夢のような話
『生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見

 藻類に「石油」を作らせる研究で、筑波大のチームが従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。チームは工業利用に向けて特許を申請している。将来は燃料油としての利用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。茨城県で開かれた国際会議で14日に発表した。

 筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類に注目し、東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これらの性質を調べたところ、沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。

 球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。水中の有機物をもとに、化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると、これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて、10~12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。

 研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。

 炭化水素をつくる藻類は複数の種類が知られているが生産効率の低さが課題だった。

 渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」と話している。

 また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構想もある。』

 仕事も代わり映えがなく,ニュースもつまらない話ばかりだったし,風邪で体調を崩してトレーニングも休んでしまい日記を書く気にもなれなかったのだが,こういう夢のある話は是非実現して欲しいと思い取り上げてみた.

 1リットル50円以下というのが原価だとしても,国内で重油が生産できるとなれば石油化学産業にとって未来は明るいものになるのではないだろうか.おまけに排水も浄化できるのだったらまさに夢のような話だ.

 最近はハイブリッドカーが人気のようだが,私はやはりガソリンエンジンのほうが好きだし,電池とモーターに頼ったシステムは故障したらどうにもならないのでそんな車で北海道の冬に長距離を走る気にはなれないのだ.

 そんな個人の嗜好は別にしても,エネルギー資源を輸入に頼りっぱなしの現状を改善する意味でこれは国のプロジェクトとして実用化を推進してもらいたいものだ.

 そう言えば,しばらく放置しているうちに650000ヒットを超えたようです.今年もたくさんの方々に訪問していただきありがとうございました.少し早いですが来年もまたよろしくお願い申し上げます.

命日

2010年12月16日 友達
今朝起きる時に、高校1年生の時の友人の命日だということを思い出した。

あれからもう30年以上が過ぎ去った。
長い時間だったのか。
短かったのか。

あと30年以上生きるのだろうか。
生きる使命はなんなのか。
いつか知りたい。


『強盗自作自演:プレゼント代3万円、パチンコで使い 大阪

 20日午後5時ごろ、大阪市此花区のマンションに住む会社員の男性(36)が玄関で倒れているのを帰宅した妻(35)が発見し、110番通報。府警此花署は強盗事件として捜査を始めたが、男性が子どものクリスマスプレゼント代3万円をパチンコに使ってしまったことを隠すための作り話だったことが判明。男性は「本当のことが言えず、とっさに思い付いた。こんな大騒ぎになるとは思わなかった」と謝罪したという。

 同署によると、男性は駆け付けた署員に「帰宅して玄関に入った瞬間、何者かに後頭部を殴られ気絶した。財布から3万円奪われた」と説明した。

 男性が後頭部を痛がるため病院に救急搬送するなどしたが、診断結果は「外傷なし」。マンション1階の防犯カメラにも不審な人物は記録されていなかった。同署で事情を聴かれていた男性は、通報から約2時間後、自作自演だったと打ち明けたという。

 男性は20日朝に夜勤明けで帰宅。朝食中に子どもへのプレゼント代として3万円を預かり、妻の外出中にパチンコに出掛けたという。同署は通報を受けて、緊急配備するなど対処に追われた。』

 世の中には変な人がたくさんいるが,こんな男のつくり話に付き合わされた救急隊員や医療スタッフ,そして緊急配備につきあわされた警察官にとっては大変な迷惑だったことだろう.

 プレゼント代が3万円とは高額だが,子供はいったい何人いるのだろう.父親の使い込みがばれてもプレゼントはちゃんともらえるのだろうか.父親の方はきっと小遣いが減らされるに違いない.

 子供のプレゼント代だとわかっていてもパチンコに使ってしまう人がいても別に不思議な話ではない.癌や脳梗塞や肺気腫になってもタバコが止められない人もいるし,糖尿病になっても過食が止められない人もいる.

 病院にいると世の中には変な人がたくさんいることに驚かなくなる.もちろん変な人ばかりが病院に来るわけではないが,いろんな意味で管理能力が低い人ほど病院にやって来ることになる確率は高いという事は言えるのではないだろうか.

