『 米学会が7時間の睡眠を勧告、不足で心臓病や脳卒中のリスク
睡眠不足と心臓疾患や肥満との関係が各種の研究で指摘されていることを踏まえ、米睡眠医学会がこのほど、適正な睡眠時間に関する初のガイドラインをまとめた。成人の場合で1晩に7時間以上の睡眠を取ることが望ましいと勧告している。
先月実施された調査によれば、米国人の睡眠時間は減少傾向にあり、1985年に7.4時間だった平均睡眠時間は1990年には7.29時間に、2004年と12年には7.18時間に減った。ガイドラインの作成に協力した米疾病対策センター(CDC)も、睡眠不足を公衆衛生疾患と位置付ける。
米睡眠医学会の会長でワシントン大学のネタニエル・ワトソン教授は「7~9時間の睡眠が望ましい」と述べ、1晩の睡眠が6時間を切ると集中力の低下を招き、心臓病や脳卒中、糖尿病、肥満のリスクも高まると指摘した。
一方、睡眠時間の上限については、十分な検証が行われていないことなどを理由にガイドラインでは言及していない。
ガイドラインの作成に当たっては、睡眠時間と健康状態との関係について調べた調査や、被験者の睡眠時間をコントロールする実験の結果などを参照した。
これまでの研究では例えば、睡眠時間が7時間に満たないと体格指数(BMI)が上昇することや、睡眠が不足すると食欲を増進するホルモンの値が上昇して肥満につながり、肥満を原因とする心臓病や脳卒中などのリスクも増大することが分かっている。
睡眠不足の原因となる睡眠障害の危険性も指摘され、欧州心臓病学会ではこのほど、睡眠障害のある男性が心臓発作を起こす確率は2~2.6倍、脳卒中を起こす確率は1.5~4倍になるという研究結果が発表された。』
今年は早朝のサイクリングを減らしているため最近1ヶ月の平均睡眠時間は6時間ほどになっている. 「Sleep Time」というiPhoneのアプリを愛用していて目覚ましアラームを使い毎日の睡眠パターンを記録している.
私はもともと8時間睡眠だったのだが,脳外科医になってから意識的にトレーニングして5時間睡眠で熟睡感が得られるようになった.今でも睡眠パターンをみると就眠後2〜3時間くらい深い眠りに入りその後浅くなったり深くなったりを繰り返して起きる1時間間にはほとんど覚醒に近い状態になっているようだ.
米睡眠医学会のガイドラインは7時間睡眠を推奨しているようだが,これは一般的に安全マージンをとったものなのか,それとも必要最低限なのかちょっとわからない.私個人は安全マージンをとっても6時間もあれば十分な気もするが,もう1時間くらい寝ていたいような時もあるから7時間は十分な睡眠時間として必要なのかもしれない.
しかし,今の日本のサラリーマンは7時間も寝ている人は少数派なのではないのだろうか.それなら脳卒中や心臓病の人も多くなるはずだ.今後は生活指導に7時間睡眠についても加えたほうがいいかもしれない.
睡眠不足と心臓疾患や肥満との関係が各種の研究で指摘されていることを踏まえ、米睡眠医学会がこのほど、適正な睡眠時間に関する初のガイドラインをまとめた。成人の場合で1晩に7時間以上の睡眠を取ることが望ましいと勧告している。
先月実施された調査によれば、米国人の睡眠時間は減少傾向にあり、1985年に7.4時間だった平均睡眠時間は1990年には7.29時間に、2004年と12年には7.18時間に減った。ガイドラインの作成に協力した米疾病対策センター(CDC)も、睡眠不足を公衆衛生疾患と位置付ける。
米睡眠医学会の会長でワシントン大学のネタニエル・ワトソン教授は「7~9時間の睡眠が望ましい」と述べ、1晩の睡眠が6時間を切ると集中力の低下を招き、心臓病や脳卒中、糖尿病、肥満のリスクも高まると指摘した。
一方、睡眠時間の上限については、十分な検証が行われていないことなどを理由にガイドラインでは言及していない。
ガイドラインの作成に当たっては、睡眠時間と健康状態との関係について調べた調査や、被験者の睡眠時間をコントロールする実験の結果などを参照した。
これまでの研究では例えば、睡眠時間が7時間に満たないと体格指数(BMI)が上昇することや、睡眠が不足すると食欲を増進するホルモンの値が上昇して肥満につながり、肥満を原因とする心臓病や脳卒中などのリスクも増大することが分かっている。
睡眠不足の原因となる睡眠障害の危険性も指摘され、欧州心臓病学会ではこのほど、睡眠障害のある男性が心臓発作を起こす確率は2~2.6倍、脳卒中を起こす確率は1.5~4倍になるという研究結果が発表された。』
今年は早朝のサイクリングを減らしているため最近1ヶ月の平均睡眠時間は6時間ほどになっている. 「Sleep Time」というiPhoneのアプリを愛用していて目覚ましアラームを使い毎日の睡眠パターンを記録している.
私はもともと8時間睡眠だったのだが,脳外科医になってから意識的にトレーニングして5時間睡眠で熟睡感が得られるようになった.今でも睡眠パターンをみると就眠後2〜3時間くらい深い眠りに入りその後浅くなったり深くなったりを繰り返して起きる1時間間にはほとんど覚醒に近い状態になっているようだ.
米睡眠医学会のガイドラインは7時間睡眠を推奨しているようだが,これは一般的に安全マージンをとったものなのか,それとも必要最低限なのかちょっとわからない.私個人は安全マージンをとっても6時間もあれば十分な気もするが,もう1時間くらい寝ていたいような時もあるから7時間は十分な睡眠時間として必要なのかもしれない.
しかし,今の日本のサラリーマンは7時間も寝ている人は少数派なのではないのだろうか.それなら脳卒中や心臓病の人も多くなるはずだ.今後は生活指導に7時間睡眠についても加えたほうがいいかもしれない.
『インフル集団感染1人死亡、広島 男性患者、院内歩き拡大
広島県竹原市の安田病院は10日、入院患者や職員ら計93人が院内でインフルエンザに集団感染し、入院していた女性患者(81)が死亡したと発表した。
病院によると女性は5日に発症し、インフルエンザ肺炎で9日に死亡した。感染者は入院患者46人、病院と同じ医療法人が併設する介護老人保健施設「まお」の入所者20人、両施設の職員27人の計93人。県の医務課によると10日現在、有症者は30人に減少したという。
病院側は「説得はしたが、最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを止めることができなかった」と説明。「感染が広まり、申し訳なく思う」と入院患者と家族に謝罪した。』
もし,「最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを止めることができなかった」ために女性患者(81)が死亡したというのが事実であるなら,この男性患者は業務上過失致死だろうし,病院もそのような患者を入院させていたことに対する管理責任を問われ少なくとも死亡した患者の家族から損害賠償請求されることになるのではないだろうか.
インフルエンザは通常誰から誰に感染したかを特定することはできないが,原因がわかっていたのに院内感染に対する防御ができなかったというのが事実であれば,エイズウィルス感染患者が自分が感染者であることを自覚していながら,他者に感染させた場合と同様に罪に問われても不思議ではない.管理者として職員全員に予防接種をしていたかどうかも問われるだろう.
そもそも,こんなことを入院患者と家族に謝罪した病院にもそうとう問題があるだろうと思うが,科学的な根拠もなくこの男性患者がすべての原因かのように言ったのであれば,この男性からも名誉毀損で訴えられる可能性もあるだろう.院内感染の責任逃れに男性患者の話をしたのかもしれないが,責任を逃れるどころかむしろ問題をこじらせるだけに終わるのではないだろうか.
いずれにしても,医師の言うことを聞かず院内を歩き回るような患者をそのまま入院させていたことが間違いだったように思うのだがどうだろうか.
訂正)本文中の「業務上過失致死」を「傷害罪もしくは傷害致死罪」に訂正します.
広島県竹原市の安田病院は10日、入院患者や職員ら計93人が院内でインフルエンザに集団感染し、入院していた女性患者(81)が死亡したと発表した。
病院によると女性は5日に発症し、インフルエンザ肺炎で9日に死亡した。感染者は入院患者46人、病院と同じ医療法人が併設する介護老人保健施設「まお」の入所者20人、両施設の職員27人の計93人。県の医務課によると10日現在、有症者は30人に減少したという。
病院側は「説得はしたが、最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを止めることができなかった」と説明。「感染が広まり、申し訳なく思う」と入院患者と家族に謝罪した。』
もし,「最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを止めることができなかった」ために女性患者(81)が死亡したというのが事実であるなら,この男性患者は業務上過失致死だろうし,病院もそのような患者を入院させていたことに対する管理責任を問われ少なくとも死亡した患者の家族から損害賠償請求されることになるのではないだろうか.
インフルエンザは通常誰から誰に感染したかを特定することはできないが,原因がわかっていたのに院内感染に対する防御ができなかったというのが事実であれば,エイズウィルス感染患者が自分が感染者であることを自覚していながら,他者に感染させた場合と同様に罪に問われても不思議ではない.管理者として職員全員に予防接種をしていたかどうかも問われるだろう.
そもそも,こんなことを入院患者と家族に謝罪した病院にもそうとう問題があるだろうと思うが,科学的な根拠もなくこの男性患者がすべての原因かのように言ったのであれば,この男性からも名誉毀損で訴えられる可能性もあるだろう.院内感染の責任逃れに男性患者の話をしたのかもしれないが,責任を逃れるどころかむしろ問題をこじらせるだけに終わるのではないだろうか.
いずれにしても,医師の言うことを聞かず院内を歩き回るような患者をそのまま入院させていたことが間違いだったように思うのだがどうだろうか.
訂正)本文中の「業務上過失致死」を「傷害罪もしくは傷害致死罪」に訂正します.
『障害基礎年金停止や減額6割増 10~13年度、更新時の審査
国の障害基礎年金を受け取っている人が1~5年ごとの更新時に支給を打ち切られたり、金額を減らされたりするケースが2010~13年度の4年間で6割増えていたことが4日、分かった。支給実務を担う日本年金機構が開示したデータのうち、10年度以降の分がそろっていた8県について調べた結果、判明した。
年金機構は「支給を絞る意図はない」と説明しているが、障害年金の審査をする医師や年金相談に当たる社会保険労務士からは「受給者増加に伴い、機構が支給を抑えようとしているのではないか」との指摘が上がっている。障害者の生活を支える年金が恣意的に減らされている可能性がある。』
私の知っている患者さんの場合,すでに症状固定しているにもかかわらず申請を延期するように指示されたという話を聞いたことがある.その時は冗談で,年金が足りないので払わないようにしてるのかなどと言っていたが,どうやら冗談ではないみたいだ.ここまでやるとは年金の破綻もいよいよ近いということだろうか.
国の障害基礎年金を受け取っている人が1~5年ごとの更新時に支給を打ち切られたり、金額を減らされたりするケースが2010~13年度の4年間で6割増えていたことが4日、分かった。支給実務を担う日本年金機構が開示したデータのうち、10年度以降の分がそろっていた8県について調べた結果、判明した。
年金機構は「支給を絞る意図はない」と説明しているが、障害年金の審査をする医師や年金相談に当たる社会保険労務士からは「受給者増加に伴い、機構が支給を抑えようとしているのではないか」との指摘が上がっている。障害者の生活を支える年金が恣意的に減らされている可能性がある。』
私の知っている患者さんの場合,すでに症状固定しているにもかかわらず申請を延期するように指示されたという話を聞いたことがある.その時は冗談で,年金が足りないので払わないようにしてるのかなどと言っていたが,どうやら冗談ではないみたいだ.ここまでやるとは年金の破綻もいよいよ近いということだろうか.
『筋弛緩剤を誤って投与、患者死亡 大阪府立の医療機関
大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は31日、入院中の60代の男性患者に誤って筋弛緩(しかん)剤の点滴を投与し、男性が死亡したと発表した。医師から抗生物質の処方を指示された薬剤師が薬剤を取り違え、点滴前に確認した看護師2人も気づかなかったという。センターは遺族に謝罪し、府警に届けたという。
センターによると、男性患者は抗がん剤治療のために約2週間入院。発熱の症状が出たため29日、主治医が抗生物質「マキシピーム」の点滴を指示したところ、女性薬剤師が薬剤の入った棚から誤って筋弛緩剤「マスキュレート」を取り出し病棟に送った。
二つの薬剤は別の棚で保管されており、薬剤師は男性への点滴が始まった約2時間後、別の患者用に「マキシピーム」を取りだそうとして取り違えに気づいたが、男性はすでに心肺停止状態だったという。
薬剤師は院内の調査に対し、「抗生物質だと思って筋弛緩剤を出してしまった」、看護師らは「その患者の薬だと思った」と説明しているという。
吉岡敏治院長は31日会見し、「あってはならないことで患者やご家族に心からおわび申し上げます」と話した。』
まず最初に言いたいのは,薬剤師に女性とつけるならば医師や看護師にも性別を付さなければなにか意図があるように思えるということ.こういうところにマスゴミの姿勢があらわれているような気がするのは私だけだろうか.
筋弛緩薬は呼吸抑制作用があるので特に取り扱いに注意しなければならない医薬品であるが,薬剤師は二人以上でちゃんとダブルチェックをしていたのだろうか.薬剤師ならば薬品の作用については当然よく知っているはずなのでたとえ薬品名を一人が取り違えていてもダブルチェックしていれば訂正できたような気はする.
残念ながら看護師には薬の作用まではよく理解していない人もいるから,看護師らの「その患者の薬だと思った」という説明は薬の名前や作用に関する知識のなさがダブルチェックをすり抜ける原因になったように思える.しかし,あまり使ったことがない薬なら,経験のある他の看護師や身近にいる医師に確認することもできたろう.
こういうのは一種のコミュニケーションエラーなのだろうが,医療の現場ではそういったエラーは比較的よくあるので,私は通常あまり行わない処置をするときには看護師に注意を促すようにしている.それでもちゃんと人の話を聞けない看護師がいるのが問題なのだが,そういう看護師はなるべく避けるという注意も場合によっては必要だ.
