論外

2005年2月18日 社会の問題
『--たばこの煙好きな人も 禁煙化要望にJR西社長--
 日本循環器学会などが要望している新幹線車内などのたばこ対策強化に対し、JR西日本の垣内剛(かきうち・たけし)社長は17日の記者会見で「もうもうとした煙がいいという人もいる」と述べ、全面禁煙化に消極的な考えを示した。
 垣内社長は「喫煙者への配慮もある」とした上で、駅の分煙化についても「喫煙を認めているところはホームの端にあり、近寄らなければ影響を受けない」と話した。垣内社長自身はたばこを吸わない。
 同学会などでつくる「禁煙指導ガイドライン委員会」は、新幹線の禁煙車両や駅ホームの喫煙場所周辺で、たばこの煙の濃度が、厚生労働省が定めた受動喫煙防止の基準より高いとして、JR各社に対策を要望している。』

 たばこの煙が好きな人はいても構わないが,受動喫煙で病気になりたい人はいないだろう.喫煙が社会に悪影響を与える以上,公共の場では当然制限されるべきである.私は喫煙も飲酒も基本的に個人の自由であるとは思うが,喫煙も飲酒も公共の場で許されるものではないと考える.

 未成年者や女性の喫煙が最近問題になっているのだが,人前で喫煙する人が当然のように扱われるのでは喫煙の害を唱えても無駄であろう.日頃よくみる光景が悪いことだといわれても感覚が麻痺してわからないだろう.そういう意味では教育者や医師が児童や患者のいる近くで喫煙してけむりや煙草の匂いをまきちらすのもプロとしては失格だろう.

 喫煙は直接的に他人に害を与える点で飲酒よりはるかに性質がわるいということをなぜわからないのだろうか.人間は音と匂いを避けることは不可能に近い.だから騒音と同じようにたばこの煙も公共の場では規制されるのが当然だろう.

「禁煙指導ガイドライン委員会」は、新幹線の禁煙車両や駅ホームの喫煙場所周辺で、たばこの煙の濃度が、厚生労働省が定めた受動喫煙防止の基準より高いと指摘しているのであって煙の好き嫌いの話をしているのではない.JR西日本の垣内剛(かきうち・たけし)社長は指摘の意味が理解不能なのであろうか.それなら新幹線の騒音が基準を超えても「新幹線の走る音が好きな人もいる」とでも言うのだろうか.

 JR西日本の垣内剛(かきうち・たけし)社長の発言の真意はわからないが,これは好き嫌いの問題ではなく善悪の問題だろう.迷惑する人がいるのにそれを好む人がいるから規制しないというのでは話にならない.JRという公共性の強い会社のトップにしてはあまりに不用意で不適切な発言で,その公共意識の低さはまさに論外である.

 
『--母親に執行猶予つき判決 ALS呼吸器停止事件--
 人工呼吸器を止め、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で療養中の長男(当時40)を死なせたとして、殺人罪に問われた神奈川県相模原市宮下本町1丁目、菅野初子被告(60)に対して、横浜地裁は14日、殺人罪よりも法定刑の軽い嘱託殺人罪の成立を認め、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。被告・弁護側は「息子の承諾のうえだった」と主張していた。
 小倉正三裁判長は「同じ難病に苦しみながら闘病生活を送っている患者や家族に与えた衝撃は大きいが、生活のすべてを息子に捧げ、献身的に介護に専念してきた」と述べた。
 刑法で殺人罪の法定刑は「死刑か無期もしくは3年以上の懲役」と定められているが、その人の嘱託や同意を受けて殺した場合は「6カ月以上7年以下の懲役または禁固」とされている。
 弁護側は昨年11月からの公判で、幸男さんが呼吸器装着を後悔しており、昨年春に眼球の動きが低下してパソコンが使用できなくなってからは「死にたい。呼吸器を外してほしい」と繰り返し訴えていた、と指摘。
 菅野被告が事件当日の夕方、「今日、お母さんと逝こう」と語り掛けると、五十音が並んだ文字盤を眼球で追って「おふくろ、ごめん。ありがとう」と応じたので、菅野被告は幸男さんが呼吸器停止を承諾していると考えた、と訴えていた。
 これに対して検察側は「幸男さんは意思表示能力が極度に減退しており、被告は幸男さんとほとんど意思疎通できなかった」と指摘。幸男さんが「おふくろ、ごめん。ありがとう」と答えたとしても、謝罪と感謝の言葉にも受け取れるので、真意の承諾とは評価できない、と主張していた。
 判決によると、菅野被告は昨年8月26日、長男幸男さんに睡眠薬を飲ませたうえ、同日午後11時59分ごろ、呼吸器の酸素供給を停止させ、幸男さんを窒息で死なせた。菅野被告も自殺を図ったが、夫に発見されて、一命を取り留めた。』

 日々,寝たきりで意識もない患者さんたちを診させてもらっているが.手足がすっかり拘縮してミイラのようになってしまった姿をみるにつけ元気だった頃はどんな方だったのだろうと思う.だが,変わり果てたその姿からは想像することさえ難しい.

 自分の家族や自分がその様な状態になるとしたら私はやっぱり尊厳死を選ぶだろうと思う.自分の家族や自分の姿が元気だったころの家族との思い出から乖離していってしまうことには耐えられない.

 またALSに限らず意識はしっかりしていても言葉を出せず,手も足も動かせず,目で合図することしかできない状態になる脳梗塞の一種もある.閉じこめ症候群といわれるものである.かなり昔の映画でピラミッドという映画があった.拷問に使う人型の拘束具に閉じこめられた悪者の眼だけが画面にアップになる場面があった.ちょうど身動きできないまま死の恐怖に怯えるところが恐かったので記憶に残っているのだが,まさに自分の体に閉じこめられる気分になるだろう.

