側とされる側で互いにリスクについて理解し同意することが前提である.この信頼関係を崩すくらいなら手術はやらないほうがいいだろう.
相応の自己負担は当然だろう
2005年9月10日 医療の問題『--救急車代行、タクシー搬送 東京消防庁が新制度--
東京消防庁は「救急の日」の9日、緊急度の低い患者はタクシーが病院まで搬送する「サポート・キャブ」制度を全国で初めてスタートさせた。タクシー代は自己負担。119番で病院紹介を求めてきた人らに利用してもらう。
従来はこうした人たちも救急車で搬送することが多く、同庁の救急出動件数は年々増加。新制度は緊急性の高い患者の救急搬送を優先するのが狙いで、将来的には救急車を要請する119番についても、内容によってサポート・キャブを利用してもらうことを検討したい考えだ。
サポート・キャブは、GPSカーナビによる配車システムを持つ上、運転手の3割以上が救急講習を受講しているなどの条件を満たすタクシー会社と、東京消防庁が提携。
病院紹介を求める119番は、同庁外郭団体が開設する「東京民間救急コールセンター」にかけ直してもらい、同センターがタクシー会社に連絡。同庁のデータに基づいて搬送先病院も指定する。タクシー会社は救急講習受講済みの運転手を手配する。
東京消防庁の救急出動件数は、今年上半期だけで35万件を突破。今年1年間では、過去最多だった昨年の約67万8000件を上回る勢いだ。
東京民間救急コールセンターは、電話0570(039)099。24時間受け付けで年中無休。』
救急車をタクシー代わりに使う人たちへの対策として大変有効な制度だと思う.医療費についても軽症で入院にならない程度のものについては時間外で割り増しになった分を自己負担とすればもっと良いだろう.そうすれば時間外診療が減って救急外来も本来の救急対応がやりやすくなるし,小児科の夜間診療も減って小児科医の負担も減るに違いないだろうから.
東京消防庁は「救急の日」の9日、緊急度の低い患者はタクシーが病院まで搬送する「サポート・キャブ」制度を全国で初めてスタートさせた。タクシー代は自己負担。119番で病院紹介を求めてきた人らに利用してもらう。
従来はこうした人たちも救急車で搬送することが多く、同庁の救急出動件数は年々増加。新制度は緊急性の高い患者の救急搬送を優先するのが狙いで、将来的には救急車を要請する119番についても、内容によってサポート・キャブを利用してもらうことを検討したい考えだ。
サポート・キャブは、GPSカーナビによる配車システムを持つ上、運転手の3割以上が救急講習を受講しているなどの条件を満たすタクシー会社と、東京消防庁が提携。
病院紹介を求める119番は、同庁外郭団体が開設する「東京民間救急コールセンター」にかけ直してもらい、同センターがタクシー会社に連絡。同庁のデータに基づいて搬送先病院も指定する。タクシー会社は救急講習受講済みの運転手を手配する。
東京消防庁の救急出動件数は、今年上半期だけで35万件を突破。今年1年間では、過去最多だった昨年の約67万8000件を上回る勢いだ。
東京民間救急コールセンターは、電話0570(039)099。24時間受け付けで年中無休。』
救急車をタクシー代わりに使う人たちへの対策として大変有効な制度だと思う.医療費についても軽症で入院にならない程度のものについては時間外で割り増しになった分を自己負担とすればもっと良いだろう.そうすれば時間外診療が減って救急外来も本来の救急対応がやりやすくなるし,小児科の夜間診療も減って小児科医の負担も減るに違いないだろうから.
不公平を解消するのが先
2005年9月9日 社会の問題『--NHK、受信料未払い世帯に「法的手続き」 検討を表明--
NHKは、増える受信料の未払い世帯に対して「法的手続き」による督促をすることを、今月20日の経営委員会に提案する「新生プラン」(執行部案)に盛り込む方針だ。
NHKによると、「法的手続き」について、未払い世帯への簡裁を通じた督促状送付なども含めて、手続きの中身は検討中だとし、「(やるとしても)取り立てという意識ではない。誠心誠意説明を尽くす」としている。橋本元一会長が、8日の定例会見で「簡易裁判所を通じた督促はあり得るか」との問いに答えた。
NHKでは、昨年夏に発覚した元チーフプロデューサーの番組制作費着服など、不祥事に端を発した受信料不払いが増え続け、7月末で117万件を超えた。支払う人との不公平感は強まっており、放送の自主独立と受信料制度維持のためにも方策を探っているという。
NHKは、組織再生を目指す「新生プラン」を審議中で、有識者16人の「デジタル時代のNHK懇談会」などに意見を聞いている。法的手続きについての意見も聞き、20日のNHK経営委員会で結論が出る予定だ。
新生プランは来年策定される06〜08年度の経営ビジョンの骨子となるもの。 』
NHKだけが勝手に料金を徴収できるシステムが最も不公平であろう.放送を見た分だけ料金を取るのならわかるが,テレビがあるだけで料金を取るというのはやはりおかしいだろう.それではまるで税金である.視聴者から集めたお金の使い方も不明瞭であるし,病室のテレビの場合はたとえ患者さんの自宅で視聴料を払っていても1台当りで視聴料を取るのに自家用車のテレビは無料というのもおかしい.
