人が死んでも責任はとらない
2007年12月1日 医療の問題 コメント (1)『薬害肝炎リスト放置、厚労省責任「問えぬ」 最終報告
血液製剤フィブリノゲンでC型肝炎に感染した可能性がある患者418人のリストが放置された問題で、厚生労働省の調査プロジェクトチーム(PT)は30日、患者に告知しなかった5年前の同省や職員の対応について「責任は問えない」とする最終報告をまとめた。専門家会議が当時、広く肝炎患者に検査を呼びかける提言をしたことなどを根拠としたが、薬害C型肝炎訴訟の原告団からは批判の声が上がった。
418人リストの患者のその後の病状などを調べる追跡調査は、同日設置された肝炎専門医らでつくる検討会が、実施する。
PTは、厚労省職員や元職員47人のほか、肝炎の専門医や製剤を投与した産科医、薬害C型肝炎訴訟の原告、製造販売元の田辺三菱製薬の担当者から聞き取り調査した。
報告書は、リストが提出された02年当時に関係した職員は全員が「患者への告知は議論しなかった」と証言。「告知に行政が介入すべきでない」と述べた職員もいた。
これに対して報告書は、自覚症状がないまま進行する肝炎の特性を踏まえて「国は患者の視点に立って告知に配慮してしかるべきで、反省すべきだ」と述べ、「肝炎で苦しんでいる人々に思いを致すべきだという批判を組織全体として重く受け止める」とした。
ただ、責任論については、「告知が国に義務づけられていない」などとして、「国に具体的な責任があるとまでは言い切れなかった」と結論づけた。
田辺三菱製薬が197人の実名を把握していたのに、厚労省はそのほとんどを把握していなかったことについては、02年当時、職員3人が同社を立ち入り検査して資料を調べたものの、同社の製法処理と副作用の関係を調べることなどが目的だったため、「患者情報も含まれていたことに意識が及ばなかった」のが理由だったという。
一方、舛添厚労相が10月16日の国会答弁で存在を否定した実名入り資料が、その3日後に地下倉庫から「発見」された問題では、資料が04年7月、職員間の引き継ぎなく倉庫に移されていたことがわかった。文書管理不備の観点から週明けに職員を処分するという。PTの責任者、西川京子副大臣は会見で「職員に隠蔽(いんぺい)の意図はなかったが、文書管理は極めてずさんだった」と述べた。』
「告知に行政が介入すべきでない」.厚生労働省の職員の意識なんてこんなものなんだろう.誰も直接患者に告知せよなどと言っている訳ではないのに.お得意の医療機関へ告知の指導をするだけ,もしくは血液製剤の投与を受けた患者さんにマスコミを通じて医療機関に確認するよう知らせるだけでも結果はまったく違っていたはずである.
自分たちに都合のよいことや,医療機関に都合の悪い事にはきわめて自分勝手な決定をして医療行為に介入するのに,自分たちの責任になりそうなことは放置し後回しにするという厚生労働省の体質がこの一件でもよくわかる.人が一生懸命やっている仕事に横から口や手を出しておいて結果が悪くなりそうだとさっと引いて自分では決して責任はとらないという人がどこの職場にもいることだろうが,厚生労働省のお役人達にとってそんなことは常識なのだろう.
薬害エイズ,年金の浪費,医療崩壊促進,年金のずさんな記録,そして肝炎放置と挙げれば枚挙にいとまがないが,社会保険庁の歴代長官のように厚生官僚たちは退職金を満額もらってせっせと天下りしていくのかと思うと真面目に仕事するのがばからしくなるのは私だけではないだろう.もっとも医師の場合は,自分のやったことの責任は自分でとらなければならないから,決して手を抜くようなことはないので私の患者さんは安心して来週も病院に来てください.
血液製剤フィブリノゲンでC型肝炎に感染した可能性がある患者418人のリストが放置された問題で、厚生労働省の調査プロジェクトチーム(PT)は30日、患者に告知しなかった5年前の同省や職員の対応について「責任は問えない」とする最終報告をまとめた。専門家会議が当時、広く肝炎患者に検査を呼びかける提言をしたことなどを根拠としたが、薬害C型肝炎訴訟の原告団からは批判の声が上がった。
418人リストの患者のその後の病状などを調べる追跡調査は、同日設置された肝炎専門医らでつくる検討会が、実施する。
PTは、厚労省職員や元職員47人のほか、肝炎の専門医や製剤を投与した産科医、薬害C型肝炎訴訟の原告、製造販売元の田辺三菱製薬の担当者から聞き取り調査した。
報告書は、リストが提出された02年当時に関係した職員は全員が「患者への告知は議論しなかった」と証言。「告知に行政が介入すべきでない」と述べた職員もいた。
これに対して報告書は、自覚症状がないまま進行する肝炎の特性を踏まえて「国は患者の視点に立って告知に配慮してしかるべきで、反省すべきだ」と述べ、「肝炎で苦しんでいる人々に思いを致すべきだという批判を組織全体として重く受け止める」とした。
ただ、責任論については、「告知が国に義務づけられていない」などとして、「国に具体的な責任があるとまでは言い切れなかった」と結論づけた。
田辺三菱製薬が197人の実名を把握していたのに、厚労省はそのほとんどを把握していなかったことについては、02年当時、職員3人が同社を立ち入り検査して資料を調べたものの、同社の製法処理と副作用の関係を調べることなどが目的だったため、「患者情報も含まれていたことに意識が及ばなかった」のが理由だったという。
一方、舛添厚労相が10月16日の国会答弁で存在を否定した実名入り資料が、その3日後に地下倉庫から「発見」された問題では、資料が04年7月、職員間の引き継ぎなく倉庫に移されていたことがわかった。文書管理不備の観点から週明けに職員を処分するという。PTの責任者、西川京子副大臣は会見で「職員に隠蔽(いんぺい)の意図はなかったが、文書管理は極めてずさんだった」と述べた。』
「告知に行政が介入すべきでない」.厚生労働省の職員の意識なんてこんなものなんだろう.誰も直接患者に告知せよなどと言っている訳ではないのに.お得意の医療機関へ告知の指導をするだけ,もしくは血液製剤の投与を受けた患者さんにマスコミを通じて医療機関に確認するよう知らせるだけでも結果はまったく違っていたはずである.
自分たちに都合のよいことや,医療機関に都合の悪い事にはきわめて自分勝手な決定をして医療行為に介入するのに,自分たちの責任になりそうなことは放置し後回しにするという厚生労働省の体質がこの一件でもよくわかる.人が一生懸命やっている仕事に横から口や手を出しておいて結果が悪くなりそうだとさっと引いて自分では決して責任はとらないという人がどこの職場にもいることだろうが,厚生労働省のお役人達にとってそんなことは常識なのだろう.
薬害エイズ,年金の浪費,医療崩壊促進,年金のずさんな記録,そして肝炎放置と挙げれば枚挙にいとまがないが,社会保険庁の歴代長官のように厚生官僚たちは退職金を満額もらってせっせと天下りしていくのかと思うと真面目に仕事するのがばからしくなるのは私だけではないだろう.もっとも医師の場合は,自分のやったことの責任は自分でとらなければならないから,決して手を抜くようなことはないので私の患者さんは安心して来週も病院に来てください.
『「技術料」上げ要請も 診療報酬改定で中医協 来週にも意見書
来年度の診療報酬改定をめぐり、中央社会保険医療協議会(中医協)は21日、総会を開き本格論議を始めた。最近3回はマイナス改定が続いたが、地域医療や病院勤務医への配慮の必要性について各委員の認識は一致しており、診療報酬のうち医師の技術料である「本体部分」に限り、引き上げを求める可能性も出てきた。
中医協は来週にも意見書を舛添要一厚生労働相に提出する。意見書に拘束力はないが、政府はこれも参考として来年度予算編成前に改定率を決定する。
厚労省は「ある程度上げないと医者のなり手がなくなる」(舛添氏)との立場だが、財務省の意向が反映される財政制度等審議会は建議で3・6%程度の報酬引き下げを求めており、攻防が予想される。
診療報酬は、公的保険から医療機関や薬局に支払われる医療技術やサービス、薬剤などの公定価格。本体部分と薬価・材料部分で構成、ほぼ2年ごとに改定される。
この日の中医協総会では、健康保険組合連合会や日本経団連など支払い側委員は連名で「国民の負担感を勘案すると診療報酬を引き上げる環境にない」との意見書を提出。日本医師会など診療側委員は「大幅な引き上げの実現」を要望した。
支払い側は「医師の人件費は高く経営努力が足りない」としたが、診療側は「度重なるマイナス改定で多くの病院の経営が悪化した」と応じた。
だが、中立的な公益委員の1人、遠藤久夫学習院大教授が「私見」として「賃金と物価は上昇傾向にあり、引き上げるのが妥当だ」と異例の意見を表明。さらに支払い側からも連合代表の委員が「本体の引き上げは必要」と意見を述べた。
-最近の診療報酬改定
最近の診療報酬改定 小泉純一郎元首相の構造改革路線やデフレの影響で、診療報酬は3回連続でマイナス改定。2002年度は2・7%のマイナス、うち医師の技術料である「本体部分」はマイナス1・3%で初の引き下げとなった。04年度に本体は維持されたが薬価引き下げで全体はマイナス1・0%。06年度はマイナス3・16%(本体1・36%、薬価1・8%)と過去最大の下げ幅だった。本体引き上げは2000年度のプラス1・9%以来、実現していない。』
日本経団連などが,「国民の負担感を勘案すると診療報酬を引き上げる環境にない」と言うのはとんでもない話だ.元はと言えば,企業がその利益を労働者ではなく資本家に振り向けるから一般国民の賃金が上がらなくて医療費に対する負担感が上昇しているだけではないだろうか.
その労働者の健康を守るのも企業の社会的な責務だと思うのだが,医療サービスにお金を出し渋りながら医療水準の維持を求め,あげくに病院の経営努力のせいにするとはまったくふざけた話である.民間企業の労働者の所得を公務員なみに引き上げて,健康保険の企業負担分を引き上げれば国民健康保険の収支も改善する事は明らかだろう.それにダメ省庁の官僚たちに比べれば医師の人件費も低すぎるくらいだろう.
国民が一生懸命はたらいて稼いだお金が資本家に吸い上げられ,あげくに国民の社会福祉が後退するのでは,国民の血を吸血鬼に吸わせ続けたあげくに吸血鬼の言いなりになるのと同じ事のように思えるのだが,こんなことをしながら国民のことを考えているようなふりをする日本経団連(会長 御手洗冨士夫 キヤノン会長)にはつくづく嫌気がさすのだが,国民はそうは思わないのだろうか.
この機会に日本経団連についてちょっと勉強してみてはどうでしょう.
”http://ja.wikipedia.org/wiki/日本経済団体連合会”
来年度の診療報酬改定をめぐり、中央社会保険医療協議会(中医協)は21日、総会を開き本格論議を始めた。最近3回はマイナス改定が続いたが、地域医療や病院勤務医への配慮の必要性について各委員の認識は一致しており、診療報酬のうち医師の技術料である「本体部分」に限り、引き上げを求める可能性も出てきた。
中医協は来週にも意見書を舛添要一厚生労働相に提出する。意見書に拘束力はないが、政府はこれも参考として来年度予算編成前に改定率を決定する。
厚労省は「ある程度上げないと医者のなり手がなくなる」(舛添氏)との立場だが、財務省の意向が反映される財政制度等審議会は建議で3・6%程度の報酬引き下げを求めており、攻防が予想される。
診療報酬は、公的保険から医療機関や薬局に支払われる医療技術やサービス、薬剤などの公定価格。本体部分と薬価・材料部分で構成、ほぼ2年ごとに改定される。
この日の中医協総会では、健康保険組合連合会や日本経団連など支払い側委員は連名で「国民の負担感を勘案すると診療報酬を引き上げる環境にない」との意見書を提出。日本医師会など診療側委員は「大幅な引き上げの実現」を要望した。
支払い側は「医師の人件費は高く経営努力が足りない」としたが、診療側は「度重なるマイナス改定で多くの病院の経営が悪化した」と応じた。
だが、中立的な公益委員の1人、遠藤久夫学習院大教授が「私見」として「賃金と物価は上昇傾向にあり、引き上げるのが妥当だ」と異例の意見を表明。さらに支払い側からも連合代表の委員が「本体の引き上げは必要」と意見を述べた。
-最近の診療報酬改定
最近の診療報酬改定 小泉純一郎元首相の構造改革路線やデフレの影響で、診療報酬は3回連続でマイナス改定。2002年度は2・7%のマイナス、うち医師の技術料である「本体部分」はマイナス1・3%で初の引き下げとなった。04年度に本体は維持されたが薬価引き下げで全体はマイナス1・0%。06年度はマイナス3・16%(本体1・36%、薬価1・8%)と過去最大の下げ幅だった。本体引き上げは2000年度のプラス1・9%以来、実現していない。』
日本経団連などが,「国民の負担感を勘案すると診療報酬を引き上げる環境にない」と言うのはとんでもない話だ.元はと言えば,企業がその利益を労働者ではなく資本家に振り向けるから一般国民の賃金が上がらなくて医療費に対する負担感が上昇しているだけではないだろうか.
その労働者の健康を守るのも企業の社会的な責務だと思うのだが,医療サービスにお金を出し渋りながら医療水準の維持を求め,あげくに病院の経営努力のせいにするとはまったくふざけた話である.民間企業の労働者の所得を公務員なみに引き上げて,健康保険の企業負担分を引き上げれば国民健康保険の収支も改善する事は明らかだろう.それにダメ省庁の官僚たちに比べれば医師の人件費も低すぎるくらいだろう.
国民が一生懸命はたらいて稼いだお金が資本家に吸い上げられ,あげくに国民の社会福祉が後退するのでは,国民の血を吸血鬼に吸わせ続けたあげくに吸血鬼の言いなりになるのと同じ事のように思えるのだが,こんなことをしながら国民のことを考えているようなふりをする日本経団連(会長 御手洗冨士夫 キヤノン会長)にはつくづく嫌気がさすのだが,国民はそうは思わないのだろうか.