 介護してもらえるとはいえ,いつ死ぬかもわからず自分ではどうすることもできないというのでは死んだほうがましという気分になってもおかしくないだろう.問題は自殺する自由も与えられないということだろう.

 わが国では尊厳死が認められていない.だからこのような家族に頼んで楽にしてもらうなどという悲劇が起こるのだろう.医学は基本的に患者を延命させるという使命があるのはわかるが,患者の苦痛をなくすという視点で考えれば尊厳死もみとめてあげなければならないような気がする.
『--中学生が運転、1人死亡4人重軽傷 静岡--
 6日午前3時25分ごろ、静岡県富士宮市城北町の県道交差点で、同市内の中学2年生の少年(14)が運転する乗用車と、同市朝日町の自営業、植松芳幸さん(35)の乗用車が出合い頭に衝突した。少年の車の助手席に乗っていた同市東町の会社員、田村直也さん(19)が胸を強く打ち間もなく死亡、運転していた少年と同乗の中学生の男女と植松さんの計4人が重軽傷を負った。
 県警富士宮署の調べでは、現場は信号機のある見通しのいい片側1車線。車は少年の家族の所有で「遊びに行くため勝手に車を持ち出した」と話しているという。同署で事故原因を調べている。』

『--8人ひき逃げ、4人死亡で容疑者逮捕--
千葉県松尾町の県道で5日夜、同窓会の会場を出た男女8人が軽乗用車にはねられ、4人が死亡した事件で、千葉県警は6日、成東署に自首した同県成東町上横地、建設作業員田中佳志(よしゆき)容疑者(31)を業務上過失致死傷と道交法違反(ひき逃げなど)の疑いで緊急逮捕した。田中容疑者は昨年12月7日、速度超過などの交通違反で免停処分を受け、無免許状態だった。県警は危険運転致死傷容疑の立件も検討する。
 田中容疑者は「車を何かにぶつけたが、人かどうかわからなかった。怖くて逃げた」「酒を飲んでいた」「時速70キロくらい出ていた」などと供述しているという。現場の制限速度は40キロだった。
 5日の行動については「知人の四十九日の供養をした後、コンビニエンスストアで買った日本酒を九十九里海岸で1人で飲んでいた。そのまま軽乗用車を運転した」などと話している。軽乗用車は妻の名義だった。
 田中容疑者は6日午前5時ごろ、「車を何かにぶつけたかもしれない」と成東署に電話し、知人に伴われて自首。現場に散乱していた部品と車種が一致した。 』

 無免許運転あるいは免停中の事故が偶然続いたようだ.だが,結果は悲惨である.被害者を救おうと血だらけになったであろう救急隊員や医療関係者は大変だったことだろう.おまけに加害者が無免許の中学生や免停中の酒気帯びの男というのではなんともやりきれないことだったろう.

 この加害者たちははきっと業務上過失致死罪ということになるのだろうが,これは車を運転する上での過失だったのだろうか.もともと運転の資格がないわけであるから,重大な事故を起こす可能性があるにもかかわらず敢えて運転したことは故意ではないのだろうか.

 医療行為にも免許は必要である.医師は医師免許を持っている.医師免許を持たずに他人を傷つけたり死亡させたら傷害罪や殺人罪であろう.免許があるからこそ医療事故で患者が死亡したら業務上過失致死というのだろう.

 運転する資格の無いものが死亡事故を起こしたら殺人罪を適用するのが妥当であろう.
『--NHK受信料、不払いへ 病院の貸しテレビ業界団体--
 全国の病院に貸しテレビを納入している業者でつくる業界団体「テレビシステム運営協会」は3日、東京都内で幹事会を開いた後に記者会見し、NHKの不祥事などを理由に、2月以降の受信料支払いをストップすることを明らかにした。年間不払い総額は約40億円に上るとしている。
 NHK広報局は「極めて遺憾。撤回を強く求めた」とした上で「40億円は推測の域を出ない。NHKがリース業者と契約しているのは数億円」と反論している。NHKによると、不祥事を理由とした法人の受信料支払い拒否は初めてという。
 不祥事の影響で、NHKの2005年度受信料収入は04年度に比べ72億円の減収となる見通しだったが、減収額はさらに膨らみそうだ。
 協会によると、精神病院などを除いた全国の病院に納入されているテレビ約100万台のほとんどを協会加盟業者が納入。病室ごとに受信契約をする仕組みで、NHKと業者側が約30万件の受信契約を交わしている。貸しテレビの多くは業者が病室のベッド脇などにテレビを設置し、患者がプリペイドカードを挿入すると一定時間の視聴ができる方式という。
 NHK側は、病室にテレビが常設されている場合には受信契約が必要との立場。約10年前から受信料負担が発生したが、協会側は「患者は自宅でも受信料を負担しており二重払いになる」と反発し、業者側が受信料を負担してきたという。
 協会は昨年12月に発足。加盟36社で従業員計約5000人。
 協会の小木曽幸男(おぎそ・ゆきお)事務局長は「会長が辞任して顧問に就くなど考えられない。ずさんなNHKの実態を知り、まじめに支払うのはばかばかしくなった」としている。』

 NHKの言う受信料の根拠にはどうにも納得がいかない.NHKは民間放送ではなくやはり国営放送だからなのだろうか.それなら税金で運営するべきだろう.国会で予算がつくらしいがそれなのになぜ見なくても受信回線やテレビがあるだけで料金を払わなければいけないのだろう.いまやテレビがあるからと言って必ずしも放送を見ているわけではない.