課金のシステムにそもそも不公平感があるのと,視聴料の使途が不明瞭であることがやはり潜在的に不払いの原因なのだろうし,そこに不祥事が重なれば誰だって払いたくはなくなるだろう.法的手続きをとるなどと安易な方向に向かえば一時的にはなんとかなるかも知れないが,結局は良識ある視聴者の反感を買うということになりNHKの未来はないだろう.
私はほとんどテレビは見ないし,緊急放送も民放で十分なのではっきりいってNHKはあえて必要がないのである.もうちょっと公平感のある課金システムを作ってからでないと説得力に欠けることに気づくべきだろう.
NHKは、増える受信料の未払い世帯に対して「法的手続き」による督促をすることを、今月20日の経営委員会に提案する「新生プラン」(執行部案)に盛り込む方針だ。
NHKによると、「法的手続き」について、未払い世帯への簡裁を通じた督促状送付なども含めて、手続きの中身は検討中だとし、「(やるとしても)取り立てという意識ではない。誠心誠意説明を尽くす」としている。橋本元一会長が、8日の定例会見で「簡易裁判所を通じた督促はあり得るか」との問いに答えた。
NHKでは、昨年夏に発覚した元チーフプロデューサーの番組制作費着服など、不祥事に端を発した受信料不払いが増え続け、7月末で117万件を超えた。支払う人との不公平感は強まっており、放送の自主独立と受信料制度維持のためにも方策を探っているという。
NHKは、組織再生を目指す「新生プラン」を審議中で、有識者16人の「デジタル時代のNHK懇談会」などに意見を聞いている。法的手続きについての意見も聞き、20日のNHK経営委員会で結論が出る予定だ。
新生プランは来年策定される06〜08年度の経営ビジョンの骨子となるもの。 』
NHKだけが勝手に料金を徴収できるシステムが最も不公平であろう.放送を見た分だけ料金を取るのならわかるが,テレビがあるだけで料金を取るというのはやはりおかしいだろう.それではまるで税金である.視聴者から集めたお金の使い方も不明瞭であるし,病室のテレビの場合はたとえ患者さんの自宅で視聴料を払っていても1台当りで視聴料を取るのに自家用車のテレビは無料というのもおかしい.
課金のシステムにそもそも不公平感があるのと,視聴料の使途が不明瞭であることがやはり潜在的に不払いの原因なのだろうし,そこに不祥事が重なれば誰だって払いたくはなくなるだろう.法的手続きをとるなどと安易な方向に向かえば一時的にはなんとかなるかも知れないが,結局は良識ある視聴者の反感を買うということになりNHKの未来はないだろう.
私はほとんどテレビは見ないし,緊急放送も民放で十分なのではっきりいってNHKはあえて必要がないのである.もうちょっと公平感のある課金システムを作ってからでないと説得力に欠けることに気づくべきだろう.
福祉は今でも最低なのに
2005年9月6日 医療の問題『-- 衆院選、かすむ医療政策 各党、負担増示さず --
今年の社会保障制度改革の焦点となる医療制度改革論議が衆院選では、かすんでいる。患者の負担増や新たな保険料徴収などが検討され、厚生労働省は10月には改革案をまとめる方針だが、各党とも負担増は示さず、選挙戦ではほとんど取り上げられていない。
自民党はマニフェスト(政権公約)で、2003年3月に政府が75歳以上を対象に独立した高齢者医療制度創設の基本方針を閣議決定していることを踏まえ、改革法案を次期通常国会に提出するとしている。
患者の自己負担については、閣議決定当時、同党の医療基本問題調査会が「65歳未満は3割、65-74歳は2割、75歳以上は1割に統一すべき」と提案したが、今回のマニフェストには盛り込まなかった。
現在、厚労省の審議会が基本方針に沿って議論を進めているが、だれが新制度を運営するのかや、対象者を65歳以上とすべきとの意見も出るなど制度の前提部分で意見が大きく割れており、ましてや保険料率や自己負担などは明記できる状況ではないためとみられる。
公明党も治療中心から予防重視へ転換し、医療費の増大を抑制するとしているが、自民同様、新高齢者医療制度の具体策には触れていない。
一方、民主党も新たな高齢者医療制度の創設を掲げたものの、自己負担などの記載はない。ただ与党が触れなかったカルテ開示と医療費明細書の発行を義務付ける法案を次期通常国会に提出する、とした。
患者負担の軽減を目指すとしている共産、社民両党は、財源には直接触れていない。共産は薬価の見直し、高額医療機器の価格を引き下げるとしているものの、具体的な額は示していない。
国民新党は医療には直接触れず、年金・福祉政策の確立を訴え、新党日本は、田中康夫代表が長野県知事として、福祉・医療、教育、環境などに予算を傾注投資していることを紹介、党の方針としている。
高齢化の進展で増え続けている医療給付費は、04年度は26兆円。これが、厚労省の推計によると、25年度には2.3倍の59兆円にまで膨らみ、1.4倍の64兆円にとどまる年金とほぼ肩を並べる。
医療費問題は、日本より早く高齢社会に入った欧州先進国でも悩みの種だ。スウェーデンをはじめ、ドイツ、フランスも財政難に陥り、英国では財政が破たんしかけるなど、往年の福祉国家の面影はすでにない。
日本は医療費のほとんどを公的医療保険に頼っているが、こうした路線を続けることは、もはや無理との指摘もある。病気の種類も感染症などから、運動不足やストレスなど現代人に特徴的な生活習慣病へと変化している。医療制度はこうした状況にも対応できるよう再構築していく必要があるが、これまでのところ各党間で議論は見られない。
政府の審議会報告などを常日ごろからチェックしている都内のある男性会社員(47)は「各党に期待するのは、具体的な将来像を明確に示し、避けられない負担増について率直に語ること。与野党とも踏み込み不足が目立つ」と指摘している。』
もともと日本で福祉と言えば健康保険と年金だけが取りざたされて児童福祉や障害者福祉などは先進国とは比べるべくもないレベルだった.その医療費でさえGDP比で言えば先進国中最低である.身障者福祉なんかは欧米と比べると今でも福祉と言えないレベルであるらしいが,今度はもっと悪くなるようだ.
