群がるハエやゴキブリか
2014年2月2日 社会の問題『東電に骨抜きにされるメディアと政治家~高級料亭接待、パーティー券購入…体験者が明かす
原発再稼働を訴える甘利明経済再生相のパーティー券を、2006年に甘利氏が経済産業相に就任して以降、原発を持つ電力会社9社が分担して購入していたと1月27日付朝日新聞が報じた。
東京電力を筆頭に関西電力、九州電力など原発を持つ会社が政治資金規正法上の報告義務がない20万円以下に抑えて購入しており、11年の東電福島第一原発事故以降、東電はさすがに購入をやめているが、その他の電力会社は分担購入を続けていたという。法の抜け穴を利用したパーティー券の購入という名の「献金」のやり方は、いかにもかつて隆盛を誇った東電総務部のやり方だと妙に納得した。
商工族の大物議員でエネルギー政策に強い甘利氏の取り込みは、89年に旧通商産業政務次官に就任した時から始まったとみていい。「次世代を担う商工族議員に育てようと旧通産省がまず目をつけ、資源エネルギー庁に代わり日本のエネルギー政策を実質的に牛耳っていた東電が、旧通産省・エネ庁官僚と歩調を合わせて、囲い込みを始めた」と、当時を知る元通産官僚は言う。
甘利氏は当初、新自由クラブで出馬し当選している。その頃は、まったく眼中に入れてもらえなかったが、新自由クラブの解党に伴い自民党に所属することで、商工族議員の道を歩き始める。「まさに、20年かけて育て上げた“族議員”です。カネと労力を最もかけたのは東電総務部です。甘利さんも長年の恩義がありますし、原発をなくすという発想が出てこないほど長年にわたって洗脳された」と、前出の通産官僚は明かす。
こうした東電総務部の工作活動は、政官界のみならず、メディアにも広がっていたことはよく知られた話だ。
筆者もかつて東電総務部から接待を受けたことがある。フリーランスで大して名前の売れていない筆者を接待したのは、将来的に“族ライター”に育てたいという意識があったからだと推察される。当時の東電には、そういうことができるだけのカネも力もあった。なぜそう言いきれるのか。私自身の体験を少し綴ってみたい。
●高級レストランでの接待
最初の接触は、絶対に断れない筋から来た。事前に人間関係や政治的立ち位置、嗜好などは念入りにチェックされていたのだろう。東京・溜池山王にある高級中華レストラン「聘珍楼」の個室に招待を受けたのは、甘利氏のパーティー券の極秘購入が明らかになったのと同じ06年だったというのは、なんとも奇遇である。フカヒレのスープや海老、鮑などの高級食材を使ったお料理のコースだったので、恐らく一人1万5000円は下らなかったはずだ。驚くのは、中華レストランなので紹興酒が出てくるのかと思いきや、「ワインに造詣が大変深いそうで」と、ドンペリで乾杯。その後も、ブルゴーニュのグランクリュ(90年代ビンテージ)という豪華さであった。帰りには、お土産の紙袋を渡され、タクシーが表で待っているという用意周到さ。しかも、お土産の中身は遊園地のチケットとアロマテラピーセットという、女性相手でも決して気を抜かない芸の細やかさには、感心を通り越して怖くなったのを覚えている。
翌日、お礼状とお菓子を送ったところ、再びのお誘いがあったが、多忙を理由にお断りした。そのあたりの相手の出方を窺う機微にも優れており、その次に声が掛かったのは、豪華接待から半年後ぐらいだったように思う。