『漁船沈没事件きっかけに  中国ネットで「嫌韓」高まる

黄海で中国漁船が韓国海洋警察の警備艇に衝突し、中国側乗組員に死者・行方不明者が出た事件で、中国側は記者会見で、韓国側に損害賠償を求めることを明らかにした。これに対して、韓国マスコミは「逆切れ」などと反発。一方、中国のポータルサイトでは、韓国批判が高まりつつある。

韓国側の発表によると、2010年12月18日、韓国の経済的排他水域(EEZ)内で違法操業していた中国漁船団を韓国の海洋警察が追跡し、漁船団の後方にいた木造漁船に接近。漁船の乗組員が鉄パイプやシャベルを振り回して抵抗し、海洋警察官4人が骨折するなどして負傷した。

中国側の損害に対して賠償を求める

さらに、別の中国の木造漁船が、警備艇の進路を妨害しようとして警備艇の船首に衝突。漁船はこの勢いで沈没し、漁船の乗組員10人が船に転落。中韓双方が救助活動を行ったが、1人が死亡、1人が行方不明になっている。

韓国側は、死者が出たことに対して遺憾の意を表明したものの、中国側は反発した。中国外務省の姜瑜副報道局長は12月21日の定例会見で、「事件に対して重大な懸念を表明する。韓国側には、行方不明になっている乗員を全力で捜索し、加害者を処罰し、中国側の損害に対して賠償し、再発防止に向けた具体的な取り組みを行うように求めている」と要求。

「中国漁船は、韓国の水域で、韓国海洋警察の警備艇にぶつかったのではないか」
という質問には、「事件は『中韓漁業協定』に基づいた水域で発生した。両国の漁船は、この水域で操業することができる。両国は、それぞれに国の漁船を管理し、どちらかの国が、もうひとつの国に対して違法操業について通報する権利はあるが、相手方の船に対して法律を執行することはできない」
と、韓国側の対応に異を唱えた。

これに対して、韓国側メディアは、「中国逆切れ」(朝鮮日報)「無礼な中国」(中央日報)といっせいに批判。ニュース記事のコメント欄では、「もっと軍事力を強化しないとだめだ」「中華思想の国からすれば、周りの国は、みんな敵国だ」
などといった書き込みが目立つ。

2008年にも中国のネットユーザーが大規模な韓国批判

一方の中国メディアは、総じて事実関係を淡々と伝えているが、記事のコメント欄は、韓国より感情的だ。「韓国は日本のやつよりも凶悪だ」「もう韓国ドラマなんて見ないし、韓国料理も食べない」「以前は韓国の印象は良かったが、今は嫌いだ」
 
  なお、2008年には、韓国メディアのウェブサイトに「孫文の起源は朝鮮半島」という真偽不明な記事が掲載され、中国のネットユーザーが激怒。大規模な韓国批判に発展したこともある。

なお、今回の沈没事件については、聯合ニュースによると、韓国側は中国側と共同調査を行う意向を表明しており、事態の鎮静化を図りたい考えのようだ。』

 日本の巡視船に体当たりして英雄になったアル中の船長に続こうとしたら沈没して惨事になったということらしいが,自分から衝突しておいて賠償を請求するとはいったい何を考えているのだろうか.もし中国人を見かけたらとりあえずクレーマーと考えておいたほうが良さそうだ.

『Skypeで大規模サービス障害

多数のユーザーがSkypeを使えなくなる障害が発生した。現在は徐々に復旧しているという。

 Skypeで12月23日、大規模なサービス障害が発生し、多数のユーザーがSkypeをオンラインで使えない状態になった。

 同社は障害ついて、Skypeソフトの一部バージョンに影響する障害によって、「スーパーノード」と呼ばれる、中継点のような役割を果たすコンピュータの多くがオフラインになったと説明している。Skypeはスーパーノードとの接続状態で使用できるため、一部のユーザーにはオフラインと表示されている可能性がある。

 同社はこの問題に対処するため、「メガスーパーノード」を作成。サービスは徐々に復旧しているという。グループビデオチャットなど一部機能は、復旧に時間がかかる可能性があるとしている。』

 一週間くらい前からSkypeのビデオの調子が悪く,解像度が落ちて動きもぎこちなくなったりしていた.今朝からは勝手にオフライン状態になったり,オンラインになっても音声しか使えない状態になっている.