本当のところ,社会福祉をまじめに論じると悲壮感が漂って選挙にならないから話題にできないのだろう.これは物づくりに資本をつぎこんで人間を消費してきたツケかもしれない.あるいは医療費を病気を治すほうにばかりつぎ込んできたせいもあるだろう.生活習慣病なんていうのもそもそも高度経済成長時代からの仕事中心の生活が原因だとも言えるのではないだろうか.
ここらで日本の価値観をもう一度変えなければいけないだろうということをなんとなく感じる.どのように変えていくのがいいのかということを本当は政治をやる人に考えてもらい政策としてかかげてもらいたいのだが,やはりそれは無理なのだろうか.
郵政改革でゆうちょの資金を回して景気を回復したら今までのツケが返せるのだろうか.返せるとしたらそれは安易でいい方法かもしれないが,もっと根本的なところを変えないともっと大きなツケが回ってくるような気がするのは私だけだろうか.
もうすぐ選挙だが,これから税負担がますます増えそうな私としては投票権を10倍くらいにして欲しいくらいだ.まあ,そうはいかないだろうからせめて1票だけはちゃんと投票しようと思っている.
今年の社会保障制度改革の焦点となる医療制度改革論議が衆院選では、かすんでいる。患者の負担増や新たな保険料徴収などが検討され、厚生労働省は10月には改革案をまとめる方針だが、各党とも負担増は示さず、選挙戦ではほとんど取り上げられていない。
自民党はマニフェスト(政権公約)で、2003年3月に政府が75歳以上を対象に独立した高齢者医療制度創設の基本方針を閣議決定していることを踏まえ、改革法案を次期通常国会に提出するとしている。
患者の自己負担については、閣議決定当時、同党の医療基本問題調査会が「65歳未満は3割、65-74歳は2割、75歳以上は1割に統一すべき」と提案したが、今回のマニフェストには盛り込まなかった。
現在、厚労省の審議会が基本方針に沿って議論を進めているが、だれが新制度を運営するのかや、対象者を65歳以上とすべきとの意見も出るなど制度の前提部分で意見が大きく割れており、ましてや保険料率や自己負担などは明記できる状況ではないためとみられる。
公明党も治療中心から予防重視へ転換し、医療費の増大を抑制するとしているが、自民同様、新高齢者医療制度の具体策には触れていない。
一方、民主党も新たな高齢者医療制度の創設を掲げたものの、自己負担などの記載はない。ただ与党が触れなかったカルテ開示と医療費明細書の発行を義務付ける法案を次期通常国会に提出する、とした。
患者負担の軽減を目指すとしている共産、社民両党は、財源には直接触れていない。共産は薬価の見直し、高額医療機器の価格を引き下げるとしているものの、具体的な額は示していない。
国民新党は医療には直接触れず、年金・福祉政策の確立を訴え、新党日本は、田中康夫代表が長野県知事として、福祉・医療、教育、環境などに予算を傾注投資していることを紹介、党の方針としている。
高齢化の進展で増え続けている医療給付費は、04年度は26兆円。これが、厚労省の推計によると、25年度には2.3倍の59兆円にまで膨らみ、1.4倍の64兆円にとどまる年金とほぼ肩を並べる。
医療費問題は、日本より早く高齢社会に入った欧州先進国でも悩みの種だ。スウェーデンをはじめ、ドイツ、フランスも財政難に陥り、英国では財政が破たんしかけるなど、往年の福祉国家の面影はすでにない。
日本は医療費のほとんどを公的医療保険に頼っているが、こうした路線を続けることは、もはや無理との指摘もある。病気の種類も感染症などから、運動不足やストレスなど現代人に特徴的な生活習慣病へと変化している。医療制度はこうした状況にも対応できるよう再構築していく必要があるが、これまでのところ各党間で議論は見られない。
政府の審議会報告などを常日ごろからチェックしている都内のある男性会社員(47)は「各党に期待するのは、具体的な将来像を明確に示し、避けられない負担増について率直に語ること。与野党とも踏み込み不足が目立つ」と指摘している。』
もともと日本で福祉と言えば健康保険と年金だけが取りざたされて児童福祉や障害者福祉などは先進国とは比べるべくもないレベルだった.その医療費でさえGDP比で言えば先進国中最低である.身障者福祉なんかは欧米と比べると今でも福祉と言えないレベルであるらしいが,今度はもっと悪くなるようだ.