東電総務部から「持ち寄りでワイン会をしませんか?」という連絡が来た。前回のこともあり心苦しさを感じていた私は、「持ち寄りなら」と1万円程度のワインをセラーから選び、指定の場所に向かった。聖路加タワー内の「明石施設」とだけ書いてあったので、普段着でワイン片手に出かけると、タワーのほぼ最上階にあったその接待用飲食施設は、エレベーターが開いた途端、和服の女性からお出迎えを受ける、東電役員専用の豪華料亭であった。だだっ広いお座敷に通されると、懐石料理のコースが次々と運ばれてくる。
他の出席者は大手新聞社や通信社の経済部の記者やデスクで、手ぶらで来ている人がほとんどであった。だが、机上には、最低でも数万円はするワイン・オーパスワンがずらりと並ぶ。他の出席者らはオーパスワンのグラスを片手に、「最近、(東電)広報の対応が悪い」「もう少し記事になるような話はないのか」とご馳走になりながらも注文をつける姿をみて、ものすごく“新鮮”な気持ちになったのを覚えている。
確かに食事もお酒も美味しかったが、後ろめたさを感じた筆者は翌週、少し高めのワインを送った。すると、数日後にはその約3倍の値段はするワインが宅急便で届き、「個人でこれ以上の抵抗は無理だ。ヤクザと一緒で一度関係を持ったら逃れられない」と、自分自身を納得させた。
●政治家のパーティー券を購入
その後、07年に新潟県中越沖地震が起きて東電柏崎刈羽原発の使用が停止。再稼働の働きかけを行っている内に自民党から民主党への政権交代が起き、「お願いルート」に変化が生じた。
筆者のところに久しぶりに東電総務部から連絡が来たのは、その頃だ。「新潟県選出の某民主党議員を紹介してほしい」と、名指しで仲介を頼まれ、過去の経緯があるので、私はその議員と東電の会食をセットすることにした。
了承がとれた旨を連絡すると、指定されたのは、銀座の超高級フレンチ「アピシウス」。豪奢なエントランスに絵画とシャンデリアが眩しい個室に、ひとり最低3万円はするコース料理がしずしずと運ばれてくる。「紹介のお礼に、今夜はいいワインを用意しました」と、出てきたのは、「ラ・ターシュ」(推定価格10万円)。もう楽しもうと腹を括って飲み食いを始めた筆者の耳に、驚くべき会話が飛び込んできた。
「パーティー券ではお世話になりました」と、頭を下げる民主党議員に対して、「いえいえ、あの程度しかお手伝いできずに」と、総務担当者が応じているではないか。「了承がとれました」と伝えた翌日には、その議員の部屋を訪れ、近くパーティーがあると知った彼らは、20万円以内でパーティー券を購入していたのだった。
その手腕と素晴らしい料理の味わいに感動していると、さらに耳を疑う会話は続くのだった。「今度、柏崎刈羽原発の視察にご家族の方とも一緒にどうぞ。ホテルも食事もこちらで手配します」という東電サイドの申し出に対して、その民主党議員は「よろしいんですか? いやあ、申し訳ないなあ」と喜んで受けただけでなく、「1日も早く再稼働できるよう、お力になれれば」と、頼まれてもいないのに自ら再稼働の約束をしていたのだった。
その後、11年に東日本大震災が起き、筆者と東電総務部が接点を持つことはなくなったが、今回の甘利氏のパーティー券問題は恐らく電力会社と政界との関係を明らかにする「始まり」にすぎないだろう。与野党を問わず、政界工作に励んでいた彼らの手口をほんの少しだが垣間見た筆者からすれば、今回発覚した甘利事件は単なる「入り口」にすぎない。
しかし、東電が政官界だけでなく、マスコミにも抜かりなく手を打っていたこともまた事実だ。東電問題が電力会社と政界との関係を暴く端緒になるかどうか、メディアの姿勢が問われている。 (文=水谷茉莉花/フリーライター)』
こんな政治家やマスゴミしか今の日本にはいないんでしょうかね.こういうことなら原発再稼働が現政権での既定路線になっているのにも納得出来ますが,これでいいんでしょうか.なんとも情けない話しですね.