先日もどこかで抗生物質にアレルギーのある患者に誤ってその薬を投与した医師もいたそうだから,落とし穴はそこらじゅうにあると常に思っていることが大切なのだろう.いずれにしてもこんなケアレスミスで亡くなった患者さんには大変お気の毒な話である.ご冥福をお祈りする.
大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は31日、入院中の60代の男性患者に誤って筋弛緩(しかん)剤の点滴を投与し、男性が死亡したと発表した。医師から抗生物質の処方を指示された薬剤師が薬剤を取り違え、点滴前に確認した看護師2人も気づかなかったという。センターは遺族に謝罪し、府警に届けたという。
センターによると、男性患者は抗がん剤治療のために約2週間入院。発熱の症状が出たため29日、主治医が抗生物質「マキシピーム」の点滴を指示したところ、女性薬剤師が薬剤の入った棚から誤って筋弛緩剤「マスキュレート」を取り出し病棟に送った。
二つの薬剤は別の棚で保管されており、薬剤師は男性への点滴が始まった約2時間後、別の患者用に「マキシピーム」を取りだそうとして取り違えに気づいたが、男性はすでに心肺停止状態だったという。
薬剤師は院内の調査に対し、「抗生物質だと思って筋弛緩剤を出してしまった」、看護師らは「その患者の薬だと思った」と説明しているという。
吉岡敏治院長は31日会見し、「あってはならないことで患者やご家族に心からおわび申し上げます」と話した。』
まず最初に言いたいのは,薬剤師に女性とつけるならば医師や看護師にも性別を付さなければなにか意図があるように思えるということ.こういうところにマスゴミの姿勢があらわれているような気がするのは私だけだろうか.
筋弛緩薬は呼吸抑制作用があるので特に取り扱いに注意しなければならない医薬品であるが,薬剤師は二人以上でちゃんとダブルチェックをしていたのだろうか.薬剤師ならば薬品の作用については当然よく知っているはずなのでたとえ薬品名を一人が取り違えていてもダブルチェックしていれば訂正できたような気はする.
残念ながら看護師には薬の作用まではよく理解していない人もいるから,看護師らの「その患者の薬だと思った」という説明は薬の名前や作用に関する知識のなさがダブルチェックをすり抜ける原因になったように思える.しかし,あまり使ったことがない薬なら,経験のある他の看護師や身近にいる医師に確認することもできたろう.
こういうのは一種のコミュニケーションエラーなのだろうが,医療の現場ではそういったエラーは比較的よくあるので,私は通常あまり行わない処置をするときには看護師に注意を促すようにしている.それでもちゃんと人の話を聞けない看護師がいるのが問題なのだが,そういう看護師はなるべく避けるという注意も場合によっては必要だ.
先日もどこかで抗生物質にアレルギーのある患者に誤ってその薬を投与した医師もいたそうだから,落とし穴はそこらじゅうにあると常に思っていることが大切なのだろう.いずれにしてもこんなケアレスミスで亡くなった患者さんには大変お気の毒な話である.ご冥福をお祈りする.
『高齢者救急、元の生活の場に戻った人は約半数
自宅や介護施設から救急病院に運ばれた高齢者のうち、1か月後に元の生活の場に戻れた人は約半数に過ぎず、ある程度回復しても約2割が救急病院にそのまま入院し続けていた、との調査結果を、東京都医師会救急委員会がまとめた。
29日、福岡市で開かれる日本救急医学会で発表する。
調査は、東京都指定2次救急医療機関254病院が対象。2012年10月の1週間に入院した救急患者の1か月後の状態をアンケートし、191病院から回答を得た。この間の救急患者6083人のうち6割(3575人)が65歳以上。
搬送前の生活場所別に分析すると、介護施設から搬送された高齢者354人のうち、介護施設に戻れたのは50%。23%が1か月後も救急病院で入院を続けていた。慢性期患者に対応する別の医療機関に転院した人は4%。死亡は11%だった。
自宅から搬送された高齢者2400人のうち、自宅に戻れたのは57%。約17%が、そのまま入院を継続していた。別の医療機関に移ったのは7%だった。
他の医療機関から搬送された高齢者490人では、22%が入院を継続しており、退院し他の医療機関に移れたのは12%にとどまった。』
今日も施設入所中の高齢者が半身の麻痺で救急車で運ばれてきた.施設にはかかりつけ医という開業内科医がいるはずなのだが,意識障害や麻痺があるとかかりつけ医はパスして脳神経外科のある病院に直接救急車で来るのがいつものことである.
発症時に自分で椅子に座っていることもできないほどの麻痺があれば高齢者の場合は自立歩行ができるようになることはほとんどなく,大抵の場合は寝たきりに近い状態になるので施設に帰れるほどまで回復する可能性はほとんどない.
この記事にある介護施設に戻れたのは50%というのは妥当な数値だろうと思うが,1ヶ月で帰れる人は少ないだろうし20%くらいの人はそのまま療養型の病棟に移って死ぬまで入院することになっているのではないだろうか.
最近よくあるのは独居または夫婦だけで生活していた80歳以上の高齢者が脳梗塞で入院し自宅に帰れなくなり施設入所ができるまで回復しても施設に空きがなくて空き待ちのために入院期間が延びるというケースである.
介護者がいれば自宅に帰ることができるまでに回復しても,一人暮らしで家族も引き取ることができないとか,介護者が高齢な配偶者一人という場合はやはり自宅に帰ることができないから施設入所待ちになってしまうのである.
高齢者の脳卒中は回復にも時間がかかるが,回復しても自宅には帰れず退院先がなかなか決まらない場合が多い.しかし,急性期病棟というのは入院日数も限られているので回復期病棟でリハビリテーションをしながら施設を探すというケースが非常に多いのである.
これからますます高齢者の脳卒中患者が増えるのは確実であるが,病院の病床数には限りがあるので,いつかは破綻することになるのではと心配になるのであるが,厚労省は一体どうするつもりなのであろうか.
自宅や介護施設から救急病院に運ばれた高齢者のうち、1か月後に元の生活の場に戻れた人は約半数に過ぎず、ある程度回復しても約2割が救急病院にそのまま入院し続けていた、との調査結果を、東京都医師会救急委員会がまとめた。
29日、福岡市で開かれる日本救急医学会で発表する。
調査は、東京都指定2次救急医療機関254病院が対象。2012年10月の1週間に入院した救急患者の1か月後の状態をアンケートし、191病院から回答を得た。この間の救急患者6083人のうち6割(3575人)が65歳以上。
搬送前の生活場所別に分析すると、介護施設から搬送された高齢者354人のうち、介護施設に戻れたのは50%。23%が1か月後も救急病院で入院を続けていた。慢性期患者に対応する別の医療機関に転院した人は4%。死亡は11%だった。
自宅から搬送された高齢者2400人のうち、自宅に戻れたのは57%。約17%が、そのまま入院を継続していた。別の医療機関に移ったのは7%だった。
他の医療機関から搬送された高齢者490人では、22%が入院を継続しており、退院し他の医療機関に移れたのは12%にとどまった。』
今日も施設入所中の高齢者が半身の麻痺で救急車で運ばれてきた.施設にはかかりつけ医という開業内科医がいるはずなのだが,意識障害や麻痺があるとかかりつけ医はパスして脳神経外科のある病院に直接救急車で来るのがいつものことである.
発症時に自分で椅子に座っていることもできないほどの麻痺があれば高齢者の場合は自立歩行ができるようになることはほとんどなく,大抵の場合は寝たきりに近い状態になるので施設に帰れるほどまで回復する可能性はほとんどない.
この記事にある介護施設に戻れたのは50%というのは妥当な数値だろうと思うが,1ヶ月で帰れる人は少ないだろうし20%くらいの人はそのまま療養型の病棟に移って死ぬまで入院することになっているのではないだろうか.
最近よくあるのは独居または夫婦だけで生活していた80歳以上の高齢者が脳梗塞で入院し自宅に帰れなくなり施設入所ができるまで回復しても施設に空きがなくて空き待ちのために入院期間が延びるというケースである.
介護者がいれば自宅に帰ることができるまでに回復しても,一人暮らしで家族も引き取ることができないとか,介護者が高齢な配偶者一人という場合はやはり自宅に帰ることができないから施設入所待ちになってしまうのである.
高齢者の脳卒中は回復にも時間がかかるが,回復しても自宅には帰れず退院先がなかなか決まらない場合が多い.しかし,急性期病棟というのは入院日数も限られているので回復期病棟でリハビリテーションをしながら施設を探すというケースが非常に多いのである.
これからますます高齢者の脳卒中患者が増えるのは確実であるが,病院の病床数には限りがあるので,いつかは破綻することになるのではと心配になるのであるが,厚労省は一体どうするつもりなのであろうか.
救命救急看護士がいれば...
2014年8月20日 医療の問題 最近,心肺蘇生法(CardioPulmonary Resuscitation:CPR)を要するような救急患者の搬送が続いた.救急隊の指令からCPR施行中の患者の搬送依頼が来たので,状況について質問したが,搬入可能かどうか調べてくれと現場の隊員に言われただけで状況はわからないという.
何が問題かと言うと,簡単に言ってしまえばCPRで蘇生可能性のある患者かどうかを知りたいのである.蘇生可能性のある状況であればもちろん全力で対応しなければいけないからそれなりに医師の数も看護師の数も必要だし,搬入前に機材も準備しなければならないのである.
もし,状況が蘇生可能性がまったくなく搬入時に死亡確認だけになってしまうような場合には,医師も看護師もそれぞれ一人もいれば十分だし,聴診器と心電図とペンライトがあれば十分なのである.
だから,身体状況に関する正確な情報が必要なのだが,そういった情報さえもなくただ受け入れ可能かどうかを聞かれても一般病院では不可能と答えるしかないだろう.聞くところによると市民病院が救急担当医が一人しかいないことを理由に断ったというのも考えようによっては当然かもしれない.
結局,発見時には心配停止状態でAEDも使えないような状況ですでに30分以上経過しているような症例は受け入れたのだが,思ったとおりすでに死後1時間は経過しているような状態だったので,死亡確認と検死に協力しただけだった.
今年3月に「救急救命士法施行規則の一部を改正する省令等の施行」というのがあって「救急救命士の心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与の実施」ができるようになったらしいが,それには講習の受講と修了の認定が必要で,これからの話らしい.
しかし,それが出来るようになったとしても救命救急士の知識と権限はあまりに狭く,前述のごとく私にとって十分な情報提供が出来るレベルにはなっていないし,今後にもあまり期待出来ない.
そこで,ふと思ったのだが以前に話題になっていた「特定看護師」よりもさらに一歩進めた「救命救急看護士」なんていうのが救急者に常時いてくれたらいいのではないかと思う.具体的には総合病院の救急部やICUで2年以上の勤務経験があり,気管内挿管や中心静脈ルートの確保やCPRで使用する薬剤の投与法などの訓練を受けたスーパー看護師みたいな人である.
こんな人が救急車に乗って現場で状況を判断し搬送先の指示をしたり,救急車内で初期の救命救急処置を行い病院の医師の指示で病院搬入までにさらに必要な処置を行ってくれるようになれば,病院の医師との連携も円滑になることが期待出来ると思うのだがどうだろうか.
もっともそんなスーパー看護師が登場するとなると安全性を理由に制度の導入に反対する意見がまたどこかから出たりするのかもしれないが,本当に有効な救命救急を希望するなら検討する価値は十分あるのではないだろうか.
何が問題かと言うと,簡単に言ってしまえばCPRで蘇生可能性のある患者かどうかを知りたいのである.蘇生可能性のある状況であればもちろん全力で対応しなければいけないからそれなりに医師の数も看護師の数も必要だし,搬入前に機材も準備しなければならないのである.
もし,状況が蘇生可能性がまったくなく搬入時に死亡確認だけになってしまうような場合には,医師も看護師もそれぞれ一人もいれば十分だし,聴診器と心電図とペンライトがあれば十分なのである.
だから,身体状況に関する正確な情報が必要なのだが,そういった情報さえもなくただ受け入れ可能かどうかを聞かれても一般病院では不可能と答えるしかないだろう.聞くところによると市民病院が救急担当医が一人しかいないことを理由に断ったというのも考えようによっては当然かもしれない.
結局,発見時には心配停止状態でAEDも使えないような状況ですでに30分以上経過しているような症例は受け入れたのだが,思ったとおりすでに死後1時間は経過しているような状態だったので,死亡確認と検死に協力しただけだった.
今年3月に「救急救命士法施行規則の一部を改正する省令等の施行」というのがあって「救急救命士の心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与の実施」ができるようになったらしいが,それには講習の受講と修了の認定が必要で,これからの話らしい.
しかし,それが出来るようになったとしても救命救急士の知識と権限はあまりに狭く,前述のごとく私にとって十分な情報提供が出来るレベルにはなっていないし,今後にもあまり期待出来ない.
そこで,ふと思ったのだが以前に話題になっていた「特定看護師」よりもさらに一歩進めた「救命救急看護士」なんていうのが救急者に常時いてくれたらいいのではないかと思う.具体的には総合病院の救急部やICUで2年以上の勤務経験があり,気管内挿管や中心静脈ルートの確保やCPRで使用する薬剤の投与法などの訓練を受けたスーパー看護師みたいな人である.
こんな人が救急車に乗って現場で状況を判断し搬送先の指示をしたり,救急車内で初期の救命救急処置を行い病院の医師の指示で病院搬入までにさらに必要な処置を行ってくれるようになれば,病院の医師との連携も円滑になることが期待出来ると思うのだがどうだろうか.
もっともそんなスーパー看護師が登場するとなると安全性を理由に制度の導入に反対する意見がまたどこかから出たりするのかもしれないが,本当に有効な救命救急を希望するなら検討する価値は十分あるのではないだろうか.
エボラ出血熱の治療薬は?