 衛星放送のように料金を払わないと見れないようにしてくれれば料金を払ってまでNHKを受診する必要など私にはない.NHK特集は昔よく見ていたがこれもDVDで発売されるし,受信料を払っていても割引購入できるわけでもない.だからNHKは今こそ「まじめに支払うのはばかばかしく」ならない納得できる受信料負担の理由を国民に述べるべきだろう.それができないならもうNHKは民放になるべきだろう.

爪の垢

2005年2月4日 社会の問題
『--ドイツ大統領がイスラエル国会で謝罪--
 ケーラー独大統領は2日、公式訪問先のイスラエルの国会で演説し、「ナチス・ドイツによるホロコースト(大虐殺)はドイツに歴史的責任があり、ドイツ人のアイデンティティーを形成している。深く恥じ、謹んで頭を下げる」と謝罪した。
 両国の国交樹立40周年などを記念して訪問。イスラエルからの報道によると、独語による演説を不快に感じる人々の声に配慮して、大統領はヘブライ語を多数交えて演説し、理解を求めた。』

 戦争犯罪としての規模の違いはあるにせよ大統領として当然の行為が実行できるところがドイツ人らしいと言えばいいのであろうか.

 ブッシュ大統領をみているうちに自分も大統領にでもなったかのように振る舞うようになったどこかの首相とはえらい違いである.さっぱり経済が回復していないのに郵政民営化ばかり唱えてどうするつもりなのだろうか.

 靖国神社に固執し,不適切な大臣を任命し,米国頼みで北朝鮮の拉致問題を解決するのでは虎の威を借るキツネといったところであろう.

 
『--中山文科相、また「自虐的」と発言--

 中山成彬文部科学相は29日、宮崎県都城市であった自身の大臣就任祝賀会で、歴史教科書について再び「自虐的な教科書がいっぱいある」などと発言した。同相は昨年11月にも、歴史教科書の記述は「極めて自虐的」などと発言し、韓国メディアなどからの批判を受けて発言を修正したばかり。同様趣旨の発言は、再び内外の論議を呼びそうだ。
 中山文科相は、あいさつの中で、自民党が公明党との調整がつかずに今国会提出を断念した教育基本法改正案について「私としては『愛国心』という言葉でまとめ、改正したい」との考えを示した。そのうえで、歴史教科書に触れて「自虐的な教科書がいっぱいある。日本が悪いことばかりしたという教科書がある」などと述べた。
 同相は昨年11月に大分県で行われたタウンミーティングで、歴史教科書について「自虐史観に立った教育だけはしてはいけない」などと発言。韓国メディアらの強い批判の後「個人的な立場で述べたが、教科書検定を実施する立場になった以上(発言は)控えるべきだった」と、発言を修正していた。
 今回の発言に同相は「もう失言はしないようにしようと思っている。本当は失言したいんです。今日はマスコミはいるの? じゃあ、あまり(失言)しないように」とも述べた。』

 政治家とか大臣と聞いて教養のあるというイメージを持つ人はどれくらいいるのであろうか.靖国神社もそうだが,歴史教科書についても愛国心の意味を履き違えて日本の戦争犯罪を客観的に省みることができないような人物が文部科学相ではわが国の教育の未来はお先真っ暗である.

 これでは観衆がサッカー場で騒ぎを起こすような結果になった中国の排日教育となんら方向性が違わないのではないだろうか.もっとも,こういう発言をする政治家の提出する教育基本法改正案であれば反対するのにわかりやすくていいかもしれない.日本が過去に悪いことをしたのならそれを正確に伝えることが大切であって,過去にいいことをしたから愛国心を感じるというものでもないだろう.日本の中高生はすでに歴史教科書も現在の政治家も信じていないことに気づくべきである.

 不適切な発言を指摘されたときには訂正して謝るが,また同じ過ちを繰り返して今度は開き直るというのでは,過去の日本どころか現在の日本の恥であろう.愛国心をいうのであれば世界から日本が物笑いにならないように発言や行動を慎むのが古来からの日本人の美徳というものであろう.

 社会保険庁の国家公務員や警察官が国民の税金を着服したり,NHKの番組を検閲したり,大臣の不適切発言が外国のひんしゅくを買うようでは将来の歴史教科書も自分たちの都合のいいように書きかえなくてはならないことだろう.過去の事実を歪曲する暇があったらまず現在の自分から訂正しないといけないことに気づけるような適切な人物を大臣に選んでほしいものだ.
『--校内全面禁煙、誓約書も 名古屋女子大が効果上げる--

 喫煙したら自主退学します-。名古屋女子大・短大(名古屋市瑞穂区)は敷地から通学路までを全面禁煙とし、新入生に異例の「禁煙誓約書」を書かせるなど徹底した禁煙教育を行い、喫煙者が半減するなど大きな効果を上げている。
 一部の教員や学生から「女性差別だ」などの反対もある中、「妊娠・出産期の悪影響がはっきりしている以上、煙のないキャンパスを」と2003年度に全面禁煙に踏み切り、04年度には禁煙誓約書も導入した。これまで違反による退学者は1人もいないという。喫煙者には個人面接し、禁煙を促すためのニコチンパッチを支給。処方に必要な医師の診断も学内で行っている。また、愛知県内で禁煙運動を進める小児科医も講演でたばこの害を説くなど協力。04年度の調査では喫煙者は195人から98人に半減した。
 敷地外でたばこをこっそり吸っていた上級生は「分煙の方がマナーを守れる」と不満そうだが、全面禁煙後に入学してきた1、2年生はボランティア組織を結成。吸いがらを拾ったり、喫煙を見掛けたら注意するなど、吸わない学生ばかりになるはずの2年後を目指して活動を続けている。』

喫煙したら自主退学というのが面白いが,こんなことを大学でやる必要があるとは思えない.敷地外でたばこをこっそり吸っていた上級生がいるとあるから禁煙を徹底させたいために考えた苦肉の策なのかもしれないが,これが大学教育というならあまりに情けない.

