モーグルはショーなの?
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『最速4位「全部、全力」上村納得、集大成の滑り

 3位につけて迎えた決勝3回目の最終滑走者、ハナ・カーニー(米)にミスが出たが、それでも得点で上回られ2大会連続の4位。「これは取れたかなと思ったけど、(順位掲示を見て)『はい、分かりました』という感じだった」と納得した表情で振り返った。

 1番手で登場した上村は、第1エアで横1回転の空中技を決めると、こぶの間隔が不規則な難コースをものともせず、スピードに乗って直線的に滑り降りた。第2エアは後方宙返りを着地までまとめた。タイムは6人中、ただ1人30秒台の30秒46と最速。エア点もまずまずだったが、得意のターン点が伸びなかった。

 今季のワールドカップ(W杯)では、開幕戦で3位に入った後は決勝2回目に1度も進めなかった。しかし、五輪に最高の状態で臨めるようにだけ考えて、入念に準備してきた。12人が次に進める決勝1回目は9位、2回目は最下位通過の6位で、「次に残れるかどうか分からないぎりぎりのラインだったので、これで最後かもと毎回思っていた」。それでも、1998年長野大会から、毎回成長した姿を見せてきた舞台で、「全部、全力でアタックできていた。攻めきれたのはすごく良かった」と言い切れる、集大成の滑りを続けた。

 日本勢は伊藤に続き、決勝直前に村田も負傷して棄権。「チームみんなで上に行けたらいいねとやってきた。けがで悔しい思いをした選手のためにも、後ろを向いている場合じゃないと開き直った」。メダルには届かなかったが、期待を一身に背負う中で、世界トップレベルの実力を確かに発揮した。日本女子のエースは、やはり上村だった。』

 ハナ・カーニーの滑りが上村選手より上だと思った人はいないんじゃないだろうか.優勝したジュスティーヌ・デュフールラポワントは確かに凄かったが,2位のクロエ・デュフールラポワントははっきり言って遅かった.タイムが1秒以上も遅いのにポイントが0.5しか違わないなんてレースではない.

 審判の数を見てもわかるように結局モーグルはターンの美しさを競う競技なのだろう,つまりそれはフィギュアスケートと同類ということだ.それでも上村選手は果敢に攻めて最速でゴールした.結果としてターンスコアを低くジャッジされてメダルは取れなかったけれども最後に自分が満足できる最高の滑りをしたのだからそれで良かったのだと思う.

 私は,スキーは速さや飛距離を競うものだと思っているから,上村選手のような滑りは好きだ.スピードを落としてきれいなターンを見てもらうのもいいのかもしれないが,スキーの本当の面白さはやはり速く斜面をくだることにあると思うのだ.

追記:
『上村がカーニーに負けた理由

 モーグル女子の上村愛子が、またメダルを逃した。18歳で初出場した98年長野五輪で7位、以後大会ごとに6位、5位、4位と順位を上げて5大会目を迎えていた。06年トリノ大会では「そろそろ(メダルを)もらえると思っていたのに」と目を腫らし、10年バンクーバー大会では「なんで一段一段なんだろう」と涙した。しかし、今度はその一段が上がれなかった。

 女王カーニーが滑り終えた時、上村は銅メダルだと思った。滑りがきれいだったし、スピードも速かったからだ。ところが、表彰台に滑り込んだのはカーニーだった。上村の20・66点に対して、カーニーは21・49点。その差は0・83点。メダルへの最後の「一段」は意外なほど大きかった。

 モーグルは採点競技で、ターン、エア、スピードで争われる。最も重視されるのはターン点で合計30点満点のうち50%の15点。エアとスピードは各25%で7・5点が満点になる。派手なエアに目が行きがちだが、最も大切なのはターン。こぶを巧みに滑る技術を争うのが、この競技なのだ。

 上村とカーニーの得点を比べてみた。スピードは30秒46で5・86点の上村が、31秒04で5・63点のカーニーを上回っていた。ところが、エアはカーニーが4・76点で4・20の上村を引き離している。そして、最も重要なターン。10・6点の上村に対して、カーニーは11・1点。審判5人のうち米国は3・9と3・5と大差、残る4人(フランス、ロシア、オーストリア、チェコ)も、いずれもカーニーを上としている。上村はターンで劣っていたのだ。

 上村のターンは、世界でもトップレベルと言われている。スキーのエッジで確実に雪面をとらえ、こぶをクリアしていく。「カービング」の技術だ。しかし、10年バンクーバー五輪前に採点基準が見直され、スキーを横に滑らせることへの減点が緩和された。

 雪面を受ける力をすべて受け止める上村に対して、カーニーやデュフールラポワントはスキーのテールを小さくずらしながら、雪面に逆らわずに滑った。以前なら減点となった滑りが、高得点を生んだのだ。

 上村は試合後「点も見ずに泣いていた」と言った。「いい滑りができた」と。自分ではどうしようもないルールや採点基準の変更。その中で、5度の五輪に挑戦してきた。「点数は点数で」という言葉に感じたのは「点数よりも自分の最高の滑りを」という強い気持ちだった。得点がどうであれ、この日1番「こぶをうまく滑った」のが上村だったことは間違いない。』

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