2014年8月13日 医療の問題『富士フイルムのインフル治験薬、エボラ出血熱治療に有望か
8月7日(ブルームバーグ):米政府機関はエボラ出血熱の治療に富士フイルムホールディングス のインフルエンザ用治験薬を利用できるよう承認手続きを急いでいる。西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱による死者は過去最悪水準に上っている。
米国防総省のエイミー・デリックフロスト報道官によれば、富士フイルムの米国での提携相手であるメディベクター(ボストン)はこの治験薬「ファビピラビル」をエボラ出血熱感染者の治療に使えるよう申請する意向で、米食品医薬品局(FDA)と協議している。承認されれば、エボラ出血熱の感染者治療で米当局が承認する初の医薬品の一つとなる見通し。
同報道官によると、国防総省はファビピラビルについて、エボラ出血熱に感染したサルでの試験完了を優先させる方針。試験終了後の審査プロセスも迅速に進められる見込みだという。サルを使った試験の暫定的なデータは9月中旬に得られる見通しだとしている。
ファビピラビルは既にインフルエンザ感染者の抗ウイルス剤として治験が重ねられており、エボラ出血熱の治療に適用する上で優位性がある。現在はインフルエンザ治療薬として米国での治験の最終段階にある。
メディベクターの広報担当者に対し、ファビピラビルをエボラ出血熱感染者に適用する可能性について5日に取材を試みたが、コメントは得られなかった。世界保健機関(WHO)は西アフリカでのエボラ出血熱による死者が900人余りに上ったと推計している。
ファビピラビルは富士フイルム傘下の富山化学工業 の古田要介氏によって1998年に発見された。国防総省は2012年、ファビピラビルのさらなる開発を後押しするため1億3850万ドル(現在のレートで約142億円)をメディベクターに助成した。富士フイルムは同薬の権利を保持している。』
『エボラ治療へ期待高まる 富山化学工業の新薬「ファビピラビル」
富士フイルムグループの富山化学工業(東京、菅田益司社長)が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」が、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の治療への利用に期待が高まっている。治療薬は富山事業所(富山市下奥井)で開発が進められた。細胞内でのウイルスの増殖を阻止する効果があり、エボラ出血熱でも、感染抑制につながる可能性がある。エボラ出血熱の治療に活用されるまでには、臨床試験や承認が必要となり、通常は数年かかるが、世界的な感染拡大から米国政府機関が手続きを迅速化させる動きもある。
ファビピラビルは、富山化学工業が富山事業所で、抗ウイルス剤の研究によって見いだした。白木公康富山大大学院医学薬学研究部教授との共同研究で、動物実験での有効性を確認した。
ファビピラビルは、これまでのインフルエンザ治療薬とは異なる作用メカニズムを持つ。タミフルなどの既存薬は増殖したウイルスを細胞外に放出できないようにして感染拡大を防ぐのに対し、ファビピラビルは細胞内での遺伝子複製を阻害し、増殖そのものを阻止する。このため、新型インフルエンザや既存薬に耐性を持つウイルスにも効果が期待されるという。
インフルエンザ治療薬としての商品名は「アビガン錠200ミリグラム(開発番号T-705)」で、ことし3月に日本国内で製造販売承認を取得した。米国では富山化学工業が2007年にインフルエンザ治療薬として治験申請。現在は治験の最終段階となる第3相臨床試験(フェーズ3)が進められている。
エボラ出血熱の治療薬としては、富士フイルムの提携先の米製薬企業メディベクターが米食品医薬品局(FDA)との手続きを経て、第1相臨床試験(フェーズ1)に着手する方針。
米通信社が7日、米政府機関がエボラ出血熱の治療に利用する承認手続きを急いでいると報じた。富士フイルムは「今後も医療の発展に貢献したい」と話した。』
グローバリゼーションのおかげで商品だけでなく人の動きも活発化した現在は,昨日はアフリカにいた人が今日は札幌にいるなんてこともあるのだから早く治療薬が見つかってほしいものだ.
わが国ではインフルエンザ治療薬としてならアビガン錠は使えるようだから,とりあえずはこれを使うことになるのだろうか.
抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」の日本国内での製造販売承認取得のお知らせ
https://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/140324.html
エボラ出血熱
エボラウイルスが原因の急性感染症。世界保健機関(WHO)によると、1976年にザイール(現コンゴ)などアフリカ中部で初めて集団発生が確認された。ザイールの感染集落が「エボラ川」の近くにあったことから、この名が付いた。野生のコウモリがウイルスの宿主とされる。人間同士では、感染した人の血液、分泌物、臓器、その他の体液に濃厚に接触することで感染する。会葬者が遺体に直接触る葬儀も感染の原因と指摘されてきた。症状は発熱や頭痛、下痢、内出血や皮膚などからの出血。致死率は高く、最高で90%とされる。ワクチンや治療法は見つかっていない。
8月7日(ブルームバーグ):米政府機関はエボラ出血熱の治療に富士フイルムホールディングス のインフルエンザ用治験薬を利用できるよう承認手続きを急いでいる。西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱による死者は過去最悪水準に上っている。
米国防総省のエイミー・デリックフロスト報道官によれば、富士フイルムの米国での提携相手であるメディベクター(ボストン)はこの治験薬「ファビピラビル」をエボラ出血熱感染者の治療に使えるよう申請する意向で、米食品医薬品局(FDA)と協議している。承認されれば、エボラ出血熱の感染者治療で米当局が承認する初の医薬品の一つとなる見通し。
同報道官によると、国防総省はファビピラビルについて、エボラ出血熱に感染したサルでの試験完了を優先させる方針。試験終了後の審査プロセスも迅速に進められる見込みだという。サルを使った試験の暫定的なデータは9月中旬に得られる見通しだとしている。
ファビピラビルは既にインフルエンザ感染者の抗ウイルス剤として治験が重ねられており、エボラ出血熱の治療に適用する上で優位性がある。現在はインフルエンザ治療薬として米国での治験の最終段階にある。
メディベクターの広報担当者に対し、ファビピラビルをエボラ出血熱感染者に適用する可能性について5日に取材を試みたが、コメントは得られなかった。世界保健機関(WHO)は西アフリカでのエボラ出血熱による死者が900人余りに上ったと推計している。
ファビピラビルは富士フイルム傘下の富山化学工業 の古田要介氏によって1998年に発見された。国防総省は2012年、ファビピラビルのさらなる開発を後押しするため1億3850万ドル(現在のレートで約142億円)をメディベクターに助成した。富士フイルムは同薬の権利を保持している。』
『エボラ治療へ期待高まる 富山化学工業の新薬「ファビピラビル」
富士フイルムグループの富山化学工業(東京、菅田益司社長)が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」が、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の治療への利用に期待が高まっている。治療薬は富山事業所(富山市下奥井)で開発が進められた。細胞内でのウイルスの増殖を阻止する効果があり、エボラ出血熱でも、感染抑制につながる可能性がある。エボラ出血熱の治療に活用されるまでには、臨床試験や承認が必要となり、通常は数年かかるが、世界的な感染拡大から米国政府機関が手続きを迅速化させる動きもある。
ファビピラビルは、富山化学工業が富山事業所で、抗ウイルス剤の研究によって見いだした。白木公康富山大大学院医学薬学研究部教授との共同研究で、動物実験での有効性を確認した。
ファビピラビルは、これまでのインフルエンザ治療薬とは異なる作用メカニズムを持つ。タミフルなどの既存薬は増殖したウイルスを細胞外に放出できないようにして感染拡大を防ぐのに対し、ファビピラビルは細胞内での遺伝子複製を阻害し、増殖そのものを阻止する。このため、新型インフルエンザや既存薬に耐性を持つウイルスにも効果が期待されるという。
インフルエンザ治療薬としての商品名は「アビガン錠200ミリグラム(開発番号T-705)」で、ことし3月に日本国内で製造販売承認を取得した。米国では富山化学工業が2007年にインフルエンザ治療薬として治験申請。現在は治験の最終段階となる第3相臨床試験(フェーズ3)が進められている。
エボラ出血熱の治療薬としては、富士フイルムの提携先の米製薬企業メディベクターが米食品医薬品局(FDA)との手続きを経て、第1相臨床試験(フェーズ1)に着手する方針。
米通信社が7日、米政府機関がエボラ出血熱の治療に利用する承認手続きを急いでいると報じた。富士フイルムは「今後も医療の発展に貢献したい」と話した。』
グローバリゼーションのおかげで商品だけでなく人の動きも活発化した現在は,昨日はアフリカにいた人が今日は札幌にいるなんてこともあるのだから早く治療薬が見つかってほしいものだ.
わが国ではインフルエンザ治療薬としてならアビガン錠は使えるようだから,とりあえずはこれを使うことになるのだろうか.
抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」の日本国内での製造販売承認取得のお知らせ
https://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/140324.html
エボラ出血熱
エボラウイルスが原因の急性感染症。世界保健機関(WHO)によると、1976年にザイール(現コンゴ)などアフリカ中部で初めて集団発生が確認された。ザイールの感染集落が「エボラ川」の近くにあったことから、この名が付いた。野生のコウモリがウイルスの宿主とされる。人間同士では、感染した人の血液、分泌物、臓器、その他の体液に濃厚に接触することで感染する。会葬者が遺体に直接触る葬儀も感染の原因と指摘されてきた。症状は発熱や頭痛、下痢、内出血や皮膚などからの出血。致死率は高く、最高で90%とされる。ワクチンや治療法は見つかっていない。
『てんかん発作を心拍異常から予知
全身がけいれんしたり意識を失ったりする症状がでる「てんかん」について、心臓の動きの異常から発作を予知できるという世界でも初めての装置を京都大学などの研究チームが開発し、来月にも臨床研究を始めることになりました。
転倒などの事故の防止に役立つと期待されています。
てんかんの患者は人口10万人当たり200人から300人いるとされ、突然の発作で転んでけがをしたり深刻な事故につながったりするケースもあります。
このため、発作を予知しアラームなどで患者に知らせる装置を、京都大学と熊本大学、それに東京医科歯科大学の研究チームが開発しました。
てんかんは、発作の前に脳で起きる異常が、心臓の動きを調節している自律神経に影響を与えることが知られていて、研究チームは、センサーを体に貼るだけで心臓の動きを計測し異常を瞬時に検知できるという小型の装置とソフトを開発しました。
これまでの研究では、発作が始まる数分から30秒前に心拍の異常を検知できたということで、研究チームは来月にも臨床研究を始めることになりました。
心臓の動きの異常からてんかんの発作を予知する装置は世界でも例がなく、実用化されれば、発作の前に身を守る態勢を取るなど事故の防止に役立つと期待されています。
京都大学の藤原幸一助教は「どこまで精度を高められるかが課題だ。発作の不安で外に出られないような方が自由に活動できるようにしたい」と話しています。』
てんかん発作がこれで確実に予知出来るなら,将来はてんかん発作を感知して路肩に自動的に停車する自動車なんていうのも出来るかもしれない.自動運転車はもうじき実用化されるようなので,そのうち運転者が脳卒中や心臓発作になったら自動的に停車して救急車を呼んでくれる車なんていうのも出来るのではないだろうか.
全身がけいれんしたり意識を失ったりする症状がでる「てんかん」について、心臓の動きの異常から発作を予知できるという世界でも初めての装置を京都大学などの研究チームが開発し、来月にも臨床研究を始めることになりました。
転倒などの事故の防止に役立つと期待されています。
てんかんの患者は人口10万人当たり200人から300人いるとされ、突然の発作で転んでけがをしたり深刻な事故につながったりするケースもあります。
このため、発作を予知しアラームなどで患者に知らせる装置を、京都大学と熊本大学、それに東京医科歯科大学の研究チームが開発しました。
てんかんは、発作の前に脳で起きる異常が、心臓の動きを調節している自律神経に影響を与えることが知られていて、研究チームは、センサーを体に貼るだけで心臓の動きを計測し異常を瞬時に検知できるという小型の装置とソフトを開発しました。
これまでの研究では、発作が始まる数分から30秒前に心拍の異常を検知できたということで、研究チームは来月にも臨床研究を始めることになりました。
心臓の動きの異常からてんかんの発作を予知する装置は世界でも例がなく、実用化されれば、発作の前に身を守る態勢を取るなど事故の防止に役立つと期待されています。
京都大学の藤原幸一助教は「どこまで精度を高められるかが課題だ。発作の不安で外に出られないような方が自由に活動できるようにしたい」と話しています。』
てんかん発作がこれで確実に予知出来るなら,将来はてんかん発作を感知して路肩に自動的に停車する自動車なんていうのも出来るかもしれない.自動運転車はもうじき実用化されるようなので,そのうち運転者が脳卒中や心臓発作になったら自動的に停車して救急車を呼んでくれる車なんていうのも出来るのではないだろうか.
『脳卒中専門医、4割が燃え尽き症候群 「1日が終わると疲れ果てている」
脳卒中の治療に当たる脳外科や脳神経内科の専門医の4割が燃え尽き症候群であることが14日、九州大学大学院(福岡市東区)と国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)などの研究班の調査で分かった。国内の医師を対象にした燃え尽き症候群の大規模調査は初めて。燃え尽き症候群は医療過誤や鬱病による退職につながるとされ、研究班は脳卒中の治療拠点を集約化して医師の負担軽減を図るなどの対策を提言する。
同センター予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長によると、調査は平成23年11月から脳卒中の治療に当たる医師を対象に行われ、2564人の回答を解析した。「1日が終わると疲れ果てている」などの極度の疲労に加え、仕事に興味が持てなくなったり、自分が役にたっている実感が少ないなどの燃え尽き症候群特有の症状を調査。その結果、41・1%に燃え尽き症候群の疑いがあり、このうち21・8%は重い「燃え尽き症候群」だった。
同じ国際的な指標を使った研究では、国内の会社員や公務員の燃え尽き症候群の疑いは2~3割程度。専門医の燃え尽き症候群の割合が高かったことについて、西村氏は「長時間労働や睡眠不足などが原因と考えられる」と分析している。』
問題はなぜ長時間労働や睡眠不足が常態化するのかということだろう.夜間の救急患者が増えているのに,当直明けそのまま終日勤務するようなことを見過ごしている厚生労働省の対応が本当の原因だろう.
もっとも医師を増やしても皮膚科や眼科ばかりが増えるのでは意味がない.この際,人気のある科の専門医試験を難しくして,脳卒中専門医の試験を易しくするぐらいの大改革でもしないかぎり脳卒中診療の現場からは医師が減っていくことだろう.