大学構内の禁煙が目的なら喫煙者に単位を与えなければよいだけだろう.禁煙教育に誓約書が必要だとは思えない.「女性差別だ」というのもちょっと的外れな反論である.禁煙が必要なのはなにも妊婦だけではない.誰でも健康のために必要なのである.癌,心筋梗塞,脳梗塞さらには自殺にまで関係している喫煙という悪い習慣をやめるためにはもっと小さい頃からの健康教育が必要であろう.

インフォームドコンセントと言う言葉も医療業界では聞き飽きた感がある.それほどまでに患者さんやその家族に病状や治療について説明がなされ同意を得るという行為が日常化している.これ自体はとても重要なことだと思うが,さて説明されたことをちゃんと理解して同意している人がどれほどいるのだろうか.

外来で喫煙の害を脳血管障害の患者さんや脳ドックの受診者に説明してもそれだけで禁煙できる人はほとんどいない.私の言うことは聞いているようであるが,理解して行動することができないということなのだろう.

これはやはり決定的に人体に対する知識と論理的な思考能力の欠如に原因があるのだろうと思う.人体についての知識がほとんど無い人に医学の話をしてもしょうがないし,論理的思考のできない人に治療法の選択をさせるのも無理だろう.それなのに同意書や誓約書を書いてもらっても意味がない.

できれば小学校くらいから禁煙教育だけでなく,人体やその健康管理に関することをしっかり教えてもらいたいものである.
『--「国主導で感染症対策を」 院内感染の専門家ら意見 --

 後を絶たない院内感染の防止策を話し合う厚生労働省の「院内感染対策中央会議」(座長・小林寛伊(こばやし・ひろよし)NTT東日本関東病院名誉院長)の初会合が13日開かれた。インフルエンザや新型肺炎(SARS)への備えが急務な上、この冬は高齢者施設や病院などで感染性胃腸炎の集団発症が相次いでおり、専門家からは「国が主導して感染防止策を進めるべきだ」との意見が相次いだ。
 厚労省は2003年秋以降、院内感染対策強化のために大学病院などに専任担当者の配置を義務化。地域ごとに感染症の専門家のネットワークをつくり、中小医療機関を支援するモデル事業も全国8カ所で始めている。しかし、その後も京都大病院や秋田大病院などで院内感染による患者死亡が相次いだ。こうした現状を受けて開かれた初会合では、委員から「地域や病院任せでは酷。国が本部をつくり、発生調査や対策指揮をすべきだ」との声が上がった。また医療機関は集団感染を隠そうとしがちだが、すぐ専門家に相談する仕組みづくりが大切との意見も多かった。
 厚労省はこうした意見を近く提言にまとめ、今後の施策に反映する。中央会議は今後、年1-2回開き、感染防止策を技術面から検討する。』

まあ,考えれば当たり前のことである.監督省庁という言葉があるが,厚生労働省は監督,監査,監修が自分たちの仕事と思っているのだろうか.監査に来たときの態度をみるかぎり公僕という言葉は彼らにとっては死語なのかもしれないが,もう一度思い出してもらう必要があるだろう.

もっとも,病院の監査に来てもぜんぜん働いていない人が数人はいるくらいだから,それさえも真面目にやっているとは思えない.こんな監査を毎年やっていて問題を見落とすものだから何年も前からの名義貸しさえ発見できなかったのだろう.だが,ずっと見落としていた責任を問われた人がいただろうか.

厚生労働省の役人は病院からの税金も自分たちの給料になってることを忘れずに国民の健康を守るためにもっと真摯な態度で働いてもらいたいものである.

特に監修料と称して国民の税金で自分たちの懐を潤すようなまねは許されるはずはないだろう.名義貸しで健康保険料の返還を医師にさせたのだから,自分たちも監修料を国庫に返納するくらいしてもらわないと反省しているようにはみえないだろう.

『--社保庁不正、32人を処分 癒着取引5年で21億円--
 社会保険庁職員らと贈賄容疑で社長が逮捕・起訴された情報処理機器会社「カワグチ技研」や関連会社「ニチネン企画」との間の不祥事をめぐり、厚生労働省と社会保険庁は14日、過去5年分について内部調査の結果を発表した。図書購入などの取引額は約21億円、職員が受け取った監修料は約3200万円にのぼった。ゴルフ接待や金品などを受けた職員が約100人いたほか、社会保険事務局OB26人も約6140万円のコンサルタント料を受け取り、取引をあっせんするなど組織ぐるみの癒着が明らかになった。 尾辻厚労相は、図書購入費などを通じて職員に監修料が渡ることで、結果的に公金が職員に「還流」していたことを認め、「国民の信頼を損ない深くおわびします」と謝罪した。