本当のところ,社会福祉をまじめに論じると悲壮感が漂って選挙にならないから話題にできないのだろう.これは物づくりに資本をつぎこんで人間を消費してきたツケかもしれない.あるいは医療費を病気を治すほうにばかりつぎ込んできたせいもあるだろう.生活習慣病なんていうのもそもそも高度経済成長時代からの仕事中心の生活が原因だとも言えるのではないだろうか.
ここらで日本の価値観をもう一度変えなければいけないだろうということをなんとなく感じる.どのように変えていくのがいいのかということを本当は政治をやる人に考えてもらい政策としてかかげてもらいたいのだが,やはりそれは無理なのだろうか.
郵政改革でゆうちょの資金を回して景気を回復したら今までのツケが返せるのだろうか.返せるとしたらそれは安易でいい方法かもしれないが,もっと根本的なところを変えないともっと大きなツケが回ってくるような気がするのは私だけだろうか.
もうすぐ選挙だが,これから税負担がますます増えそうな私としては投票権を10倍くらいにして欲しいくらいだ.まあ,そうはいかないだろうからせめて1票だけはちゃんと投票しようと思っている.
火薬は中国で発明されたそうだが,線香花火は日本で発明されたものらしい.だが,最近はほとんどが中国製だそうである.伝統的な日本人の心や美徳とともに古来の文化も失われていくような気がするのは私だけだろうか.
『オリーブ油に鎮痛作用 がんのリスクも低減?
新鮮なオリーブ油に、抗炎症薬イブプロフェンと同様の鎮痛作用を持つ物質が含まれていることを米ペンシルベニア大などの研究チームが突き止め、1日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
研究チームは「物質の含有量が少ないので、油を食べても頭痛には効果がないが、長期にわたって摂取すれば、イブプロフェンと同じようながんのリスク低減や、血栓をできにくくするなどの効果が得られるかもしれない」としている。
チームは、搾りたてのエキストラバージンオリーブ油を口にすると感じるのどの刺激が、風邪薬などに含まれているイブプロフェンをのんだ際に感じる刺激と似ている点に着目。油に含まれる特定の物質が刺激の原因であることを突き止め、「オレオカンタール」と名付けた。
オレオカンタールの化学構造はイブプロフェンとは全く異なるが、イブプロフェンと同様の仕組みで、炎症の発生に関与している酵素の働きを阻害する作用があることが分かったという。
チームによると、オリーブ油50グラムに含まれるオレオカンタールが、通常成人が鎮痛剤として1日に服用するイブプロフェンの約10%の量に当たるという。』
オリーブオイルと聞いてポパイを連想するのはちょっと古すぎるかもしれないが,私はオリーブオイルは大好きである.料理で使う油としてはエキストラバージンオイルとゴマ油だけである.香りが大変良いのと悪玉コレステロールを下げる効果があるからというのがその理由である.
このオリーブオイルにがんのリスク低減や、血栓をできにくくするなどの効果があるとしたらなんだか得をしたような気分である.さっそくスパゲティでも作って食べようか...
私がつくるスパゲッティでお勧めはぺペロンチーノである.つくり方は簡単.鷹の爪とにんにくのスライスをオリーブオイルで炒めたところへちょっと固ゆでのバリラのスパゲティーを入れて水気が飛ぶまで炒めるだけ.
なぜ一番かというとビールにこれが最高に合うからなのだ.おまけに消化吸収も速い.さらに健康にいいとなればまさに一石二鳥である.
新鮮なオリーブ油に、抗炎症薬イブプロフェンと同様の鎮痛作用を持つ物質が含まれていることを米ペンシルベニア大などの研究チームが突き止め、1日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
研究チームは「物質の含有量が少ないので、油を食べても頭痛には効果がないが、長期にわたって摂取すれば、イブプロフェンと同じようながんのリスク低減や、血栓をできにくくするなどの効果が得られるかもしれない」としている。
チームは、搾りたてのエキストラバージンオリーブ油を口にすると感じるのどの刺激が、風邪薬などに含まれているイブプロフェンをのんだ際に感じる刺激と似ている点に着目。油に含まれる特定の物質が刺激の原因であることを突き止め、「オレオカンタール」と名付けた。
オレオカンタールの化学構造はイブプロフェンとは全く異なるが、イブプロフェンと同様の仕組みで、炎症の発生に関与している酵素の働きを阻害する作用があることが分かったという。
チームによると、オリーブ油50グラムに含まれるオレオカンタールが、通常成人が鎮痛剤として1日に服用するイブプロフェンの約10%の量に当たるという。』
オリーブオイルと聞いてポパイを連想するのはちょっと古すぎるかもしれないが,私はオリーブオイルは大好きである.料理で使う油としてはエキストラバージンオイルとゴマ油だけである.香りが大変良いのと悪玉コレステロールを下げる効果があるからというのがその理由である.
このオリーブオイルにがんのリスク低減や、血栓をできにくくするなどの効果があるとしたらなんだか得をしたような気分である.さっそくスパゲティでも作って食べようか...
私がつくるスパゲッティでお勧めはぺペロンチーノである.つくり方は簡単.鷹の爪とにんにくのスライスをオリーブオイルで炒めたところへちょっと固ゆでのバリラのスパゲティーを入れて水気が飛ぶまで炒めるだけ.
なぜ一番かというとビールにこれが最高に合うからなのだ.おまけに消化吸収も速い.さらに健康にいいとなればまさに一石二鳥である.