この機会に日本経団連についてちょっと勉強してみてはどうでしょう.
”http://ja.wikipedia.org/wiki/日本経済団体連合会”
経験して改めて思うのですが,
人間にはこれから起きる事はわかりません.
こう考えると明日の事が不安になってくるのですが,
それでもやっぱり一日一日を精一杯生きるしかないようです.
人間にはこれから起きる事はわかりません.
こう考えると明日の事が不安になってくるのですが,
それでもやっぱり一日一日を精一杯生きるしかないようです.
何のための成果主義?
2007年11月20日 医療の問題 コメント (3)『 リハビリ診療に成果主義を導入 厚労省方針
厚生労働省は16日の中央社会保険医療協議会(中医協)小委員会で、08年度診療報酬改定で医療の世界に初めて「成果主義」を導入する方針を表明した。08年度は、脳卒中などでリハビリを受ける人が入院する「回復期リハビリ病棟」(約3万6000床)への診療報酬を、病状の改善度合いに応じて加減する意向。11月末の中医協に正式に提示する。』
一生懸命にやっても,なかなか良くならない患者さんのリハビリテーションはコスト面から続けられないようにするわけだ.患者を切り捨てるための成果主義っていったい何なんでしょう.
こんなことまでして医療費を削減する前に,年金問題でさっぱり成果があげられず,馬鹿げた診療報酬改定を連発する厚生労働省の役人達をまず切り捨てて欲しいものですね.
厚生労働省は16日の中央社会保険医療協議会(中医協)小委員会で、08年度診療報酬改定で医療の世界に初めて「成果主義」を導入する方針を表明した。08年度は、脳卒中などでリハビリを受ける人が入院する「回復期リハビリ病棟」(約3万6000床)への診療報酬を、病状の改善度合いに応じて加減する意向。11月末の中医協に正式に提示する。』
一生懸命にやっても,なかなか良くならない患者さんのリハビリテーションはコスト面から続けられないようにするわけだ.患者を切り捨てるための成果主義っていったい何なんでしょう.
こんなことまでして医療費を削減する前に,年金問題でさっぱり成果があげられず,馬鹿げた診療報酬改定を連発する厚生労働省の役人達をまず切り捨てて欲しいものですね.
財界の誘導に乗れば結果は...
2007年11月19日 医療の問題『混合診療「全面解禁を」 来月の答申に盛り込みへ 規制改革会議
政府の規制改革会議(草刈隆郎議長)は15日、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の全面解禁について、12月にまとめる第2次答申に重点事項として盛り込む方針を決めた。
混合診療を巡っては、小泉内閣時代の規制改革・民間開放推進会議(当時)が04年に解禁を提言。しかし、厚生労働省は「所得のある人とない人で格差が生じる」などとして、一部の高度先進医療だけに導入を認め、原則として保険給付の対象外にしていた。
これに対して、東京地裁は今月7日、厚労省の判断を違法とし、原告患者に保険給付を受けられる権利を認める判決を出した。
混合診療を原則として禁止する国の政策を違法とする初めての司法判断を受け、規制改革会議は全面解禁を求めることにした。
同会議が15日、患者に行ったヒアリングでも、「混合診療としてたった一つの保険外診療を受けるだけで、診療全体が保険外になるという扱いはおかしい」「保険医療だけでは、死亡率は減らない」などの批判が続出。一定の保険給付を前提とした混合診療の解禁を訴える意見が相次いだ。』
『「混合診療」禁止は違法 全額自己負担に根拠なし 男性がん患者が勝訴 東京地裁が初判断
健康保険法に基づき保険が適用される診療に、適用されない自由診療を加えて受けると、保険適用診療まで含め医療費が全額自己負担となるのは違法として、がん患者の男性が訴えた訴訟で、東京地裁は7日、男性勝訴の判決を言い渡した。
国は保険診療と自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止しているが、定塚誠(じょうづか・まこと)裁判長は、この政策を「法的根拠はない」として違法とする初の判断を示し、男性に保険適用診療分の受給権があると認めた。
混合診療をめぐっては、がん患者らが「保険対象外の抗がん剤などを使えば自己負担が膨大になる」と解禁を求める声も多い一方、「高所得層だけが良い医療を受けられるようになり国民皆保険制度の崩壊につながる」との懸念も強く、判決はこうした議論や医療現場に大きな影響を与えそうだ。
原告は、神奈川県藤沢市の団体職員清郷伸人(きよさと・のぶひと)さん(60)で、弁護士を付けず1人で裁判を続けてきた。
国側は「保険診療に自由診療が加わった場合は、不可分一体の1つの新たな医療行為とみるべきだ」と主張したが、判決は「一体と解釈すべきという法的根拠を見いだせない。法は診療行為ごとに、適用診療かどうかを判断する仕組みを採用している」と退けた。
混合診療の原則禁止について「医療の平等を保障する必要性や、解禁すれば患者の負担が増大する恐れがあり合理的」との国の指摘に対しては、「今回の訴訟の問題は、いかなる法的根拠によって、自由診療と併用すると、保険適用診療の受給もできなくなると解釈できるのかという点。混合診療全体の在り方の問題とは次元が異なる」と判断した。
判決などによると、清郷さんは2001年9月から、神奈川県立がんセンターで腎臓がん治療のため、保険適用のインターフェロン治療に加え、適用対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用していた。』
結論から言うと,医学的に有効性が確立されていない先端的医療や社会的なコンセンサスの得られていないものについては自費で,それ以外は健康保険という2本立てでいいのではないだろうか.裁判所の混合診療全体の在り方の問題とは次元が異なるという判断は正しいと思う.
こういう特殊な事例について拡大解釈し,混合診療「全面解禁を」というような政府の規制改革会議は信用できない.もともと彼らのねらいは病院という特殊な事業体によって独占されている医療という市場に自分たちが参入し,利益を得ようというところにあるのは明らかである.保険料の不払いを平気でやってきた人たちに医療への参入を許せばどういうことになるのかは考えるまでもないだろう.
必要なのは我が国の医療水準に見合った医療費の増額であって,そのために公費の負担をどこから捻出するかが問題なのである.4年前に私が書いた介護保険のその後をみればわかるように,現場で働く医師としては混合診療を全面解禁したらまさに「命の沙汰も金次第」という恐ろしいことになると思うのだが,国民はそんな状況を望んでいるのだろうか.
-
当ブログをはじめて今日でちょうど4年になりましたが,私のまわりの医療環境は一向に改善する気配がありません.家族からも見捨てられ行き場を失った人が一人寂しく死んでいくのを看取るのは虚しいものです.介護保険があっても病院のベッドを減らすのは「死ぬなら病院の外で死ね」と言っているようなものだと思います.
それに加えて混合診療を全面解禁することは,おそらく「金の切れ目が治療の切れ目」「任意保険のない者は病院に来るな」ということになるのだと思います.お金に目がくらんだ人たちの言うことを聞いてもきっとろくな事にはならないと思います.
政府の規制改革会議(草刈隆郎議長)は15日、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の全面解禁について、12月にまとめる第2次答申に重点事項として盛り込む方針を決めた。
混合診療を巡っては、小泉内閣時代の規制改革・民間開放推進会議(当時)が04年に解禁を提言。しかし、厚生労働省は「所得のある人とない人で格差が生じる」などとして、一部の高度先進医療だけに導入を認め、原則として保険給付の対象外にしていた。
これに対して、東京地裁は今月7日、厚労省の判断を違法とし、原告患者に保険給付を受けられる権利を認める判決を出した。
混合診療を原則として禁止する国の政策を違法とする初めての司法判断を受け、規制改革会議は全面解禁を求めることにした。
同会議が15日、患者に行ったヒアリングでも、「混合診療としてたった一つの保険外診療を受けるだけで、診療全体が保険外になるという扱いはおかしい」「保険医療だけでは、死亡率は減らない」などの批判が続出。一定の保険給付を前提とした混合診療の解禁を訴える意見が相次いだ。』
『「混合診療」禁止は違法 全額自己負担に根拠なし 男性がん患者が勝訴 東京地裁が初判断
健康保険法に基づき保険が適用される診療に、適用されない自由診療を加えて受けると、保険適用診療まで含め医療費が全額自己負担となるのは違法として、がん患者の男性が訴えた訴訟で、東京地裁は7日、男性勝訴の判決を言い渡した。
国は保険診療と自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止しているが、定塚誠(じょうづか・まこと)裁判長は、この政策を「法的根拠はない」として違法とする初の判断を示し、男性に保険適用診療分の受給権があると認めた。
混合診療をめぐっては、がん患者らが「保険対象外の抗がん剤などを使えば自己負担が膨大になる」と解禁を求める声も多い一方、「高所得層だけが良い医療を受けられるようになり国民皆保険制度の崩壊につながる」との懸念も強く、判決はこうした議論や医療現場に大きな影響を与えそうだ。
原告は、神奈川県藤沢市の団体職員清郷伸人(きよさと・のぶひと)さん(60)で、弁護士を付けず1人で裁判を続けてきた。
国側は「保険診療に自由診療が加わった場合は、不可分一体の1つの新たな医療行為とみるべきだ」と主張したが、判決は「一体と解釈すべきという法的根拠を見いだせない。法は診療行為ごとに、適用診療かどうかを判断する仕組みを採用している」と退けた。
混合診療の原則禁止について「医療の平等を保障する必要性や、解禁すれば患者の負担が増大する恐れがあり合理的」との国の指摘に対しては、「今回の訴訟の問題は、いかなる法的根拠によって、自由診療と併用すると、保険適用診療の受給もできなくなると解釈できるのかという点。混合診療全体の在り方の問題とは次元が異なる」と判断した。
判決などによると、清郷さんは2001年9月から、神奈川県立がんセンターで腎臓がん治療のため、保険適用のインターフェロン治療に加え、適用対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用していた。』
結論から言うと,医学的に有効性が確立されていない先端的医療や社会的なコンセンサスの得られていないものについては自費で,それ以外は健康保険という2本立てでいいのではないだろうか.裁判所の混合診療全体の在り方の問題とは次元が異なるという判断は正しいと思う.
こういう特殊な事例について拡大解釈し,混合診療「全面解禁を」というような政府の規制改革会議は信用できない.もともと彼らのねらいは病院という特殊な事業体によって独占されている医療という市場に自分たちが参入し,利益を得ようというところにあるのは明らかである.保険料の不払いを平気でやってきた人たちに医療への参入を許せばどういうことになるのかは考えるまでもないだろう.
必要なのは我が国の医療水準に見合った医療費の増額であって,そのために公費の負担をどこから捻出するかが問題なのである.4年前に私が書いた介護保険のその後をみればわかるように,現場で働く医師としては混合診療を全面解禁したらまさに「命の沙汰も金次第」という恐ろしいことになると思うのだが,国民はそんな状況を望んでいるのだろうか.
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当ブログをはじめて今日でちょうど4年になりましたが,私のまわりの医療環境は一向に改善する気配がありません.家族からも見捨てられ行き場を失った人が一人寂しく死んでいくのを看取るのは虚しいものです.介護保険があっても病院のベッドを減らすのは「死ぬなら病院の外で死ね」と言っているようなものだと思います.
それに加えて混合診療を全面解禁することは,おそらく「金の切れ目が治療の切れ目」「任意保険のない者は病院に来るな」ということになるのだと思います.お金に目がくらんだ人たちの言うことを聞いてもきっとろくな事にはならないと思います.
ついに日本の医療も米国並に...
2007年11月15日 医療の問題『「病院にほられた」パジャマ姿で猛暑のベンチに 堺の病院・全盲患者放置
「病院に捨てられた」。新金岡豊川総合病院(堺市北区)の職員から、大阪市内の公園に放置された全盲の無職男性患者(63)は、男性を保護した救急隊員らに、こう話したという。病人を保護するはずの病院の信じられない行為。警察の調べに、同病院職員は「近くに病院が見えたから」と公園に放置した理由を説明した。病院側は会見で「あるまじき行為だった」と非を認めたが、医療機関としてモラルが厳しく問われることは必至だ。
大阪市消防局などによると、「匿名の男」から119番があったのは9月21日午後2時23分。「60代男性が倒れている。目が見えない」という内容だった。7分後、同市西成区鶴見橋3の松之宮公園に救急車で駆けつけた西成消防署の救急隊員が見たのは、公園隅のベンチに、ぽつんと座るパジャマ姿の男性と、隣のベンチに置かれた男性の衣装ケース二つ、衣類の入った三つのごみ袋だった。
男性の意識はしっかりしていた。しかし、当日は30度を超す猛暑。顔が少し紅潮していた。隊員は、「捨てられた」という男性の話を信じられなかったが、確認のため病院に電話をしたところ、応対した職員は「(男性患者の)話す通りです」と認めた。男性は37・6度の発熱があり、午後4時18分、近くの病院に搬送。翌日、別の病院に転院したという。
消防は事件の可能性もあるとみて110番通報もした。男性は府警西成署の調べにも「病院にほられた(捨てられた)」と説明したという。
同署は、10月に病院を家宅捜索し、放置にかかわった男性職員から事情を聴いた。30-40代の事務職員2人は「医師の診断で退院可能と分かったが、男性が退院の説得に応じないうえ、引き取りを依頼した前妻からも拒否された」と説明。この公園を選んだのは「近くに病院が(車から)見えたので、ここなら大丈夫と思った」と話したという。
◇「指示してない」院長の次男会見
堺市北区の新金岡豊川総合病院では、体調を崩したという豊川元邦院長に代わり次男の泰樹・薬局長らが会見した。何度も頭を下げたが、「なぜ放置したか分からない。誰も指示していない」と、あくまで現場の職員の判断だったと強調した。一方で「放置するくらいなら、自宅に男性を降ろした方がよかった」とも発言し、患者軽視の姿勢も見え隠れした。
病院側によると、放置することを判断したのは4人のうちの年長者の渉外係の職員(47)。男性の病状は安定し、退院は可能だったが、家族など受け入れ態勢がなく退院できない「社会的入院」で長期の病院暮らしを送っていた。目の不自由な人向けの施設などへの入所を勧めても拒否。他の患者とトラブルを起こして6人部屋を独占し、暴言を恐れて辞めていった看護師もいたという。男性にはいまだ謝罪していないという。』
こんなニュースになるようでは病院や医師を叩きたいマスコミに格好の話題を提供しただけである.職員は病院のために思い余ってこんな非人道的な行動に走ってしまったのかもしれないが,全く無意味などころか診療報酬削減キャンペーンのネタにされ社会的入院なのに退院させられずに我慢している他の病院の足をさらに引っ張るだけである.理由の如何を問わずに軽率な行動には猛省を促すべきだろう.