脳卒中の治療に当たる脳外科や脳神経内科の専門医の4割が燃え尽き症候群であることが14日、九州大学大学院(福岡市東区)と国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)などの研究班の調査で分かった。国内の医師を対象にした燃え尽き症候群の大規模調査は初めて。燃え尽き症候群は医療過誤や鬱病による退職につながるとされ、研究班は脳卒中の治療拠点を集約化して医師の負担軽減を図るなどの対策を提言する。
同センター予防医学・疫学情報部の西村邦宏室長によると、調査は平成23年11月から脳卒中の治療に当たる医師を対象に行われ、2564人の回答を解析した。「1日が終わると疲れ果てている」などの極度の疲労に加え、仕事に興味が持てなくなったり、自分が役にたっている実感が少ないなどの燃え尽き症候群特有の症状を調査。その結果、41・1%に燃え尽き症候群の疑いがあり、このうち21・8%は重い「燃え尽き症候群」だった。
同じ国際的な指標を使った研究では、国内の会社員や公務員の燃え尽き症候群の疑いは2~3割程度。専門医の燃え尽き症候群の割合が高かったことについて、西村氏は「長時間労働や睡眠不足などが原因と考えられる」と分析している。』
問題はなぜ長時間労働や睡眠不足が常態化するのかということだろう.夜間の救急患者が増えているのに,当直明けそのまま終日勤務するようなことを見過ごしている厚生労働省の対応が本当の原因だろう.
もっとも医師を増やしても皮膚科や眼科ばかりが増えるのでは意味がない.この際,人気のある科の専門医試験を難しくして,脳卒中専門医の試験を易しくするぐらいの大改革でもしないかぎり脳卒中診療の現場からは医師が減っていくことだろう.
『ノバルティス社「製薬会社丸抱えも過言でない」
大手製薬会社ノバルティスファーマの社員が、会社が販売する白血病の薬の臨床研究に関与していた問題で、ノバルティスが設置した専門家による調査委員会が報告書を公表し、社員の研究への関与は全般にわたり深いとしたうえで、「製薬会社丸抱えの研究と言っても過言ではない」と厳しく批判しました。
この問題は、ノバルティスファーマが販売する白血病の治療薬「タシグナ」の副作用について、東京大学病院などの医療機関が客観的な立場から調べる臨床研究に、ノバルティスの社員が社内のルールなどに違反し関わっていたものです。
ノバルティスは問題を指摘するNHKの報道を受けて、関与を認めたうえで謝罪し、外部の専門家による調査委員会を設置して詳しく調べてきました。
調査委員会が2日公表した報告書によりますと、東大病院を担当する営業社員が中心となり、複数の社員が研究の立案からデータの解析まで研究全般に深く関与していたということです。さらにNHKの取材を知った去年12月には、関係書類を廃棄するなど証拠隠滅をしていたことも明らかになったということです。
こうした背景には、他社とのシェア競争で苦戦していたため、研究を利用して薬の販売を促進する意図があったと指摘しています。
また社員は、営業活動に利用するため医師から受け取った患者のデータを社内で保存しており、個人情報保護法に違反する可能性が高いほか、一部の医療機関では医師の研究を継続的に手伝っており、景品表示法に違反する状態だと指摘しています。
さらに、こうした社員の研究への深い関与について、社内では認める風土があり、上司の営業部長らの監督責任は重いとしています。
調査委員会の委員長を務める原田國男弁護士は「調査を進めるにしたがい、問題行為の範囲や規模は拡大し、その実態はたじろぐほどだった。医師は、製薬会社の支援を期待していたとすら言え、製薬会社丸抱えの臨床研究と言っても言い過ぎではない」と厳しく批判しました。』
『ディオバン検討委 報告書案を提示、ノ社の「組織的関与」と判断( 2014年3月28日)
ノバルティス ファーマのARB「ディオバン」の臨床試験問題を受け、厚生労働省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会(ディオバン検討委)」は27日、ディオバン問題への対応・再発防止策に関する報告書案を提示した。問題となった臨床試験に対する奨学寄付金や労務の提供はノ社の業務の一環だったとし、組織ぐるみで今回の問題に関与したと結論付けた。』
ノバルティスファーマ社が関与している臨床研究はこれらだけではないから,当然ほかの薬についても信頼性を疑ってかかるべきだろう.製薬会社も企業であるから製品を売るために必死なのはわかるが,人の命にかかわる薬で倫理に反するような行為をすればそれ相応のペナルティを払うべきだろう.
最近は,薬を売るには臨床データを示さなければ医師に信じてもらえないからどうしても自社に都合のいいデータが必要になるので,都合のいいデータが作れる大学や医療機関にお金と引き換えにデータ提供の協力を求めることになるわけだ.
データの公平性を求めるために第三者企業に契約でデータの管理や集計を求めるのが最近では一般的だろうが,ノバルティスファーマ社は社員がそういったことに深く関わって自社に都合の良いデータを捏造していたということなのだろう.まったくとんでもない会社だ.
関与した大学関係者もそのようなことを知っていたのかどうかは知らないが,結果的にディオバンを使っていた私も知らずに騙されていたわけだ.もっともディオバンが売れた理由は臨床データのせいだけでなく,薬価と仕入れ値の差額が大きくて病院や薬局の利ざやが大きい事が理由だったのではないかとも考えられる.
もっとも血圧を下げる薬としては切れ味は悪いもののそれなりの効果はあるようだから,あわてて他の薬に換える必要もないが,ノバルティスファーマ社が気に入らないという人は主治医に相談して他の薬に換えてもらえばいいだろう.
最近は,脳梗塞の予防薬である抗血小板薬や抗凝固薬という種類の薬の臨床試験の依頼がよく来るようになった.対象になりそうな患者さんがいると治験を請け負った会社の人から患者さんに試験への参加をお願いするように頼まれる事もある.
病院は治験を請け負った会社と契約した人数分の契約料をもらっているので,患者さんにお願いすることになるのだが,試験に参加すると薬代や検査代が無料になることもあるためか治験薬へ変更してもらえることが多い.だが,治験薬として渡された薬が実薬であればまだ良いが,プラセボだった場合は薬効はないのである.
それがプラセボかどうかは試験をコントロールしている人にしかわからないから,治験に参加したせいかどうかはわからないが,治験中に脳梗塞が再発する人も当然ながらいるのである.それが自分の患者だったことはないのだが,もしそうだったらきっと厭な気分になったのではないかと思う.
臨床試験は薬の効果や投与量を決定するのに必要なものであるが,その陰には結果的に薬が効かなかったり副作用で死亡する人がいるのだ.だから臨床試験のデータを恣意的に操作するなどという事はあってはならないことなのである.たとえ今は関係なくとも血圧の薬や抗がん剤は高齢になれば誰でも投与が必要になる薬である.
食材の産地偽造であれだけ騒ぐのに,薬の臨床試験のデータ捏造には健康な人はあまり関心がないようだが,明日は我が身ということを知っておいたほうがいいのではないだろうか.
大手製薬会社ノバルティスファーマの社員が、会社が販売する白血病の薬の臨床研究に関与していた問題で、ノバルティスが設置した専門家による調査委員会が報告書を公表し、社員の研究への関与は全般にわたり深いとしたうえで、「製薬会社丸抱えの研究と言っても過言ではない」と厳しく批判しました。
この問題は、ノバルティスファーマが販売する白血病の治療薬「タシグナ」の副作用について、東京大学病院などの医療機関が客観的な立場から調べる臨床研究に、ノバルティスの社員が社内のルールなどに違反し関わっていたものです。
ノバルティスは問題を指摘するNHKの報道を受けて、関与を認めたうえで謝罪し、外部の専門家による調査委員会を設置して詳しく調べてきました。
調査委員会が2日公表した報告書によりますと、東大病院を担当する営業社員が中心となり、複数の社員が研究の立案からデータの解析まで研究全般に深く関与していたということです。さらにNHKの取材を知った去年12月には、関係書類を廃棄するなど証拠隠滅をしていたことも明らかになったということです。
こうした背景には、他社とのシェア競争で苦戦していたため、研究を利用して薬の販売を促進する意図があったと指摘しています。
また社員は、営業活動に利用するため医師から受け取った患者のデータを社内で保存しており、個人情報保護法に違反する可能性が高いほか、一部の医療機関では医師の研究を継続的に手伝っており、景品表示法に違反する状態だと指摘しています。
さらに、こうした社員の研究への深い関与について、社内では認める風土があり、上司の営業部長らの監督責任は重いとしています。
調査委員会の委員長を務める原田國男弁護士は「調査を進めるにしたがい、問題行為の範囲や規模は拡大し、その実態はたじろぐほどだった。医師は、製薬会社の支援を期待していたとすら言え、製薬会社丸抱えの臨床研究と言っても言い過ぎではない」と厳しく批判しました。』
『ディオバン検討委 報告書案を提示、ノ社の「組織的関与」と判断( 2014年3月28日)
ノバルティス ファーマのARB「ディオバン」の臨床試験問題を受け、厚生労働省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会(ディオバン検討委)」は27日、ディオバン問題への対応・再発防止策に関する報告書案を提示した。問題となった臨床試験に対する奨学寄付金や労務の提供はノ社の業務の一環だったとし、組織ぐるみで今回の問題に関与したと結論付けた。』
ノバルティスファーマ社が関与している臨床研究はこれらだけではないから,当然ほかの薬についても信頼性を疑ってかかるべきだろう.製薬会社も企業であるから製品を売るために必死なのはわかるが,人の命にかかわる薬で倫理に反するような行為をすればそれ相応のペナルティを払うべきだろう.
最近は,薬を売るには臨床データを示さなければ医師に信じてもらえないからどうしても自社に都合のいいデータが必要になるので,都合のいいデータが作れる大学や医療機関にお金と引き換えにデータ提供の協力を求めることになるわけだ.
データの公平性を求めるために第三者企業に契約でデータの管理や集計を求めるのが最近では一般的だろうが,ノバルティスファーマ社は社員がそういったことに深く関わって自社に都合の良いデータを捏造していたということなのだろう.まったくとんでもない会社だ.
関与した大学関係者もそのようなことを知っていたのかどうかは知らないが,結果的にディオバンを使っていた私も知らずに騙されていたわけだ.もっともディオバンが売れた理由は臨床データのせいだけでなく,薬価と仕入れ値の差額が大きくて病院や薬局の利ざやが大きい事が理由だったのではないかとも考えられる.
もっとも血圧を下げる薬としては切れ味は悪いもののそれなりの効果はあるようだから,あわてて他の薬に換える必要もないが,ノバルティスファーマ社が気に入らないという人は主治医に相談して他の薬に換えてもらえばいいだろう.
最近は,脳梗塞の予防薬である抗血小板薬や抗凝固薬という種類の薬の臨床試験の依頼がよく来るようになった.対象になりそうな患者さんがいると治験を請け負った会社の人から患者さんに試験への参加をお願いするように頼まれる事もある.
病院は治験を請け負った会社と契約した人数分の契約料をもらっているので,患者さんにお願いすることになるのだが,試験に参加すると薬代や検査代が無料になることもあるためか治験薬へ変更してもらえることが多い.だが,治験薬として渡された薬が実薬であればまだ良いが,プラセボだった場合は薬効はないのである.
それがプラセボかどうかは試験をコントロールしている人にしかわからないから,治験に参加したせいかどうかはわからないが,治験中に脳梗塞が再発する人も当然ながらいるのである.それが自分の患者だったことはないのだが,もしそうだったらきっと厭な気分になったのではないかと思う.
臨床試験は薬の効果や投与量を決定するのに必要なものであるが,その陰には結果的に薬が効かなかったり副作用で死亡する人がいるのだ.だから臨床試験のデータを恣意的に操作するなどという事はあってはならないことなのである.たとえ今は関係なくとも血圧の薬や抗がん剤は高齢になれば誰でも投与が必要になる薬である.
食材の産地偽造であれだけ騒ぐのに,薬の臨床試験のデータ捏造には健康な人はあまり関心がないようだが,明日は我が身ということを知っておいたほうがいいのではないだろうか.
サマータイムと心臓発作
2014年3月31日 医療の問題 コメント (3)『サマータイム開始直後の月曜は心臓発作が急増、米研究
サマータイム(夏時間)開始のため時計の針を1時間進めると、直後の月曜に心臓発作が急増するとの研究論文が29日、米国心臓病学会(American College of Cardiology)で発表された。一方、サマータイムが終了して、人々が1時間余分に眠った後の火曜の発作は減少するという。
米成人の30パーセントは睡眠不足
論文によると、サマータイム開始・終了直後の1週間における心臓発作の発生件数に他の週との違いは見られず、件数の変化の傾向は数日も続かないことを示している。
しかし、論文の主著者で米コロラド大学デンバー校(University of Colorado in Denver)研究員のAmneet Sandhu氏(心臓病学)は、救急救命室に運び込まれる患者の急増が予測できれば、医師の事前の準備に役立つと語る。
「私たち人間の体は、睡眠時間がたった1時間少ないだけで非常に敏感に反応する可能性がある。つまり、急に時間が変更された直後は、すでに心臓病にかかりやすくなっている人たちのリスクがさらに高まる可能性があるということだ」
論文は、米ミシガン(Michigan)州の複数の病院のデータベースを基にしている。サマータイム開始直後の月曜の心臓発作の発生件数は、他の月曜よりも8件多く25%の上昇がみられたが、サマータイムが終了して標準時に戻った後の火曜には21%の減少がみられた。
これまでの研究で、月曜はもともと心臓発作が最も起こりやすい曜日ということが分かっている。
しかし、研究チームが4年間の継続した病院データを調査したところ、心臓発作の発生件数は、サマータイム開始前の月曜では平均93件だったのに対し、開始直後の月曜では125件で、34%の増加が見られた。
Sandhu氏は、今後の研究で、このミシガン州の研究結果をサマータイムを実施していないハワイ(Hawaii)州とアリゾナ(Arizona)州の心臓発作の傾向と比較したいと述べている。』
サマータイムは健康に有害でサービス残業を増やすだけだろうから反対であることは以前にも2度ほど書いているが,健康に有害なのは主に睡眠障害と言う視点だった.