『--寝不足でも仕事スイスイ 米の薬剤、サルで効果 --
睡眠不足のために落ちた仕事の処理能力を薬で回復させる実験にサルで成功したと、米ウェークフォレスト大(ノースカロライナ州)などのチームが25日までに米科学誌に発表した。
人で効果が確認できれば、パイロットや医療従事者ら、睡眠不足でも高い処理能力が求められる人の助けになりそうだという。研究は兵士の睡眠不足に関心が強い米国防総省の助成を受けた。
カリフォルニア州のコーテックス製薬が開発中の「アンパカインCX717」という薬剤。記憶などにかかわる神経伝達物質グルタミン酸の働きを脳内で長持ちさせる働きがあるとされる。
チームはアカゲザルに、最初に1枚の絵を見せ、後で複数の絵の中から同じものを選ばせるテストをした。徹夜させて寝不足の状態に置くと間違いが増え、時間もかかったが、薬を注射すると成績は平常時並みに。テスト中に脳の活動を調べると、寝不足時は脳の特定の場所の活動が低下したが、薬を与えると平常時のパターンに戻った。
薬の作用についてチームは「CX717は脳全体を興奮させるのではなく、睡眠不足の影響を受けた特定部分の働きを回復させる」と説明、過度の興奮など、覚せい剤のような副作用は心配ないだろうとしている。』
こんな薬があったら使いたいパイロットや医療従事者が本当にいるのだろうか.たとえ脳の働きが一時的に回復したとしても体の疲労が無くなるわけではないだろう.頭だけが回復しても体がついてこなければ仕事になるわけがない.
そもそもなんでパイロットや医療従事者が対象になるのだろうか.航空機の事故や医療事故が最近多いからターゲットにされているのだろうか.そう考えるのなら薬より休みを与えるべきだろう.薬で働かされるより酒飲んで寝るほうがいいに決まっている.
だが,本当にこんな薬があったら試験前の一夜漬にはいいかもしれない.受験生だったら最後の一週間は連日投与なんてことをやるかも知れない.だが,連用すると副作用が出るかもしれない.いや,おそらく出るのだろう.薬に慣れてしまった脳が薬なしでは働かなくなるか,精神的に依存するようになるかのどちらかだろう.
これでまた病気がひとつ増えるわけだ.これも医学の進歩のひとつなのだろうか?
睡眠不足のために落ちた仕事の処理能力を薬で回復させる実験にサルで成功したと、米ウェークフォレスト大(ノースカロライナ州)などのチームが25日までに米科学誌に発表した。
人で効果が確認できれば、パイロットや医療従事者ら、睡眠不足でも高い処理能力が求められる人の助けになりそうだという。研究は兵士の睡眠不足に関心が強い米国防総省の助成を受けた。
カリフォルニア州のコーテックス製薬が開発中の「アンパカインCX717」という薬剤。記憶などにかかわる神経伝達物質グルタミン酸の働きを脳内で長持ちさせる働きがあるとされる。
チームはアカゲザルに、最初に1枚の絵を見せ、後で複数の絵の中から同じものを選ばせるテストをした。徹夜させて寝不足の状態に置くと間違いが増え、時間もかかったが、薬を注射すると成績は平常時並みに。テスト中に脳の活動を調べると、寝不足時は脳の特定の場所の活動が低下したが、薬を与えると平常時のパターンに戻った。
薬の作用についてチームは「CX717は脳全体を興奮させるのではなく、睡眠不足の影響を受けた特定部分の働きを回復させる」と説明、過度の興奮など、覚せい剤のような副作用は心配ないだろうとしている。』
こんな薬があったら使いたいパイロットや医療従事者が本当にいるのだろうか.たとえ脳の働きが一時的に回復したとしても体の疲労が無くなるわけではないだろう.頭だけが回復しても体がついてこなければ仕事になるわけがない.
そもそもなんでパイロットや医療従事者が対象になるのだろうか.航空機の事故や医療事故が最近多いからターゲットにされているのだろうか.そう考えるのなら薬より休みを与えるべきだろう.薬で働かされるより酒飲んで寝るほうがいいに決まっている.
だが,本当にこんな薬があったら試験前の一夜漬にはいいかもしれない.受験生だったら最後の一週間は連日投与なんてことをやるかも知れない.だが,連用すると副作用が出るかもしれない.いや,おそらく出るのだろう.薬に慣れてしまった脳が薬なしでは働かなくなるか,精神的に依存するようになるかのどちらかだろう.
これでまた病気がひとつ増えるわけだ.これも医学の進歩のひとつなのだろうか?