『核のごみ最終処分場:「シナリオ」小泉発言機に急加速
◇経産省幹部「実現性ない」
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分を巡り、経済産業省の有識者会議の議論が、処分場選定の難しさを理由に脱原発を訴えた小泉純一郎元首相の発言(昨年11月)を機に、急に加速していたことが分かった。議論を経ずに打ち出した方針もあり、原発が争点化した東京都知事選(9日投開票)や夏にも予想される原発再稼働を見据え、政府は解決策の提示に躍起だ。一連の方針は、経産省が昨年5月に極秘で取りまとめた内部文書に記載されており、有識者会議の委員に伏せたまま「シナリオ」を決めていた形だ。
小泉氏は昨年11月12日の記者会見で「原発を再稼働すれば(核の)ごみが増えていく。処分場が見つからないなら出直した方がいい」と主張した。処分場選定が絶望視されている以上「原発即ゼロ」という論理で、原子力政策が争点化した都知事選の「源流」はこの発言にある。
経産省の内部文書は昨年5月17日付の「分野別政策資料」(通称ポリシーペーパー)。省が管轄するほぼ全分野に及ぶ内容で、A4判178ページ。37〜40ページに最終処分に関する記載があり「今後の取り組み強化策」として7項目の対策を列挙している。資源エネルギー庁関係者は「茂木敏充経産相の就任後、初めて作成した。内容は経産相と相談して決めており、省の正式な方針」と明かした。
昨年5月に始まった経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」に設置された有識者会議は当初、事務局案なしで論議された。委員の寿楽浩太・東京電機大助教(科学技術社会学)によると、事務局の同庁放射性廃棄物等対策室職員は「取りまとめの期限は定めていない」と説明し、スローペースで議論が進んだ。
ところが「小泉氏の記者会見を機に急にペースアップした」(ある委員)。それまでの半年で2項目分しかまとまっていなかったが、昨年11月20日の有識者会議で残る5項目のうち3項目が取りまとめられた。別の委員によると、同対策室職員は当時「小泉発言以来、自民党から『早くなんとかしろ』とせかされており、困っている」と漏らしたという。
政府はさらに昨年12月17日、関係閣僚会議も発足させ、国が前面に立って適地への「理解活動」を行うとする「シナリオ」の6項目目に沿った内容を決定。併せて、今春をめどに処分場選定に関する基本方針を策定すると公表した。最後の項目も同12月19日の有識者会議で議題に上った。
委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表は「有識者会議で議論されていない内容を閣僚会議で決めた」と批判。経産省幹部は「反原発への動きを抑えて都知事選をやり過ごすには、処分場選定を急ぐ姿勢を見せることが大切。実現可能性? あるわけない」と語った。』
処分場の実現の可能性の無い事を経産省幹部も十分わかっていながら,再稼働へ向けて都合のいい話しだけを国民に聞かせてまるめ込もうとで思っているのでしょうか.問題を先送りにするだけでなくその間もリスクを背負わされる原発の地元の人はそれでも補助金が欲しいんでしょうかね.
『原発、噴火で甚大被害の恐れ 火山学者警告
国内の火山の特徴に精通する金沢大名誉教授(火山地形学)の守屋以智雄(いちお)さん(76)=愛知県新城市=が、噴火が原発にもたらす危険性を分析した論文をまとめた。各地の火山が深刻な事故の原因となり、世界中に影響を及ぼす可能性を指摘。「火山国の日本が大量の放射性廃棄物を抱えていることは世界の脅威。廃炉はもちろん、より安全な場所に移送・保管する国際体制を一刻も早く築くべきだ」と訴える。
◆山体崩壊で津波・土砂直撃も
守屋さんは原発に影響を与える噴火被害として、山体崩壊による「岩屑(がんせつ)なだれ」と呼ばれる大規模な土砂崩れ、雲仙・普賢岳の悲劇で知られる火砕流、原発直下の噴火などを挙げた。
このうち岩屑なだれは富士山で発生する可能性があり、土砂が海中に入れば大津波が浜岡原発(静岡)を襲う恐れがある。伊豆諸島の利島や御蔵島なども同様に浜岡原発にとって危険な存在。北海道のニセコ火山群では土砂が泊原発を直撃することが考えられる。
直径十キロを超えるカルデラを持つ火山が巨大噴火を起こすと、火砕流の被害は甚大で原発もただでは済まない。国内の大カルデラ火山は十二個で、北海道・東北北部と九州に多い。火砕流は百キロ以上先に到達するとみられ、広い範囲が壊滅する。原発や関連施設では、泊、東通(青森)、六ケ所(同)、女川(宮城)、伊方(愛媛)、玄海(佐賀)、川内(鹿児島)などが危険だ。
中規模な火砕流でも影響が考えられ、燧(ひうち)岳(青森)や恐山(同)は東通、六ケ所、妙高山は柏崎刈羽(新潟)に被害を及ぼす可能性がある。