今回の話は心臓発作の発生件数との関係ということだが,やはりサマータイムのために起床時間をいつもより1時間早くしなければならないことが一部の人にとっては大変なストレスになるということなのだろう.
幸いサマータイムはわが国には導入されていないが,睡眠のリズムが崩れるとストレスが大きいことは当直で夜中に起こされる度に自覚する事である.心臓発作にならないまでも当直明けに不機嫌になるのも当然のことだろう.
サマータイム(夏時間)開始のため時計の針を1時間進めると、直後の月曜に心臓発作が急増するとの研究論文が29日、米国心臓病学会(American College of Cardiology)で発表された。一方、サマータイムが終了して、人々が1時間余分に眠った後の火曜の発作は減少するという。
米成人の30パーセントは睡眠不足
論文によると、サマータイム開始・終了直後の1週間における心臓発作の発生件数に他の週との違いは見られず、件数の変化の傾向は数日も続かないことを示している。
しかし、論文の主著者で米コロラド大学デンバー校(University of Colorado in Denver)研究員のAmneet Sandhu氏(心臓病学)は、救急救命室に運び込まれる患者の急増が予測できれば、医師の事前の準備に役立つと語る。
「私たち人間の体は、睡眠時間がたった1時間少ないだけで非常に敏感に反応する可能性がある。つまり、急に時間が変更された直後は、すでに心臓病にかかりやすくなっている人たちのリスクがさらに高まる可能性があるということだ」
論文は、米ミシガン(Michigan)州の複数の病院のデータベースを基にしている。サマータイム開始直後の月曜の心臓発作の発生件数は、他の月曜よりも8件多く25%の上昇がみられたが、サマータイムが終了して標準時に戻った後の火曜には21%の減少がみられた。
これまでの研究で、月曜はもともと心臓発作が最も起こりやすい曜日ということが分かっている。
しかし、研究チームが4年間の継続した病院データを調査したところ、心臓発作の発生件数は、サマータイム開始前の月曜では平均93件だったのに対し、開始直後の月曜では125件で、34%の増加が見られた。
Sandhu氏は、今後の研究で、このミシガン州の研究結果をサマータイムを実施していないハワイ(Hawaii)州とアリゾナ(Arizona)州の心臓発作の傾向と比較したいと述べている。』
サマータイムは健康に有害でサービス残業を増やすだけだろうから反対であることは以前にも2度ほど書いているが,健康に有害なのは主に睡眠障害と言う視点だった.
今回の話は心臓発作の発生件数との関係ということだが,やはりサマータイムのために起床時間をいつもより1時間早くしなければならないことが一部の人にとっては大変なストレスになるということなのだろう.
幸いサマータイムはわが国には導入されていないが,睡眠のリズムが崩れるとストレスが大きいことは当直で夜中に起こされる度に自覚する事である.心臓発作にならないまでも当直明けに不機嫌になるのも当然のことだろう.
脳卒中(くも膜下出血)
2014年3月12日 医療の問題 コメント (1)『 沙保里、訃報に泣き崩れ「何で、何で」
レスリング女子で五輪3連覇を達成した吉田沙保里(31)の父で、日本代表コーチの栄勝(えいかつ)さんが11日、くも膜下出血のため急逝した。61歳だった。
吉田沙保里は東京での合宿に向けて日本女子代表の栄和人監督らと一緒に車で移動中に父、栄勝さんの訃報を聞き、泣き崩れたという。レスリング道場に安置された父の亡きがらと対面すると「お父さん、何で、何で」とおえつをもらしたという。報道陣に対応した兄の栄利さんは「沙保里はパニック状態。遺体に付き添っている」と説明した。』
『 三重県警高速隊によると、栄勝さんは11日午前7時15分ごろ、津市小舟の伊勢自動車道上り線の路肩に止まった車内で、ぐったりした様子で倒れているのを、別の車の運転手が発見。病院に運ばれたが、死亡が確認された。死因はくも膜下出血だった。
車の前方に傷があり、追い越し車線脇の中央分離帯に接触後、300メートル先の走行車線左側のガードレールにぶつかり、路肩に停車したとみられる。高速隊は、運転中に発症した栄勝さんが路肩に車を止めようとし、停車後に意識を失ったとみて調べている。
栄勝さんは、都内でのW杯合宿に参加するため午前6時半ごろ、1人で車に乗り自宅を出た。選手と合流するため愛知県大府市の至学館大に向かう途中だったという。』
脳卒中とは脳血管障害で急激に意識障害や運動麻痺をきたすことの総称である.起きている時でも眠っているときでも時間にかかわらず発症するので,もちろん車の運転中に起きる事もある.
運転中にくも膜下出血になり自分で停車できた患者さんは診た事がないが,タクシーの運転手さんが脳出血や脳梗塞になり意識障害になりながらも路肩に車を停めることができて救急車で運ばれてきたり,電柱にぶつかって交通事故ということで運ばれて来たら脳梗塞による視野障害が原因だったなど何例かは経験したことがある.
くも膜下出血でも出血が少量の場合は,自分で病院まで歩いて来る人もいるくらいだが,死亡する程の出血があったのであれば強烈な頭痛があったはずで,よく路肩に停車することが出来たものだと思う.おそらく停車後まもなく心肺停止になったのではないだろうか.
研修医時代に救急車で運ばれて来た頭痛の患者さんに,頭痛発症時の話を聞こうとしたら急に「先生.頭が痛い,痛い.....。」と叫びながら呼吸が停止し意識もなくなった経験がある.その間,おそらく1分くらいだった.だから,脳動脈瘤が破裂して意識がなくなるまでの時間はたぶんそれ位なのではないかと思う.
頭痛は,くも膜下出血に共通した唯一の症状であるが,教科書的には激しく吐き気を伴う頭痛といわれるものの,実際には痛みに対する感じ方は個人差が大きくて,時に歩いてきた人の出血がひどいのに驚く事もあれば,ひどく痛がっているのに頭部CTで見てもよくわからない程の少量のことがある.
脳卒中としてのくも膜下出血の原因は脳動脈瘤であり,現在は脳ドックで未破裂の脳動脈瘤が見つかって開頭クリッピング術や血管内塞栓術で破裂を予防する事ができるようになった.遺伝子との関連もいわれているが,血縁者に脳動脈瘤がある人に見つかる事はそれほど珍しくないので心配な人は脳ドックくらいは受けたほうがいい.
もっとも,脳ドックを受けて小さな脳動脈瘤が見つかってしまったばかりに,すぐに治療すべきか,それとも大きくなるまで経過をみるかで悩む事になることもあるのだが,破裂のリスクについてはUCAS Japanに詳しいのでそれの結果を参考に担当医と相談するのがいいと思う.
http://jns.umin.ac.jp/public/mem_all/UCAS/ucas.html
レスリング女子で五輪3連覇を達成した吉田沙保里(31)の父で、日本代表コーチの栄勝(えいかつ)さんが11日、くも膜下出血のため急逝した。61歳だった。
吉田沙保里は東京での合宿に向けて日本女子代表の栄和人監督らと一緒に車で移動中に父、栄勝さんの訃報を聞き、泣き崩れたという。レスリング道場に安置された父の亡きがらと対面すると「お父さん、何で、何で」とおえつをもらしたという。報道陣に対応した兄の栄利さんは「沙保里はパニック状態。遺体に付き添っている」と説明した。』
『 三重県警高速隊によると、栄勝さんは11日午前7時15分ごろ、津市小舟の伊勢自動車道上り線の路肩に止まった車内で、ぐったりした様子で倒れているのを、別の車の運転手が発見。病院に運ばれたが、死亡が確認された。死因はくも膜下出血だった。
車の前方に傷があり、追い越し車線脇の中央分離帯に接触後、300メートル先の走行車線左側のガードレールにぶつかり、路肩に停車したとみられる。高速隊は、運転中に発症した栄勝さんが路肩に車を止めようとし、停車後に意識を失ったとみて調べている。
栄勝さんは、都内でのW杯合宿に参加するため午前6時半ごろ、1人で車に乗り自宅を出た。選手と合流するため愛知県大府市の至学館大に向かう途中だったという。』
脳卒中とは脳血管障害で急激に意識障害や運動麻痺をきたすことの総称である.起きている時でも眠っているときでも時間にかかわらず発症するので,もちろん車の運転中に起きる事もある.
運転中にくも膜下出血になり自分で停車できた患者さんは診た事がないが,タクシーの運転手さんが脳出血や脳梗塞になり意識障害になりながらも路肩に車を停めることができて救急車で運ばれてきたり,電柱にぶつかって交通事故ということで運ばれて来たら脳梗塞による視野障害が原因だったなど何例かは経験したことがある.
くも膜下出血でも出血が少量の場合は,自分で病院まで歩いて来る人もいるくらいだが,死亡する程の出血があったのであれば強烈な頭痛があったはずで,よく路肩に停車することが出来たものだと思う.おそらく停車後まもなく心肺停止になったのではないだろうか.
研修医時代に救急車で運ばれて来た頭痛の患者さんに,頭痛発症時の話を聞こうとしたら急に「先生.頭が痛い,痛い.....。」と叫びながら呼吸が停止し意識もなくなった経験がある.その間,おそらく1分くらいだった.だから,脳動脈瘤が破裂して意識がなくなるまでの時間はたぶんそれ位なのではないかと思う.
頭痛は,くも膜下出血に共通した唯一の症状であるが,教科書的には激しく吐き気を伴う頭痛といわれるものの,実際には痛みに対する感じ方は個人差が大きくて,時に歩いてきた人の出血がひどいのに驚く事もあれば,ひどく痛がっているのに頭部CTで見てもよくわからない程の少量のことがある.
脳卒中としてのくも膜下出血の原因は脳動脈瘤であり,現在は脳ドックで未破裂の脳動脈瘤が見つかって開頭クリッピング術や血管内塞栓術で破裂を予防する事ができるようになった.遺伝子との関連もいわれているが,血縁者に脳動脈瘤がある人に見つかる事はそれほど珍しくないので心配な人は脳ドックくらいは受けたほうがいい.
もっとも,脳ドックを受けて小さな脳動脈瘤が見つかってしまったばかりに,すぐに治療すべきか,それとも大きくなるまで経過をみるかで悩む事になることもあるのだが,破裂のリスクについてはUCAS Japanに詳しいのでそれの結果を参考に担当医と相談するのがいいと思う.
http://jns.umin.ac.jp/public/mem_all/UCAS/ucas.html
『告発の元教授、国に調査要請 アルツハイマー研究改ざん
アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」の主要メンバーで研究データの改ざんを内部告発していた杉下守弘・元東大教授が3日、実名で記者会見した。データを扱ってきた事務局員が疑惑報道後に証拠資料を持ち出したと指摘。全資料を第三者の管理下にただちに移し、国が主体的に調査するよう求める要請書を研究に予算を出す厚生労働、経済産業、文部科学の3省に送った。
要請書などによると、杉下氏はデータチェックの責任者の一人。作業中に「データ改ざんというべき極めて不適切な問題」を発見し、昨年11月18日に厚労省に告発メールを送った。ところが厚労省は無断で告発対象の研究チームの責任者に転送し、調査しなかった。
さらに朝日新聞が1月10日に改ざん疑惑を報道した後、製薬会社から出向している事務局員が研究責任者の指示で杉下氏が保管していた証拠資料を持ち出したと指摘。この職員は不適切なデータ処理に関与した疑いがあり、疑惑がもみ消される恐れがあると判断して実名での告発に踏み切ったという。
杉下氏は厚労省が研究チーム責任者が所属する東大に調査を任せたことを問題視し、「J―ADNI関係者から完全に独立した第三者」による調査と結果の全面公開を要請。「多額の国家予算が投じられるプロジェクトということで不当なデータ改ざんの問題に目をつぶれば、J―ADNIの科学的価値は失われ、アルツハイマー病患者をはじめ国民に多大な損失をもたらす」と指摘した。
厚労省は告発メールの漏洩(ろうえい)を謝罪する一方、「告発として受け止めると厚労省も調査に入らなければいけなくなる」(田村憲久厚労相)として内部告発として受理せず、東大に調査を依頼。2月中に結果の報告を求めているが、東大は3日現在、調査委員会を設立していない。 』
『アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」で、データ改ざん疑惑が浮上してまもなく1カ月。厚生労働省は東大に調査を丸投げし、疑惑解明に及び腰だ。「動かぬ厚労省」に業を煮やし、昨年11月に内部告発メールを送った研究者がついに実名での記者会見に踏み切った。
「このままいくと隠蔽(いんぺい)される。心配になった」
主要メンバーとして改ざん疑惑を見つけ、告発メールを送った脳血管研究所教授の杉下守弘・元東大教授は3日の会見で、実名を明かして真相究明を訴えるに至った心境をこう語った。
当初は表舞台で訴えるつもりはなかった。だが、厚労省は告発メールを研究責任者の岩坪威東大教授に転送し、杉下氏が告発したことが研究者らの間に知れわたった。さらに岩坪教授が報道関係者や研究者らに向けて杉下氏の人格を批判し、杉下氏が人間関係のもつれから告発に踏み切ったとの見方が厚労省内や学界に広がった。』
コメントを書こうと調べていたら,素晴らしいコメントがすでにあったのでリンクを貼っておきます.
http://www.huffingtonpost.jp/yoshiomi-unno/todai-j-adni_b_4612988.html
内部告発への対応を含め,厚労省の公僕の方々にはもっときちんとした仕事をしてほしいですね.
アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」の主要メンバーで研究データの改ざんを内部告発していた杉下守弘・元東大教授が3日、実名で記者会見した。データを扱ってきた事務局員が疑惑報道後に証拠資料を持ち出したと指摘。全資料を第三者の管理下にただちに移し、国が主体的に調査するよう求める要請書を研究に予算を出す厚生労働、経済産業、文部科学の3省に送った。
要請書などによると、杉下氏はデータチェックの責任者の一人。作業中に「データ改ざんというべき極めて不適切な問題」を発見し、昨年11月18日に厚労省に告発メールを送った。ところが厚労省は無断で告発対象の研究チームの責任者に転送し、調査しなかった。
さらに朝日新聞が1月10日に改ざん疑惑を報道した後、製薬会社から出向している事務局員が研究責任者の指示で杉下氏が保管していた証拠資料を持ち出したと指摘。この職員は不適切なデータ処理に関与した疑いがあり、疑惑がもみ消される恐れがあると判断して実名での告発に踏み切ったという。
杉下氏は厚労省が研究チーム責任者が所属する東大に調査を任せたことを問題視し、「J―ADNI関係者から完全に独立した第三者」による調査と結果の全面公開を要請。「多額の国家予算が投じられるプロジェクトということで不当なデータ改ざんの問題に目をつぶれば、J―ADNIの科学的価値は失われ、アルツハイマー病患者をはじめ国民に多大な損失をもたらす」と指摘した。
厚労省は告発メールの漏洩(ろうえい)を謝罪する一方、「告発として受け止めると厚労省も調査に入らなければいけなくなる」(田村憲久厚労相)として内部告発として受理せず、東大に調査を依頼。2月中に結果の報告を求めているが、東大は3日現在、調査委員会を設立していない。 』
『アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」で、データ改ざん疑惑が浮上してまもなく1カ月。厚生労働省は東大に調査を丸投げし、疑惑解明に及び腰だ。「動かぬ厚労省」に業を煮やし、昨年11月に内部告発メールを送った研究者がついに実名での記者会見に踏み切った。
「このままいくと隠蔽(いんぺい)される。心配になった」
主要メンバーとして改ざん疑惑を見つけ、告発メールを送った脳血管研究所教授の杉下守弘・元東大教授は3日の会見で、実名を明かして真相究明を訴えるに至った心境をこう語った。
当初は表舞台で訴えるつもりはなかった。だが、厚労省は告発メールを研究責任者の岩坪威東大教授に転送し、杉下氏が告発したことが研究者らの間に知れわたった。さらに岩坪教授が報道関係者や研究者らに向けて杉下氏の人格を批判し、杉下氏が人間関係のもつれから告発に踏み切ったとの見方が厚労省内や学界に広がった。』
コメントを書こうと調べていたら,素晴らしいコメントがすでにあったのでリンクを貼っておきます.
http://www.huffingtonpost.jp/yoshiomi-unno/todai-j-adni_b_4612988.html
内部告発への対応を含め,厚労省の公僕の方々にはもっときちんとした仕事をしてほしいですね.
『 酸の刺激だけで万能細胞作製 新型「STAP」 理研が成功
弱酸性の刺激を与えるだけの簡単な方法で、あらゆる細胞に分化できる万能細胞を作製することに理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームがマウスで成功した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)とは異なる新型の万能細胞で、再生医療の研究に役立つと期待される。29日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
体の細胞を万能細胞に作り替えるには、初期化という作業で受精卵の状態に逆戻りさせる必要がある。iPS細胞は遺伝子を使って初期化するが、今回の方法は酸性の溶液に浸すだけで簡単なのが特徴。開発した小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダーらは、全く新しい万能細胞として「刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得(STAP=スタップ)細胞」と命名した。
研究チームは生後1週間以内のマウスの脾臓(ひぞう)から、血液細胞の一種であるリンパ球を採取し、水素イオン指数(pH)5・7の希塩酸溶液に約30分浸して刺激。これを培養すると数日で初期化が始まり、STAP細胞に変わった。
作製したSTAP細胞は、神経や筋肉などの細胞に分化する能力があることを確認。実際に別のマウスの受精卵に注入し、仮親に移植して子を生ませると、STAP細胞は全身に広がり、あらゆる細胞に変わることができる万能性を持っていた。
再生医療への応用研究が進むiPS細胞は遺伝子操作に伴うがん化のリスクがあり、初期化の成功率も0・2%未満と低い。これに対しSTAP細胞は、外的な刺激を与えるだけなのでがん化のリスクが低く、初期化成功率も7~9%。成功率が高いのは生後1週間以内のマウスの細胞を使った場合に限定されることなどが課題だが、研究チームはメカニズムを解明し再生医療への応用を目指す。
STAP(スタップ)細胞 あらゆる細胞に分化する能力がある万能細胞の一種。酸性溶液で体の細胞を刺激して作製する。STAPは「stimulus triggered acquisition of pluripotency」(刺激惹起性多能性獲得)の略。』
他にも再生医療への応用として骨髄幹細胞が脊髄損傷や脳梗塞の治療研究が札幌医科大学で行われている.まだ始まったばかりだが,脳外科医としては外傷や脳梗塞で破壊された神経細胞が再生出来るのは夢のような話だ.大脳皮質では運動機能のリモデリングが行われることが確認されたから,幹細胞が生着して神経細胞に分化すれば正常な神経細胞として機能する可能性は高いだろう.
iPS細胞は遺伝子操作に伴うがん化が問題となっていて人体への応用にはリスクがあると考えられているが,STAP細胞は初期化成功率が高くリンパ球から誘導出来るので,将来的には人間の抹消血のリンパ球でも同様のことができる可能性があるのではないかと思う.もし,そうなればiPS細胞や骨髄幹細胞に比べて、極めて簡単な手順で安全に幹細胞が手に入れられる事になるだろう.
最初はまわりの人も信じてくれず,最初にネイチャーに投稿したときは,「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している.」と酷評されたそうだから,誰も考えもしなかったほど画期的な手法だったのだろう.発見したのは30歳の女性研究者だそうで研究する時間はまだまだあるだろうから,頑張って臨床応用まで進めてもらいたいものだ.
弱酸性の刺激を与えるだけの簡単な方法で、あらゆる細胞に分化できる万能細胞を作製することに理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームがマウスで成功した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)とは異なる新型の万能細胞で、再生医療の研究に役立つと期待される。29日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
体の細胞を万能細胞に作り替えるには、初期化という作業で受精卵の状態に逆戻りさせる必要がある。iPS細胞は遺伝子を使って初期化するが、今回の方法は酸性の溶液に浸すだけで簡単なのが特徴。開発した小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダーらは、全く新しい万能細胞として「刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得(STAP=スタップ)細胞」と命名した。
研究チームは生後1週間以内のマウスの脾臓(ひぞう)から、血液細胞の一種であるリンパ球を採取し、水素イオン指数(pH)5・7の希塩酸溶液に約30分浸して刺激。これを培養すると数日で初期化が始まり、STAP細胞に変わった。
作製したSTAP細胞は、神経や筋肉などの細胞に分化する能力があることを確認。実際に別のマウスの受精卵に注入し、仮親に移植して子を生ませると、STAP細胞は全身に広がり、あらゆる細胞に変わることができる万能性を持っていた。
再生医療への応用研究が進むiPS細胞は遺伝子操作に伴うがん化のリスクがあり、初期化の成功率も0・2%未満と低い。これに対しSTAP細胞は、外的な刺激を与えるだけなのでがん化のリスクが低く、初期化成功率も7~9%。成功率が高いのは生後1週間以内のマウスの細胞を使った場合に限定されることなどが課題だが、研究チームはメカニズムを解明し再生医療への応用を目指す。
STAP(スタップ)細胞 あらゆる細胞に分化する能力がある万能細胞の一種。酸性溶液で体の細胞を刺激して作製する。STAPは「stimulus triggered acquisition of pluripotency」(刺激惹起性多能性獲得)の略。』
他にも再生医療への応用として骨髄幹細胞が脊髄損傷や脳梗塞の治療研究が札幌医科大学で行われている.まだ始まったばかりだが,脳外科医としては外傷や脳梗塞で破壊された神経細胞が再生出来るのは夢のような話だ.大脳皮質では運動機能のリモデリングが行われることが確認されたから,幹細胞が生着して神経細胞に分化すれば正常な神経細胞として機能する可能性は高いだろう.
iPS細胞は遺伝子操作に伴うがん化が問題となっていて人体への応用にはリスクがあると考えられているが,STAP細胞は初期化成功率が高くリンパ球から誘導出来るので,将来的には人間の抹消血のリンパ球でも同様のことができる可能性があるのではないかと思う.もし,そうなればiPS細胞や骨髄幹細胞に比べて、極めて簡単な手順で安全に幹細胞が手に入れられる事になるだろう.
最初はまわりの人も信じてくれず,最初にネイチャーに投稿したときは,「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している.」と酷評されたそうだから,誰も考えもしなかったほど画期的な手法だったのだろう.発見したのは30歳の女性研究者だそうで研究する時間はまだまだあるだろうから,頑張って臨床応用まで進めてもらいたいものだ.
脳震盪(のうしんとう)
2014年1月27日 医療の問題『 脳しんとう:軽視禁物、学会が初のガイドライン
柔道などのスポーツによる青少年の頭部外傷が社会問題化する中で、脳神経外科医らでつくる「日本脳神経外傷学会」(事務局・東京都)が、医療従事者を対象にした初のガイドラインをまとめた。脳しんとうはスポーツの現場で軽く考えられがちだったが、重度の障害につながることもあるため、医師らに画像診断を推奨し、症状が続く時は競技復帰させないよう明記した。
スポーツによる脳へのダメージは重度の障害や死に至るケースが少なくない。激しい接触を伴うボクシングやラグビーなどのほか、2012年度から中学校で武道が必修化され、柔道の危険性もクローズアップされた。
名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)によると、1983年以降、中学・高校で起きた柔道による死亡事故は12年度までに118件、後遺症が残った事故は09年度までに275件に上る。中学校での事故死亡率は10万人当たり2・38人で、他のスポーツに比べ高いという。
柔道では頭を畳に強打しなくても、投げ技で脳が激しく揺さぶられて血管が切れる「加速損傷」で重度の障害を負うことがある。一方で、スポーツが脳に与えるダメージの評価は医師の間でも判断が分かれており、学会は診断の指針を作ることにした。
ガイドラインは、柔道関係者の間で「ありふれた症状」と考えられることもある脳しんとうについて、一時的な意識障害だけでなく、頭痛など幅広い症状を含むものと定義。詳しい状態を確認するため頭部の画像診断を勧めた。
その上で、脳しんとうを起こした人が再びダメージを受けると、急性硬膜下血腫などを起こして重度障害や死亡に至ることがあると注意喚起。症状が続く時は復帰を許可しないことを明記している。
作成に関わった同学会の野地雅人・神奈川県立足柄上病院医師は「医師の診断基準を統一することで、事故の予防につなげたい」と話している。』
脳震盪とは,頭部に物理的な力が加わって脳が揺さぶられる事により頭痛,めまい,吐き気,意識障害などの症状はあるものの,頭部MRIなどの画像で明らかな異常がみとめられない状態をいう.しかし,画像上明らかな異常所見がないから脳に異常がないとは言い切れないし,少し時間が経ってから小さな出血などが見つかり脳震盪ではなく脳挫傷だったということもあるから恐ろしいのである.
あたりまえのことであるが,頭痛,めまいなどの症状が続く場合は安静にして様子をみるべきで,自分の体と相談しながら徐々に日常生活や運動に復帰した方がいいに決まっている.意識障害がある場合などは当然経過観察入院になるが,受傷から時間が経っていて症状が軽い場合は自宅で経過をみてもらうこともあり,それでも症状がある場合はできるかぎり安静にしたほうがいいに決まっている.
よく,「いつから運動できますか?」とか「明日,試合に出られますか?」と聞く大人がいるが,症状があるうちはやめておくようにと言うしかないのである.色々な都合があるのだろうが無理なものは無理なのであり,何と言われようと医学的に考えてダメな物はダメなのであるが,医師がいいと言えばなんとかなるとでも思っているのだろうか.
参考:
『日本脳神経外科学会と日本脳神経外傷学会は12月16日、「スポーツによる脳損傷を予防するための提言」を共同で公表した。スポーツに起因する脳損傷について、国民が知っておくべき5つの必須項目をまとめた内容だ。スポーツで脳震盪を起こすと、急激な脳腫脹や急性硬膜下血腫の危険性があることから、ただちに競技・練習への参加を停止することなどを求めている。
2012年度から中学校で柔道などの武道が必修化されたが、同時に重症頭部外傷事故が社会問題になっている。今回の提言の背景には、「的確な診療を行うには、国民の理解が不可欠」との認識がある。脳震盪は、意識障害を伴うと考えられがちだが、気分不良のみだけの場合もあり、その診断には注意を要するという。「一見、患者は元気に見えるので、誤った対応をしてしまいがちだ。5項目は、脳神経外科医にとっては常識だが、ぜひとも国民に理解してもらいたい」(日本脳神経外傷学会理事長の片山容一氏)。
5項目は、(1)スポーツによる脳震盪は、意識障害や健忘がなく、頭痛や気分不良などだけのこともある、(2)スポーツによる脳震盪の症状は、短時間で消失することが多いが、数週間以上継続することもある、(3)スポーツによる脳震盪は、そのまま競技・練習を続けると、これを何度も繰り返し、急激な脳腫脹や急性硬膜下血腫など、致命的な脳損傷を起こすことがある、(4)そのため、スポーツによる脳震盪を起こしたら、原則として、ただちに競技・練習への参加を停止し、競技・練習への復帰は、脳震盪の症状が完全に消失してから徐々に行う、(5)脳損傷や硬膜下血腫が生じたときには、原則としてコンタクト・スポーツへの競技・練習に復帰すべきではない――だ。ただし、(5)は、「医師は患者ならびに関係者の行動を規制することはできない」との考えから、医学的には復帰すべきではないものの、最終的にはプロスポーツ選手などの復帰については、その競技団体や個人の判断になるというスタンスだという。
今後、脳震盪の症状と定義、画像診断の使い方、競技への復帰などを盛り込んだ、脳神経外科医向けのスポーツ頭部外傷のガイドラインも作成する予定。』
柔道などのスポーツによる青少年の頭部外傷が社会問題化する中で、脳神経外科医らでつくる「日本脳神経外傷学会」(事務局・東京都)が、医療従事者を対象にした初のガイドラインをまとめた。脳しんとうはスポーツの現場で軽く考えられがちだったが、重度の障害につながることもあるため、医師らに画像診断を推奨し、症状が続く時は競技復帰させないよう明記した。
スポーツによる脳へのダメージは重度の障害や死に至るケースが少なくない。激しい接触を伴うボクシングやラグビーなどのほか、2012年度から中学校で武道が必修化され、柔道の危険性もクローズアップされた。
名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)によると、1983年以降、中学・高校で起きた柔道による死亡事故は12年度までに118件、後遺症が残った事故は09年度までに275件に上る。中学校での事故死亡率は10万人当たり2・38人で、他のスポーツに比べ高いという。
柔道では頭を畳に強打しなくても、投げ技で脳が激しく揺さぶられて血管が切れる「加速損傷」で重度の障害を負うことがある。一方で、スポーツが脳に与えるダメージの評価は医師の間でも判断が分かれており、学会は診断の指針を作ることにした。
ガイドラインは、柔道関係者の間で「ありふれた症状」と考えられることもある脳しんとうについて、一時的な意識障害だけでなく、頭痛など幅広い症状を含むものと定義。詳しい状態を確認するため頭部の画像診断を勧めた。
その上で、脳しんとうを起こした人が再びダメージを受けると、急性硬膜下血腫などを起こして重度障害や死亡に至ることがあると注意喚起。症状が続く時は復帰を許可しないことを明記している。
作成に関わった同学会の野地雅人・神奈川県立足柄上病院医師は「医師の診断基準を統一することで、事故の予防につなげたい」と話している。』
脳震盪とは,頭部に物理的な力が加わって脳が揺さぶられる事により頭痛,めまい,吐き気,意識障害などの症状はあるものの,頭部MRIなどの画像で明らかな異常がみとめられない状態をいう.しかし,画像上明らかな異常所見がないから脳に異常がないとは言い切れないし,少し時間が経ってから小さな出血などが見つかり脳震盪ではなく脳挫傷だったということもあるから恐ろしいのである.