他のニュースによるとこの患者は7年間も入院していて,2年前に生活保護を切られてから入院費が不払いになったようである.不払いも他の患者とトラブルで6人部屋を独占するのも決して許されることではないが,患者が生保であることをいいことに5年間も社会的入院させ,生活保護からのお金がなくなったら退院可能というのでは患者が納得しないのも無理はない.こう考えると職員だけの問題でなく病院運営の責任者である院長にも責任の一端があると思えてくる.
しかし,世の中にはこうまでしないと生き残れない病院が他にもたくさんあるような気もするのだが,どうなのだろうか.景気が良くなっていると言いながら,財政再建の矛先を社会保障費の削減に向けている財務省の言い分は確実に格差社会の格差を広げ,社会的弱者をさらに弱い立場へ追いつめていくような気がするが,これもやはり米国追従政策ということなのだろうか.
国も自治体も病院まかせにしておきながら医療費は削減するなんていう馬鹿な話がいつまでも通用すると思うのはいいかげん止めるべきだろう.良心的な医師は患者のためならかなりひどい状況でも我慢して自らにストレスをためてしまうのだろうが,これからは医療行政の不手際をもっと声を大にして家族や国民そしてマスコミにアピールする必要があるのだろう.もはや医療現場で黙々と仕事をしているだけでは患者と家族の救済はできない世の中になっているのだから.
こんなことで日本の医療水準を米国並にする必要はないのだが,日本国民も一度経験しないと学べないというのならばそれも仕方がないのかもしれない.ただし,その代償は自分や家族の命で払うことになるということは忘れないほうがいいだろう.もっとも米国では大統領選を前にヒラリー・クリントン上院議員が国民皆保険の導入を掲げ,福祉のあり方をめぐって米国民は重大な選択を迫られているそうだから,いずれは日本でも皆保険制度について国民的議論になることは間違いないのだろう.
「病院に捨てられた」。新金岡豊川総合病院(堺市北区)の職員から、大阪市内の公園に放置された全盲の無職男性患者(63)は、男性を保護した救急隊員らに、こう話したという。病人を保護するはずの病院の信じられない行為。警察の調べに、同病院職員は「近くに病院が見えたから」と公園に放置した理由を説明した。病院側は会見で「あるまじき行為だった」と非を認めたが、医療機関としてモラルが厳しく問われることは必至だ。
大阪市消防局などによると、「匿名の男」から119番があったのは9月21日午後2時23分。「60代男性が倒れている。目が見えない」という内容だった。7分後、同市西成区鶴見橋3の松之宮公園に救急車で駆けつけた西成消防署の救急隊員が見たのは、公園隅のベンチに、ぽつんと座るパジャマ姿の男性と、隣のベンチに置かれた男性の衣装ケース二つ、衣類の入った三つのごみ袋だった。
男性の意識はしっかりしていた。しかし、当日は30度を超す猛暑。顔が少し紅潮していた。隊員は、「捨てられた」という男性の話を信じられなかったが、確認のため病院に電話をしたところ、応対した職員は「(男性患者の)話す通りです」と認めた。男性は37・6度の発熱があり、午後4時18分、近くの病院に搬送。翌日、別の病院に転院したという。
消防は事件の可能性もあるとみて110番通報もした。男性は府警西成署の調べにも「病院にほられた(捨てられた)」と説明したという。
同署は、10月に病院を家宅捜索し、放置にかかわった男性職員から事情を聴いた。30-40代の事務職員2人は「医師の診断で退院可能と分かったが、男性が退院の説得に応じないうえ、引き取りを依頼した前妻からも拒否された」と説明。この公園を選んだのは「近くに病院が(車から)見えたので、ここなら大丈夫と思った」と話したという。
◇「指示してない」院長の次男会見
堺市北区の新金岡豊川総合病院では、体調を崩したという豊川元邦院長に代わり次男の泰樹・薬局長らが会見した。何度も頭を下げたが、「なぜ放置したか分からない。誰も指示していない」と、あくまで現場の職員の判断だったと強調した。一方で「放置するくらいなら、自宅に男性を降ろした方がよかった」とも発言し、患者軽視の姿勢も見え隠れした。
病院側によると、放置することを判断したのは4人のうちの年長者の渉外係の職員(47)。男性の病状は安定し、退院は可能だったが、家族など受け入れ態勢がなく退院できない「社会的入院」で長期の病院暮らしを送っていた。目の不自由な人向けの施設などへの入所を勧めても拒否。他の患者とトラブルを起こして6人部屋を独占し、暴言を恐れて辞めていった看護師もいたという。男性にはいまだ謝罪していないという。』
こんなニュースになるようでは病院や医師を叩きたいマスコミに格好の話題を提供しただけである.職員は病院のために思い余ってこんな非人道的な行動に走ってしまったのかもしれないが,全く無意味などころか診療報酬削減キャンペーンのネタにされ社会的入院なのに退院させられずに我慢している他の病院の足をさらに引っ張るだけである.理由の如何を問わずに軽率な行動には猛省を促すべきだろう.
他のニュースによるとこの患者は7年間も入院していて,2年前に生活保護を切られてから入院費が不払いになったようである.不払いも他の患者とトラブルで6人部屋を独占するのも決して許されることではないが,患者が生保であることをいいことに5年間も社会的入院させ,生活保護からのお金がなくなったら退院可能というのでは患者が納得しないのも無理はない.こう考えると職員だけの問題でなく病院運営の責任者である院長にも責任の一端があると思えてくる.
しかし,世の中にはこうまでしないと生き残れない病院が他にもたくさんあるような気もするのだが,どうなのだろうか.景気が良くなっていると言いながら,財政再建の矛先を社会保障費の削減に向けている財務省の言い分は確実に格差社会の格差を広げ,社会的弱者をさらに弱い立場へ追いつめていくような気がするが,これもやはり米国追従政策ということなのだろうか.
国も自治体も病院まかせにしておきながら医療費は削減するなんていう馬鹿な話がいつまでも通用すると思うのはいいかげん止めるべきだろう.良心的な医師は患者のためならかなりひどい状況でも我慢して自らにストレスをためてしまうのだろうが,これからは医療行政の不手際をもっと声を大にして家族や国民そしてマスコミにアピールする必要があるのだろう.もはや医療現場で黙々と仕事をしているだけでは患者と家族の救済はできない世の中になっているのだから.
こんなことで日本の医療水準を米国並にする必要はないのだが,日本国民も一度経験しないと学べないというのならばそれも仕方がないのかもしれない.ただし,その代償は自分や家族の命で払うことになるということは忘れないほうがいいだろう.もっとも米国では大統領選を前にヒラリー・クリントン上院議員が国民皆保険の導入を掲げ,福祉のあり方をめぐって米国民は重大な選択を迫られているそうだから,いずれは日本でも皆保険制度について国民的議論になることは間違いないのだろう.
これはやり方が違うんじゃないか
2007年11月13日 医療の問題 コメント (3)『 後発薬、患者の選択重視に 処方せん「変更可」原則 調剤率高い薬局に加算も 厚労省方針、薬剤費軽減へ
厚生労働省は9日、後発医薬品の使用促進策として、医師の出す「処方せん」の様式を原則として後発薬に変更できるように見直す方針を固め、中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。薬局が後発薬を高い割合で調剤すれば報酬も加算する。2008年度の診療報酬改定に盛り込む。
後発薬の普及が進まない背景には、薬の選定が医師や薬剤師らの意向に左右されがちな実態があるとされるが、促進策は患者の選択権に委ねるよう転換を図る内容。先発医薬品より安価な後発薬のシェアが高まれば、患者の薬剤費の負担が軽減され、医療費が抑制される。
厚労省は12年度までに後発薬の数量シェアを30%まで引き上げる目標を掲げているが、現状は17%止まり。
促進策は、処方せんに06年度新設された医師署名欄で「後発薬に変更可」の場合にサインする様式を逆にして、後発薬に変更するべきでないと判断した場合のみ「変更不可」にサインするよう見直す。銘柄指定が「例外的」となり、患者は薬局窓口で希望すれば、後発薬に替えられる。
医師のサインの手間を省き、後発薬の使用を促す狙い。「後発薬を使いたい」と言いにくかった患者側の障壁も除かれる。
また厚労省は、後発薬分の調剤が30-40%など、一定割合を超えた薬局に報酬を加算する一方、後発薬を含んだ処方せんへの現行の加算をなくす方針。加算廃止分は勤務医の待遇改善などに回す方向とみられる。
このほか、医師から後発薬の銘柄が指定されても、薬剤師は説明の上で患者の同意があれば、医師への照会抜きで別銘柄に変更できるようにして、薬局の在庫管理の負担を軽減。
先発薬から後発薬への切り替えを薬局が初めて試みる際、患者の不安を和らげるために3日-1週間程度、後発薬の「お試し期間」を設けて調剤すれば加算する方針だ。』
患者の選択権などと言えば聞こえはいいが,後発薬分の調剤が一定割合を超えた薬局に報酬を加算するというのなら調剤薬局は変更不可に署名されていなければ当然ジェネリックへの変更を強力におすすめするに違いない.
そして,後発薬を含んだ処方せんへの現行の加算をなくすというのは,もうジェネリックへの変更を医師には期待していないということで,加算廃止分は勤務医の待遇改善などに回すなどというのは口だけに違いない.
デフォルトが処方変更可になるようだから,医師は「先発医薬品を使いたい」と薬局で言いにくくなる患者さんにはその選択を重視して面倒でも変更不可に署名してあげなければならないかもしれません.
以下も参考にどうぞ
http://diarynote.jp/d/41284/20070424.html
厚生労働省は9日、後発医薬品の使用促進策として、医師の出す「処方せん」の様式を原則として後発薬に変更できるように見直す方針を固め、中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。薬局が後発薬を高い割合で調剤すれば報酬も加算する。2008年度の診療報酬改定に盛り込む。
後発薬の普及が進まない背景には、薬の選定が医師や薬剤師らの意向に左右されがちな実態があるとされるが、促進策は患者の選択権に委ねるよう転換を図る内容。先発医薬品より安価な後発薬のシェアが高まれば、患者の薬剤費の負担が軽減され、医療費が抑制される。
厚労省は12年度までに後発薬の数量シェアを30%まで引き上げる目標を掲げているが、現状は17%止まり。
促進策は、処方せんに06年度新設された医師署名欄で「後発薬に変更可」の場合にサインする様式を逆にして、後発薬に変更するべきでないと判断した場合のみ「変更不可」にサインするよう見直す。銘柄指定が「例外的」となり、患者は薬局窓口で希望すれば、後発薬に替えられる。
医師のサインの手間を省き、後発薬の使用を促す狙い。「後発薬を使いたい」と言いにくかった患者側の障壁も除かれる。
また厚労省は、後発薬分の調剤が30-40%など、一定割合を超えた薬局に報酬を加算する一方、後発薬を含んだ処方せんへの現行の加算をなくす方針。加算廃止分は勤務医の待遇改善などに回す方向とみられる。
このほか、医師から後発薬の銘柄が指定されても、薬剤師は説明の上で患者の同意があれば、医師への照会抜きで別銘柄に変更できるようにして、薬局の在庫管理の負担を軽減。
先発薬から後発薬への切り替えを薬局が初めて試みる際、患者の不安を和らげるために3日-1週間程度、後発薬の「お試し期間」を設けて調剤すれば加算する方針だ。』
患者の選択権などと言えば聞こえはいいが,後発薬分の調剤が一定割合を超えた薬局に報酬を加算するというのなら調剤薬局は変更不可に署名されていなければ当然ジェネリックへの変更を強力におすすめするに違いない.
そして,後発薬を含んだ処方せんへの現行の加算をなくすというのは,もうジェネリックへの変更を医師には期待していないということで,加算廃止分は勤務医の待遇改善などに回すなどというのは口だけに違いない.
デフォルトが処方変更可になるようだから,医師は「先発医薬品を使いたい」と薬局で言いにくくなる患者さんにはその選択を重視して面倒でも変更不可に署名してあげなければならないかもしれません.
以下も参考にどうぞ
http://diarynote.jp/d/41284/20070424.html
『 国は医師確保策の強化を 盛岡で北海道東北知事会議
北海道と新潟県、東北6県の知事で構成する北海道東北地方知事会議(会長・寺田典城(てらた・すけしろ)秋田県知事)が8日、盛岡市のホテルで開かれ、医師確保策の強化を国に求めていくことで一致した。
会合では斎藤弘(さいとう・ひろし)山形県知事が「中長期的な確保策だけでなく、短期的な対策も必要」と医師の早期確保の必要性を強調。村井嘉浩(むらい・よしひろ)宮城県知事は「即効性のある対策として、以前のように大学の医局が、医師のたまごの研修先をコントロールすべきではないか」と述べ、臨床研修制度の見直しを求めた。
会合では、自治体病院の機能強化に向けた病院同士のネットワーク化に国の支援を求める緊急提言を採択。来年の北海道東北地方知事会議は、青森県で開くことも決めた。』
臨床研修制度を見直しても研修医はもう医局にはもどってこないだろうし,自治体病院の機能強化をしようにも医師がいないから無理でしょう.今後さらに診療報酬が下がれば自治体病院自体が消滅していくことでしょう.いまさら何を言ってももう手遅れという感じがします.
すべては厚生労働省の思いつきのせいなので国は地方医療崩壊の責任を取るべきなのでしょうが,財務省は医療費削減しか考えていないので補助金も出ないでしょう.病院同士のネットワーク化なんて体のいい人材派遣にすぎないし,立場が弱い研修医を強制的に地方病院で労働させたりすればそのツケはいずれさらに立場の弱い者にまわることになるのでしょう.
