『米ジョージア州が「ロックダウン破り」、濃厚接触でも営業再開を待ちきれず
アトランタでは今週末からジムも営業再開していいことになった。
<トランプ大統領以下、ウイルス制圧より経済再開を焦る勢力が騒ぎ始めたアメリカで、ジョージア州がハイリスクのビジネス再開を決定。ウイルスの思う壺か>
新型コロナウイルス大流行の中心地であるアメリカで、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)が4月24日から幅広いビジネスの活動再開を認めると発表したことを受け、同州の複数の市長が、驚きといらだちを表明した。
ケンプは4月20日の記者会見で、ジム、フィットネスクラブ、ボーリング場、ボディアートスタジオ、理美容院、ネイルサロン、エステサロン、マッサージ店について、4月24日からまず最小限の営業活動の再開を認めると発表した。ケンプによればこの方針は、「感染者数の推移、検査数の増加、州の医療専門家の支持」にもとづき、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースが定めたガイドラインに沿って決定したものだという。
だが、ジョージア州の市長の多くは、ケンプの発表に衝撃を受けたようだ。一部はこの決定を「無謀」かつ「無責任」として、市民に引き続き外出を控えるように促している。ケンプの広報担当者は、各市長には適切な方法で通知したと主張している。
ジョージア州知事の広報責任者で最高顧問代理のキャンディス・L・ブロスは、州内の大都市の市長たちの名前を挙げて以下のように述べた。彼らだって「市政で何かを決めた時に、事前に州に通知したりはしない」
濃厚接触の業種なのになぜ
ブロスに名指しされたサバンナ市長のヴァン・ジョンソンは、CNNのインタビューで、ケンプの決定は「無謀で時期尚早で危険」と述べた。「市民にもわかるだろう」「市民には自信を持ってほしいが、科学にも従ってほしい。いまはまだ危険だ」
オールバニー市長のデゥー・ボローも同様に、州知事の決定を「無責任」と批判した。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙によればボローはこう言った。「もうこれ以上市民を守ることはできないと宣言したようなものだ。まるでUターン命令だ」
アセンズ・クラーク郡首長のケリー・ギルツも21日午前、州知事の決定にかかわらず、郡の住民には自宅にとどまるように要請したと語った。「(再開を認められる)業種は濃厚接触を伴う仕事で、だからこそ休業させられてきたというのに」
アトランタ市のケイシャ・ボトムス市長(民主党)は、ケンプの決定に「当惑している」と話した。「州知事とは仕事上、良好な関係を築いているが、この発表の前には州知事と話をしていない」とボトムスは続け、「懸念している」と述べた。
ジョージア州の公衆衛生委員を務めるキャスリーン・トゥーミー博士によれば、ケンプの決定は、経済再開のために連邦政府が示した指針に沿ったものだという。トゥーミーは、州知事とともに出席した20日の会見で、「(新たな感染者数が)横ばいになっているのはまちがいなく、減少の兆しも見える」と語った。
だが、別の医療専門家は懸念を表明している。
「きわめてリスクが大きい」。ハーバード大学公衆衛生大学院のマーク・リプシッチ疫学教授は、アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙にそう話す。「営業再開が広がれば、ジョージアで再び感染拡大が起こるのはほぼまちがいない。人々の接触が増えるのをウイルスはひたすら待っている。ウイルスの思う壺だ」
感染者も死者も減っていない
ホワイトハウスが各州に出した指針では、自治体が経済活動を再開するためには、確認された症例数と死者数が2週間にわたって減少している必要がある。また、さらなる感染拡大を効率的に捕捉して食い止めるために、検査能力と接触追跡能力を大幅に拡大させる必要もある。