効果が無ければ詐欺である
2005年8月22日 医食同源『--健康食品、実際の効果は? データベースで1発検索--
アガリクス、メシマコブ、コエンザイムQ10...。ブームになっているさまざまな健康食品について、国立健康・栄養研究所(東京)が22日までに、成分や有効性、安全性などの詳細な情報をデータベース化し、ホームページで公開した。
「免疫力を高める」「ダイエットに効く」とテレビや雑誌で宣伝されるものの、実際の効果についてはあいまいな表示が多く、「宣伝ではない正確な情報を知りたい」という消費者の声に応えるのが目的だ。
データベースは健康食品の素材240種類以上について、把握できる限りの研究論文や実験結果を集め、安全性や有効性を評価している。
例えばアガリクスは「別名はヒメマツタケ。俗に『抗がん効果がある』といわれ、健康食品も数多くみられるが、ヒトでの有効性と安全性は信頼できるデータが見当たらない」。コエンザイムQ10は「うっ血性心不全や高血圧などで有効性が示唆される文献があるが、高血圧の薬との併用は注意を要する」とまとめている。
ほかにも納豆やサフラン、スッポン、サメ軟骨といった食品も掲載し、人気のある健康食品の素材はほとんど網羅した。サフランでは「大量に摂取すると子宮への刺激が強いため、妊婦は大量摂取を避けた方がいい」と警告している。
研究所の梅垣敬三(うめがき・けいぞう)健康影響評価研究室長は「健康食品といっても、食べ過ぎると有害なものもある。効果ばかりに目を向けず、安全性を考える目安にしてほしい」と話している。
ホームページはhttp://hfnet.nih.go.jp/』
薬だろうが健康食品だろうが人体に対する効果が科学的に証明されなければ効果があるように宣伝すること自体が詐欺行為であろう.健康食品ブームのせいなのかテレビ番組の影響なのか外来で健康食品の効果を私に質問する人がいるのだが,私は薬ではないからわからないと答えることにしている.
実のところ私自身は健康食品なんてまったく信じていない.それどころか医薬品でも効果が疑わしいものがたくさんあるというのが私の考えである.本当に効果があるかどうか試したいときには自分で服用してみればわかるものもあるが,健康な人に使っても効果のわからないものもあるから臨床試験といわれるテストが重要になるのだろう.
しかし,ここにも問題があるのだ.かつて脳代謝賦活剤といわれた多種の薬があった.だが,これらの薬は臨床試験で薬効ありとされて医療現場で莫大な量が使用されたにもかかわらず現在まで残ったものはほとんどないのである.実際は効果がなかったし,臨床試験にも問題があったからなのであるが,このようなことが現在そして今後もないとは言えないだろう.
厳重に管理されている医薬品でさえこれなのだから,健康食品の効能など信じる気にはとうていなれないのである.それどころか科学的根拠もなく,たとえあったとしても健康食品自体の安全性の保障もないのに効果だけを宣伝したりするのは医薬品よりはるかに入手しやすいだけに許されるべきではないだろう.
医薬品ではないから厚労省の仕事ではないのかもしれないが,医療効果を宣伝する食品であれば医薬品より厳しい審査をするのが当然であろう.医薬品は病気の人しか使わないが,食品は全国民が口にする可能性があるということを忘れるべきではない.
健康食品による健康被害は最近問題が表面化したアスベストと同じく関係省庁の無策や怠慢から起きていると言えるのではないだろうか.とは言え自分の体は自分で守るという考え方からこのような情報をネットで閲覧できるというのはいいことである.
アガリクス、メシマコブ、コエンザイムQ10...。ブームになっているさまざまな健康食品について、国立健康・栄養研究所(東京)が22日までに、成分や有効性、安全性などの詳細な情報をデータベース化し、ホームページで公開した。
「免疫力を高める」「ダイエットに効く」とテレビや雑誌で宣伝されるものの、実際の効果についてはあいまいな表示が多く、「宣伝ではない正確な情報を知りたい」という消費者の声に応えるのが目的だ。
データベースは健康食品の素材240種類以上について、把握できる限りの研究論文や実験結果を集め、安全性や有効性を評価している。
例えばアガリクスは「別名はヒメマツタケ。俗に『抗がん効果がある』といわれ、健康食品も数多くみられるが、ヒトでの有効性と安全性は信頼できるデータが見当たらない」。コエンザイムQ10は「うっ血性心不全や高血圧などで有効性が示唆される文献があるが、高血圧の薬との併用は注意を要する」とまとめている。
ほかにも納豆やサフラン、スッポン、サメ軟骨といった食品も掲載し、人気のある健康食品の素材はほとんど網羅した。サフランでは「大量に摂取すると子宮への刺激が強いため、妊婦は大量摂取を避けた方がいい」と警告している。
研究所の梅垣敬三(うめがき・けいぞう)健康影響評価研究室長は「健康食品といっても、食べ過ぎると有害なものもある。効果ばかりに目を向けず、安全性を考える目安にしてほしい」と話している。
ホームページはhttp://hfnet.nih.go.jp/』
薬だろうが健康食品だろうが人体に対する効果が科学的に証明されなければ効果があるように宣伝すること自体が詐欺行為であろう.健康食品ブームのせいなのかテレビ番組の影響なのか外来で健康食品の効果を私に質問する人がいるのだが,私は薬ではないからわからないと答えることにしている.
実のところ私自身は健康食品なんてまったく信じていない.それどころか医薬品でも効果が疑わしいものがたくさんあるというのが私の考えである.本当に効果があるかどうか試したいときには自分で服用してみればわかるものもあるが,健康な人に使っても効果のわからないものもあるから臨床試験といわれるテストが重要になるのだろう.
しかし,ここにも問題があるのだ.かつて脳代謝賦活剤といわれた多種の薬があった.だが,これらの薬は臨床試験で薬効ありとされて医療現場で莫大な量が使用されたにもかかわらず現在まで残ったものはほとんどないのである.実際は効果がなかったし,臨床試験にも問題があったからなのであるが,このようなことが現在そして今後もないとは言えないだろう.