 調査結果によると、職員36人が両社から餞別(せんべつ)として1回1万円から30万円を受け取っていた。高級腕時計を受け取った職員もいた。ゴルフや旅行の接待が14人、中元・歳暮を受け取ったのが79人、飲食の接待を受けた職員も4人いた。
 このうち、海外を含む複数回のゴルフ接待を受けた職員らについては今後、国家公務員倫理審査会と協議、懲戒免職を含めた厳しい処分を求める。
 OBのコンサルタント契約は、1人あたり年約150万円。04年3月までの5年間でニチネン企画から図書類の購入実績があった41事務局のうち、OBのあっせんがあった取引は8カ所、約3億8100万円。コンサルタントがいない事務局に比べ、1カ所平均の取引高は約10倍にのぼっていた。
 社保庁は「OBのあっせんで購入しており、調達担当者の判断がゆがめられていると受け止められてもやむを得ない」としている。公益法人に再就職しているOBについては法人に処分を求める。
 職員の処分も同日発表され、収賄で起訴された渡辺俊之・元社保庁地方課長を懲戒免職にしたほか、監督責任を問い、社保庁次長の現・元職3人を訓告処分にした。監修料に関する昨年10月の調査が不十分だったとして辻哲夫厚生労働審議官ら5人や、調査で事実関係を積極的に明らかにしなかった職員23人も厳重注意とした。

 〈社会保険庁不祥事に関する調査結果の主な内容〉
(1)金銭登録機 国民年金保険料の徴収で使う携帯端末を02年度にカワグチ技研から調達。渡辺元地方課長の指示で不適切な地方ごとの随意契約に
(2)届け出用紙印刷機器 印刷システムを99年度にカワグチ技研から導入。契約を締結する前に担当者が計画文書をカワグチ技研に手渡し、200万円を受け取る。印刷機はほとんど使われず
(3)図書購入・印刷発注 過去5年間にニチネン企画から9品目の図書を購入、11品目の印刷物を発注して計11億7300万円を支払う。印刷物の一部は渡辺元課長が競争入札で受注を指示
(4)コンサルタント契約 ニチネン企画が各地の社保庁OB26人とコンサルタント契約、総額6140万円を支払う。契約者がいる地方社会保険事務局の図書などの平均購入額は、いない事務局の約10倍に
(5)監修料に関する追加調査 各課の庶務担当者から経理課の担当者に監修料が預けられ、各課の職員数に応じて配分するなど組織的に管理。ニチネン企画からの監修料は過去5年間で3200万円 』

裏と表

2005年1月4日 社会の問題
『過労死防止策:「医師指導」の義務化、申し出た場合のみに
 労働政策審議会は27日、労働者の過労死・自殺防止策として医師による面接指導を企業に義務付けるよう労働安全衛生法の改正を求める報告書を尾辻秀久厚生労働相に提出した。厚労省は当初、時間外労働が月100時間を超えた労働者全員への面接指導を義務化する方針だったが、審議会で使用者側委員が反発し、労働者から申し出があった場合のみの義務化に後退した。』

『--100時間超残業者に医師面接 過労対策で企業に義務付け 労働安全衛生法改正へ--
 厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会は27日、過労や心の健康(メンタルヘルス)対策で、月100時間を超える残業をした労働者について、本人の申し出などを前提に医師の面接指導を企業に義務付ける案をまとめた。これを受け厚労省は、来年の通常国会で労働安全衛生法を改正する。

 長時間労働が減らず、過労死、過労自殺が増え続ける中、厚労省はこれまで指針や通達で対応してきたが、初めて法規制に踏み出す。法改正にはこのほか、企業の事務部門などで衛生管理者の外部委託を認めることや、化学物質を扱う現場で有害性の程度に応じて容器などに絵表示を義務付けることも盛り込まれている。過労、メンタルヘルス対策は(1)月100時間を超えた労働者から申し出があった場合、企業は医師の面接指導を受けさせ、必要な措置を取らなければならない(2)企業の産業医の判断で労働者に面接指導を勧めることができる(3)企業の衛生委員会には過労とメンタルヘルス対策を新たに審議事項に加える,などの内容。

 当初、厚労省の専門家による検討会の案では、前提条件の「労働者本人の申し出」はなかったが、審議会で使用者側委員の意見で加わった。

 衛生管理者の外部委託は、化学物質を扱うような職場は除き、特段の危険が少ない事務職場などで外部からの衛生管理者の受け入れを認める内容。労働者派遣法は衛生管理者の派遣を認めていないことから、今後、関係する法律の改正が必要となる。』

労働者本人からの申し出がなければ過労ではないということなのだろうか.労働者が過労を自己申告しなければいけないのでは制度の意味がかなり薄められるだろう.有給休暇でさえまともに取れないのがわが国の実態であることは誰でも知っている.審議会にこんなことを言い出す使用者側委員が含まれていること自体が人選ミスだろう.

仮に労働者本人が申告しないで過労死した場合の責任は誰がとるのであろうか.まさか自己責任というのではないだろうが,そうなった場合には反発した使用者側委員の方にも是非責任をとっていただきたいものだ.
『--救急車とトラックが衝突 搬送中の2カ月男児が死亡--
16日午後2時45分ごろ、北海道標茶町阿歴内原野の国道272号で、生後2カ月の男児を搬送していた中標津消防署の救急車が、対向車線をはみ出したトラックと正面衝突した。男児は頭を強く打ち、死亡した。男児は中標津町東39条北4丁目、会社員上田高男(うえだ・たかお)さん(36)の二男、輝月(きら)ちゃん。呼吸器不全で同町内の病院に入院していたが、肺炎を起こして容体が急変したため、高男さんと釧路市の病院に向かう途中だった。救急車に乗っていた看護師(38)が重傷、高男さんや救急隊員ら4人と、トラックの運転手奥山健二(おくやま・けんじ)さん(27)=中標津町=の計5人が軽傷。
 弟子屈署などによると、事故当時は雨で路面がぬれていた。トラックは、前を走っていた車が救急車のサイレンを聞いて急に減速したため、よけようとしたらしい。』

トラックなら前方から走ってくる救急車が見えていたのではないだろうか?車間距離をちゃんととっていたのかなどの問題もあるだろうし,本当によけようとしたとしても対向車線に出たのは明らかな過失だろう.