 昔はWindows版を使っていたが,自宅にiMacを入れたのを機にMac版を主に使うようになった.Speed testで回線速度をチェックしても問題ないのにビデオ映像が汚くてぎこちないのでうんざりしている.

 昔はネットのビデオはこんなのが普通だったし無料版のSkypeだからあきらめる手もあるのだが,光回線でもこんなことが続くようではとても有料で使う気になどなれない.ノード接続ゆえの問題があるのかもしれないが,Mac版はWindows版よりもバージョンも低くて機能が劣っているようなのでソフトに問題があるのかもしれない.

 もっともMacユーザーにはβ版だがFaceTimeがあるので,こっちを使うという手もあるが,β版ゆえに自動接続や画面の縦横変換などの機能がないのでちょっと不便な感じがする.もっと機能を充実させた正規版が出ればiPhoneや次期iPadユーザーは喜ぶと思うのだが,正規版はいつになるのだろうか.


クリスマス・イブ
クリスマス・イブ
『3人に1人は興味なし? ー 贈り物予算は1万円超

 24日はクリスマス・イブ。だが、日本人の3人に1人は、クリスマスを特別楽しみにしていないことが、民間気象会社ウェザーニューズ(東京都港区)の意識調査で分かった。同社は今月13~15日、男女1万4118人を対象にアンケートを実施した。

 「クリスマスは楽しみですか」との質問には「超楽しみ」が13.2%、「楽しみ」が50.5%を占めた。一方で、「どちらでもない」が30.4%、「楽しみではない」も5.9%あり、計36.3%は強い関心を持っていないことが分かった。男女とも年齢を重ねるほど、「楽しみ」と答える割合が減る傾向が見られた。

 一方、「一番大切な人へのプレゼントの予算」は全国平均で1万825円。男性は1万3112円、女性は9384円で、男性が約4000円高かった。

 平均回答額を都道府県別に見ると、上位3位は徳島(1万6737円)、香川(1万3747円)、熊本(1万3134円)。逆に少なかったのは高知(6851円)で、鳥取(7154円)、福井(7700円)が続いた。』

 景気が悪くて生活に追われ心にゆとりが無くなってクリスマスのことなど考えられない人がそれほどたくさんいるとは思えないから,多くは単に関心がないということなのだろう.私だって家族も恋人もいなかったら無関心かもしれない.

 でも,私は大通公園のホワイトイルミネーションが雪に映える季節になるといよいよクリスマスが近づいた感じがしてきて実は少しわくわくしてしまう.クリスマスプレゼントもあげる側になってずいぶん経つが,何をどのようにプレゼントするか考えるのもまた楽しいものだ.

 昨日はかなり激しく雪が降っていたが,今朝には晴れたので今夜は素敵なホワイトクリスマスになりそうだ.毎年,我が家の小さなクリスマスツリーを写真に撮っているのだが,今年はD7000のムービーで撮って画像を切り出してみた.

 いつもはツリーの豆電球が全部点灯するタイミングを見計らってシャッターを押すのに時間がかかるのだが,ムービーで撮ればそのタイミングを探して切り出すので簡単だった.今見ると去年の写真のほうがきれいだったと思ってしまったが,来年はどんなカメラとレンズで写真を撮っていることだろうか.


フィルムカメラで撮ろう
 いつもクリスマスの夜はネットで中古カメラ探しをしているのだが,最近はあまり魅力的なものが見つからなくなってきた.特にフィルムカメラは状態のいい物がめっきり少なくなったような気がするし,もともと発売台数が少ないものを見かけることは非常に稀になった.

 デジタルカメラの性能が上がり価格も安くなって買いやすくなった頃は,フィルムカメラからの買い換えもあったためか色々なカメラが沢山出てきたものだ.最近はそれも一巡したのか,今まで買い換えずに使い込んだものが出てきているみたいになって買う気になれなくなっていた.

