大野病院事件の教訓は無い?
2009年5月8日 医療の問題 コメント (5)『強制わいせつ容疑で医師逮捕=検査で女性患者に−「故意でない」と否認
女性患者にわいせつな行為をしたとして、警視庁捜査一課と目白署は7日までに、強制わいせつの疑いで、東京都板橋区小豆沢、外科医師○○○○容疑者(53)を逮捕した。同課によると、○○容疑者は行為を認めたが、「故意ではなく、手元が狂った」として否認している。
逮捕容疑は2004年5月28日午後、勤務していた豊島区内の病院で、大腸の内視鏡検査を受けに来た都内在住の30代女性に対し、内視鏡を使い、わいせつな行為をした疑い。
同課によると、女性が行為に気付き、同容疑者に指摘したところ、故意を否定したという。』(実際には実名で報道されています.)
実は私もこれをネットで「外科医を強制わいせつ容疑で逮捕 」という見出しで見かけた時は外科医にも変なのがいるなと思った程度で内容は読まなかったのだが,その後,何回も見かけるのでちょっと興味を持ったのである.
ネットでの医師の反応は概ね内視鏡検査の偶発症としてありうる,もしくは自分も経験したという意見が多いようだが,非医師と思われる人々のネットでの意見は9割以上が「手元が狂うわけない.故意に決まっている」という調子だった.
マスコミは警察から流された情報なのでそのまま実名報道していて構わないという判断なのかも知れないが,これが裁判で無罪になったらマスコミはどう責任を取ってくれるのだろうか.大腸の内視鏡検査なんて全国で日常的に行われているのだから,この影響は単に個人への風評被害にとどまらないということがマスコミには理解できないか,あるいはそんなことには無関心なのだろう.
海外渡航歴がなく、新型インフルエンザ感染の可能性の低い発熱患者が、医療機関から診察を拒否されるケースが相次いでいることが問題になっているようだが,受診した患者が万が一新型インフルエンザでそれで病院がマスコミの餌食にされてしまうことが病院にとっては一番恐ろしいことではないだろうか.
厚労省からの通達が届いたが,それを読んでも「相談センターが『疑いなし』とした患者の診療を拒否しないように」と書かれているだけで,電話で嘘の申告をした患者がコンビニ受診して病院がトラブルに巻き込まれてもどうせ何もしてくれないだろう.
第一,新型インフルエンザでないのなら38度以下の微熱や風邪症状だけで急いで病院を受診する必要なんてないはずであるし,重症で緊急性を要する程なら感染症対策病院でもなければちゃんとした隔離もできないのである.
話が横道にそれてしまったが,大野病院事件のおかげで産婦人科医の意識は大きく変化したし,私も少なからず手術の訴訟リスクについて考えさせられる結果になったが,患者とその家族やマスコミに対する警戒心は大きくなったことは間違いない.
なぜ,この事件では5年も経って今年になってから警察に相談に行ったのかがよくわからないが,身に覚えがないのなら病院からコメントを出すべきだろうし,こういった偶発症について内視鏡学会ももっと一般に知ってもらうような努力をするべきではないだろうか.
大野病院事件からも学べないマスコミにはとっくに愛想が尽きているが,いくら素人とは言え無責任なマスコミに釣られたかのように一方的に医師を非難するようなコメントを書くのはどうだろうか.事実はどうであれ,医師だって人間だということを忘れるべきではないと私は思うのだがどうだろうか.
女性患者にわいせつな行為をしたとして、警視庁捜査一課と目白署は7日までに、強制わいせつの疑いで、東京都板橋区小豆沢、外科医師○○○○容疑者(53)を逮捕した。同課によると、○○容疑者は行為を認めたが、「故意ではなく、手元が狂った」として否認している。
逮捕容疑は2004年5月28日午後、勤務していた豊島区内の病院で、大腸の内視鏡検査を受けに来た都内在住の30代女性に対し、内視鏡を使い、わいせつな行為をした疑い。
同課によると、女性が行為に気付き、同容疑者に指摘したところ、故意を否定したという。』(実際には実名で報道されています.)
実は私もこれをネットで「外科医を強制わいせつ容疑で逮捕 」という見出しで見かけた時は外科医にも変なのがいるなと思った程度で内容は読まなかったのだが,その後,何回も見かけるのでちょっと興味を持ったのである.
ネットでの医師の反応は概ね内視鏡検査の偶発症としてありうる,もしくは自分も経験したという意見が多いようだが,非医師と思われる人々のネットでの意見は9割以上が「手元が狂うわけない.故意に決まっている」という調子だった.
マスコミは警察から流された情報なのでそのまま実名報道していて構わないという判断なのかも知れないが,これが裁判で無罪になったらマスコミはどう責任を取ってくれるのだろうか.大腸の内視鏡検査なんて全国で日常的に行われているのだから,この影響は単に個人への風評被害にとどまらないということがマスコミには理解できないか,あるいはそんなことには無関心なのだろう.
海外渡航歴がなく、新型インフルエンザ感染の可能性の低い発熱患者が、医療機関から診察を拒否されるケースが相次いでいることが問題になっているようだが,受診した患者が万が一新型インフルエンザでそれで病院がマスコミの餌食にされてしまうことが病院にとっては一番恐ろしいことではないだろうか.
厚労省からの通達が届いたが,それを読んでも「相談センターが『疑いなし』とした患者の診療を拒否しないように」と書かれているだけで,電話で嘘の申告をした患者がコンビニ受診して病院がトラブルに巻き込まれてもどうせ何もしてくれないだろう.
第一,新型インフルエンザでないのなら38度以下の微熱や風邪症状だけで急いで病院を受診する必要なんてないはずであるし,重症で緊急性を要する程なら感染症対策病院でもなければちゃんとした隔離もできないのである.
話が横道にそれてしまったが,大野病院事件のおかげで産婦人科医の意識は大きく変化したし,私も少なからず手術の訴訟リスクについて考えさせられる結果になったが,患者とその家族やマスコミに対する警戒心は大きくなったことは間違いない.
なぜ,この事件では5年も経って今年になってから警察に相談に行ったのかがよくわからないが,身に覚えがないのなら病院からコメントを出すべきだろうし,こういった偶発症について内視鏡学会ももっと一般に知ってもらうような努力をするべきではないだろうか.
大野病院事件からも学べないマスコミにはとっくに愛想が尽きているが,いくら素人とは言え無責任なマスコミに釣られたかのように一方的に医師を非難するようなコメントを書くのはどうだろうか.事実はどうであれ,医師だって人間だということを忘れるべきではないと私は思うのだがどうだろうか.