北海道と新潟県、東北6県の知事で構成する北海道東北地方知事会議(会長・寺田典城(てらた・すけしろ)秋田県知事)が8日、盛岡市のホテルで開かれ、医師確保策の強化を国に求めていくことで一致した。
会合では斎藤弘(さいとう・ひろし)山形県知事が「中長期的な確保策だけでなく、短期的な対策も必要」と医師の早期確保の必要性を強調。村井嘉浩(むらい・よしひろ)宮城県知事は「即効性のある対策として、以前のように大学の医局が、医師のたまごの研修先をコントロールすべきではないか」と述べ、臨床研修制度の見直しを求めた。
会合では、自治体病院の機能強化に向けた病院同士のネットワーク化に国の支援を求める緊急提言を採択。来年の北海道東北地方知事会議は、青森県で開くことも決めた。』
臨床研修制度を見直しても研修医はもう医局にはもどってこないだろうし,自治体病院の機能強化をしようにも医師がいないから無理でしょう.今後さらに診療報酬が下がれば自治体病院自体が消滅していくことでしょう.いまさら何を言ってももう手遅れという感じがします.
すべては厚生労働省の思いつきのせいなので国は地方医療崩壊の責任を取るべきなのでしょうが,財務省は医療費削減しか考えていないので補助金も出ないでしょう.病院同士のネットワーク化なんて体のいい人材派遣にすぎないし,立場が弱い研修医を強制的に地方病院で労働させたりすればそのツケはいずれさらに立場の弱い者にまわることになるのでしょう.
「不可」のみ署名でもいいが
2007年11月9日 医療の問題『 後発品に変更は1・4% 処方せん様式見直しも
先発医薬品と主成分が同じで安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用状況に関する中央社会保険医療協議会(中医協)の今年の調査で、医師の指示に基づき薬局が後発品に変更したのは、処方せん全体の1・4%にとどまっていることが7日、分かった。
後発品普及は医療費抑制の「切り札」の1つ。昨年度の診療報酬改定で、使用促進のため処方せんに「後発品への変更可」との医師署名欄が新設されたが、昨年の同じ調査の0・98%からわずかしか変化がなく、普及が進んでいない形だ。
厚生労働省は、現行とは逆に「変更不可」の場合のみ署名し、署名がなければ変更できるよう処方せんの様式を見直す方向で検討を始めた。来年度の診療報酬改定に向け、近く中医協に提案するもようだ。
調査は全国の保険薬局1000カ所を無作為抽出し、583カ所が回答。
今年7月に扱った外来の院外処方せん約76万枚のうち、医師が「変更可」に署名したのは17・4%。実際に薬局が後発品に変更したのは、このうち8・2%の約1万1000枚で、処方せん全体の1・4%だった。
後発品への医療現場の意識調査では、医師の11%は「積極的に処方」、69%が「こだわりはない」と答え、否定的な見方は少なかった。一方で薬局は、普及を阻む要因として51%が「患者への説明や多くの銘柄を常備する負担」を挙げており、厚労省は薬局の在庫管理整備などに診療報酬での上乗せを検討する。』
ほとんど普及していない臓器移植カードでも同じようなことをやってましたね.黙っていれば自動的にジェネリックになるというのはいいのかも知れません.ただし.薬局側で変更した場合には副作用に関して医師には責任がないことを処方箋に明記して欲しいですね.医師はどこでどんなジェネリックに変更になったかも知るすべがないのでこれは非常に気持ちが悪いです.現在は,患者さんが希望する薬はいつでもジェネリックに変更してあげていますが,処方箋の中に一つでもジェネリックに変更して欲しくない薬があった場合は変更不可に署名する方式では面倒なことになりそうな気がします.
先発医薬品と主成分が同じで安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用状況に関する中央社会保険医療協議会(中医協)の今年の調査で、医師の指示に基づき薬局が後発品に変更したのは、処方せん全体の1・4%にとどまっていることが7日、分かった。
後発品普及は医療費抑制の「切り札」の1つ。昨年度の診療報酬改定で、使用促進のため処方せんに「後発品への変更可」との医師署名欄が新設されたが、昨年の同じ調査の0・98%からわずかしか変化がなく、普及が進んでいない形だ。
厚生労働省は、現行とは逆に「変更不可」の場合のみ署名し、署名がなければ変更できるよう処方せんの様式を見直す方向で検討を始めた。来年度の診療報酬改定に向け、近く中医協に提案するもようだ。
調査は全国の保険薬局1000カ所を無作為抽出し、583カ所が回答。
今年7月に扱った外来の院外処方せん約76万枚のうち、医師が「変更可」に署名したのは17・4%。実際に薬局が後発品に変更したのは、このうち8・2%の約1万1000枚で、処方せん全体の1・4%だった。
後発品への医療現場の意識調査では、医師の11%は「積極的に処方」、69%が「こだわりはない」と答え、否定的な見方は少なかった。一方で薬局は、普及を阻む要因として51%が「患者への説明や多くの銘柄を常備する負担」を挙げており、厚労省は薬局の在庫管理整備などに診療報酬での上乗せを検討する。』
ほとんど普及していない臓器移植カードでも同じようなことをやってましたね.黙っていれば自動的にジェネリックになるというのはいいのかも知れません.ただし.薬局側で変更した場合には副作用に関して医師には責任がないことを処方箋に明記して欲しいですね.医師はどこでどんなジェネリックに変更になったかも知るすべがないのでこれは非常に気持ちが悪いです.現在は,患者さんが希望する薬はいつでもジェネリックに変更してあげていますが,処方箋の中に一つでもジェネリックに変更して欲しくない薬があった場合は変更不可に署名する方式では面倒なことになりそうな気がします.
4年前から職場で使っているMacのHD交換をしました.
写真右が購入時から内蔵されていたMAXTOR製250GBで,左が日立IBM製500GBです.一見して制御基盤の面積が3分の2程の大きさになっているのがわかります.私が初めて買ったMacの20MB内蔵HDは裏面がすべて基板で覆われていましたから技術の進歩のスピードは凄いものだと思います.
4年前と言うと丁度このブログを書き始めた頃ですが,医療に関しては技術の進歩に驚嘆することよりも診療費抑制政策や医療刑事訴訟など医療の荒廃の加速に失望するようなことばかりが目立つように感じます.財務省や厚生労働省は自分たちの失政,失策のツケを健康保険で埋め合わせるつもりのようですが,そんなことをすれば病院の生き残りゲームになり採算性の低い地方の国公立病院から真っ先に消滅していくことになるのではないかと危惧しています.
11/9追記 ↑に関しては以下のURLに詳しいので興味のある方はどうぞ.
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071109
診療所の夜間診療を9時まで延長して診療報酬を上乗せしたところで,日中受診できる患者さんがコンビニのように夜間に受診すれば医療費は余計にかかりますし,診療所で満足できない患者さんの希望で夜間に二次救急病院への紹介が増えれば結局はそこの勤務医の仕事は終わらないわけで負担の軽減にもならないと思います.環境の悪化で医療現場は疲弊しているのに,患者さんのサービスへの要求は今後ますますエスカレートするのだとしたら医療費削減のしわ寄せはいったいどこに行くことになるのでしょうか.
過去のことは今まで書いてきた通りですが,これからのことは私にはわかりません.しかし,医療の質を考える以前に病院の存続を考えなければならないような状況になったらもう病院の存在意義がなくなるような気がするのですが賢明な国民の皆様はいったいどのように考えていらっしゃるのでしょうか.
写真右が購入時から内蔵されていたMAXTOR製250GBで,左が日立IBM製500GBです.一見して制御基盤の面積が3分の2程の大きさになっているのがわかります.私が初めて買ったMacの20MB内蔵HDは裏面がすべて基板で覆われていましたから技術の進歩のスピードは凄いものだと思います.
4年前と言うと丁度このブログを書き始めた頃ですが,医療に関しては技術の進歩に驚嘆することよりも診療費抑制政策や医療刑事訴訟など医療の荒廃の加速に失望するようなことばかりが目立つように感じます.財務省や厚生労働省は自分たちの失政,失策のツケを健康保険で埋め合わせるつもりのようですが,そんなことをすれば病院の生き残りゲームになり採算性の低い地方の国公立病院から真っ先に消滅していくことになるのではないかと危惧しています.
11/9追記 ↑に関しては以下のURLに詳しいので興味のある方はどうぞ.
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071109
診療所の夜間診療を9時まで延長して診療報酬を上乗せしたところで,日中受診できる患者さんがコンビニのように夜間に受診すれば医療費は余計にかかりますし,診療所で満足できない患者さんの希望で夜間に二次救急病院への紹介が増えれば結局はそこの勤務医の仕事は終わらないわけで負担の軽減にもならないと思います.環境の悪化で医療現場は疲弊しているのに,患者さんのサービスへの要求は今後ますますエスカレートするのだとしたら医療費削減のしわ寄せはいったいどこに行くことになるのでしょうか.
過去のことは今まで書いてきた通りですが,これからのことは私にはわかりません.しかし,医療の質を考える以前に病院の存続を考えなければならないような状況になったらもう病院の存在意義がなくなるような気がするのですが賢明な国民の皆様はいったいどのように考えていらっしゃるのでしょうか.
発見!あるある厚労省
2007年10月24日 医療の問題『 製薬側、実名報告なし 厚労省「情報すべて要求」
血液製剤でC型肝炎に感染した疑いがある患者のリスト問題で、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)は、患者197人の実名などを把握していたのに02年、厚生労働省への報告文書に含めていなかった。「個人名や病院名の報告は求められなかった」というのが同社の見解だ。これだけの実名があることが当時明らかになっていれば、患者に告知する動きが出た可能性もある。厚労省は当時の担当者が同社に指示した内容を確認するなど、経緯を調べる方針だ。
同社は22日、感染の疑いがある418人のリストのうち実名197人、イニシャル170人を把握していたと明らかにした。厚労省の地下倉庫から見つかった資料では実名2人、イニシャル116人分しかなかった。
肝炎感染の実態や同社の対応を把握するため、厚労省は02年3月、「安全対策等について、有しているすべての情報等」の提出を求めた。薬事法に基づく報告命令で、7月までに計4回に上った。
これを受けて、同社は3回目の命令後に418人のリストを提出。厚労省は4回目の命令で、リストの補足として副作用症例の個票の再提出などを求め、「報告内容の根拠となる資料(調査研究録、打ち合わせ記録、メモ類など)」の添付も命じた。
同社によると、実名の患者情報は、80年代後半に社員が医師らから情報収集した「肝炎調査」などで得た。医師が調査票に患者の氏名や住所を書いたとみられるが、同社は個人情報や医療機関名を抜いて資料にまとめ、02年に提出したという。同社は「住所氏名を明確に記載しろという命令はなかった」と説明する。
同省が3回目に出した命令でも、投与時期など9項目については報告を求めているが、個人名や病院名は指定して求めているわけではない。
当時の厚労省幹部は「同社が持つ情報はすべて出してもらう」との認識を報道陣に示していた。「02年時点で報告されていない資料があるとしたら、報告命令違反の可能性がある」と話す現在の幹部もいる。 』
『 新たに患者8人の実名判明 C型肝炎問題で厚労相答弁
厚生労働省と製薬会社が、血液製剤でC型肝炎に感染した患者を把握しながら本人に知らせなかった問題で、舛添厚生労働相は24日、同省が02年時点で把握していた患者116人のイニシャルのうち、新たに8人の実名が判明したことを明らかにした。舛添氏は「徹底的に探させた結果出てきた」と説明。当初は不明とされてきた患者の実名が、今後次々に明らかになる可能性がある。
同日の衆院厚生労働委員会で、自民党の大村秀章氏への答弁の中で報告した。同省は22日、患者の実名2人分とイニシャル116人分を含むファイル8冊の資料が、厚労省の地下倉庫から見つかったと発表。舛添氏が指示してさらに関連資料を調べさせたところ、24日未明になって、別の資料から8人の実名が新たにわかったという。
厚労省は02年、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)から血液製剤フィブリノゲン投与後の肝炎発症などの副作用症例418人の報告を受けた。この報告について、厚労省の担当者は18日の民主党の会合で「患者の名前や医療機関名については製薬会社から報告がなく、資料もない」と説明していた。
新たな資料が次々に見つかる事態に対し、厚労省はこれまで「当時の肝炎問題の調査チームが解散し、現在の担当者が知らなかった」と釈明。厚労省内で、資料の引き継ぎがなされていないことについて、舛添氏は答弁で「組織を立て直すために、省内に特別調査チームをつくった。できるだけ早く徹底的にメスを入れ、厳しく対応したい」と述べた。 』
厚労省と製薬会社で責任のなすり合いでもするのでしょうか.厚生労働省は行政指導する立場にあるわけですから,当時もし真面目に調査する気があれば実名報告させることもできたでしょうに,今更,報告命令違反の可能性を追及しても意味がないでしょう.それとも自衛隊のまねでもするつもりでしょうか?
ところで,舛添氏が指示する度に厚労省の地下倉庫から次々と資料が発見されるとは一体どうなっているのでしょうか.まるでどこかのテレビの探検バラエティ番組みたいです.厚生労働省の地下倉庫を探検して「あっ!こんなところで発見された別な資料から恐るべき新事実がわかりました!」っていうのを舛添大臣自身に是非やってもらいたいものです.でも,古舘伊知郎さんの方が迫力あるかな?