 それでもフィルムカメラで写真を撮りたいという気持ちに変わりはなく.手持ちのカメラのどれかにはいつもフィルムが入っていて,撮りたくなったらすぐ撮れるようにはなっている.フィルムにもサイズがあって私の持っているカメラで一番小さいサイズは35mmフィルムを使うハーフ判で一番大きいサイズは6×8判だった.

 ブローニーフィルムを使う中判カメラにも一眼レフと二眼レフとレンジファインダーという種類があるのだが,実は今まで中判のレンジファインダーは持っていなかった.それで,以前より気になっていたのが6×9判のGW690だったのだが,それの状態のいい物がなぜか今日ネット中古のページに出ていたのである.

 このカメラは観光地の写真屋さんが記念の集合写真を撮るのに使う事が多かったらしく,使い込んだものは時々見かけたのだがそれも最近は少なくなっていた.北海道神宮でも見かけたように,そういう写真屋さんもきっとEOS 5DmarkIIなどに買い換えたのだろう.

 とにかく程度のいいこのカメラを見かけたのはずいぶん久しぶりだったのと,人気がないのか値段がかなり安くなっていたのでぽちっとやってしまったのである.この前に買ったフィルムカメラはMamiya 645 Pro TLだったが,このカメラは同じ中判フィルムカメラとは言えプロ用のかなり特殊なカメラだ.露出計も無く120フィルムでは8枚しか撮れないのである.

 問題はこのカメラで何を撮るかということだ.私は集合写真なんて滅多に撮らないし,失敗が許されない写真ではその場で確認できるデジタル一眼レフを使うほうが安心だから,たまに撮る家族の集合写真で使う気にはなれない.

 だが,画質ではこのカメラには大いに期待しているのでそれを生かせる被写体をこれから考えてみようと思っている.このカメラでなければとれなかった写真がたとえ1枚でも撮れればこのカメラを買った意義があると思うし,フィルムで撮れるのも今のうちではないかと思ってしまうのである.

大雪

2010年12月29日 私の写真集
大雪
 正月休みの海外への出国がピークらしい.札幌近郊は朝からずっと雪が降り続いている.いつもなら大雪で渋滞になる道路もすでに正月休みになっている人が多いせいか車が少なくて走りやすかった.こんな日に仕事に来るのは厭だが,こんな日にも外来にやってくる患者さんもいるのだから仕方がない.もっともたとえ外来が休診だったとしても,救急をやっていればこのシーズンは観光客や帰郷してきた人が何かと病院にかかることが多くなるので,当直をやっていると平日より忙しくなることもある.

 私も正月に海外に行ってみたいが,休みは短いし緊急手術で呼び出されることもあるので車で行ける程度の所までが限界だ.今年の夏はとても暑くて参ったが,最近はとても寒いのでどこか暖かいところへ行きたくなる.誰かにもらった来年のカレンダーには学生時代に遊びに行った南の島の入江の写真が載っていた.海は相変わらずきれいなコバルトブルーだった.いつかまた行ってみたいと思う.

『心身合併症:救急1日4カ所確保へ 東京都11年度から

 身体疾患を発症した精神障害者の救急搬送が難航している問題で、東京都は11年度から、心と体の合併症の救急患者を受け入れる病院を1日4カ所確保する事業を始める。都内では「心身合併症」患者の救急搬送困難例が1日平均5件起きており、受け入れ態勢の充実が必要と判断した。厚生労働省によると、こうした患者の受け入れ拠点を本格的に設ける事業は全国で都が初めてという。

 都によると、心身合併症患者の受け入れが難航している背景には、精神科医がいない救急病院が多く、心と体の両方を治療できる体制が整っていないことがある。今回の事業で救急病院への精神科医の確保を促す。

 都は心身合併症を含めた搬送困難例を解消するため、病院間で受け入れを調整する「東京ルール」を昨年8月からスタートさせた。しかし、救急隊が受け入れ先の2次救急医療機関を見つけるまで20分以上かかるか、5カ所以上断られた「選定困難事案」の中で、精神疾患か薬物中毒(大半は過量服薬による自殺未遂)は今年10月まで計1766件に上り、全体の12%を占めた。