それにしても最近は最低限の運転マナーも知らないドライバーが多すぎる.安全確認はもとより救急車両の優先まで知らないのにはあきれるばかりだ.私も時々は救急車に乗ることがあるが,昔は救急車がきたらすぐに停車してかえって救急車の通行の邪魔になるのが目立ったものだ.

そのため本来は徐行しながら救急車の通行を妨げない場所に移動するように教えられているはずなのだが,停車しないでというのを勝手に解釈しているのか,いつまでも走行していたり救急車が交差点で安全確認のため停車したのにその前を横断して右折していくものまで現れる始末である.

こんなことを日頃から見ているから,冒頭のニュースを読んで,救急車が対向車線にいるのを知りながら追い越ししようと考えたのではないか,と思ってしまうのは私だけではないだろう.
『--生徒の血液使い理科授業 和歌山・橋本の男性教諭--
 和歌山県橋本市の市立中学校の男性教諭(41)が2年生の理科の授業で、生徒24人に針で指を刺させて採取した血液を実験に使っていたことが2日、分かった。保護者の抗議を受けた市教育委員会は「生身の体を傷つけてまで実験をすることはなく、配慮が足りなかった。今後、このようなことがないよう徹底したい」としている。市教委によると、教諭は10月下旬、「血液とその循環」をテーマにした授業を実施し、2年の3学級計104人のうち98人が受講。熱消毒した針と消毒液を生徒に渡し、針で指を刺させて採取した血液をガラス板に塗り顕微鏡で観察させた。
 4、5人のグループの中から話し合いやじゃんけんなどで針を刺す生徒を選ばせたという。針を刺し出血する様子を見てショックを受け泣きだす生徒もおり、保護者から学校に抗議があった。
教諭はこの中学に赴任し2年目。「血液の様子を具体的に目にしてほしかったが、方法を考えるべきだった」と話しているという。』

この教諭の間違いは全員にやらせなかったことだろう.針を刺せば痛いし血も出ることを身をもって知ることは重要だし,止血がどのように行われるかを知ることも救命には重要なことである.なぜ学校でこんな基本的なことを教えてはいけないのだろうか?
生命の尊さをちゃんと教えていないから次のようなことも起こるのだろう.

『19歳の女性の50人に1人、18歳だと64人に1人の割合で2003年度に人工妊娠中絶をしていたことが2日、厚生労働省の統計で分かった。10代を1歳刻みで集計したのは初めて。10代の中絶率は前年度より微減したが、10年前の約2倍と依然多かった。
 厚労省は10代女性の身体と心を傷つける中絶の減少を母子保健10カ年計画で目指しており「ショッキングな数字。学校や市民団体と協力して性に関する知識の普及啓発をしたい」(母子保健課)としている。この調査は1948年に開始、母体保護法に基づいて都道府県などに届け出があった件数を集計し、01年までは1-12月の年間数、02年度からは年度の数字をまとめている。
 これまで20-40代は5歳刻み、それ以下は「20歳未満」と一括集計してきたが、急増する10代の中絶実態をつかむため初めて15-19歳を年齢別に調査した。03年度の20歳未満の中絶は計4万475件。年齢別では19歳が約1万4600件と最も多く、18歳約1万1100件、17歳約7900件と続き、15歳未満も483件あった。 年齢人口1000人当たりの中絶実施率で見ると、19歳はほぼ50人に1人に当たる19・9で、20代以降で最も高い20-24歳の20・2に匹敵する高率。18歳も15・7で、25-29歳(14・8)や30-34歳(13・3)を上回り、20歳前後に中絶のピークがあった。
 10代全体で見た中絶実施率は93年の6・6から01年の13・0まで急増。その後わずかに減少し、03年度は11・9だった。
 03年度の全年代を通した総件数は、前年度より約9500件減の31万9831件。』

イラクのテロリストもこれを聞いたら驚くだろう.理由はともかく毎年30万人の合法的殺人が日本国内で行われているのだ.きっとAIDS患者もこれに比例して増えることだろう.学問はきらいでもいいから自分の体のことくらいもっと知っていてほしいものだ.

学校でもっときちんと生命や人体について最低限の基本的なことをしっかり教えてもらわなければ病気について説明しても無意味なような気がするのだがどうだろうか.
『--福井副知事:不登校児は「不良品」と暴言 PTA大会で--
 福井県の山本雅俊副知事が10月15日に福井市であった「第60回東海北陸ブロックPTA研究大会」のあいさつで、不登校児を不良品に例える発言をし、西川一誠知事から注意を受けていたことが1日分かった。
 山本副知事は知事代理として出席。自らの企業経験に触れながら、「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの1万4000人は不良品」と述べた。質疑の時間に、怒りを表す出席者もおり、主催の日本PTA全国協議会関係者も不穏当な発言と抗議、山本副知事は「総合的対策が必要との趣旨での例えだったが、不適切だった」などと釈明した。
 発言を巡り、インターネット上の同大会掲示板には「非常識極まりない」「不登校で悩んでいる家族の心をどれほど傷つけたことか」などと非難の声が多く寄せられ、福井県に抗議する関係者もいた。これに対し、西川知事は「説明が十分至らなかったために真意をお伝えできなかったものと思います」などと応え、知事が副知事に口頭で注意した。山本副知事は、デンソー常務や化学会社デュポンの日本法人社長を歴任。行政経験のない民間出身の副知事として昨年8月に就任した。』

人間ひとつのことばかり熱心にやっているとやがて価値観が固定されてしまうものだ。製品をつくる企業ばかりで働くとなんでも品質管理の目で見るようになってしまうものなのだろうか。成長過程にある人間を不良品よばわりするとは恐れ入った。