血液製剤でC型肝炎に感染した疑いがある患者のリスト問題で、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)は、患者197人の実名などを把握していたのに02年、厚生労働省への報告文書に含めていなかった。「個人名や病院名の報告は求められなかった」というのが同社の見解だ。これだけの実名があることが当時明らかになっていれば、患者に告知する動きが出た可能性もある。厚労省は当時の担当者が同社に指示した内容を確認するなど、経緯を調べる方針だ。
同社は22日、感染の疑いがある418人のリストのうち実名197人、イニシャル170人を把握していたと明らかにした。厚労省の地下倉庫から見つかった資料では実名2人、イニシャル116人分しかなかった。
肝炎感染の実態や同社の対応を把握するため、厚労省は02年3月、「安全対策等について、有しているすべての情報等」の提出を求めた。薬事法に基づく報告命令で、7月までに計4回に上った。
これを受けて、同社は3回目の命令後に418人のリストを提出。厚労省は4回目の命令で、リストの補足として副作用症例の個票の再提出などを求め、「報告内容の根拠となる資料(調査研究録、打ち合わせ記録、メモ類など)」の添付も命じた。
同社によると、実名の患者情報は、80年代後半に社員が医師らから情報収集した「肝炎調査」などで得た。医師が調査票に患者の氏名や住所を書いたとみられるが、同社は個人情報や医療機関名を抜いて資料にまとめ、02年に提出したという。同社は「住所氏名を明確に記載しろという命令はなかった」と説明する。
同省が3回目に出した命令でも、投与時期など9項目については報告を求めているが、個人名や病院名は指定して求めているわけではない。
当時の厚労省幹部は「同社が持つ情報はすべて出してもらう」との認識を報道陣に示していた。「02年時点で報告されていない資料があるとしたら、報告命令違反の可能性がある」と話す現在の幹部もいる。 』
『 新たに患者8人の実名判明 C型肝炎問題で厚労相答弁
厚生労働省と製薬会社が、血液製剤でC型肝炎に感染した患者を把握しながら本人に知らせなかった問題で、舛添厚生労働相は24日、同省が02年時点で把握していた患者116人のイニシャルのうち、新たに8人の実名が判明したことを明らかにした。舛添氏は「徹底的に探させた結果出てきた」と説明。当初は不明とされてきた患者の実名が、今後次々に明らかになる可能性がある。
同日の衆院厚生労働委員会で、自民党の大村秀章氏への答弁の中で報告した。同省は22日、患者の実名2人分とイニシャル116人分を含むファイル8冊の資料が、厚労省の地下倉庫から見つかったと発表。舛添氏が指示してさらに関連資料を調べさせたところ、24日未明になって、別の資料から8人の実名が新たにわかったという。
厚労省は02年、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)から血液製剤フィブリノゲン投与後の肝炎発症などの副作用症例418人の報告を受けた。この報告について、厚労省の担当者は18日の民主党の会合で「患者の名前や医療機関名については製薬会社から報告がなく、資料もない」と説明していた。
新たな資料が次々に見つかる事態に対し、厚労省はこれまで「当時の肝炎問題の調査チームが解散し、現在の担当者が知らなかった」と釈明。厚労省内で、資料の引き継ぎがなされていないことについて、舛添氏は答弁で「組織を立て直すために、省内に特別調査チームをつくった。できるだけ早く徹底的にメスを入れ、厳しく対応したい」と述べた。 』
厚労省と製薬会社で責任のなすり合いでもするのでしょうか.厚生労働省は行政指導する立場にあるわけですから,当時もし真面目に調査する気があれば実名報告させることもできたでしょうに,今更,報告命令違反の可能性を追及しても意味がないでしょう.それとも自衛隊のまねでもするつもりでしょうか?
ところで,舛添氏が指示する度に厚労省の地下倉庫から次々と資料が発見されるとは一体どうなっているのでしょうか.まるでどこかのテレビの探検バラエティ番組みたいです.厚生労働省の地下倉庫を探検して「あっ!こんなところで発見された別な資料から恐るべき新事実がわかりました!」っていうのを舛添大臣自身に是非やってもらいたいものです.でも,古舘伊知郎さんの方が迫力あるかな?
『 -給油量訂正-海上幕僚長が隠ぺいを陳謝 週内に処分案
海上自衛隊補給艦の給油量訂正を巡る隠ぺい問題について、海上幕僚監部の吉川栄治・海上幕僚長は23日の会見で「大変重く受け止めており、申し訳なく思っている」と陳謝した。今週中に、石破茂防衛相に対し、調査結果と当時の関係者の処分案を報告する方針を明らかにした。
吉川海幕長によると、03年5月8日、当時の石川亨・統合幕僚会議議長が、実際の約4分の1という誤った補給量を公表した翌9日、朝刊で会見の記事を読んだ燃料担当の海幕需品課職員が誤りに気付いた。しかし、需品課や国会担当の防衛課内で情報が止まり、海幕上層部や内局には情報が伝わらなかった。
数十人の関係者から聴取を進めたが、補給量の訂正が必要という情報を、誰が共有していたかについて、担当者間に食い違いも残る。海幕と同じ正しいデータを持つ艦船武器課など内局とのやり取りも精査中という。吉川海幕長は「担当課長レベルで重大な情報の取り違いの認識がありながら、上層部への報告がいっさいなかったことは極めて重大かつ深刻」と釈明した。』
部下が上層部への報告を怠ったので部下を処分して終わりにするということなのだろうか.「トカゲの尻尾切り」そのものだが,なんとも軍隊らしい潔い幕の引き方だと国民が納得するとでも海上幕僚長は思っているのであろうか.
防衛省ひいては政府にとって都合が悪いから,部下が気をつかってこのような自爆行為をしたとでも言いたいのだろうか.私利私欲のために軍需専門商社「山田洋行」と癒着していた守屋武昌前防衛事務次官のことを考えると今時そんな自衛官がいるなんてとても思えない.国会の審議と自衛隊の立場を考慮しながら組織ぐるみで用意周到に実行された隠蔽工作と考えるのが普通だろう.
部下に罪を着せて組織を守ろうとするような自衛隊ではどうせ国民のためになんか戦えないだろうから,また防衛庁に格下げしたほうがいいだろう.ついでに厚労省も厚労庁にしたらどうだろうか.もっとも何度失敗しても懲りない厚労省のお役人たちには効果がないかもしれないが...
海上自衛隊補給艦の給油量訂正を巡る隠ぺい問題について、海上幕僚監部の吉川栄治・海上幕僚長は23日の会見で「大変重く受け止めており、申し訳なく思っている」と陳謝した。今週中に、石破茂防衛相に対し、調査結果と当時の関係者の処分案を報告する方針を明らかにした。
吉川海幕長によると、03年5月8日、当時の石川亨・統合幕僚会議議長が、実際の約4分の1という誤った補給量を公表した翌9日、朝刊で会見の記事を読んだ燃料担当の海幕需品課職員が誤りに気付いた。しかし、需品課や国会担当の防衛課内で情報が止まり、海幕上層部や内局には情報が伝わらなかった。
数十人の関係者から聴取を進めたが、補給量の訂正が必要という情報を、誰が共有していたかについて、担当者間に食い違いも残る。海幕と同じ正しいデータを持つ艦船武器課など内局とのやり取りも精査中という。吉川海幕長は「担当課長レベルで重大な情報の取り違いの認識がありながら、上層部への報告がいっさいなかったことは極めて重大かつ深刻」と釈明した。』
部下が上層部への報告を怠ったので部下を処分して終わりにするということなのだろうか.「トカゲの尻尾切り」そのものだが,なんとも軍隊らしい潔い幕の引き方だと国民が納得するとでも海上幕僚長は思っているのであろうか.
防衛省ひいては政府にとって都合が悪いから,部下が気をつかってこのような自爆行為をしたとでも言いたいのだろうか.私利私欲のために軍需専門商社「山田洋行」と癒着していた守屋武昌前防衛事務次官のことを考えると今時そんな自衛官がいるなんてとても思えない.国会の審議と自衛隊の立場を考慮しながら組織ぐるみで用意周到に実行された隠蔽工作と考えるのが普通だろう.
部下に罪を着せて組織を守ろうとするような自衛隊ではどうせ国民のためになんか戦えないだろうから,また防衛庁に格下げしたほうがいいだろう.ついでに厚労省も厚労庁にしたらどうだろうか.もっとも何度失敗しても懲りない厚労省のお役人たちには効果がないかもしれないが...
『薬害肝炎で実名2人、イニシャル116人把握 厚労省
厚生労働省と製薬会社が、血液製剤でC型肝炎に感染した患者を把握しながら本人に知らせなかった問題で、同省は22日、感染の疑いがある患者2人の実名、116人のイニシャルが書かれた資料を02年時点で持っていたとする調査結果を公表した。舛添厚労相はイニシャルや医療機関名を公表する考えを示しており、検査や治療を呼びかける方針だ。
当時、患者を特定して検査や治療を呼びかけていれば症状の悪化を防げた可能性がある。厚労省は同日、今回新たに見つかった資料の情報を収集した経緯や、患者に知らせる対応を取らなかった当時の担当者の認識などを調査するプロジェクトチームを設置した。
実名、イニシャル、医療機関名、医師名といった患者特定につながる情報などがあるのは計165人。また、9人は薬害C型肝炎訴訟の原告の可能性が高いが、国は2人について血液製剤の投与を認めていなかった。この2人のうち1人は大阪訴訟の原告とみられる。
厚労省は02年、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)から血液製剤フィブリノゲン投与後の肝炎発症などの副作用症例418人の報告を受けた。この報告について今月18日の民主党の会合で「患者の名前や医療機関名については製薬会社から報告がなく、資料もない」と説明していた。
ところが、翌19日夜、実名などの記された資料が厚労省の倉庫から見つかった。ファイル8冊分で、特定につながる情報が黒塗りで消された資料と、消されていない資料の2種類。両方とも「厚労省が提出を求めたものだった」という。
厚労省医薬食品局の中沢一隆総務課長は会見で「当時の肝炎問題の調査チームが解散し、今の担当者が知らなかった」と話した。 』
国民のほうを向いて仕事をしていないからこういうことが続くのだろう.こんな省庁には医療にかかわる資格はない.どうやら組織の深部に問題があるようだから対症療法では改善の見込みはないだろう.また問題を起こす前に完全に解体して膿を出した方がいいのではないだろうか.無能なだけでなく悪質な公務員はさらに不要である.
厚労省の度重なるずさんな仕事ぶりについてはコメントするのもそろそろ飽きてきた.思いつきの医療改革にも愛想が尽きたからいっそのこと無くなった方がいいと思っているのは私だけだろうか.
厚生労働省と製薬会社が、血液製剤でC型肝炎に感染した患者を把握しながら本人に知らせなかった問題で、同省は22日、感染の疑いがある患者2人の実名、116人のイニシャルが書かれた資料を02年時点で持っていたとする調査結果を公表した。舛添厚労相はイニシャルや医療機関名を公表する考えを示しており、検査や治療を呼びかける方針だ。
当時、患者を特定して検査や治療を呼びかけていれば症状の悪化を防げた可能性がある。厚労省は同日、今回新たに見つかった資料の情報を収集した経緯や、患者に知らせる対応を取らなかった当時の担当者の認識などを調査するプロジェクトチームを設置した。
実名、イニシャル、医療機関名、医師名といった患者特定につながる情報などがあるのは計165人。また、9人は薬害C型肝炎訴訟の原告の可能性が高いが、国は2人について血液製剤の投与を認めていなかった。この2人のうち1人は大阪訴訟の原告とみられる。
厚労省は02年、旧三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)から血液製剤フィブリノゲン投与後の肝炎発症などの副作用症例418人の報告を受けた。この報告について今月18日の民主党の会合で「患者の名前や医療機関名については製薬会社から報告がなく、資料もない」と説明していた。
ところが、翌19日夜、実名などの記された資料が厚労省の倉庫から見つかった。ファイル8冊分で、特定につながる情報が黒塗りで消された資料と、消されていない資料の2種類。両方とも「厚労省が提出を求めたものだった」という。
厚労省医薬食品局の中沢一隆総務課長は会見で「当時の肝炎問題の調査チームが解散し、今の担当者が知らなかった」と話した。 』
国民のほうを向いて仕事をしていないからこういうことが続くのだろう.こんな省庁には医療にかかわる資格はない.どうやら組織の深部に問題があるようだから対症療法では改善の見込みはないだろう.また問題を起こす前に完全に解体して膿を出した方がいいのではないだろうか.無能なだけでなく悪質な公務員はさらに不要である.
厚労省の度重なるずさんな仕事ぶりについてはコメントするのもそろそろ飽きてきた.思いつきの医療改革にも愛想が尽きたからいっそのこと無くなった方がいいと思っているのは私だけだろうか.
『地域で最新の専門医療提供 高度急性期病院を創設 各都道府県に1カ所以上 08年度に導入方針、厚労省
厚生労働省は16日までに、症状が重く外科手術など集中的な治療が必要な急性期の疾患で高度な医療が求められる治療に対応するため「高度・急性期総合病院(仮称)」を2008年度に創設する方針を固めた。
一般外来患者は受け付けず、入院治療が中心。400-500床の県立病院などからの移行を想定し各都道府県に最低1カ所以上設置する。医師や最新医療機器を集中させ、地域でも安心して最新の専門医療が受けられるとともに、外科医など医師の技術力を向上させるのが狙い。
難病治療や臓器移植も含めあらゆる疾患を対象とする大学病院などの特定機能病院とは異なり一般の疾患が対象だが、外来は救急や専門的な治療が必要な患者に限定、十分な診療ができる態勢をとる。
これに伴い、病院機能区分の再編も検討。高度・急性期総合病院で治療後、ある程度症状が改善した患者を受け入れる一般急性期病院と回復期リハビリ病棟、その後の療養に移る慢性期病棟や介護施設、在宅に分類。現在約90万床に上る一般病床の機能や役割分担を明確にする。
一般急性期病院は、救急搬送などの外来も受け入れ、比較的簡単な手術や、在宅療養の患者が急に症状が悪化した際の治療を担う。患者によっては、例えば脳卒中を発症した患者が搬送されて治療を受け、回復リハビリ病棟で機能を回復し、在宅というケースもある。
厚労省は、地方を中心に深刻な医師不足が続く中、勤務医が各病院に分散して高度な医療を担えなくなることを懸念、病院の集約や再編などが必要としている。
08年度の診療報酬改定に合わせて導入を目指しており、中央社会保険医療協議会(中医協)に近く提案。医師や看護師の配置などの認定基準や入院基本料の設定など具体案づくりに着手する。』
症状が重く外科手術など集中的な治療が必要な急性期の疾患で高度な医療が求められる治療に24時間対応するには,医師も看護師も大幅に増員しなければならないと思うのですが,それをどこから調達するつもりなんでしょうか.「笛吹けど踊らず」と言うより「無い袖は振れない」から「踊りたくても踊れない」でしょう.