 ルールが適用されて、いったん医療機関に搬送されて応急処置を受けても、その後に身体疾患を専門的に治療する病院が見つからないケースも多い。東京消防庁の担当者は「精神症状が落ち着いていても、精神の患者というだけで病院に敬遠されることが相次いでいる」と説明する。

 都が始める事業は、心身合併症の救急患者を受け入れる医療機関を指定して補助金を出す。具体的には、内科や外科などの一般診療科がある病院1カ所を「拠点病院」に指定。常勤の精神科医を1年を通じて配置し、毎日1床以上を確保して搬送困難者2人を受け入れる。さらに原則1日1人を受け入れる「支援病院」を都内に毎日3カ所用意する。支援病院は輪番制も検討する。

 厚労省も同様の受け皿を整備する事業の後押しを始めた。これまでは救急の心身合併症患者を精神科病院が受け入れた場合、国の補助対象にしてきた。しかし、今年4月から主な補助対象を内科や外科などの身体疾患も診られる総合病院に変更。すでに静岡県と香川県がこの補助金を使って受け皿の確保を進めており、都も利用する見込み。』

『救急搬送:統合失調症患者、腸閉塞に 受け入れ先なく死亡 救急隊、13病院に要請

 ◇東久留米で昨年2月

 東京都東久留米市で昨年2月、体調不良を訴えた統合失調症の男性(当時44歳)が救急搬送されずに腸閉塞(へいそく)で死亡した。救急隊は2時間半にわたり受け入れ先を探したが、13病院に受け入れられず搬送を断念した。「精神科などの専門医がいない」「病床がない」などが病院側の理由だった。高齢化や自殺未遂で精神障害者が身体疾患にかかるケースが増えているが、両方の症状を診られる病院が少ないため搬送が難航している。精神と身体の合併症患者を受け入れる体制の不備が浮かび上がった。

 ◇心身合併症、減る受け皿

 男性の家族が情報公開請求して開示された東京消防庁の記録や家族の証言によると、男性が死亡するまで次のような経緯をたどった。

 昨年2月14日(土)20・00すぎ 男性が母親に「具合が悪いから医者に連れていってくれる?」と訴える。病院は医師などの配置が手薄な休日・夜間体制

 21・55 母親が119番通報

 22・00ごろ 東久留米市消防本部(現在は東京消防庁に編入)の救急車が自宅に到着

 22・40 母親の呼びかけに応答なし。救急隊員はすぐに生命にかかわる重症ではないが、意識障害があるとみて2次救急医療機関への搬送が必要と判断。自宅前に救急車を止めたまま内科や脳外科がある救急病院に対し、両親から聞いた本人の病歴を伝えた上で、受け入れを要請する電話をかけ始める

 翌15日(日)1・10 13カ所目の病院に受け入れを断られ、搬送を断念。救急隊は容体に変化がないとして3次救急医療機関には受け入れ要請せず、男性を自宅へ運び入れる

 9・00ごろ 母親が同じ消防本部に「病院を探してほしい」と連絡し、消防も探したが見つからない。その後、父親が男性の通院先の精神科病院へ行き、治療を頼んだが「休日で対応できない」と断られる。両親はほかに2カ所の病院に電話で受け入れを依頼したが、これも断られる

 14・00 男性の心臓が動いていないことに気づいた両親が119番通報したが、すでに死亡。大学病院での解剖の結果、死因は腸閉塞と判明

 東京消防庁の記録によると、救急隊員が受け入れ要請した13病院の内訳は▽総合病院5▽大学病院4▽精神科病院3▽都立病院1。断った理由は▽「専門外」(精神科などの専門医がいない)5▽理由が不明確な「受け付けられず」4▽「満床」4――だった。

 このうち要請記録が残っていた2病院が取材に応じ、当時の状況を説明した。

 多摩地区の精神科病院は救急隊が連絡した患者の容体から「脳などの疾患が疑われる」と判断。検査設備や医療機器がないため受け入れを断り、検査ができる他の病院へ運ぶよう頼んだという。

