『首都高事故、睡眠時無呼吸症候群の被告に禁錮刑
東京・有明の首都高速湾岸線で2012年、居眠り運転の車に追突されて税関職員6人が死傷した事故で、東京地裁(大善文男裁判長)は4日、自動車運転過失致死傷罪に問われた無職賀沢かざわ武被告(72)に禁錮5年6月(求刑・禁錮7年)の判決を言い渡した。
被告側は、居眠りは睡眠時無呼吸症候群(SAS※)が原因だとして無罪を主張したが、判決は「SASでも眠気を感じてから眠るまで時間があり、停車するなど事故を回避できたはずだ」と退けた。被告側は控訴する方針。
判決によると、賀沢被告は12年7月11日、自動車運搬用キャリアカーを時速70~80キロで運転中に眠り、東京税関のワゴン車に追突。26~40歳の税関職員の男性4人が死亡、同じ職員の男女2人が重傷を負った。
事故後に重度のSASと診断された賀沢被告は、「突然眠りに落ちた」と過失を否定したが、判決では、被告を診察した2人の専門医の証言から「眠気を感じながら漫然と運転を続けた」と認定。「何の落ち度もない4人の命が奪われており、過失は重大だ」と述べた。』
『3人重軽傷の事故 低血糖で運転の男逮捕
先月30日、大阪・ミナミでワゴン車が暴走し、3人が重軽傷を負った事故で、低血糖の状態で事故を起こした疑いで運転手の男が逮捕された。
自動車運転死傷処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、大阪市福島区の会社員・宮谷則幸容疑者(65)。宮谷容疑者は先月30日、大阪・ミナミの御堂筋で、低血糖の状態でワゴン車を運転し、男女3人に重軽傷を負わせた疑い。事故直後の血液検査で血糖値が正常値よりも低かったことなどから警察は低血糖状態での危険運転だったと判断した。
宮谷容疑者は糖尿病で1日3度のインスリン注射が必要だったが、事故当日は多忙で、昼食を取れなかったという。調べに対し宮谷容疑者は、「この時のことをまったく覚えていません。低血糖になるとは思っていませんでした」と話している。』
前者は「自動車運転過失致死傷罪」,後者は「自動車運転死傷処罰法違反」と病気が原因で事故を起こしても病気の種類で適用される法律が違うように見える.
「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気」として指定されているものは,統合失調症,てんかん,再発性の失神,無自覚性の低血糖症.そううつ病,重度の眠気の症状を呈する睡眠障害がある.
重度のSASは,「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」に該当すると考えられるが,罪名が自動車運転過失致死傷罪となっていることから,これは「自動車運転死傷処罰法」が施行された2014年05月20日以前の事故だったためだろう.
病気に関しては,「病気にかかっ ているということだけではなく,病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,その状態であ ることを自分でも分かっていながら自動車を運転し,その結果,病気のために正常な運転が困難な状態になり,人を死亡させたり,負傷させたりした という要件が全て満たされたときに成立する.」ということらしい.
私は法律には詳しくないので,「病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」というところがどうもひっかかるのである.問題はどの程度の確率で発作などが起こる場合に支障が生じるおそれがあると判断されるのかだ.
脳神経外科領域の疾患では,頭部外傷後や脳血管疾患,あるいは脳腫瘍などに症候性てんかんが合併することがあるが,受傷後や発症後に一度も発作を起こしていなくとも可能性はゼロではない.
当然これらの疾患では脳外科医がてんかん発作の合併の話をするしたとえ発作を起こしていなくとも抗てんかん薬を服用してもらうことがあるが,それをすべて「病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」なのかどうか,そこが疑問なのである.
東京・有明の首都高速湾岸線で2012年、居眠り運転の車に追突されて税関職員6人が死傷した事故で、東京地裁(大善文男裁判長)は4日、自動車運転過失致死傷罪に問われた無職賀沢かざわ武被告(72)に禁錮5年6月(求刑・禁錮7年)の判決を言い渡した。
被告側は、居眠りは睡眠時無呼吸症候群(SAS※)が原因だとして無罪を主張したが、判決は「SASでも眠気を感じてから眠るまで時間があり、停車するなど事故を回避できたはずだ」と退けた。被告側は控訴する方針。
判決によると、賀沢被告は12年7月11日、自動車運搬用キャリアカーを時速70~80キロで運転中に眠り、東京税関のワゴン車に追突。26~40歳の税関職員の男性4人が死亡、同じ職員の男女2人が重傷を負った。
事故後に重度のSASと診断された賀沢被告は、「突然眠りに落ちた」と過失を否定したが、判決では、被告を診察した2人の専門医の証言から「眠気を感じながら漫然と運転を続けた」と認定。「何の落ち度もない4人の命が奪われており、過失は重大だ」と述べた。』
『3人重軽傷の事故 低血糖で運転の男逮捕
先月30日、大阪・ミナミでワゴン車が暴走し、3人が重軽傷を負った事故で、低血糖の状態で事故を起こした疑いで運転手の男が逮捕された。
自動車運転死傷処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、大阪市福島区の会社員・宮谷則幸容疑者(65)。宮谷容疑者は先月30日、大阪・ミナミの御堂筋で、低血糖の状態でワゴン車を運転し、男女3人に重軽傷を負わせた疑い。事故直後の血液検査で血糖値が正常値よりも低かったことなどから警察は低血糖状態での危険運転だったと判断した。
宮谷容疑者は糖尿病で1日3度のインスリン注射が必要だったが、事故当日は多忙で、昼食を取れなかったという。調べに対し宮谷容疑者は、「この時のことをまったく覚えていません。低血糖になるとは思っていませんでした」と話している。』
前者は「自動車運転過失致死傷罪」,後者は「自動車運転死傷処罰法違反」と病気が原因で事故を起こしても病気の種類で適用される法律が違うように見える.
「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気」として指定されているものは,統合失調症,てんかん,再発性の失神,無自覚性の低血糖症.そううつ病,重度の眠気の症状を呈する睡眠障害がある.
重度のSASは,「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」に該当すると考えられるが,罪名が自動車運転過失致死傷罪となっていることから,これは「自動車運転死傷処罰法」が施行された2014年05月20日以前の事故だったためだろう.
病気に関しては,「病気にかかっ ているということだけではなく,病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,その状態であ ることを自分でも分かっていながら自動車を運転し,その結果,病気のために正常な運転が困難な状態になり,人を死亡させたり,負傷させたりした という要件が全て満たされたときに成立する.」ということらしい.
私は法律には詳しくないので,「病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」というところがどうもひっかかるのである.問題はどの程度の確率で発作などが起こる場合に支障が生じるおそれがあると判断されるのかだ.
脳神経外科領域の疾患では,頭部外傷後や脳血管疾患,あるいは脳腫瘍などに症候性てんかんが合併することがあるが,受傷後や発症後に一度も発作を起こしていなくとも可能性はゼロではない.
当然これらの疾患では脳外科医がてんかん発作の合併の話をするしたとえ発作を起こしていなくとも抗てんかん薬を服用してもらうことがあるが,それをすべて「病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」なのかどうか,そこが疑問なのである.
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