厳重に管理されている医薬品でさえこれなのだから,健康食品の効能など信じる気にはとうていなれないのである.それどころか科学的根拠もなく,たとえあったとしても健康食品自体の安全性の保障もないのに効果だけを宣伝したりするのは医薬品よりはるかに入手しやすいだけに許されるべきではないだろう.
医薬品ではないから厚労省の仕事ではないのかもしれないが,医療効果を宣伝する食品であれば医薬品より厳しい審査をするのが当然であろう.医薬品は病気の人しか使わないが,食品は全国民が口にする可能性があるということを忘れるべきではない.
健康食品による健康被害は最近問題が表面化したアスベストと同じく関係省庁の無策や怠慢から起きていると言えるのではないだろうか.とは言え自分の体は自分で守るという考え方からこのような情報をネットで閲覧できるというのはいいことである.
『--家族の負担などが課題 厚労省、在宅死4割目指す--
厚生労働省は終末期医療の在り方を見直し、自宅で死亡する割合を現在の2割から4割に増やすことを目指しているが、在宅医療体制の整備や家族の負担増などの課題も多い。
2003年に厚労省が国民5000人を対象に実施した調査によると、痛みを伴う末期状態になった場合、「必要になれば病院に入院したい」人を含めると「終末期を自宅で療養したい」人が回答者の59%だった。
ただ、「最期まで自宅」を望む人は11%にとどまり、自宅で死を迎えるのが難しい理由として「家族の介護負担が大きい」「急変した時の対応に不安がある」などを挙げる人が多かった。
東京都足立区を中心に在宅医療に取り組んでいる柳原診療所の増子忠道(ましこ・ただみち)所長は、治療法がなくなったがん患者が大学病院などから退院させられるケースも目立ち、在宅医療のニーズは高いと指摘。同時に「末期状態になった時に家族がいなくても自宅での生活を支援する24時間介護が受けられる体制作りが先」と語る。
また、「高齢になるほど医師に依存する傾向もみられ、本人や家族が希望しない場合は在宅死を進めるべきではない」(日本福祉大の近藤克則(こんどう・かつのり)教授)との見方もある。
在宅死を4割まで増やせば、2015年には約2000億円、25年には約5000億円の医療費削減の効果が見込めるといい、厚労省は、訪問診療に対応できる医師の確保や訪問看護サービスの普及、介護付き賃貸住宅など高齢者の多様な居住の場の整備などを通じ、在宅での死亡を増やすことを計画している。』
終末期を自宅で迎えたいという国民のニーズを強調したいのだろうが,厚労省の本音はあくまでも医療費削減であって健康保険を使わせないということだけだろう.終末期医療全体で見れば国民の考えているような自宅で迎える穏やかな最期を実現してもかかるコストが減るわけではないだろう.
むしろ自宅に戻ることにより介護保険や家族の負担は確実に増え社会的なコストは増大するに違いない.これは形を変えて自己負担が増大することを意味するのである.これは果たしていいことなのであろうか.医療費は削減できて終末期を自宅で迎えられるということでいいことだと思う人は中国の故事「朝三暮四」を思い出すべきである.
http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/koji/kj021.htm
社会的入院を減らし医療費を削減するためにできた介護保険制度であるが,さて医療費の削減と介護保険の増大を差し引きするとどうなっているのであろうか.病院などの療養型施設はある意味でもっとも低コストで介護ができるはずであり,医療資源を有効に使うにはもっとも適しているところである.同じレベルの管理を在宅で行おうと思えばコストは増大するのは当然だ.
医療費削減という言葉につられず,今こそ国民は自分の希望する医療サービスとは何かについてよく考えるべきだろうと思うのだが,どうだろうか.
厚生労働省は終末期医療の在り方を見直し、自宅で死亡する割合を現在の2割から4割に増やすことを目指しているが、在宅医療体制の整備や家族の負担増などの課題も多い。
2003年に厚労省が国民5000人を対象に実施した調査によると、痛みを伴う末期状態になった場合、「必要になれば病院に入院したい」人を含めると「終末期を自宅で療養したい」人が回答者の59%だった。
ただ、「最期まで自宅」を望む人は11%にとどまり、自宅で死を迎えるのが難しい理由として「家族の介護負担が大きい」「急変した時の対応に不安がある」などを挙げる人が多かった。
東京都足立区を中心に在宅医療に取り組んでいる柳原診療所の増子忠道(ましこ・ただみち)所長は、治療法がなくなったがん患者が大学病院などから退院させられるケースも目立ち、在宅医療のニーズは高いと指摘。同時に「末期状態になった時に家族がいなくても自宅での生活を支援する24時間介護が受けられる体制作りが先」と語る。
また、「高齢になるほど医師に依存する傾向もみられ、本人や家族が希望しない場合は在宅死を進めるべきではない」(日本福祉大の近藤克則(こんどう・かつのり)教授)との見方もある。
在宅死を4割まで増やせば、2015年には約2000億円、25年には約5000億円の医療費削減の効果が見込めるといい、厚労省は、訪問診療に対応できる医師の確保や訪問看護サービスの普及、介護付き賃貸住宅など高齢者の多様な居住の場の整備などを通じ、在宅での死亡を増やすことを計画している。』
終末期を自宅で迎えたいという国民のニーズを強調したいのだろうが,厚労省の本音はあくまでも医療費削減であって健康保険を使わせないということだけだろう.終末期医療全体で見れば国民の考えているような自宅で迎える穏やかな最期を実現してもかかるコストが減るわけではないだろう.