火山が周辺に存在しないのに突然噴火を起こす小型単成火山ができる可能性があるのが日本海沿い。大飯、美浜などの福井県の原発の直下で噴火が起きることもゼロではない。
守屋さんが今回、論文を書いたのは、原発の安全性論議で活断層ばかりが注目され、噴火が無視されてきたため。火山学者としてやむにやまれず筆を執ったと言う。
カルデラ火山の巨大噴火は五千年から一万年に一回で、最後の噴火は約七千三百年前。「遠い未来の絵空事ではなく、今起きる可能性もある。千年、二千年後も国が栄えていることを望むなら、原発とは手を切るべきだ」と警告する。論文は二十四日発売の雑誌「科学」一月号(岩波書店)に掲載される。
◆活断層より火砕流が深刻
日本は世界の活火山の約一割を有する火山大国だが、これまで原発への影響は十分に議論されてこなかった。火山学者もあまり積極的に発言してこなかっただけに、守屋さんの論文は波紋を広げそうだ。
静岡大の小山真人教授(火山学)は「火砕流に襲われた原発は手の施しようがない。カルデラ火山の巨大噴火の危険性にきちんと向き合えという守屋先生の指摘は全くその通り。活断層よりもっと深刻にとらえるべきだ」と言う。
原子力規制委員会も最近になってようやく火山の危険性を考慮するようになった。今年六月にまとめた原発の新規制基準に、原発への影響が想定される自然現象として火山を竜巻などともに明文化。九万年前に起きた阿蘇山のカルデラ噴火で百五十五キロ先まで火砕流が到達したことを根拠に、各原発の半径百六十キロ内にある活火山に関して噴火の可能性を調べることになった。
規制委は「カルデラ火山の破局的噴火の可能性も審査する」と説明しているが、千年、万年単位で起きる噴火の危険性をどう判断するかが問題だ。再稼働に向けて最近実施された川内、伊方などの原発の審査で、電力会社側はカルデラ噴火の危険性を小さく見積もっている。小山教授は「発生確率が低くても、被害規模の大きさを考えれば危険性はそんなに甘いものではない」と指摘している。』
たとえ可能性は低くともおきる可能性のあることはおきますから,原発近くの火山の噴火なんていうのもきっと起きるんでしょうね.もっとも,例によって電力会社は被害予想を低く見積もっておいて,甚大な被害が出たら想定外というだけでしょうから,困るのは原発を抱えた地区の人たちだけでしょうね.
電力会社の株主も社員も事故で被害が出るような所には住んでいないでしょうから,第2、第3の福島が出ても他で原発が稼働している限り痛くも痒くもないんでしょう.北海道電力も年度内にまた値上げするような事を言っていますが,その前にまず社員の給料を普通の会社並みに下げて,政治家やマスゴミのパーティーにつぎ込むようなお金は失くしてもらいたいものですね.
原発再稼働を訴える甘利明経済再生相のパーティー券を、2006年に甘利氏が経済産業相に就任して以降、原発を持つ電力会社9社が分担して購入していたと1月27日付朝日新聞が報じた。
東京電力を筆頭に関西電力、九州電力など原発を持つ会社が政治資金規正法上の報告義務がない20万円以下に抑えて購入しており、11年の東電福島第一原発事故以降、東電はさすがに購入をやめているが、その他の電力会社は分担購入を続けていたという。法の抜け穴を利用したパーティー券の購入という名の「献金」のやり方は、いかにもかつて隆盛を誇った東電総務部のやり方だと妙に納得した。
商工族の大物議員でエネルギー政策に強い甘利氏の取り込みは、89年に旧通商産業政務次官に就任した時から始まったとみていい。「次世代を担う商工族議員に育てようと旧通産省がまず目をつけ、資源エネルギー庁に代わり日本のエネルギー政策を実質的に牛耳っていた東電が、旧通産省・エネ庁官僚と歩調を合わせて、囲い込みを始めた」と、当時を知る元通産官僚は言う。
甘利氏は当初、新自由クラブで出馬し当選している。その頃は、まったく眼中に入れてもらえなかったが、新自由クラブの解党に伴い自民党に所属することで、商工族議員の道を歩き始める。「まさに、20年かけて育て上げた“族議員”です。カネと労力を最もかけたのは東電総務部です。甘利さんも長年の恩義がありますし、原発をなくすという発想が出てこないほど長年にわたって洗脳された」と、前出の通産官僚は明かす。
こうした東電総務部の工作活動は、政官界のみならず、メディアにも広がっていたことはよく知られた話だ。
筆者もかつて東電総務部から接待を受けたことがある。フリーランスで大して名前の売れていない筆者を接待したのは、将来的に“族ライター”に育てたいという意識があったからだと推察される。当時の東電には、そういうことができるだけのカネも力もあった。なぜそう言いきれるのか。私自身の体験を少し綴ってみたい。
●高級レストランでの接待