4月21日午後の時点で、人口約1000万人のジョージア州で確認された新型コロナウイルスの感染者数は1万9881人近くにのぼる。うち799人が死亡し、3779人が入院している。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙がまとめたコロナウイルスの追跡データでは、確認された症例数と死者数のどちらについても、ホワイトハウスの勧告する「2週間にわたる一貫した減少」は見られていない。それに検査数が増えたといっても、ジョージア州は今も人口あたりの検査数がもっとも少ない州のひとつだ。』
日本でもパチンコ店が槍玉に上げられているが、ジョージア州が「ロックダウン破り」してジム、フィットネスクラブ、ボーリング場、ボディアートスタジオ、理美容院、ネイルサロン、エステサロン、マッサージ店の営業活動の再開を認めたとなれば、住民はそういった濃厚接触の可能性のある場所に行くのか行かないのかを自分で決めなければならなくなる。
つまりは自粛するのかしないのかを住民の自主性にまかせた場合に感染の広がりがどうなるかという疫学的な大実験場がジョージア州に誕生するわけだ。
もちろん、人種差、男女差、そして居住する都市や地区ごとの感染者数の変化を見ることができるわけで、考えようによっては自粛解除時期の判断にも大いに役立つ可能性はあるだろう。
とは言え、ジョージア州内にいる新型コロナウィルスの恐ろしさを感じている人にとってはまさに悪夢のような事態だろう。
もっとも、自分の身は自分で守るのが原則の米国では生活を規制されることが死ぬより嫌な人もいるのだろう。
これが本当はどんな結果をもたらすのかはわからないが、今後の経過は注目に値するものだろう。
追記)
『トランプ氏「早過ぎる」と反対 米ジョージア州の娯楽施設再開に
【ワシントン時事】トランプ米大統領は22日の記者会見で、南部ジョージア州が新型コロナウイルス対策のため閉鎖されていたボウリング場などの再開を認める方針を決めたことについて、「早過ぎる」と反対を表明した。
専門家からの懸念を考慮したとみられる。
トランプ氏は、理髪店や日焼けサロン、映画館などの再開を決めた同州のケンプ知事(共和党)の判断について「強く反対する」と表明。一方、「彼には自分が正しいと思ったことをしてほしい」とも述べ、必ずしも撤回を求めない考えを示唆した。 』
アトランタでは今週末からジムも営業再開していいことになった。
<トランプ大統領以下、ウイルス制圧より経済再開を焦る勢力が騒ぎ始めたアメリカで、ジョージア州がハイリスクのビジネス再開を決定。ウイルスの思う壺か>
新型コロナウイルス大流行の中心地であるアメリカで、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)が4月24日から幅広いビジネスの活動再開を認めると発表したことを受け、同州の複数の市長が、驚きといらだちを表明した。
ケンプは4月20日の記者会見で、ジム、フィットネスクラブ、ボーリング場、ボディアートスタジオ、理美容院、ネイルサロン、エステサロン、マッサージ店について、4月24日からまず最小限の営業活動の再開を認めると発表した。ケンプによればこの方針は、「感染者数の推移、検査数の増加、州の医療専門家の支持」にもとづき、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースが定めたガイドラインに沿って決定したものだという。
だが、ジョージア州の市長の多くは、ケンプの発表に衝撃を受けたようだ。一部はこの決定を「無謀」かつ「無責任」として、市民に引き続き外出を控えるように促している。ケンプの広報担当者は、各市長には適切な方法で通知したと主張している。
ジョージア州知事の広報責任者で最高顧問代理のキャンディス・L・ブロスは、州内の大都市の市長たちの名前を挙げて以下のように述べた。彼らだって「市政で何かを決めた時に、事前に州に通知したりはしない」
濃厚接触の業種なのになぜ
ブロスに名指しされたサバンナ市長のヴァン・ジョンソンは、CNNのインタビューで、ケンプの決定は「無謀で時期尚早で危険」と述べた。「市民にもわかるだろう」「市民には自信を持ってほしいが、科学にも従ってほしい。いまはまだ危険だ」
オールバニー市長のデゥー・ボローも同様に、州知事の決定を「無責任」と批判した。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙によればボローはこう言った。「もうこれ以上市民を守ることはできないと宣言したようなものだ。まるでUターン命令だ」