あたりまえのことであるが,頭痛,めまいなどの症状が続く場合は安静にして様子をみるべきで,自分の体と相談しながら徐々に日常生活や運動に復帰した方がいいに決まっている.意識障害がある場合などは当然経過観察入院になるが,受傷から時間が経っていて症状が軽い場合は自宅で経過をみてもらうこともあり,それでも症状がある場合はできるかぎり安静にしたほうがいいに決まっている.
よく,「いつから運動できますか?」とか「明日,試合に出られますか?」と聞く大人がいるが,症状があるうちはやめておくようにと言うしかないのである.色々な都合があるのだろうが無理なものは無理なのであり,何と言われようと医学的に考えてダメな物はダメなのであるが,医師がいいと言えばなんとかなるとでも思っているのだろうか.
参考:
『日本脳神経外科学会と日本脳神経外傷学会は12月16日、「スポーツによる脳損傷を予防するための提言」を共同で公表した。スポーツに起因する脳損傷について、国民が知っておくべき5つの必須項目をまとめた内容だ。スポーツで脳震盪を起こすと、急激な脳腫脹や急性硬膜下血腫の危険性があることから、ただちに競技・練習への参加を停止することなどを求めている。
2012年度から中学校で柔道などの武道が必修化されたが、同時に重症頭部外傷事故が社会問題になっている。今回の提言の背景には、「的確な診療を行うには、国民の理解が不可欠」との認識がある。脳震盪は、意識障害を伴うと考えられがちだが、気分不良のみだけの場合もあり、その診断には注意を要するという。「一見、患者は元気に見えるので、誤った対応をしてしまいがちだ。5項目は、脳神経外科医にとっては常識だが、ぜひとも国民に理解してもらいたい」(日本脳神経外傷学会理事長の片山容一氏)。
5項目は、(1)スポーツによる脳震盪は、意識障害や健忘がなく、頭痛や気分不良などだけのこともある、(2)スポーツによる脳震盪の症状は、短時間で消失することが多いが、数週間以上継続することもある、(3)スポーツによる脳震盪は、そのまま競技・練習を続けると、これを何度も繰り返し、急激な脳腫脹や急性硬膜下血腫など、致命的な脳損傷を起こすことがある、(4)そのため、スポーツによる脳震盪を起こしたら、原則として、ただちに競技・練習への参加を停止し、競技・練習への復帰は、脳震盪の症状が完全に消失してから徐々に行う、(5)脳損傷や硬膜下血腫が生じたときには、原則としてコンタクト・スポーツへの競技・練習に復帰すべきではない――だ。ただし、(5)は、「医師は患者ならびに関係者の行動を規制することはできない」との考えから、医学的には復帰すべきではないものの、最終的にはプロスポーツ選手などの復帰については、その競技団体や個人の判断になるというスタンスだという。
今後、脳震盪の症状と定義、画像診断の使い方、競技への復帰などを盛り込んだ、脳神経外科医向けのスポーツ頭部外傷のガイドラインも作成する予定。』
『HIV感染血液 数人に輸血…「空白期間」に献血か?
エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が日赤の安全検査をすり抜け、患者数人に輸血されていたことが25日、関係者への取材で分かった。厚生労働省と日赤が輸血を受けた患者の感染の有無を調べている。
2003年に発覚した輸血によるHIV感染事例を受け、日赤が安全対策を強化して以降、感染者の血液が患者に輸血されたのは初めて。厚労省は26日に血液事業部会運営委員会を開き、対応を協議する。感染初期にはウイルス量が少なく、検査をしても感染が分からない「空白期間」がありこれがすり抜けの原因となった可能性が高い。』
2003年ということはもう10年前の話だが,その時も「空白期間」が話題になっていた気がする.私も外科医であるので手術の際には必ず輸血を準備するのだが,最近は使わない事のほうが多いので輸血の準備量を最低限にしている.
輸血は返品出来ないので使わなかった場合は,病院の不良在庫になるわけで大病院なら他に輸血が必要な人がいればそちらで消費してもらえるが,そうでない場合はもったいないが破棄するしかないものだ.
輸血の可能性のある患者さんには,必ず血液製剤使用の同意書をもらうことになっているのでその際に肝炎やエイズウィルスなどの感染症のリスクの話は必ずするが,頻度は少ないとはいえ考えうることも考えもしないことも起こりうるのが医療の現場である.
最近は,医療事故の話題も一時に比べればずいぶん減ったような気がするが,注意してみればほとんどは可能性として考えられることのように思われる.しかし,それを確実に避ける事ができるかと言えば,100%というのは不可能なことだろう.
私もベテランと呼ばれるようになってずいぶん経つしそれなりの症例数もこなしてきたが,未だに経験していなかったような事態に突然巻き込まれて今日はひどい一日だったというようなことも1年に何回かはあるのだから,たとえ考えていてもいつ起きるわからないことを完全に避けるのは不可能だ.
だが,全ての可能性にあらかじめ対処する事が出来ないとしても不安や恐れを抱いていては前に進むことが出来ない.だから今出来る事にベストを尽くすしかない.それを勇気というのかどうか私は知らない.自分の前にある道を進む事しかできないから,せめて立ち止まったり後戻りして自分に残された時間を無駄にしないようにするだけなのだ.
エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が日赤の安全検査をすり抜け、患者数人に輸血されていたことが25日、関係者への取材で分かった。厚生労働省と日赤が輸血を受けた患者の感染の有無を調べている。
2003年に発覚した輸血によるHIV感染事例を受け、日赤が安全対策を強化して以降、感染者の血液が患者に輸血されたのは初めて。厚労省は26日に血液事業部会運営委員会を開き、対応を協議する。感染初期にはウイルス量が少なく、検査をしても感染が分からない「空白期間」がありこれがすり抜けの原因となった可能性が高い。』
2003年ということはもう10年前の話だが,その時も「空白期間」が話題になっていた気がする.私も外科医であるので手術の際には必ず輸血を準備するのだが,最近は使わない事のほうが多いので輸血の準備量を最低限にしている.
輸血は返品出来ないので使わなかった場合は,病院の不良在庫になるわけで大病院なら他に輸血が必要な人がいればそちらで消費してもらえるが,そうでない場合はもったいないが破棄するしかないものだ.
輸血の可能性のある患者さんには,必ず血液製剤使用の同意書をもらうことになっているのでその際に肝炎やエイズウィルスなどの感染症のリスクの話は必ずするが,頻度は少ないとはいえ考えうることも考えもしないことも起こりうるのが医療の現場である.
最近は,医療事故の話題も一時に比べればずいぶん減ったような気がするが,注意してみればほとんどは可能性として考えられることのように思われる.しかし,それを確実に避ける事ができるかと言えば,100%というのは不可能なことだろう.
私もベテランと呼ばれるようになってずいぶん経つしそれなりの症例数もこなしてきたが,未だに経験していなかったような事態に突然巻き込まれて今日はひどい一日だったというようなことも1年に何回かはあるのだから,たとえ考えていてもいつ起きるわからないことを完全に避けるのは不可能だ.
だが,全ての可能性にあらかじめ対処する事が出来ないとしても不安や恐れを抱いていては前に進むことが出来ない.だから今出来る事にベストを尽くすしかない.それを勇気というのかどうか私は知らない.自分の前にある道を進む事しかできないから,せめて立ち止まったり後戻りして自分に残された時間を無駄にしないようにするだけなのだ.
『当直の割増賃金支払い命令 県立奈良病院
県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、当直勤務時の割増賃金の未払い分を県に求めた訴訟の判決で、奈良地裁は24日、計約1900万円の支払いを命じた。
県は当直中に業務をした時間に限り、2万円の手当に加え割増賃金を支払っていたが、牧賢二(まき・けんじ)裁判長は「当直勤務に従事していた時間全てが労働時間に当たる」と判断、未払い分に加え約900万円の付加金(制裁金)の支払いも命じた。
県によると、同様に手当と業務時のみの割増賃金を支払っているのは39都道府県立病院にのぼり、大阪など4府県は当直手当だけを払っている。
2人は今回の訴訟より前に「当直は割り増しの対象となる時間外労働だ」として、今回請求より前の分について提訴し、奈良地裁が支払いを命令し、確定している。
県は前回の提訴後、業務をした時間だけ割増賃金を支払うよう制度を変更。「業務時間外は割増賃金を支払う必要のない『断続的労働』だ」と主張していたが、判決は「何も作業をしていなかった時間も県の指揮下に置かれた労働時間に当たる」と指摘した。
判決によると、2人は正規の勤務時間外に当たる当直勤務を、それぞれ年1200時間以上こなしていた。
県は「判決を詳細に検討のうえ対応したい」とコメントした。』
「何も作業をしていなかった時間も県の指揮下に置かれた労働時間に当たる」というのは今までの医療業界にとっては画期的な判断である.実際,24時間救急指定の病院で患者を受け入れていると食事の時間も睡眠時間もコンビニ受診の患者のおかげでままならないわけで,日中の通常勤務よりも考えようによっては過酷な労働条件だ.
にもかかわらず,厚生労働省の言うところの入院患者が緊急事態にならない限りは寝ているだけの「当直業務」と同じ賃金というのは当直医にしてみれば明らかにおかしな話だ.だから,当直業務は最もやりたくない仕事なのである.それでも,本当に救急患者であればまだしもだが,夜中にコンビニ受診の患者の相手をさせられた挙げ句に翌日も通常業務に就かなければならないのだから厭になるのである.
寝当直なら現状でもいいかもしれないが,24時間救急指定の病院では拘束時間分の賃金を通常勤務に準じたもしくは夜間割り増しで支払うとともに,翌日は休日もしくは半日勤務を厚生労働省が病院に義務づけるべきではないだろうか,そういったことをちゃんとやりもせずに24時間患者を受け入れて日中と同水準で治療しろと言うのはあまりに虫のよすぎる話だろう.
県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、当直勤務時の割増賃金の未払い分を県に求めた訴訟の判決で、奈良地裁は24日、計約1900万円の支払いを命じた。
県は当直中に業務をした時間に限り、2万円の手当に加え割増賃金を支払っていたが、牧賢二(まき・けんじ)裁判長は「当直勤務に従事していた時間全てが労働時間に当たる」と判断、未払い分に加え約900万円の付加金(制裁金)の支払いも命じた。
県によると、同様に手当と業務時のみの割増賃金を支払っているのは39都道府県立病院にのぼり、大阪など4府県は当直手当だけを払っている。
2人は今回の訴訟より前に「当直は割り増しの対象となる時間外労働だ」として、今回請求より前の分について提訴し、奈良地裁が支払いを命令し、確定している。
県は前回の提訴後、業務をした時間だけ割増賃金を支払うよう制度を変更。「業務時間外は割増賃金を支払う必要のない『断続的労働』だ」と主張していたが、判決は「何も作業をしていなかった時間も県の指揮下に置かれた労働時間に当たる」と指摘した。
判決によると、2人は正規の勤務時間外に当たる当直勤務を、それぞれ年1200時間以上こなしていた。
県は「判決を詳細に検討のうえ対応したい」とコメントした。』
「何も作業をしていなかった時間も県の指揮下に置かれた労働時間に当たる」というのは今までの医療業界にとっては画期的な判断である.実際,24時間救急指定の病院で患者を受け入れていると食事の時間も睡眠時間もコンビニ受診の患者のおかげでままならないわけで,日中の通常勤務よりも考えようによっては過酷な労働条件だ.
にもかかわらず,厚生労働省の言うところの入院患者が緊急事態にならない限りは寝ているだけの「当直業務」と同じ賃金というのは当直医にしてみれば明らかにおかしな話だ.だから,当直業務は最もやりたくない仕事なのである.それでも,本当に救急患者であればまだしもだが,夜中にコンビニ受診の患者の相手をさせられた挙げ句に翌日も通常業務に就かなければならないのだから厭になるのである.
寝当直なら現状でもいいかもしれないが,24時間救急指定の病院では拘束時間分の賃金を通常勤務に準じたもしくは夜間割り増しで支払うとともに,翌日は休日もしくは半日勤務を厚生労働省が病院に義務づけるべきではないだろうか,そういったことをちゃんとやりもせずに24時間患者を受け入れて日中と同水準で治療しろと言うのはあまりに虫のよすぎる話だろう.
謝ってすまされるのか?