最初の接触は、絶対に断れない筋から来た。事前に人間関係や政治的立ち位置、嗜好などは念入りにチェックされていたのだろう。東京・溜池山王にある高級中華レストラン「聘珍楼」の個室に招待を受けたのは、甘利氏のパーティー券の極秘購入が明らかになったのと同じ06年だったというのは、なんとも奇遇である。フカヒレのスープや海老、鮑などの高級食材を使ったお料理のコースだったので、恐らく一人1万5000円は下らなかったはずだ。驚くのは、中華レストランなので紹興酒が出てくるのかと思いきや、「ワインに造詣が大変深いそうで」と、ドンペリで乾杯。その後も、ブルゴーニュのグランクリュ(90年代ビンテージ)という豪華さであった。帰りには、お土産の紙袋を渡され、タクシーが表で待っているという用意周到さ。しかも、お土産の中身は遊園地のチケットとアロマテラピーセットという、女性相手でも決して気を抜かない芸の細やかさには、感心を通り越して怖くなったのを覚えている。
翌日、お礼状とお菓子を送ったところ、再びのお誘いがあったが、多忙を理由にお断りした。そのあたりの相手の出方を窺う機微にも優れており、その次に声が掛かったのは、豪華接待から半年後ぐらいだったように思う。
東電総務部から「持ち寄りでワイン会をしませんか?」という連絡が来た。前回のこともあり心苦しさを感じていた私は、「持ち寄りなら」と1万円程度のワインをセラーから選び、指定の場所に向かった。聖路加タワー内の「明石施設」とだけ書いてあったので、普段着でワイン片手に出かけると、タワーのほぼ最上階にあったその接待用飲食施設は、エレベーターが開いた途端、和服の女性からお出迎えを受ける、東電役員専用の豪華料亭であった。だだっ広いお座敷に通されると、懐石料理のコースが次々と運ばれてくる。
他の出席者は大手新聞社や通信社の経済部の記者やデスクで、手ぶらで来ている人がほとんどであった。だが、机上には、最低でも数万円はするワイン・オーパスワンがずらりと並ぶ。他の出席者らはオーパスワンのグラスを片手に、「最近、(東電)広報の対応が悪い」「もう少し記事になるような話はないのか」とご馳走になりながらも注文をつける姿をみて、ものすごく“新鮮”な気持ちになったのを覚えている。
確かに食事もお酒も美味しかったが、後ろめたさを感じた筆者は翌週、少し高めのワインを送った。すると、数日後にはその約3倍の値段はするワインが宅急便で届き、「個人でこれ以上の抵抗は無理だ。ヤクザと一緒で一度関係を持ったら逃れられない」と、自分自身を納得させた。
●政治家のパーティー券を購入
その後、07年に新潟県中越沖地震が起きて東電柏崎刈羽原発の使用が停止。再稼働の働きかけを行っている内に自民党から民主党への政権交代が起き、「お願いルート」に変化が生じた。
筆者のところに久しぶりに東電総務部から連絡が来たのは、その頃だ。「新潟県選出の某民主党議員を紹介してほしい」と、名指しで仲介を頼まれ、過去の経緯があるので、私はその議員と東電の会食をセットすることにした。
了承がとれた旨を連絡すると、指定されたのは、銀座の超高級フレンチ「アピシウス」。豪奢なエントランスに絵画とシャンデリアが眩しい個室に、ひとり最低3万円はするコース料理がしずしずと運ばれてくる。「紹介のお礼に、今夜はいいワインを用意しました」と、出てきたのは、「ラ・ターシュ」(推定価格10万円)。もう楽しもうと腹を括って飲み食いを始めた筆者の耳に、驚くべき会話が飛び込んできた。
「パーティー券ではお世話になりました」と、頭を下げる民主党議員に対して、「いえいえ、あの程度しかお手伝いできずに」と、総務担当者が応じているではないか。「了承がとれました」と伝えた翌日には、その議員の部屋を訪れ、近くパーティーがあると知った彼らは、20万円以内でパーティー券を購入していたのだった。
その手腕と素晴らしい料理の味わいに感動していると、さらに耳を疑う会話は続くのだった。「今度、柏崎刈羽原発の視察にご家族の方とも一緒にどうぞ。ホテルも食事もこちらで手配します」という東電サイドの申し出に対して、その民主党議員は「よろしいんですか? いやあ、申し訳ないなあ」と喜んで受けただけでなく、「1日も早く再稼働できるよう、お力になれれば」と、頼まれてもいないのに自ら再稼働の約束をしていたのだった。
その後、11年に東日本大震災が起き、筆者と東電総務部が接点を持つことはなくなったが、今回の甘利氏のパーティー券問題は恐らく電力会社と政界との関係を明らかにする「始まり」にすぎないだろう。与野党を問わず、政界工作に励んでいた彼らの手口をほんの少しだが垣間見た筆者からすれば、今回発覚した甘利事件は単なる「入り口」にすぎない。
しかし、東電が政官界だけでなく、マスコミにも抜かりなく手を打っていたこともまた事実だ。東電問題が電力会社と政界との関係を暴く端緒になるかどうか、メディアの姿勢が問われている。 (文=水谷茉莉花/フリーライター)』
こんな政治家やマスゴミしか今の日本にはいないんでしょうかね.こういうことなら原発再稼働が現政権での既定路線になっているのにも納得出来ますが,これでいいんでしょうか.なんとも情けない話しですね.