むしろ自宅に戻ることにより介護保険や家族の負担は確実に増え社会的なコストは増大するに違いない.これは形を変えて自己負担が増大することを意味するのである.これは果たしていいことなのであろうか.医療費は削減できて終末期を自宅で迎えられるということでいいことだと思う人は中国の故事「朝三暮四」を思い出すべきである.
http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/koji/kj021.htm
社会的入院を減らし医療費を削減するためにできた介護保険制度であるが,さて医療費の削減と介護保険の増大を差し引きするとどうなっているのであろうか.病院などの療養型施設はある意味でもっとも低コストで介護ができるはずであり,医療資源を有効に使うにはもっとも適しているところである.同じレベルの管理を在宅で行おうと思えばコストは増大するのは当然だ.
医療費削減という言葉につられず,今こそ国民は自分の希望する医療サービスとは何かについてよく考えるべきだろうと思うのだが,どうだろうか.
『--心肺停止の男性を救命 関空でAED、初成功--
関西空港旅客ターミナルで突然倒れて心肺停止状態になった大阪市の男性(33)に12日、救命のため設置されている自動体外式除細動器(AED)が初めて使われ、男性の救命に成功した。
関西国際空港会社によると、国内の空港でAEDによる救命が成功したのは初めて。
AEDは心停止した人に電気ショックを与えて救命する装置で、旅客ターミナル内に25台設置されている。
同社によると、同日午前9時ごろ、旅客ターミナル4階の保安検査場近くで出国のため並んでいた男性が突然倒れた。
偶然同じ列にいた医師が、男性の心臓マッサージを開始。近くにいた同空港の防災部員がAEDを準備し、到着した救急隊が作動させた。
男性は救急搬送中に息を吹き返し、病院で治療を受けているという。
同社は「素早い対応の結果、男性が助かったのは素晴らしい。今回の成功でAEDの普及に弾みがつけばいい」と話している。』
物事がうまくいく時というのはこんなものだろう.AEDがなければ除細動ができないからもちろん蘇生する確率は低いが,あるから助かるというものでもないわけで所詮は器械にすぎない.
偶然同じ列に医師が居合わせて心臓マッサージを開始したり,近くにいた同空港の防災部員がAEDを準備したり、到着した救急隊が作動させるという流れがいいタイミングでつながったことがやはり最も重要な点だろう。
私も仕事で心肺停止状態で病院に運ばれてきた人を蘇生させたことはあるが,病院内で発生した心原性ショックを除けば救急外来で救命できる人のほとんどは不整脈の患者さんである.それも救急隊到着までの時間が早いほど予後がいい.心肺蘇生法の開始のタイミングがいかに重要かということだろう.
一般人でも救命救急士の講習会などで救急蘇生法の実習などを受けていれば心臓マッサージや人工呼吸法くらいはできるものである.自分の家族や友人だっていつ心臓発作で倒れるかもしれないのだからAEDが公共施設に配備されることは救急蘇生法に関心をもつのにちょうど良いタイミングではないだろうか.
関西空港旅客ターミナルで突然倒れて心肺停止状態になった大阪市の男性(33)に12日、救命のため設置されている自動体外式除細動器(AED)が初めて使われ、男性の救命に成功した。
関西国際空港会社によると、国内の空港でAEDによる救命が成功したのは初めて。
AEDは心停止した人に電気ショックを与えて救命する装置で、旅客ターミナル内に25台設置されている。
同社によると、同日午前9時ごろ、旅客ターミナル4階の保安検査場近くで出国のため並んでいた男性が突然倒れた。
偶然同じ列にいた医師が、男性の心臓マッサージを開始。近くにいた同空港の防災部員がAEDを準備し、到着した救急隊が作動させた。
男性は救急搬送中に息を吹き返し、病院で治療を受けているという。
同社は「素早い対応の結果、男性が助かったのは素晴らしい。今回の成功でAEDの普及に弾みがつけばいい」と話している。』
物事がうまくいく時というのはこんなものだろう.AEDがなければ除細動ができないからもちろん蘇生する確率は低いが,あるから助かるというものでもないわけで所詮は器械にすぎない.
偶然同じ列に医師が居合わせて心臓マッサージを開始したり,近くにいた同空港の防災部員がAEDを準備したり、到着した救急隊が作動させるという流れがいいタイミングでつながったことがやはり最も重要な点だろう。
私も仕事で心肺停止状態で病院に運ばれてきた人を蘇生させたことはあるが,病院内で発生した心原性ショックを除けば救急外来で救命できる人のほとんどは不整脈の患者さんである.それも救急隊到着までの時間が早いほど予後がいい.心肺蘇生法の開始のタイミングがいかに重要かということだろう.
一般人でも救命救急士の講習会などで救急蘇生法の実習などを受けていれば心臓マッサージや人工呼吸法くらいはできるものである.自分の家族や友人だっていつ心臓発作で倒れるかもしれないのだからAEDが公共施設に配備されることは救急蘇生法に関心をもつのにちょうど良いタイミングではないだろうか.