『インフル集団感染1人死亡、広島 男性患者、院内歩き拡大

 広島県竹原市の安田病院は10日、入院患者や職員ら計93人が院内でインフルエンザに集団感染し、入院していた女性患者(81)が死亡したと発表した。

 病院によると女性は5日に発症し、インフルエンザ肺炎で9日に死亡した。感染者は入院患者46人、病院と同じ医療法人が併設する介護老人保健施設「まお」の入所者20人、両施設の職員27人の計93人。県の医務課によると10日現在、有症者は30人に減少したという。

 病院側は「説得はしたが、最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを止めることができなかった」と説明。「感染が広まり、申し訳なく思う」と入院患者と家族に謝罪した。』

 もし,「最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを止めることができなかった」ために女性患者(81)が死亡したというのが事実であるなら,この男性患者は業務上過失致死だろうし,病院もそのような患者を入院させていたことに対する管理責任を問われ少なくとも死亡した患者の家族から損害賠償請求されることになるのではないだろうか.

 インフルエンザは通常誰から誰に感染したかを特定することはできないが,原因がわかっていたのに院内感染に対する防御ができなかったというのが事実であれば,エイズウィルス感染患者が自分が感染者であることを自覚していながら,他者に感染させた場合と同様に罪に問われても不思議ではない.管理者として職員全員に予防接種をしていたかどうかも問われるだろう.

 そもそも,こんなことを入院患者と家族に謝罪した病院にもそうとう問題があるだろうと思うが,科学的な根拠もなくこの男性患者がすべての原因かのように言ったのであれば,この男性からも名誉毀損で訴えられる可能性もあるだろう.院内感染の責任逃れに男性患者の話をしたのかもしれないが,責任を逃れるどころかむしろ問題をこじらせるだけに終わるのではないだろうか.

 いずれにしても,医師の言うことを聞かず院内を歩き回るような患者をそのまま入院させていたことが間違いだったように思うのだがどうだろうか.

訂正)本文中の「業務上過失致死」を「傷害罪もしくは傷害致死罪」に訂正します.

コメント

loving-c.
2015年1月12日6:52

>もし,「最初に感染した男性患者が院内を歩き回るのを
>止めることができなかった」ために女性患者(81)が死亡したというのが
>事実であるなら,この男性患者は業務上過失致死だろう
失礼ながら犯罪は成立しないと思います。

まず、業務上過失致死は成立しないでしょう。
業務上過失致死における「業務」とは、
他人の危険を防止すべき社会的地位であるところ、
男性にはそのような社会的地位はなさそうです。

また、ただの過失致死も成立しないでしょう。
たしかに、インフルに感染しているのに病院内を歩き回るのは不用意です。
しかし、過失致死罪が成立するためには、
次の2つの要件を満たさなければならないのです。
1)人が死ぬかもしれない結果を予測できること、つまり予見可能性。
2)人が死ぬような結果を避けられる行動を怠ったこと、つまり結果回避義務違反。
しかし、まず男性が人の死亡という結果を予測できたか、大いに疑問です。
また、病院内を歩き回るという日常的な行動が、
結果回避義務違反とは言えるとは思えません。

そして、仮に過失致死が成立しても、
検察庁はこのような事件を起訴しないでしょう。
なぜなら、刑事訴訟法第248条には次のように定められているからです。
「第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、
犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、
公訴を提起しないことができる。」

刑法第210条で過失致死罪に対して定められている刑は
最も重くて50万円の罰金なので、過失致死は刑法上は軽い犯罪でいす。

また、インフルの患者が病院内を歩き回るなんてことはありふれていますので、
情状は悪質とは言えません。

したがって、検察庁がこんな問題を起訴するとは思えないのです。


ジェンウェイ
2015年1月12日9:28

横から申し訳ありません。
傷害致死罪なら成立するのでしょうか?
教えていただければ幸いです

loving-c.
2015年1月12日9:31

ジェンウィイさん

傷害致死も、インフルの患者に暴行の故意がなければ、成立しません。

ブログ脳外科医
2015年1月12日9:45

「インフルの患者が病院内を歩き回るなんてことはありふれています」ということはないです.少なくとも入院患者に関しては病室に隔離しています.業務上過失致死ではなかったですね.でも,病院が他の患者に感染する危険性を説明し,病室に隔離しようとしていたのに指示に従わなかったのであれば,他人に危害が及んでもいいと考えていたわけですから十分な悪意があると思います.死亡した患者の家族がこの男性や病院を訴えた場合は民事訴訟ではどうなるのでしょうか.

loving-c.
2015年1月12日11:49

>「インフルの患者が病院内を歩き回るなんてことはありふれています」
>ということはないです.少なくとも入院患者に関しては病室に隔離しています.
そうでしたか。申し訳ありません。

>でも,病院が他の患者に感染する危険性を説明し,
>病室に隔離しようとしていたのに指示に従わなかったのであれば,
>他人に危害が及んでもいいと考えていたわけですから十分な悪意があると思います.
こういう理論は十分に成り立ちます。
ただ、この理論を有罪判決のために必要な合理的な疑いを超えて立証することは、
不可能に近いと思います。

>死亡した患者の家族がこの男性や病院を訴えた場合は
>民事訴訟ではどうなるのでしょうか.
病院は間違えなく敗訴して、損害賠償や慰謝料を払う責任を負うでしょう。
ただインフルの患者が損害賠償責任を負うかについては、
肯定的な意味でも否定的な意味でも断言しかねます。

ケスイダ
2015年1月12日22:12

小児科では
「既に発熱しているこども」

「発熱してないこども」
用に
玄関が2つに分かれているというのに

安田病院は
「疫病拡散に関する回避措置を考える
という事柄を放棄した」
としか思えません

「ビタミン剤を打ちますね~」等と
眠り薬を注射し
隔離すれば済む事

法律がどうとか
その様なレベルでは無く
安田病院のスタッフには
「自分が医療に携わる人間」
である自覚が足りず

安田病院のドクターは
「医療従事者として
腹を括っていない」
という

お粗末な事柄ですね
何らかの方法で防ぐ方法があっただけに
残念です

感染した職員から
家族や
こどもに
2次感染して居ない事を祈ります

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