『核のごみ最終処分場:「シナリオ」小泉発言機に急加速
◇経産省幹部「実現性ない」
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分を巡り、経済産業省の有識者会議の議論が、処分場選定の難しさを理由に脱原発を訴えた小泉純一郎元首相の発言(昨年11月)を機に、急に加速していたことが分かった。議論を経ずに打ち出した方針もあり、原発が争点化した東京都知事選(9日投開票)や夏にも予想される原発再稼働を見据え、政府は解決策の提示に躍起だ。一連の方針は、経産省が昨年5月に極秘で取りまとめた内部文書に記載されており、有識者会議の委員に伏せたまま「シナリオ」を決めていた形だ。
小泉氏は昨年11月12日の記者会見で「原発を再稼働すれば(核の)ごみが増えていく。処分場が見つからないなら出直した方がいい」と主張した。処分場選定が絶望視されている以上「原発即ゼロ」という論理で、原子力政策が争点化した都知事選の「源流」はこの発言にある。
経産省の内部文書は昨年5月17日付の「分野別政策資料」(通称ポリシーペーパー)。省が管轄するほぼ全分野に及ぶ内容で、A4判178ページ。37〜40ページに最終処分に関する記載があり「今後の取り組み強化策」として7項目の対策を列挙している。資源エネルギー庁関係者は「茂木敏充経産相の就任後、初めて作成した。内容は経産相と相談して決めており、省の正式な方針」と明かした。
昨年5月に始まった経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」に設置された有識者会議は当初、事務局案なしで論議された。委員の寿楽浩太・東京電機大助教(科学技術社会学)によると、事務局の同庁放射性廃棄物等対策室職員は「取りまとめの期限は定めていない」と説明し、スローペースで議論が進んだ。
ところが「小泉氏の記者会見を機に急にペースアップした」(ある委員)。それまでの半年で2項目分しかまとまっていなかったが、昨年11月20日の有識者会議で残る5項目のうち3項目が取りまとめられた。別の委員によると、同対策室職員は当時「小泉発言以来、自民党から『早くなんとかしろ』とせかされており、困っている」と漏らしたという。
政府はさらに昨年12月17日、関係閣僚会議も発足させ、国が前面に立って適地への「理解活動」を行うとする「シナリオ」の6項目目に沿った内容を決定。併せて、今春をめどに処分場選定に関する基本方針を策定すると公表した。最後の項目も同12月19日の有識者会議で議題に上った。
委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表は「有識者会議で議論されていない内容を閣僚会議で決めた」と批判。経産省幹部は「反原発への動きを抑えて都知事選をやり過ごすには、処分場選定を急ぐ姿勢を見せることが大切。実現可能性? あるわけない」と語った。』
処分場の実現の可能性の無い事を経産省幹部も十分わかっていながら,再稼働へ向けて都合のいい話しだけを国民に聞かせてまるめ込もうとで思っているのでしょうか.問題を先送りにするだけでなくその間もリスクを背負わされる原発の地元の人はそれでも補助金が欲しいんでしょうかね.