2013年9月6日 医療の問題『慈恵医大論文、英医学誌も撤回 降圧剤研究で
英医学誌ランセットは6日、降圧剤ディオバンを使って東京慈恵医大のチームが行った臨床研究の論文の撤回を決めたと発表した。論文は2007年4月に掲載されたが、今年7月、大学の調査で血圧データの操作が判明したことなどから「研究の信頼性を疑うのに十分だ」と判断した。
また、この薬を販売する製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の元社員が統計解析担当者として研究に参加した上、同社の所属を示さずに非常勤講師だった大阪市立大の所属として論文に登場した点も撤回の判断材料とした。
論文は、ディオバンが他の薬に比べ脳卒中や狭心症などの発症を大きく減らせるとの結果を報告した。』
『降圧剤論文撤回でノバルティス社が謝罪- 引用プロモーションで
製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「ディオバン」(一般名バルサルタン)をめぐる医師主導臨床研究のデータ操作問題で、ノバルティス社は6日、英医学誌ランセットが東京慈恵会医科大の論文を撤回したことを受け、この論文を引用してプロモーションを行ったことについて、「非常に重く受け止め、心よりお詫びします」とのコメントを発表した。
同社は、「日本の医師主導臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態を生じさせたことを深く反省します」として、患者やその家族、医療従事者らに謝罪した。
また、慈恵医科大も同日、「この事実を真摯に受け止め、透明性・公正性・中立性の高い臨床研究の実現、信頼の回復に努めます」とのコメントを出した。
この論文をめぐっては、慈恵医科大の委員会が今年7月、「論文中の患者の血圧値データは、何者かによってデータが人為的に操作されていると考えられる」との調査結果を発表していた。』
ディオバンの脳卒中や狭心症を予防するという話を信じて処方されていたのに,脳卒中や狭心症を発症した患者さんは,他の薬を服用していれば予防出来たかもしれないのだから,ノバルティス社に治療費と慰謝料の一部を負担してもらってもいいのではないのだろうか.
慈恵医大の治験担当教室とノバルティス社は何らかの公的ペナルティを当然課せられるべきだろう.私としてはノバルティス社のMRには当分会うこともないだろう.こういうデータの捏造は人の命にかかわることなので厳しく罰するべきだと思うが,厚生労働省はどういう処分を下すのか,あるいは下さないのか注目する必要があるだろう.
英医学誌ランセットは6日、降圧剤ディオバンを使って東京慈恵医大のチームが行った臨床研究の論文の撤回を決めたと発表した。論文は2007年4月に掲載されたが、今年7月、大学の調査で血圧データの操作が判明したことなどから「研究の信頼性を疑うのに十分だ」と判断した。
また、この薬を販売する製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の元社員が統計解析担当者として研究に参加した上、同社の所属を示さずに非常勤講師だった大阪市立大の所属として論文に登場した点も撤回の判断材料とした。
論文は、ディオバンが他の薬に比べ脳卒中や狭心症などの発症を大きく減らせるとの結果を報告した。』
『降圧剤論文撤回でノバルティス社が謝罪- 引用プロモーションで
製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「ディオバン」(一般名バルサルタン)をめぐる医師主導臨床研究のデータ操作問題で、ノバルティス社は6日、英医学誌ランセットが東京慈恵会医科大の論文を撤回したことを受け、この論文を引用してプロモーションを行ったことについて、「非常に重く受け止め、心よりお詫びします」とのコメントを発表した。
同社は、「日本の医師主導臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態を生じさせたことを深く反省します」として、患者やその家族、医療従事者らに謝罪した。
また、慈恵医科大も同日、「この事実を真摯に受け止め、透明性・公正性・中立性の高い臨床研究の実現、信頼の回復に努めます」とのコメントを出した。
この論文をめぐっては、慈恵医科大の委員会が今年7月、「論文中の患者の血圧値データは、何者かによってデータが人為的に操作されていると考えられる」との調査結果を発表していた。』
ディオバンの脳卒中や狭心症を予防するという話を信じて処方されていたのに,脳卒中や狭心症を発症した患者さんは,他の薬を服用していれば予防出来たかもしれないのだから,ノバルティス社に治療費と慰謝料の一部を負担してもらってもいいのではないのだろうか.
慈恵医大の治験担当教室とノバルティス社は何らかの公的ペナルティを当然課せられるべきだろう.私としてはノバルティス社のMRには当分会うこともないだろう.こういうデータの捏造は人の命にかかわることなので厳しく罰するべきだと思うが,厚生労働省はどういう処分を下すのか,あるいは下さないのか注目する必要があるだろう.
ある日、救急隊から患者の搬入依頼があった.家族の話では午前中から元気がなく反応が低下して、午後には会話がかみ合わなくなったそうだが,夜中になり救急車を呼んで,以前に脳卒中になったことがあるから脳外科の病院に運ぶようにと救急隊員に注文したそうだ.
救急隊員の状況説明を聞いたところでは,認知症か代謝性脳症のようだった.救急隊員も私のところに依頼するのに困惑しているようだったので,快く受けてあげたが,家族が行き先まで指定できるとなると救急車はまさに無料の介護タクシーだろう.
5〜6分後に患者が搬入されてきた.診たところJCS3の見当識障害はあるようだが手足の明らかな麻痺はなさそうだった.糖尿病の既往はあるようだが低血糖はなかった.MRI検査で脳卒中ではなかったが,意識障害はたしかにあるので家族に説明し入院することになった.
入院時の指示を書こうと救急隊が持ってきた搬入依頼書をもう一度確認したところで既往歴の最後にC型肝炎と書かれていることに気付いたので,看護師に入院時検査に血中アンモニア濃度の測定を付け加えてもらった.
3時間半後に検査結果が出たと電話がかかってきた.血中アンモニア濃度は300以上あった.早速,点滴を特殊組成アミノ酸製剤に変更するために病棟へ行った。時刻は午前5時30分だった.
救急隊員の状況説明を聞いたところでは,認知症か代謝性脳症のようだった.救急隊員も私のところに依頼するのに困惑しているようだったので,快く受けてあげたが,家族が行き先まで指定できるとなると救急車はまさに無料の介護タクシーだろう.
5〜6分後に患者が搬入されてきた.診たところJCS3の見当識障害はあるようだが手足の明らかな麻痺はなさそうだった.糖尿病の既往はあるようだが低血糖はなかった.MRI検査で脳卒中ではなかったが,意識障害はたしかにあるので家族に説明し入院することになった.
入院時の指示を書こうと救急隊が持ってきた搬入依頼書をもう一度確認したところで既往歴の最後にC型肝炎と書かれていることに気付いたので,看護師に入院時検査に血中アンモニア濃度の測定を付け加えてもらった.
3時間半後に検査結果が出たと電話がかかってきた.血中アンモニア濃度は300以上あった.早速,点滴を特殊組成アミノ酸製剤に変更するために病棟へ行った。時刻は午前5時30分だった.
危険のないものは解禁しよう
2013年6月3日 医療の問題 コメント (1)『市販薬99%超解禁 政府方針
政府は2日、一般用医薬品のインターネット販売に関し、現在禁じている抗アレルギー剤や一部胃腸薬などの第1類と一部解熱鎮痛薬などの第2類のうち、副作用リスクが最も高いとされる第1類の一部を除く薬について認める方向で最終調整に入った。全面解禁は見送るものの、市販の一般用医薬品約1万1400品目の99%超に当たる。安倍晋三首相が5日に東京都内で成長戦略に関して行う講演で表明することを目指し、近く田村憲久厚生労働相や稲田朋美行政改革担当相ら関係4閣僚が協議する。
市販薬は副作用リスクの高い順に▽第1類(約100品目)▽第2類(約8300品目)▽ビタミン剤などの第3類(約3000品目)--に分類されている。厚労省は1、2類について「薬剤師などによる対面販売が不可欠」としてネット販売を認めてこなかったが、規制を違法とした1月の最高裁判決や、政府の規制改革会議などの要請を受け、政府・与党で見直しを検討。最も品目が多い第2類は全て解禁し、第1類についても、かつては医師の判断でしか使用できなかった市販薬(スイッチOTC薬)をリスクごとに分類、特に危険度の高いものを除き、解禁する方向だ。
医薬品のネット販売を巡っては、慎重派と解禁派の対立が解けず、厚労省の有識者会議は5月31日、両論併記の報告書をまとめている。自民党内では7月に参院選を控え、慎重派の日本薬剤師連盟や日本医師連盟の反発を押し切ることには慎重な意見が強い一方、規制改革を担当する稲田氏らは全面解禁に積極的。こうした情勢を踏まえ、高リスクの第1類の一部はネット販売の規制を続ける半面、大半の市販薬については認める方向となった。』
ほとんどの市販薬は薬局で薬剤師さんの話を聞こうが聞くまいが副作用の出るものは出るのだから,そこさえ買う人が理解出来るなら解禁するのがいいだろう.
私に言わせれば,病院で医師が処方する薬でさえも一定の観察期間が過ぎれば,服薬の量さえ間違えなければ副作用なんて滅多に出ないのだから,処方箋を1年間有効にしてあとは薬局の薬剤師が服薬管理だけをするくらいでもいいのではないかと思う.
そうすれば,薬をもらうだけに通院している患者さんにとっては利便性が高くなり,私もほんとうに診察や検査が必要な人以外は診なくてもよくなるから大助かりだ.
さらに踏み込んで言えば,頭が心配だからMRIを撮ってくれなどと言って来る人に対しても,MRI検査だけを専門にやってくれる院外検査センターなんかがあれば外来が検査待ちで混み合う事もなくなっていいだろう.病院で本当に診察が必要な人と暇だから検査に来るような人が同じ扱いで外来で待つというのは変だし,本人の希望で撮るMRIに健康保険を使うのも変ではないだろうか.
それじゃあ病院がいらなくなるのではなどと思う人がいるかもしれないが,検査センターで撮ったMRIを持って病院に持って来てもらい専門医がその画像を見て異常の有無を説明すればいいのである.つまり,検査と画像診断を分けて診断は病院で医師がすればいいのである.
結局,こういうことを解禁しようとすればそれぞれの利権がからんでくるので慎重論を唱えて阻止しようとする人が出て来るわけであるが,副作用のほとんどない薬も放射線の被爆のないMRIも危険は極めて少ないのだからどちらも一般の人が自由に利用出来るようにすればいいだけの話ではないだろうか.
もちろん,副作用の危険が高い薬やレントゲンやCTや造影剤を使うような検査は病院でのみ扱えるようにしてそれなりのコストをかければいいのである.そうすれば医療費の無駄も抑えられて国民全体のためになるだろう.いいかげん厚生労働省の役人達も自分たちの利権ばかりにしがみつくのを止めるべきではないだろうか.
政府は2日、一般用医薬品のインターネット販売に関し、現在禁じている抗アレルギー剤や一部胃腸薬などの第1類と一部解熱鎮痛薬などの第2類のうち、副作用リスクが最も高いとされる第1類の一部を除く薬について認める方向で最終調整に入った。全面解禁は見送るものの、市販の一般用医薬品約1万1400品目の99%超に当たる。安倍晋三首相が5日に東京都内で成長戦略に関して行う講演で表明することを目指し、近く田村憲久厚生労働相や稲田朋美行政改革担当相ら関係4閣僚が協議する。
市販薬は副作用リスクの高い順に▽第1類(約100品目)▽第2類(約8300品目)▽ビタミン剤などの第3類(約3000品目)--に分類されている。厚労省は1、2類について「薬剤師などによる対面販売が不可欠」としてネット販売を認めてこなかったが、規制を違法とした1月の最高裁判決や、政府の規制改革会議などの要請を受け、政府・与党で見直しを検討。最も品目が多い第2類は全て解禁し、第1類についても、かつては医師の判断でしか使用できなかった市販薬(スイッチOTC薬)をリスクごとに分類、特に危険度の高いものを除き、解禁する方向だ。
医薬品のネット販売を巡っては、慎重派と解禁派の対立が解けず、厚労省の有識者会議は5月31日、両論併記の報告書をまとめている。自民党内では7月に参院選を控え、慎重派の日本薬剤師連盟や日本医師連盟の反発を押し切ることには慎重な意見が強い一方、規制改革を担当する稲田氏らは全面解禁に積極的。こうした情勢を踏まえ、高リスクの第1類の一部はネット販売の規制を続ける半面、大半の市販薬については認める方向となった。』
ほとんどの市販薬は薬局で薬剤師さんの話を聞こうが聞くまいが副作用の出るものは出るのだから,そこさえ買う人が理解出来るなら解禁するのがいいだろう.
私に言わせれば,病院で医師が処方する薬でさえも一定の観察期間が過ぎれば,服薬の量さえ間違えなければ副作用なんて滅多に出ないのだから,処方箋を1年間有効にしてあとは薬局の薬剤師が服薬管理だけをするくらいでもいいのではないかと思う.
そうすれば,薬をもらうだけに通院している患者さんにとっては利便性が高くなり,私もほんとうに診察や検査が必要な人以外は診なくてもよくなるから大助かりだ.
さらに踏み込んで言えば,頭が心配だからMRIを撮ってくれなどと言って来る人に対しても,MRI検査だけを専門にやってくれる院外検査センターなんかがあれば外来が検査待ちで混み合う事もなくなっていいだろう.病院で本当に診察が必要な人と暇だから検査に来るような人が同じ扱いで外来で待つというのは変だし,本人の希望で撮るMRIに健康保険を使うのも変ではないだろうか.
それじゃあ病院がいらなくなるのではなどと思う人がいるかもしれないが,検査センターで撮ったMRIを持って病院に持って来てもらい専門医がその画像を見て異常の有無を説明すればいいのである.つまり,検査と画像診断を分けて診断は病院で医師がすればいいのである.
結局,こういうことを解禁しようとすればそれぞれの利権がからんでくるので慎重論を唱えて阻止しようとする人が出て来るわけであるが,副作用のほとんどない薬も放射線の被爆のないMRIも危険は極めて少ないのだからどちらも一般の人が自由に利用出来るようにすればいいだけの話ではないだろうか.
もちろん,副作用の危険が高い薬やレントゲンやCTや造影剤を使うような検査は病院でのみ扱えるようにしてそれなりのコストをかければいいのである.そうすれば医療費の無駄も抑えられて国民全体のためになるだろう.いいかげん厚生労働省の役人達も自分たちの利権ばかりにしがみつくのを止めるべきではないだろうか.