だが、この手のまちがいは病院でもよくあることだということに気が付つかなければいけないだろう。医師が物を扱うように患者に接するなんていうのも問題だろうが、患者も患者の家族も人間的に扱えと言うわりには自分たちの体が機械を修理するかのように治ると思っている人が意外と多いのに驚かされる。

体も確かに物質で成り立っているのであるが、工業製品のように統一された規格で作られているわけではない。心に個性があるように体にも個性があるのである。同じ薬を使っても治療効果のある人と副作用のほうが強く出る人がいるのである。

そんな当たり前のことが社会保険庁には通じないのである。とにかく治療のコストを下げるためにはみんな同じに治療しろと言わんばかりなのだ。病名が同じでも病態は様々なのが当たり前なのに同じ病名の患者は同じ料金で治せといっているようなものである。これは人を物扱いしていることにはならないのだろうか。

この副知事の話はわかりやすい事例なので社会的な影響はそれほどでもないだろうが、いま医療の現場で進んでいる人を物扱いするような医療の再編は放っておくと見えないところで悪化する恐れがあると思うのだが、それに気が付く一般の人はいったいどれほどいるのだろうか。
台風,地震,そしてまたイラクでの人質事件と続き被害者の方々には深くお悔やみを申し上げます.

ところで,これらに対する政府の対応はどうであったろうか.阪神大震災の教訓は?前回の人質事件で学んだことは生かされたのか?どちらも予想した範囲内の対応で失望した被害者は多いだろう.小泉首相のスタンドプレーもその誠意の無さに地元の人の拍手もまばらだったそうな.この人にとって国際社会からも国民から無視されながら政権をながらえる意味はなんなのだろうか.

権力に固執するのもいいが能力のないものが上に立つと組織は崩壊していくものだ.現に国民健康保険と国民年金は将来に崩壊するのが見えているし,郵便貯金もそのうちどうなるものかわかったものではない.財政破綻を目の前にしてこの災害続きはまさに弱り目に祟り目といった感じだろう.

ところでその新潟であるが新幹線も高速道路もずいぶん壊れたようだ.震度6だとあんなにも壊れるものなのだろうか.壊れついでに工事に問題がなかったのか調査する必要があるのではなかろうか.談合に手抜き工事なんてものがあってもぜんぜん不思議ではないのだからちゃんと調べてもらいたいものだ.

ところで今後もイラクへ旅行に行く若者は現れるのだろうか.好奇心が強いのもいいが,身の程知らずでは得られるものはないだろう.それでもレンタカーで自殺する若者よりはましかも知れない.日本は最近自殺者が増えているようだが,自殺するくらいならイラクで人間の盾にでもなったほうがいいのかもしれない.

ローソンに行ってもマクドナルドに行ってもアルバイトの女性がいるのだが,仕事が遅いのと不正確なのがどうにも気になってしまうのだ.あれで時給は1000円弱くらいなのだろうか.そういえばパートの看護師さんの時給もそれに近いくらい安いらしい.まあ,そういうことであれば多少のミスには目をつぶらなければならないのだろうか.

自分の周りを見回すと政府からコンビニまでいたるところ人材不足のようだ.医師だけが人手不足なのではないということで自分を納得させたところで,また今日の当直を無難に過ごすことを考えるとしよう.
『広島市は20日、原爆被害に関するさまざまなデータをまとめた「原爆被爆者対策事業概要」を発表。広島市内に住む被爆者(長崎での被爆も含む)の平均年齢は3月末時点で72.2歳で、昨年3月末より0.7歳上がった。被爆者健康手帳を持つ人を被爆者として数えた。同市内に住む被爆者は8万3732人で、昨年3月末と比べ、1333人減ったことも分かった。全国の被爆者数は27万3918人で、昨年から5256人減少した。』

米国政府は真珠湾攻撃にしても9・11にしても自国が攻撃を受けたことを米国民に決して忘れさせない.しかも,どういう形であれそれを政治的に利用することも決して忘れない.原子爆弾の実用化から近代兵器のテストまで米国の大儀のもとに他国民を使って兵器の人体実験をやっているようなものだ.そのやり方は非情で合理的である.

毎年8月というと原爆記念日の朝の黙祷がテレビでやっていたりしたものだが,平和的な日本人はノーモア・ヒロシマとはいってもリメンバー・ヒロシマとかリメンバー・ナガサキとは言わない.9・11の米国の犠牲者は5000人だったが,日本の原爆の犠牲者は少なくみても数十万人規模である.

米国人は日本の原爆の犠牲者数を知らなくとも9・11での犠牲者数は忘れられないだろう.広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイがワシントン郊外のスミソニアン航空宇宙博物館に展示されたが,真珠湾の戦艦アリゾナのような戦史はそこにはない.「原爆投下が戦争終結を早め、多くの人命を救った」といいたい政治的意図があるのだろう.