『原発、噴火で甚大被害の恐れ 火山学者警告
国内の火山の特徴に精通する金沢大名誉教授(火山地形学)の守屋以智雄(いちお)さん(76)=愛知県新城市=が、噴火が原発にもたらす危険性を分析した論文をまとめた。各地の火山が深刻な事故の原因となり、世界中に影響を及ぼす可能性を指摘。「火山国の日本が大量の放射性廃棄物を抱えていることは世界の脅威。廃炉はもちろん、より安全な場所に移送・保管する国際体制を一刻も早く築くべきだ」と訴える。
◆山体崩壊で津波・土砂直撃も
守屋さんは原発に影響を与える噴火被害として、山体崩壊による「岩屑(がんせつ)なだれ」と呼ばれる大規模な土砂崩れ、雲仙・普賢岳の悲劇で知られる火砕流、原発直下の噴火などを挙げた。
このうち岩屑なだれは富士山で発生する可能性があり、土砂が海中に入れば大津波が浜岡原発(静岡)を襲う恐れがある。伊豆諸島の利島や御蔵島なども同様に浜岡原発にとって危険な存在。北海道のニセコ火山群では土砂が泊原発を直撃することが考えられる。
直径十キロを超えるカルデラを持つ火山が巨大噴火を起こすと、火砕流の被害は甚大で原発もただでは済まない。国内の大カルデラ火山は十二個で、北海道・東北北部と九州に多い。火砕流は百キロ以上先に到達するとみられ、広い範囲が壊滅する。原発や関連施設では、泊、東通(青森)、六ケ所(同)、女川(宮城)、伊方(愛媛)、玄海(佐賀)、川内(鹿児島)などが危険だ。
中規模な火砕流でも影響が考えられ、燧(ひうち)岳(青森)や恐山(同)は東通、六ケ所、妙高山は柏崎刈羽(新潟)に被害を及ぼす可能性がある。
火山が周辺に存在しないのに突然噴火を起こす小型単成火山ができる可能性があるのが日本海沿い。大飯、美浜などの福井県の原発の直下で噴火が起きることもゼロではない。
守屋さんが今回、論文を書いたのは、原発の安全性論議で活断層ばかりが注目され、噴火が無視されてきたため。火山学者としてやむにやまれず筆を執ったと言う。
カルデラ火山の巨大噴火は五千年から一万年に一回で、最後の噴火は約七千三百年前。「遠い未来の絵空事ではなく、今起きる可能性もある。千年、二千年後も国が栄えていることを望むなら、原発とは手を切るべきだ」と警告する。論文は二十四日発売の雑誌「科学」一月号(岩波書店)に掲載される。
◆活断層より火砕流が深刻
日本は世界の活火山の約一割を有する火山大国だが、これまで原発への影響は十分に議論されてこなかった。火山学者もあまり積極的に発言してこなかっただけに、守屋さんの論文は波紋を広げそうだ。
静岡大の小山真人教授(火山学)は「火砕流に襲われた原発は手の施しようがない。カルデラ火山の巨大噴火の危険性にきちんと向き合えという守屋先生の指摘は全くその通り。活断層よりもっと深刻にとらえるべきだ」と言う。
原子力規制委員会も最近になってようやく火山の危険性を考慮するようになった。今年六月にまとめた原発の新規制基準に、原発への影響が想定される自然現象として火山を竜巻などともに明文化。九万年前に起きた阿蘇山のカルデラ噴火で百五十五キロ先まで火砕流が到達したことを根拠に、各原発の半径百六十キロ内にある活火山に関して噴火の可能性を調べることになった。
規制委は「カルデラ火山の破局的噴火の可能性も審査する」と説明しているが、千年、万年単位で起きる噴火の危険性をどう判断するかが問題だ。再稼働に向けて最近実施された川内、伊方などの原発の審査で、電力会社側はカルデラ噴火の危険性を小さく見積もっている。小山教授は「発生確率が低くても、被害規模の大きさを考えれば危険性はそんなに甘いものではない」と指摘している。』
たとえ可能性は低くともおきる可能性のあることはおきますから,原発近くの火山の噴火なんていうのもきっと起きるんでしょうね.もっとも,例によって電力会社は被害予想を低く見積もっておいて,甚大な被害が出たら想定外というだけでしょうから,困るのは原発を抱えた地区の人たちだけでしょうね.
電力会社の株主も社員も事故で被害が出るような所には住んでいないでしょうから,第2、第3の福島が出ても他で原発が稼働している限り痛くも痒くもないんでしょう.北海道電力も年度内にまた値上げするような事を言っていますが,その前にまず社員の給料を普通の会社並みに下げて,政治家やマスゴミのパーティーにつぎ込むようなお金は失くしてもらいたいものですね.
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