『日本病院団体協議会「病院経営の現況調査」 06年度診療報酬改定が経営に深刻な影響 赤字病院比率、約6ポイントアップ
日本病院団体協議会は15日、赤字病院の比率が2005年度の37.11%から06年度には43.02%(5.91ポイント増)まで増加したとの実態をまとめた「病院経営の現況調査」の結果を発表した。同調査は、今年8月-9月に加盟する11団体の全病院を調査客体に実施し、回答数は2837病院(回答率32.0%)。
調査結果によると、06年度の病院経営状況は前年度に比べ著しく悪化した。病床規模別では、500床以上病院の60.14%が赤字となっている。開設主体別では、自治体立で92.73%、国立は69.29%、公的は58.90%が赤字病院だった。一方、医療法人の赤字病院比率は25.33%、個人が21.21%で、自治体立などと医療法人の赤字病院の比率が大きく異なる現状が浮き彫りとなった。
こうした結果から日病協では、06年度診療報酬改定が病院経営を悪化させたことは明らかと指摘。次期診療報酬改定における病院医療への十分な報酬増や、都道府県・地域の実情に合わせた産婦人科・小児科・救急医療などに対する公私の区別のない補助など、多面的な施策が必要と訴えた。
医師確保の厳しさが浮き彫りに
一方、医師確保の現況では常勤医師の減少した病院が高率に存在し、医師の新規採用が極めて困難な状況になっている状況が明らかになった。03年度末と06年度末で医師数の増減を比較すると、「医師数が減少」と回答した病院は全体の31.88%を占めた。
06年度中の医師募集は72.51%の病院で実施。その中で、「採用予定数より少なかった」が50.28%、「まったく採用できなかった」が25.60%となり、医師確保の難しさが浮き彫りになった。
さらに、04年度以降の「病床休止もしくは返還」の状況については、全病院の18.67%(521病院)が「あり」と回答した。その病院数は、06年度に急増しており、今年度もその傾向が継続している。
「病床休止もしくは返還」は、病床規模が大きい病院ほど比率が高く、開設主体では「国立」「自治体立」「公的」の順で比率が高い。病床種別では、「精神のみ」「一般のみ」の順で比率が高かった。
このほか、04年度以降に「救急指定・救急輪番制などの取り下げ」を行った病院は、全体で109病院、3.95%であった。今後の運営方法では、「介護施設(一部含む)への転換を検討」274病院、「診療所への転換を検討」48病院、「閉院を検討」は20病院となっていた。』
現状がこれなのに高度急性期病院に人手をとられたら僻地の中核病院とともに地域医療は完全に崩壊することでしょうし,400-500床の県立病院などから移行しても医師は集約できないことでしょう.病院の集約や再編などが必要というのは理解できますが,厚生労働省のおかげで医療環境が良くなったと感じている医師などいないでしょうから,今回もこんな話がうまくいくとはきっと誰も思っていないことでしょう.
結局,舛添大臣に替わっても厚生労働省の官僚の仕事ぶりは変わってないなあと思うのは私だけでしょうか.
厚生労働省は16日までに、症状が重く外科手術など集中的な治療が必要な急性期の疾患で高度な医療が求められる治療に対応するため「高度・急性期総合病院(仮称)」を2008年度に創設する方針を固めた。
一般外来患者は受け付けず、入院治療が中心。400-500床の県立病院などからの移行を想定し各都道府県に最低1カ所以上設置する。医師や最新医療機器を集中させ、地域でも安心して最新の専門医療が受けられるとともに、外科医など医師の技術力を向上させるのが狙い。
難病治療や臓器移植も含めあらゆる疾患を対象とする大学病院などの特定機能病院とは異なり一般の疾患が対象だが、外来は救急や専門的な治療が必要な患者に限定、十分な診療ができる態勢をとる。
これに伴い、病院機能区分の再編も検討。高度・急性期総合病院で治療後、ある程度症状が改善した患者を受け入れる一般急性期病院と回復期リハビリ病棟、その後の療養に移る慢性期病棟や介護施設、在宅に分類。現在約90万床に上る一般病床の機能や役割分担を明確にする。
一般急性期病院は、救急搬送などの外来も受け入れ、比較的簡単な手術や、在宅療養の患者が急に症状が悪化した際の治療を担う。患者によっては、例えば脳卒中を発症した患者が搬送されて治療を受け、回復リハビリ病棟で機能を回復し、在宅というケースもある。
厚労省は、地方を中心に深刻な医師不足が続く中、勤務医が各病院に分散して高度な医療を担えなくなることを懸念、病院の集約や再編などが必要としている。
08年度の診療報酬改定に合わせて導入を目指しており、中央社会保険医療協議会(中医協)に近く提案。医師や看護師の配置などの認定基準や入院基本料の設定など具体案づくりに着手する。』
症状が重く外科手術など集中的な治療が必要な急性期の疾患で高度な医療が求められる治療に24時間対応するには,医師も看護師も大幅に増員しなければならないと思うのですが,それをどこから調達するつもりなんでしょうか.「笛吹けど踊らず」と言うより「無い袖は振れない」から「踊りたくても踊れない」でしょう.
『日本病院団体協議会「病院経営の現況調査」 06年度診療報酬改定が経営に深刻な影響 赤字病院比率、約6ポイントアップ
日本病院団体協議会は15日、赤字病院の比率が2005年度の37.11%から06年度には43.02%(5.91ポイント増)まで増加したとの実態をまとめた「病院経営の現況調査」の結果を発表した。同調査は、今年8月-9月に加盟する11団体の全病院を調査客体に実施し、回答数は2837病院(回答率32.0%)。
調査結果によると、06年度の病院経営状況は前年度に比べ著しく悪化した。病床規模別では、500床以上病院の60.14%が赤字となっている。開設主体別では、自治体立で92.73%、国立は69.29%、公的は58.90%が赤字病院だった。一方、医療法人の赤字病院比率は25.33%、個人が21.21%で、自治体立などと医療法人の赤字病院の比率が大きく異なる現状が浮き彫りとなった。
こうした結果から日病協では、06年度診療報酬改定が病院経営を悪化させたことは明らかと指摘。次期診療報酬改定における病院医療への十分な報酬増や、都道府県・地域の実情に合わせた産婦人科・小児科・救急医療などに対する公私の区別のない補助など、多面的な施策が必要と訴えた。
医師確保の厳しさが浮き彫りに
一方、医師確保の現況では常勤医師の減少した病院が高率に存在し、医師の新規採用が極めて困難な状況になっている状況が明らかになった。03年度末と06年度末で医師数の増減を比較すると、「医師数が減少」と回答した病院は全体の31.88%を占めた。
06年度中の医師募集は72.51%の病院で実施。その中で、「採用予定数より少なかった」が50.28%、「まったく採用できなかった」が25.60%となり、医師確保の難しさが浮き彫りになった。
さらに、04年度以降の「病床休止もしくは返還」の状況については、全病院の18.67%(521病院)が「あり」と回答した。その病院数は、06年度に急増しており、今年度もその傾向が継続している。
「病床休止もしくは返還」は、病床規模が大きい病院ほど比率が高く、開設主体では「国立」「自治体立」「公的」の順で比率が高い。病床種別では、「精神のみ」「一般のみ」の順で比率が高かった。
このほか、04年度以降に「救急指定・救急輪番制などの取り下げ」を行った病院は、全体で109病院、3.95%であった。今後の運営方法では、「介護施設(一部含む)への転換を検討」274病院、「診療所への転換を検討」48病院、「閉院を検討」は20病院となっていた。』
現状がこれなのに高度急性期病院に人手をとられたら僻地の中核病院とともに地域医療は完全に崩壊することでしょうし,400-500床の県立病院などから移行しても医師は集約できないことでしょう.病院の集約や再編などが必要というのは理解できますが,厚生労働省のおかげで医療環境が良くなったと感じている医師などいないでしょうから,今回もこんな話がうまくいくとはきっと誰も思っていないことでしょう.
結局,舛添大臣に替わっても厚生労働省の官僚の仕事ぶりは変わってないなあと思うのは私だけでしょうか.
そういう問題だったっけ?
2007年10月10日 医療の問題 コメント (2)『 妊婦の救急受け入れに加算 搬送拒否防止で報酬厚く
来春から、厚労省方針
厚生労働省は5日、救急搬送された妊産婦を円滑に受け入れた医療機関に対する手厚い加算を、2008年度の診療報酬改定に盛り込む方針を中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。
奈良県内の妊婦が昨年、約20カ所の病院に受け入れを断られ大阪府内の病院まで搬送されて死亡。今年8月にも同県内で妊婦の搬送先が決まらず死産となるなど、各地で同様のトラブルが相次いでいることから、緊急時に妊産婦を幅広く受け入れるよう報酬面から医療機関を誘導するのが狙い。
具体的には「緊急搬送受け入れ料(仮称)」を診療報酬項目として新設。帝王切開が必要な分娩(ぶんべん)や重い妊娠高血圧症など保険適用の対象事例だった場合は、受け入れた件数ごとに報酬を加算する方向だ。ただ、受け入れ後に大きな異常がみられず自然分娩に至った場合は、現行通り保険対象外とし、受け入れ料も適用しない。
受け入れ拒否をめぐっては、産科医療の現場から、危険性の高い分娩に対応できる施設が少ないことや、勤務が過酷で産科医が減少しているなど「不十分な医療提供体制がトラブルの背景」と指摘する見方が強い。このため、報酬面で受け入れ医療機関を優遇しても、実効性は未知数だ。
厚労省は併せて、胎盤が子宮口をふさいで出産の際の危険性が高い「前置胎盤」や、心臓や腎臓の疾患を併発している妊婦の治療・分娩も、新たに保険適用とする方針を提示した。』
搬送を拒否していたのは診療報酬上の問題だったでしょうか?
診療報酬改定って厚生労働省の仕事としてはもっとも単純な作業ですが,これで国民は納得するとでも思っているのでしょうか?少なくとも現場の医師は納得できないし,馬鹿にされたような気持ちになるのではないでしょうか?
先日も「高度・急性期総合病院制度(仮称)」を創設し医師や医療設備を重点的に配置し、急性期医療を充実させて外来に頼らないでも経営が成り立つよう報酬を加算するという話がありましたが,報酬を加算すれば医師が厚生労働省の思い通りに働くとでも思っているのでしょうか.
現場の医師がなぜ逃散しているのかということをきちんと分析せずに,いつまでも診療報酬加算をちらつかせるやり方では医療崩壊は止まらないということがまだわからないのでしょうか.
医療費削減の強風の中でろうそくの灯ほどの診療報酬加算を頼りに走っても一度事故に遭ったら全てを失って終わりというのでは医師も病院もやってられません.
そもそも高度救急医療の現場を実際に支えているのはほとんどが勤務医でしょうから現実的には現場の医師の労働条件の改善がまず急務であり,その中で経済的な優遇も考えるというのでなければ仕事ができる医師の逃散を防ぐことはできないと思うのですが,厚労省のお役人様達にはもっとよく考えて仕事をして欲しいと思うのは私だけでしょうか.
来春から、厚労省方針
厚生労働省は5日、救急搬送された妊産婦を円滑に受け入れた医療機関に対する手厚い加算を、2008年度の診療報酬改定に盛り込む方針を中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。
奈良県内の妊婦が昨年、約20カ所の病院に受け入れを断られ大阪府内の病院まで搬送されて死亡。今年8月にも同県内で妊婦の搬送先が決まらず死産となるなど、各地で同様のトラブルが相次いでいることから、緊急時に妊産婦を幅広く受け入れるよう報酬面から医療機関を誘導するのが狙い。
具体的には「緊急搬送受け入れ料(仮称)」を診療報酬項目として新設。帝王切開が必要な分娩(ぶんべん)や重い妊娠高血圧症など保険適用の対象事例だった場合は、受け入れた件数ごとに報酬を加算する方向だ。ただ、受け入れ後に大きな異常がみられず自然分娩に至った場合は、現行通り保険対象外とし、受け入れ料も適用しない。
受け入れ拒否をめぐっては、産科医療の現場から、危険性の高い分娩に対応できる施設が少ないことや、勤務が過酷で産科医が減少しているなど「不十分な医療提供体制がトラブルの背景」と指摘する見方が強い。このため、報酬面で受け入れ医療機関を優遇しても、実効性は未知数だ。
厚労省は併せて、胎盤が子宮口をふさいで出産の際の危険性が高い「前置胎盤」や、心臓や腎臓の疾患を併発している妊婦の治療・分娩も、新たに保険適用とする方針を提示した。』
搬送を拒否していたのは診療報酬上の問題だったでしょうか?
診療報酬改定って厚生労働省の仕事としてはもっとも単純な作業ですが,これで国民は納得するとでも思っているのでしょうか?少なくとも現場の医師は納得できないし,馬鹿にされたような気持ちになるのではないでしょうか?
先日も「高度・急性期総合病院制度(仮称)」を創設し医師や医療設備を重点的に配置し、急性期医療を充実させて外来に頼らないでも経営が成り立つよう報酬を加算するという話がありましたが,報酬を加算すれば医師が厚生労働省の思い通りに働くとでも思っているのでしょうか.
現場の医師がなぜ逃散しているのかということをきちんと分析せずに,いつまでも診療報酬加算をちらつかせるやり方では医療崩壊は止まらないということがまだわからないのでしょうか.
医療費削減の強風の中でろうそくの灯ほどの診療報酬加算を頼りに走っても一度事故に遭ったら全てを失って終わりというのでは医師も病院もやってられません.
そもそも高度救急医療の現場を実際に支えているのはほとんどが勤務医でしょうから現実的には現場の医師の労働条件の改善がまず急務であり,その中で経済的な優遇も考えるというのでなければ仕事ができる医師の逃散を防ぐことはできないと思うのですが,厚労省のお役人様達にはもっとよく考えて仕事をして欲しいと思うのは私だけでしょうか.
