『高齢者救急、元の生活の場に戻った人は約半数

 自宅や介護施設から救急病院に運ばれた高齢者のうち、1か月後に元の生活の場に戻れた人は約半数に過ぎず、ある程度回復しても約2割が救急病院にそのまま入院し続けていた、との調査結果を、東京都医師会救急委員会がまとめた。

 29日、福岡市で開かれる日本救急医学会で発表する。

 調査は、東京都指定2次救急医療機関254病院が対象。2012年10月の1週間に入院した救急患者の1か月後の状態をアンケートし、191病院から回答を得た。この間の救急患者6083人のうち6割(3575人)が65歳以上。

 搬送前の生活場所別に分析すると、介護施設から搬送された高齢者354人のうち、介護施設に戻れたのは50%。23%が1か月後も救急病院で入院を続けていた。慢性期患者に対応する別の医療機関に転院した人は4%。死亡は11%だった。

 自宅から搬送された高齢者2400人のうち、自宅に戻れたのは57%。約17%が、そのまま入院を継続していた。別の医療機関に移ったのは7%だった。

 他の医療機関から搬送された高齢者490人では、22%が入院を継続しており、退院し他の医療機関に移れたのは12%にとどまった。』

 今日も施設入所中の高齢者が半身の麻痺で救急車で運ばれてきた.施設にはかかりつけ医という開業内科医がいるはずなのだが,意識障害や麻痺があるとかかりつけ医はパスして脳神経外科のある病院に直接救急車で来るのがいつものことである.

 発症時に自分で椅子に座っていることもできないほどの麻痺があれば高齢者の場合は自立歩行ができるようになることはほとんどなく,大抵の場合は寝たきりに近い状態になるので施設に帰れるほどまで回復する可能性はほとんどない.

 この記事にある介護施設に戻れたのは50%というのは妥当な数値だろうと思うが,1ヶ月で帰れる人は少ないだろうし20%くらいの人はそのまま療養型の病棟に移って死ぬまで入院することになっているのではないだろうか.

 最近よくあるのは独居または夫婦だけで生活していた80歳以上の高齢者が脳梗塞で入院し自宅に帰れなくなり施設入所ができるまで回復しても施設に空きがなくて空き待ちのために入院期間が延びるというケースである.

 介護者がいれば自宅に帰ることができるまでに回復しても,一人暮らしで家族も引き取ることができないとか,介護者が高齢な配偶者一人という場合はやはり自宅に帰ることができないから施設入所待ちになってしまうのである.

 高齢者の脳卒中は回復にも時間がかかるが,回復しても自宅には帰れず退院先がなかなか決まらない場合が多い.しかし,急性期病棟というのは入院日数も限られているので回復期病棟でリハビリテーションをしながら施設を探すというケースが非常に多いのである.

 これからますます高齢者の脳卒中患者が増えるのは確実であるが,病院の病床数には限りがあるので,いつかは破綻することになるのではと心配になるのであるが,厚労省は一体どうするつもりなのであろうか.

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