 多摩地区の大学病院は救急隊から連絡があった時、すでに他の救急患者の治療をしていた。「対応できるベッドが空いていなかった」という。

 このほか複数の病院が今回のケースではなく、一般的な事情を説明した。総合病院や大学病院によると▽休日や夜間はスタッフが少なく、治療後も目が離せない精神疾患に対応するのは困難▽当直医が精神障害者の診療で苦労した経験がある――などの理由で受け入れられないという。

 ◇総合・大学病院の精神科病床、報酬低く撤退相次ぐ

 精神疾患患者も含めた搬送困難例を解消するため、東京都は昨年8月末、救急隊が受け入れ先の2次救急医療機関を見つけるまで20分以上かかるか、5カ所以上断られた場合を「選定困難事案」とし、地域ごとに指定した病院が患者の受け入れを調整したり、自ら受け入れに努める「東京ルール」を導入した。

 都によると「選定困難」に該当したのは今年10月末までの1年2カ月間で1万4105件に上り、うち精神疾患や薬物中毒が理由になったケースは1766件で全体の1割を超えた。

 東京消防庁の担当者は「東京ルールで改善された面もあるが、合併症になった精神障害者の搬送が最も難しい状況は変わっていない」と話す。精神疾患患者の多くは暴れたりせず、救急隊は総合病院や大学病院でも受け入れが可能とみている。

 一方、総合病院と大学病院の精神科病床は一般診療科より診療報酬が低く病院経営を圧迫するため、全国で年々削減されている。02年に2万1732床(272施設)あったのが07年には1万9103床(248施設)と12%減った。』


 世相を反映しているのか,最近は救急車で運ばれてくる患者さんに精神疾患で通院しているような人の割合が増えたような気がする.パニック障害の人が過換気症候群で運ばれてくるもぜんぜん珍しくなくなったし,統合失調症の人が脳卒中や急性薬物中毒で運ばれてくるのも年に1回や2回ではなくなった.

 脳神経外科医として自分で治療ができるものを治すのは当然のことだが,現実問題として困るのは低血糖発作や薬物中毒の場合,回復する過程で本来の統合失調症の症状が出てきてしまうことである.最悪の場合,スタッフや同室の患者さんに危害が及ぶこともあるので精神科に送ることができない夜間には困った事態になるのである.

 稀ではあるが,そういう患者さんが同室患者をナイフで刺して殺してしまったり,首を絞めて低酸素脳症で遷延性意識障害になった患者さんも知っている.だから,そういった事態に対応できないと思ったら精神疾患を持った患者さんがたとえ他の病気になっても搬入をお断りするという医師の考えは十分理解できるのだ.

 脳外科医ならいざとなれば鎮静剤を持続静注するという荒技も使えるから,最悪の場合は当直の一晩だけなんとか乗り切って翌日精神科のある病院に転送するということもできるが,どこの科の医師でもできることではないのだから,心と体の合併症の救急患者を受け入れる病院を確保しておくほうがいいに決っているだろう.

 でも,本当の問題は総合病院や大学病院の精神科病床の診療報酬が一般診療科より低いということであって,これが病院経営を圧迫するため全国の公的病院で精神科病床が年々削減されているということだろう.こういう事態になることはもう10年以上前からわかっていたことだろうが,要は精神科に長期入院している患者さんを病院から追い出して医療費を削減するのが厚労省の目的だったということだ.

 従ってもうひとつの問題は,厚労省も主な補助対象を内科や外科などの身体疾患も診られる総合病院に変更したとあるが,すでに地方では公的総合病院から精神科が撤退してしまっているのに今更こんなことをやっても助けにならないということだ.毎度のことだが,厚労省は自分で着けた火を自分で消せないのだからマッチポンプより始末が悪い.
今年もいよいよあと3分で終わります.

この日記を振り返ると今年も実に色々なことがあったことが思い出され,なんとか1年を無事に乗り切った実感がわいてきます.

今年はちょっと不完全燃焼気味でしたが,来年はまた心機一転して新しい事に挑戦してみたいと思っています.

今年もたくさんの方に読んでいただきありがとうございました.
来年もまたよろしくお願いいたします.

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索