『暴力酔客言いなり、従業員に土下座させる 高知
高知市の飲食店からの通報で駆け付けた高知県警高知南署員が、酔客が従業員に暴行するのを目撃しながら、騒ぎを収拾するため、酔客側が求めるままに従業員に土下座をさせていたことが22日、わかった。同署幹部は24日に店に謝罪する。上村和宏副署長は「不適切な対応だった」としつつ、「暴行した女性が妊婦だったため、(検挙などは)配慮した」と釈明している。
同署などによると、今月18日午前1時過ぎ、男女3人組の客が「注文した物が来ていない」などと皿を割るなどし騒いだ。通報で駆け付けた同署員4人が、任意同行しようとしたところ、客の女が逆上し、女性従業員を平手で殴った。
同署員は客を店外に出すなどしたが、約2時間たっても客が店に土下座を求めるなど事態が収拾しないため、署員が「それで終わりにしましょう」と土下座を促し、店長ら従業員3人は客に土下座。客の1人は酔っており、署員が客の車を運転し自宅まで届けたという。
上村副署長は「今後は店に対し、誠意を持って対応したい」と話している。』
妊娠していて酒を飲んでいいと思っているのだろうか.きっと胎児は急性アルコール中毒だったことだろう.これでは児童虐待どころか胎児虐待ではないだろうか.妊婦検診を一度も受けない妊婦もそうだが,もしかするとこういう人たちは児童虐待予備軍なのではないかと思う.
それにしても,酔っているとはいえ警察官の言う事も聞かずに騒ぎ続けるとは他の客にとってはまったく迷惑な話だ.従業員に暴行したのを目撃したなら警察官はもっと毅然とした態度で自分の仕事をするべきだっただろう.暴行した女性が妊婦だったから従業員も警察官につき合ったのだろうか.しかし,これが暴行した妊婦の今後にいい影響を及ぼしたと思う人などいないだろう.
最近はキレる老人という言葉が流行しているが,キレるおばさんというのも多そうだ.病院でも突然やってきて自分の思うようにならないと切れる家族というのにお目にかかることもあるが,所詮,こういう人たちには話しても無駄なので上手にスルーするのも面倒だからと言いなりになってしまうことも多いのではないだろうか.
しかし,言いなりになった結果としてクレーマーや訴訟が増えているのだとしたら,医療崩壊の一つの原因をつくっていることになるのだから決していい事ではないのだろう.
高知市の飲食店からの通報で駆け付けた高知県警高知南署員が、酔客が従業員に暴行するのを目撃しながら、騒ぎを収拾するため、酔客側が求めるままに従業員に土下座をさせていたことが22日、わかった。同署幹部は24日に店に謝罪する。上村和宏副署長は「不適切な対応だった」としつつ、「暴行した女性が妊婦だったため、(検挙などは)配慮した」と釈明している。
同署などによると、今月18日午前1時過ぎ、男女3人組の客が「注文した物が来ていない」などと皿を割るなどし騒いだ。通報で駆け付けた同署員4人が、任意同行しようとしたところ、客の女が逆上し、女性従業員を平手で殴った。
同署員は客を店外に出すなどしたが、約2時間たっても客が店に土下座を求めるなど事態が収拾しないため、署員が「それで終わりにしましょう」と土下座を促し、店長ら従業員3人は客に土下座。客の1人は酔っており、署員が客の車を運転し自宅まで届けたという。
上村副署長は「今後は店に対し、誠意を持って対応したい」と話している。』
妊娠していて酒を飲んでいいと思っているのだろうか.きっと胎児は急性アルコール中毒だったことだろう.これでは児童虐待どころか胎児虐待ではないだろうか.妊婦検診を一度も受けない妊婦もそうだが,もしかするとこういう人たちは児童虐待予備軍なのではないかと思う.
それにしても,酔っているとはいえ警察官の言う事も聞かずに騒ぎ続けるとは他の客にとってはまったく迷惑な話だ.従業員に暴行したのを目撃したなら警察官はもっと毅然とした態度で自分の仕事をするべきだっただろう.暴行した女性が妊婦だったから従業員も警察官につき合ったのだろうか.しかし,これが暴行した妊婦の今後にいい影響を及ぼしたと思う人などいないだろう.
最近はキレる老人という言葉が流行しているが,キレるおばさんというのも多そうだ.病院でも突然やってきて自分の思うようにならないと切れる家族というのにお目にかかることもあるが,所詮,こういう人たちには話しても無駄なので上手にスルーするのも面倒だからと言いなりになってしまうことも多いのではないだろうか.
しかし,言いなりになった結果としてクレーマーや訴訟が増えているのだとしたら,医療崩壊の一つの原因をつくっていることになるのだから決していい事ではないのだろう.
厚労省はお世話好き?
2007年9月12日 医療の問題『生後20カ月以下、終了を 全頭検査で厚労省が通知 一部自治体反発、継続へ
牛海綿状脳症(BSE)対策の全頭検査のうち生後20カ月以下の牛について、国の補助金が来年7月末で打ち切られることを受け、厚生労働省が「自治体で取り扱いに差が生じることは、消費者の不安と生産・流通現場の混乱を招く」として、都道府県が独自に検査をせず、一斉に終了するよう求める通知を出していたことが12日、分かった。
しかし兵庫や佐賀、宮崎、鹿児島県など畜産が盛んな一部の自治体は検査を独自に続ける方針を表明。仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)和歌山県知事が「県が必要だと考えてやっていることに、国がいけないと言うべきではない」と批判するなど、国の通知に反発する声も出ている。
通知は8月31日付。厚労省は「検査終了は強制ではないが、生後20カ月以下を検査対象から外してもリスクは変わらないとの科学的知見があることを関係者に周知徹底してほしい」としている。
全頭検査をめぐっては内閣府の食品安全委員会が2005年「生後21カ月以上の牛に限定しても、BSEのリスクは変わらない」と同省に答申。これを受け、同省は検査対象から生後20カ月以下を外す一方、全都道府県が自主的に検査を続ける意向を示したため、3年間の経過措置として08年7月末まで検査費用を補助することを決めた。』
『ジェネリックの品質管理強化へ 厚労省に新機関
厚生労働省は後発医薬品(ジェネリック)の普及を目指して来年度から、品質管理の強化に乗り出す。特許切れの薬を別のメーカーがつくる後発薬は、安価で医療費抑制につながると期待されているが、品質への不安などからシェアが伸び悩んでいる。同省は、品質の苦情などがあった後発薬について、科学的に検証する検討会を国立医薬品食品衛生研究所(東京)に設け、医師や患者の不安解消をめざす。
「後発医薬品品質情報検討会」は、研究所内に大学教授や製薬会社関係者ら約10人でつくる。後発薬の品質について医師や患者から苦情が寄せられたり、学会や論文で疑問が出されたりした際、その内容を科学的に検証し、回答する。必要に応じて品質試験も行う。
また、これまで原則都道府県が行ってきた後発薬の製造工場への立ち入り検査に、来年度からは国も乗り出す。
国内の04年度の後発薬シェア(数量ベース)は16.8%で、米国の56%、英国の49%などと比べると著しく低い。処方する医師や患者の一部に、品質への不安が残ることが背景にあるとみられる。
同省は後発薬について「厳しい審査を経て承認しており、安全性や効果が先発薬に劣るわけではない」(審査管理課)との立場だが、苦情などを科学的に検証する仕組みができれば、医師や患者の安心につながり、普及に弾みがつくと判断した。
政府は後発薬の数量シェアを12年度までに30%にする目標を掲げる。厚労省は目標のペースで普及すれば、医療費の国庫負担を年間約200億円削減できると試算する。』
米国から圧力がかかった頃に生後20カ月以下の全頭検査は不要という話になったはず.そして,今度は自主的に行う検査も一斉に終了するよう通知するとはまったく余計なお世話だ.品質保証を過剰に行ってコストが上昇したとしても,それで安心感が買えるなら消費者は別に文句は言わないだろう.ましてや今さら米国産の牛肉なんて食べたくないのだから.
その一方で,ジェネリック医薬品については売れないからといってわざわざ厚労省に新機関をつくるなんてまたも税金の無駄ではないだろうか.そんなことよりジェネリックが出たら先発メーカーの薬価を自由化してくれたほうがはるかにありがたい.品質が良くて使用実績という安心感がある薬が安く手に入るのが患者さんには一番良いことなのだから.これでは,あたかもジェネリックには品質の問題があるかのように思われて,「患者の不安や医療現場の混乱をまねくだけ」ではないだろうか.
過去の例をみても薬害が出ても何ら責任をとるわけでもないし,最近では自分のところの不祥事の後始末も十分出来ないのに,相も変わらずその持てる権力で世間をふりまわすようなやり方は国民に潜在的な反感を募らせるだろうことを忘れないほうがいいだろう.
牛海綿状脳症(BSE)対策の全頭検査のうち生後20カ月以下の牛について、国の補助金が来年7月末で打ち切られることを受け、厚生労働省が「自治体で取り扱いに差が生じることは、消費者の不安と生産・流通現場の混乱を招く」として、都道府県が独自に検査をせず、一斉に終了するよう求める通知を出していたことが12日、分かった。
しかし兵庫や佐賀、宮崎、鹿児島県など畜産が盛んな一部の自治体は検査を独自に続ける方針を表明。仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)和歌山県知事が「県が必要だと考えてやっていることに、国がいけないと言うべきではない」と批判するなど、国の通知に反発する声も出ている。
通知は8月31日付。厚労省は「検査終了は強制ではないが、生後20カ月以下を検査対象から外してもリスクは変わらないとの科学的知見があることを関係者に周知徹底してほしい」としている。
全頭検査をめぐっては内閣府の食品安全委員会が2005年「生後21カ月以上の牛に限定しても、BSEのリスクは変わらない」と同省に答申。これを受け、同省は検査対象から生後20カ月以下を外す一方、全都道府県が自主的に検査を続ける意向を示したため、3年間の経過措置として08年7月末まで検査費用を補助することを決めた。』
『ジェネリックの品質管理強化へ 厚労省に新機関
厚生労働省は後発医薬品(ジェネリック)の普及を目指して来年度から、品質管理の強化に乗り出す。特許切れの薬を別のメーカーがつくる後発薬は、安価で医療費抑制につながると期待されているが、品質への不安などからシェアが伸び悩んでいる。同省は、品質の苦情などがあった後発薬について、科学的に検証する検討会を国立医薬品食品衛生研究所(東京)に設け、医師や患者の不安解消をめざす。
「後発医薬品品質情報検討会」は、研究所内に大学教授や製薬会社関係者ら約10人でつくる。後発薬の品質について医師や患者から苦情が寄せられたり、学会や論文で疑問が出されたりした際、その内容を科学的に検証し、回答する。必要に応じて品質試験も行う。
また、これまで原則都道府県が行ってきた後発薬の製造工場への立ち入り検査に、来年度からは国も乗り出す。
国内の04年度の後発薬シェア(数量ベース)は16.8%で、米国の56%、英国の49%などと比べると著しく低い。処方する医師や患者の一部に、品質への不安が残ることが背景にあるとみられる。
同省は後発薬について「厳しい審査を経て承認しており、安全性や効果が先発薬に劣るわけではない」(審査管理課)との立場だが、苦情などを科学的に検証する仕組みができれば、医師や患者の安心につながり、普及に弾みがつくと判断した。
政府は後発薬の数量シェアを12年度までに30%にする目標を掲げる。厚労省は目標のペースで普及すれば、医療費の国庫負担を年間約200億円削減できると試算する。』
米国から圧力がかかった頃に生後20カ月以下の全頭検査は不要という話になったはず.そして,今度は自主的に行う検査も一斉に終了するよう通知するとはまったく余計なお世話だ.品質保証を過剰に行ってコストが上昇したとしても,それで安心感が買えるなら消費者は別に文句は言わないだろう.ましてや今さら米国産の牛肉なんて食べたくないのだから.
その一方で,ジェネリック医薬品については売れないからといってわざわざ厚労省に新機関をつくるなんてまたも税金の無駄ではないだろうか.そんなことよりジェネリックが出たら先発メーカーの薬価を自由化してくれたほうがはるかにありがたい.品質が良くて使用実績という安心感がある薬が安く手に入るのが患者さんには一番良いことなのだから.これでは,あたかもジェネリックには品質の問題があるかのように思われて,「患者の不安や医療現場の混乱をまねくだけ」ではないだろうか.
過去の例をみても薬害が出ても何ら責任をとるわけでもないし,最近では自分のところの不祥事の後始末も十分出来ないのに,相も変わらずその持てる権力で世間をふりまわすようなやり方は国民に潜在的な反感を募らせるだろうことを忘れないほうがいいだろう.
未だに何を考えているのかわからない
2007年9月12日 医療の問題『「局面を打開したい」「党首会談断られ」 首相辞任会見
安倍首相は12日午後2時、首相官邸で緊急記者会見を開き、正式に辞意を表明した。首相の主な発言は、以下の通り。
本日、総理の職を辞するべきと決意いたしました。参議院の選挙の結果が厳しいものとなったが、改革を止めてはいけないと続投を決意し、全力で取り組んできました。テロとの戦いの活動についても国際的に高い評価を得ており、継続していかなければならないと思ってきました。なんとしてもやり遂げていく責任がある、との思いで全力を尽くし、職を賭していく、と発言しました。
あらゆる努力をし、一身をなげうつ覚悟で全力を傾けて参りました。
小沢党首に会談を申し入れ、率直な思いと考えを伝えようとしましたが、残念ながら実質的に断られました。
今後、テロとの戦いを継続させるうえで、私はどうすればいいか。むしろ、局面を転換しなければならない、新たな総理のもとでテロとの戦いの継続を目指すべきではないか。来る国連総会にも新しい総理が行くべきではないか。
改革を進めていく決意で続投し、内閣改造も行いましたが、今の状況ではなかなか国民の支持、信頼のうえに力強く政策を進めていくのは困難な状況である。自らけじめをつけることで局面を打開しなければいけない、と判断するにいたったわけでございます。』
この人は今までいったい何を考えていたのだろうか.「ひとりよがり」という言葉がまさにぴったりという感じだ.自分の頭の中だけで色々考えて自己完結してしまったのだろうか.初めから終わりまで何をやってもはずし続けて,何ひとつリーダーシップを発揮することなく消えていく首相というのも珍しい.わざわざ海外で「職を賭して」なんて発言してくれたおかげで,今後,わが国は「美しい国」どころか,国際社会での評価をかなり下げることになるのだろう.