しかるに日本はどうだろうか.世界で唯一原爆を体験したはずの日本がそれを忘れているのはなぜなのだろう.いやな思い出は忘れたいからなのか.それとも政治的な意図がはたらいているのか.戦争が日常化してしまった今こそ平和のために日本人はリメンバー・ヒロシマというべきなのかもしれない.
『 2日午前10時50分ごろ、大阪府高槻市登町、府住宅供給公社下田部団地内の「下田部団地児童遊園」で、鉄製遊具の回転椅子(直径約1.8メートル、高さ約95センチ)で遊んでいた兵庫県三田市の新小学1年男児(6)が、遊具の支柱に開いた穴(直径約1センチ)に右手人さし指を入れ、回転した際に指の先約5ミリを切断した。同日午後4時半ごろにも、同じ遊具で遊んでいた公園近くの新小学5年女児(10)が同様に右手人さし指の先約1センチを切断するけがをした。府警高槻署は業務上過失致傷の疑いもあるとみて、遊具の管理に不備がなかったかどうか詳しく調べている。府によると、男児を病院に搬送した高槻市消防本部から同日正午ごろ、公園を管理する府住宅供給公社に事故発生の連絡があった。公社は同団地の管理を委託している住人に2度、状況調査を指示したが、事故の確認が取れないとして、遊具を使用禁止にするなどの安全措置を取らないまま、午後2時45分ごろ、状況を見守ることにしたという。同署は公社の担当者から、事故連絡を受けた後の対応について事情を聴いている。』

先日,溝川涼ちゃんが挟まれて死亡した六本木ヒルズ・森タワーの事件で回転扉のセンサーが感知しない「死角」が規定より広く、速度が最速に設定されていたことが分かり,私はやはり現在の日本は小さな子供への思いやりの無い社会になっていることを強く感じた.近くの公園の遊具を見てみよう.壊れて危険なものはないだろうか.幼稚園や保育園のまわりの道路を見てみよう.危険なところはないだろうか.注意してみれば必ず一つや二つは危険だなと思われるところがあるはずである.

管理している者は事故が起きるまでどころか事故が起きてからも適切な処置をとらないのが今の社会のようだ.特に文句を言えない子供たちに非常に不利な世の中になっていると思う.小児科医が足りないのは診療報酬が低く抑えられ,親の都合で時間外に病院にかかり,患者である子供の病態より親の意見を優先するような風潮があるからであると私は思っている.ちょっとした熱くらいで子供に点滴するよう医師に文句をいう親などはかなり児童虐待に近いと思う.

年金問題しかりである.選挙権を持たない子供たちは完全に無視される.健康保険も同様で,何の症状もなく病気でもないのに脳梗塞が心配だからと病院に来る老人が後を絶たない.こんなに医療費を無駄使いしているのにそれを拒否することもできない.健康で暇な老人は年金をもらいながら検診がてらに病院へ来ている.

そう,物言えない子供の相手をするより文句ばっかり言っている老人を相手にしているほうがお金になるのが今の社会なのだ.では,老人たちは今後何を創造してくれるというのだろうか.

東京,北海道は自動回転ドアの設置が多いようだが,病院にも結構設置されている.東京都は2000年12月に施設の出入り口の設計に関して「回転ドアは危険が伴いやすいため避ける」とのマニュアルをまとめており,96年のマニュアルでも、回転ドアを設置する際、別の形式のドアを併設するよう記載していたそうだ。国土交通省も昨年2月、「回転ドアは危険で設けないことが望ましい」とする文書ビルなどの建築・設計のガイドラインとして有識者らを交えて作成していたが,国交省は危険性を認識しながら、その後も安全基準作りなど具体策を講じていなかったらしい.病院の入り口に回転扉をつけた管理者は子供の危険のことなど考えもしなかったにちがいない.

南青山に高級公務員宿舎を国民の年金基金からネコババしたお金で建て,リッチな国家公務員生活を送れるのも国民がバカなおかげなのだろうが,子供を大切にしなかったツケがもうすでにまわってきているのは宮崎勤事件や酒鬼薔薇事件などの幼児が被害者となる事件や青少年犯罪の凶悪化をみても明らかだろう.
長嶋監督に関する記事を見ていると,そこは報道というよりうわさ話のレベルであることに気づきマスメディアのレベルの低さにあきれてしまう.事実をだけを伝えればよいものを枝葉がついてなにが事実かわからない.これでは一般人はなにがなんだかわからなくなるのも無理もない.

まず,長嶋監督の脳梗塞をいまだに一過性の脳虚血発作の一種のように説明したり,芸能人の小さな脳血栓症と脳梗塞という病名だけで同一視し希望的経過を述べたりと,まあ,心原性塞栓症による脳梗塞がわかっていないからこんな話になるのだろう.

もうひとつ同業者として情けないのは脳神経外科医がコメントを求められて主治医でもないのに長嶋監督の病状を推測して述べたりしていることである.ちなみに主治医は脳神経内科医であるし,患者の個人情報を必要もないのに流すわけにはいかないのだから脳神経外科医が知っているわけもないはずだ.まあ,新聞に名前が出ただけで権威だと思ってくれる患者がいるからついコメントもしたくなるのだろうが.

それにしても同病名というだけで芸能人のそれも小梗塞を例に挙げるのだろうか,これは一般人に長嶋監督も軽症という希望を与えたいのかも知れないが,心原性塞栓症の例としてあげるなら一番有名なのは小渕首相であろう.そう,心原性塞栓症とは死亡する危険もある脳梗塞だということを正しく伝えるのが報道というものであろう.

長嶋監督のことを本当に考えるならば,ここは大事をとるべきであろう.アテネの監督続投という誰かの希望のために長嶋監督軽症説をあえて作り上げるているかのような報道は情報操作にすぎない.医師のコメントも引用するなら全文記載するべきで,一部を勝手な解釈で流用するのはやめるべきである.よろこんで患者情報を記者会見するのは報道に利用されるのみで患者の利益になるとは思えないのである.

たまたま自分の専門領域の報道なので,見ていていろいろなことがわかるのだが,自分の専門外のこともきっとこの調子で報道されているかと思うと情報の信憑性が疑われる.新聞やニュースでわかったつもりになっていることなんて案外こんなもんなんだろう.きっと世の中は私もわかってないことがいっぱいなんだろう.

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