アセンズ・クラーク郡首長のケリー・ギルツも21日午前、州知事の決定にかかわらず、郡の住民には自宅にとどまるように要請したと語った。「(再開を認められる)業種は濃厚接触を伴う仕事で、だからこそ休業させられてきたというのに」
アトランタ市のケイシャ・ボトムス市長(民主党)は、ケンプの決定に「当惑している」と話した。「州知事とは仕事上、良好な関係を築いているが、この発表の前には州知事と話をしていない」とボトムスは続け、「懸念している」と述べた。
ジョージア州の公衆衛生委員を務めるキャスリーン・トゥーミー博士によれば、ケンプの決定は、経済再開のために連邦政府が示した指針に沿ったものだという。トゥーミーは、州知事とともに出席した20日の会見で、「(新たな感染者数が)横ばいになっているのはまちがいなく、減少の兆しも見える」と語った。
だが、別の医療専門家は懸念を表明している。
「きわめてリスクが大きい」。ハーバード大学公衆衛生大学院のマーク・リプシッチ疫学教授は、アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙にそう話す。「営業再開が広がれば、ジョージアで再び感染拡大が起こるのはほぼまちがいない。人々の接触が増えるのをウイルスはひたすら待っている。ウイルスの思う壺だ」
感染者も死者も減っていない
ホワイトハウスが各州に出した指針では、自治体が経済活動を再開するためには、確認された症例数と死者数が2週間にわたって減少している必要がある。また、さらなる感染拡大を効率的に捕捉して食い止めるために、検査能力と接触追跡能力を大幅に拡大させる必要もある。
4月21日午後の時点で、人口約1000万人のジョージア州で確認された新型コロナウイルスの感染者数は1万9881人近くにのぼる。うち799人が死亡し、3779人が入院している。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙がまとめたコロナウイルスの追跡データでは、確認された症例数と死者数のどちらについても、ホワイトハウスの勧告する「2週間にわたる一貫した減少」は見られていない。それに検査数が増えたといっても、ジョージア州は今も人口あたりの検査数がもっとも少ない州のひとつだ。』
日本でもパチンコ店が槍玉に上げられているが、ジョージア州が「ロックダウン破り」してジム、フィットネスクラブ、ボーリング場、ボディアートスタジオ、理美容院、ネイルサロン、エステサロン、マッサージ店の営業活動の再開を認めたとなれば、住民はそういった濃厚接触の可能性のある場所に行くのか行かないのかを自分で決めなければならなくなる。
つまりは自粛するのかしないのかを住民の自主性にまかせた場合に感染の広がりがどうなるかという疫学的な大実験場がジョージア州に誕生するわけだ。
もちろん、人種差、男女差、そして居住する都市や地区ごとの感染者数の変化を見ることができるわけで、考えようによっては自粛解除時期の判断にも大いに役立つ可能性はあるだろう。
とは言え、ジョージア州内にいる新型コロナウィルスの恐ろしさを感じている人にとってはまさに悪夢のような事態だろう。
もっとも、自分の身は自分で守るのが原則の米国では生活を規制されることが死ぬより嫌な人もいるのだろう。
これが本当はどんな結果をもたらすのかはわからないが、今後の経過は注目に値するものだろう。
追記)
『トランプ氏「早過ぎる」と反対 米ジョージア州の娯楽施設再開に
【ワシントン時事】トランプ米大統領は22日の記者会見で、南部ジョージア州が新型コロナウイルス対策のため閉鎖されていたボウリング場などの再開を認める方針を決めたことについて、「早過ぎる」と反対を表明した。
専門家からの懸念を考慮したとみられる。
トランプ氏は、理髪店や日焼けサロン、映画館などの再開を決めた同州のケンプ知事(共和党)の判断について「強く反対する」と表明。一方、「彼には自分が正しいと思ったことをしてほしい」とも述べ、必ずしも撤回を求めない考えを示唆した。 』
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