世の中にわけのわからない人がいるのはいいが,実行力のない者がリーダーになることの危険性は誰もが知っていそうなものなのに,こんな人が総理大臣だった日本の未来が心配になるのは私だけだろうか.
安倍首相は12日午後2時、首相官邸で緊急記者会見を開き、正式に辞意を表明した。首相の主な発言は、以下の通り。
本日、総理の職を辞するべきと決意いたしました。参議院の選挙の結果が厳しいものとなったが、改革を止めてはいけないと続投を決意し、全力で取り組んできました。テロとの戦いの活動についても国際的に高い評価を得ており、継続していかなければならないと思ってきました。なんとしてもやり遂げていく責任がある、との思いで全力を尽くし、職を賭していく、と発言しました。
あらゆる努力をし、一身をなげうつ覚悟で全力を傾けて参りました。
小沢党首に会談を申し入れ、率直な思いと考えを伝えようとしましたが、残念ながら実質的に断られました。
今後、テロとの戦いを継続させるうえで、私はどうすればいいか。むしろ、局面を転換しなければならない、新たな総理のもとでテロとの戦いの継続を目指すべきではないか。来る国連総会にも新しい総理が行くべきではないか。
改革を進めていく決意で続投し、内閣改造も行いましたが、今の状況ではなかなか国民の支持、信頼のうえに力強く政策を進めていくのは困難な状況である。自らけじめをつけることで局面を打開しなければいけない、と判断するにいたったわけでございます。』
この人は今までいったい何を考えていたのだろうか.「ひとりよがり」という言葉がまさにぴったりという感じだ.自分の頭の中だけで色々考えて自己完結してしまったのだろうか.初めから終わりまで何をやってもはずし続けて,何ひとつリーダーシップを発揮することなく消えていく首相というのも珍しい.わざわざ海外で「職を賭して」なんて発言してくれたおかげで,今後,わが国は「美しい国」どころか,国際社会での評価をかなり下げることになるのだろう.
世の中にわけのわからない人がいるのはいいが,実行力のない者がリーダーになることの危険性は誰もが知っていそうなものなのに,こんな人が総理大臣だった日本の未来が心配になるのは私だけだろうか.
『左右取り違え開頭手術 血腫除去、40分遅れ 執刀医らが二重ミス 松江赤十字病院 (1)
松江赤十字病院(島根県松江市)で5月、80代の女性患者の左側頭部にできた急性硬膜下血腫の除去手術で、救急外来の医師と執刀した脳神経外科医が二重にミスをし、左右を取り違えて右側を開頭していたことが8日、分かった。
この取り違え事故で、血腫の除去は約40分遅れた。外部有識者でつくる病院の医療行為審議会は「血腫除去の遅れによる人体への影響がないとは言えない」との調査結果をまとめている。
女性は現在も入院中だが、術後の経過は順調という。
病院は女性と家族に謝罪。秦公平(はた・こうへい)院長は「大変申し訳ない。確認作業を徹底し、再発防止に努めたい」と話している。
病院が作成した事故報告書によると、女性は5月23日午後4時ごろ、自宅で車から降りる際に転倒。意識不明で同病院に救急搬送され、コンピューター断層撮影(CT)検査で脳挫傷と左急性硬膜下血腫と診断された。
すぐに左側頭部を開いて血腫を除去することになったが、救急外来の医師が勘違いし、右側頭部の髪をそった。同7時半ごろ、執刀を担当する脳神経外科医は誤りに気付かず、CT検査の結果も十分確認しないまま手術を開始。右側を開頭し、血腫が見つからなかったため取り違えに気付いた。
医師は家族に経緯を説明した上で右側頭部の骨片を戻し、左側をあらためて開頭して血腫を除去。手術は同10時すぎに終わった。
病院は取り違え事故の後、手術部位を実施前に声出し確認することなどを定めた誤認防止マニュアルを新たに作成した。
▽取り違え事故
取り違え事故 医師や看護師が医療行為中に患者を取り違えたり、手術部位を間違えたりする事故。思い込みや連携ミスが原因であることが多い。財団法人日本医療機能評価機構によると、医療事故情報の収集を始めた2004年10月から06年9月までに39件が報告されており、対策として手術部位に印をつけるマーキングや直前の再確認徹底を呼び掛けている。』
『原因は単純ミスが大半 背景に過酷な勤務実態も (2)
松江赤十字病院で発生した頭部の左右取り違え事故は、医師の確認ミスが重なったことが原因だった。取り違え事故に限らず多発する医療事故の原因は単純ミスが大半で、背景にはルールの不徹底のほかに医師不足による過酷な勤務実態もありそうだ。
医療事故情報の収集事業に取り組む財団法人日本医療機能評価機構(東京都)によると、過去3年間で報告された医療事故3000件のうち、頭部の左右取り違えは数件。CTの見間違いなど単純ミスが多く、防げた事故ばかりだった。
取り違えは頭よりも目や手など左右一対の部位が多く、集中的に調べた昨年7-9月だけでも全国で12件発生。機構の担当者は「左右取り違えは全国の病院から定期報告のように来ている。患者自体の取り違えも多く、減る傾向にない」と嘆く。
機構は、対策として(1)手術部位に印をつける(2)手術前の声出し確認(3)執刀医や看護師の手術指示書の熟読?などを挙げ、各病院でルール化し徹底することを求めている。
ルールの不徹底が事故の主な原因とみられるが、医師不足による勤務の過密化がミスを誘発している可能性も。担当者は「医療体制の見直しも含めた検討も必要では」と指摘している。』
救急外来の医師が間違えて,脳外科医は自分で画像の確認をせずに開頭したということでしょうか.これでは対策として手術部位に印をつけるマーキングをしただけではたぶん防げないでしょう.
日本医療機能評価機構の担当者の「左右取り違えは全国の病院から定期報告のように来ている。患者自体の取り違えも多く、減る傾向にない」という言葉は,こういう人的ミスはある一定の確率で起こり避けようが無いということを表しているのかもしれません.
ちょっと賛同できないのは,このような単純ミスの背景を過酷な勤務実態としたところです.疲労の蓄積により起こるミスというのは確かにあるのでしょうが,左右取り違えや患者取り違えというのは.ちょっと違うんじゃないかと思います.
それとも,医師叩きの次は医師不足や過重労働をことさらに取り上げるのが最近のマスコミの手法なのでしょうか.
松江赤十字病院(島根県松江市)で5月、80代の女性患者の左側頭部にできた急性硬膜下血腫の除去手術で、救急外来の医師と執刀した脳神経外科医が二重にミスをし、左右を取り違えて右側を開頭していたことが8日、分かった。
この取り違え事故で、血腫の除去は約40分遅れた。外部有識者でつくる病院の医療行為審議会は「血腫除去の遅れによる人体への影響がないとは言えない」との調査結果をまとめている。
女性は現在も入院中だが、術後の経過は順調という。
病院は女性と家族に謝罪。秦公平(はた・こうへい)院長は「大変申し訳ない。確認作業を徹底し、再発防止に努めたい」と話している。
病院が作成した事故報告書によると、女性は5月23日午後4時ごろ、自宅で車から降りる際に転倒。意識不明で同病院に救急搬送され、コンピューター断層撮影(CT)検査で脳挫傷と左急性硬膜下血腫と診断された。
すぐに左側頭部を開いて血腫を除去することになったが、救急外来の医師が勘違いし、右側頭部の髪をそった。同7時半ごろ、執刀を担当する脳神経外科医は誤りに気付かず、CT検査の結果も十分確認しないまま手術を開始。右側を開頭し、血腫が見つからなかったため取り違えに気付いた。
医師は家族に経緯を説明した上で右側頭部の骨片を戻し、左側をあらためて開頭して血腫を除去。手術は同10時すぎに終わった。
病院は取り違え事故の後、手術部位を実施前に声出し確認することなどを定めた誤認防止マニュアルを新たに作成した。
▽取り違え事故
取り違え事故 医師や看護師が医療行為中に患者を取り違えたり、手術部位を間違えたりする事故。思い込みや連携ミスが原因であることが多い。財団法人日本医療機能評価機構によると、医療事故情報の収集を始めた2004年10月から06年9月までに39件が報告されており、対策として手術部位に印をつけるマーキングや直前の再確認徹底を呼び掛けている。』
『原因は単純ミスが大半 背景に過酷な勤務実態も (2)
松江赤十字病院で発生した頭部の左右取り違え事故は、医師の確認ミスが重なったことが原因だった。取り違え事故に限らず多発する医療事故の原因は単純ミスが大半で、背景にはルールの不徹底のほかに医師不足による過酷な勤務実態もありそうだ。
医療事故情報の収集事業に取り組む財団法人日本医療機能評価機構(東京都)によると、過去3年間で報告された医療事故3000件のうち、頭部の左右取り違えは数件。CTの見間違いなど単純ミスが多く、防げた事故ばかりだった。
取り違えは頭よりも目や手など左右一対の部位が多く、集中的に調べた昨年7-9月だけでも全国で12件発生。機構の担当者は「左右取り違えは全国の病院から定期報告のように来ている。患者自体の取り違えも多く、減る傾向にない」と嘆く。
機構は、対策として(1)手術部位に印をつける(2)手術前の声出し確認(3)執刀医や看護師の手術指示書の熟読?などを挙げ、各病院でルール化し徹底することを求めている。
ルールの不徹底が事故の主な原因とみられるが、医師不足による勤務の過密化がミスを誘発している可能性も。担当者は「医療体制の見直しも含めた検討も必要では」と指摘している。』
救急外来の医師が間違えて,脳外科医は自分で画像の確認をせずに開頭したということでしょうか.これでは対策として手術部位に印をつけるマーキングをしただけではたぶん防げないでしょう.
日本医療機能評価機構の担当者の「左右取り違えは全国の病院から定期報告のように来ている。患者自体の取り違えも多く、減る傾向にない」という言葉は,こういう人的ミスはある一定の確率で起こり避けようが無いということを表しているのかもしれません.
ちょっと賛同できないのは,このような単純ミスの背景を過酷な勤務実態としたところです.疲労の蓄積により起こるミスというのは確かにあるのでしょうが,左右取り違えや患者取り違えというのは.ちょっと違うんじゃないかと思います.
それとも,医師叩きの次は医師不足や過重労働をことさらに取り上げるのが最近のマスコミの手法なのでしょうか.
単純ミスでも許されるわけがない
2007年9月9日 医療の問題 コメント (2)『左右を取り違え開頭手術 松江で、執刀医らがミス
島根県松江市の松江赤十字病院で5月、80代の女性患者の左側頭部にできた急性硬膜下血腫の除去手術で、救急外来の医師と執刀した脳神経外科医が二重にミスをし、左右を取り違えて右側を開頭していたことが7日、分かった。この取り違え事故で、血腫の除去は約40分遅れた。外部有識者でつくる病院の医療行為審議会は「血腫除去の遅れによる人体への影響がないとは言えない」との調査結果をまとめている。』
私は,こんな馬鹿げたミスは犯さないように手術室で画像をよく見て確認するようにしている.しかし,例えば手術室のスタッフが画像の裏表を間違えてかけていたりしただけで左右は逆に見えてしまうこともある.このケースの「救急外来の医師と執刀した脳神経外科医が二重にミス」というのはどういうミスだったのだろうか.今後のために興味があるのは私だけだろうか.
もうひとつ言いたいのは,こういうミスはいつでも誰でも起こす可能性があって医師の技術とか病院の医療レベルとは無関係に起こるということだ.大学病院だろうが市民病院だろうがミスは常に起こりうるものなのである.だから,どこの病院も事故防止委員会をつくって日頃から検討を重ねているのである.
ついでに言っておくと,こういうニュースが出るとそれに乗じて医師や病院を叩こうとする輩が現れるのが最近の傾向のようだが,そんなことをしても無意味などころか,ますます自己防衛に走ったり救急の現場から逃げ出す医師が増え医療崩壊が進むような気がするのは私だけだろうか.どうせ意見を言うなら悪意のない前向きな発言をしてもらいたいものだ.
島根県松江市の松江赤十字病院で5月、80代の女性患者の左側頭部にできた急性硬膜下血腫の除去手術で、救急外来の医師と執刀した脳神経外科医が二重にミスをし、左右を取り違えて右側を開頭していたことが7日、分かった。この取り違え事故で、血腫の除去は約40分遅れた。外部有識者でつくる病院の医療行為審議会は「血腫除去の遅れによる人体への影響がないとは言えない」との調査結果をまとめている。』
私は,こんな馬鹿げたミスは犯さないように手術室で画像をよく見て確認するようにしている.しかし,例えば手術室のスタッフが画像の裏表を間違えてかけていたりしただけで左右は逆に見えてしまうこともある.このケースの「救急外来の医師と執刀した脳神経外科医が二重にミス」というのはどういうミスだったのだろうか.今後のために興味があるのは私だけだろうか.
もうひとつ言いたいのは,こういうミスはいつでも誰でも起こす可能性があって医師の技術とか病院の医療レベルとは無関係に起こるということだ.大学病院だろうが市民病院だろうがミスは常に起こりうるものなのである.だから,どこの病院も事故防止委員会をつくって日頃から検討を重ねているのである.
ついでに言っておくと,こういうニュースが出るとそれに乗じて医師や病院を叩こうとする輩が現れるのが最近の傾向のようだが,そんなことをしても無意味などころか,ますます自己防衛に走ったり救急の現場から逃げ出す医師が増え医療崩壊が進むような気がするのは私だけだろうか.どうせ意見を言うなら悪意のない前向きな発言をしてもらいたいものだ.