『「今日の治療薬」に重大な誤記載 リウマチ性疾患へのエンドキサン投与量に誤り
医学出版社の南江堂は4月3日、書籍「今日の治療薬2013」(第35版第1刷、2013年1月25日)の一部に重大な誤記載があったとして、訂正を求めている。
誤記載があるのは177ページ。SLE、全身性血管炎、多発性筋炎など、治療抵抗性のリウマチ性疾患に対してエンドキサンを投与する際の用量を「1日1回500-1000mg/m2静注を4週間」と記載している。正しくは「1日1回500-1000mg/m2静注。投与間隔は4週間」となる。
誤った記載の通りに投与すると過剰投与となり、薬剤事故につながる恐れがある。南江堂は関係学会や病院に通知文を発送するなどして対応するとともに、4月11日頃に書籍回収や交換の詳細を発表する予定という。
南江堂よりの『今日の治療薬 2013』に関する重要なお知らせ文書へのリンク
http://www.nankodo.co.jp/wasyo/html/chiryoyaku2013/20130403.pdf 』
エンドキサン(シクロホスファミド)は第一次世界大戦で使用された生物化学兵器であるマスタードガスを起源に持つナイトロジェン・マスタードの毒性を抑えた薬として開発されたもので,学生時代に悪性リンパ腫に対するCHOP療法に使用する薬として記憶した覚えがある.
造血抑制作用があり免疫抑制剤として使われる事も多くSLE、全身性血管炎、多発性筋炎など、治療抵抗性のリウマチ性疾患への使用はこれが目的で,今回の間違いは投与後4週間以上は再投与しないものを4週間連続投与するかのように書かれていたという事だろう.
『今日の治療薬』という本も医師には非常にポピュラーな本でどこの病院にも外来や病棟ごとに1冊は置かれているほど使われている薬品情報の本であるから,研修医などが上の先生の指示で処方するときに間違う可能性はあるかもしれない.
実際には,たとえ医師が間違えても薬局のチェックでひっかかるはずであるが,そういえば以前にもどこかの大学病院で若い医師が抗がん剤を連日投与して患者の女子高生が副作用死した事故があったから同様のことが起きる可能性は否定できない.
最近は,『今日の治療薬』で探すのも面倒なのでiPhoneで検索したり,使用頻度の高い薬などの情報はPDF文書をiPhoneに保存しておいたりしているからあまり使わなくなってきている.抗がん剤は,投与プロトコールがきちんとしているので投与量を決めるのは簡単そうに見えるが,実際には作用も副作用も個人差があるので適宜減量したり投与間隔を変えるなどさじ加減が難しいと私は思っている.
大学で脳腫瘍の研究や臨床をやっていたころは抗がん剤も毎日のように使っていたのだが,今は悪性脳腫瘍の患者さんの治療をする機会はほぼ無くなったたのでエンドキサンと聞いて懐かしくなった次第である.
追記)
『 回収発表「今日の治療薬2013」
医学出版社の南江堂は4月11日、書籍「今日の治療薬2013」(第35版第1刷、2013年1月25日発売)に重大な誤記載があるため、書籍の回収と交換を行うと発表した。「訂正版」は5月に発行予定。交換方法の詳細については、個別に電話で問い合わせてほしいと呼び掛けている。電話番号は0120-582-076。午前9時から午後6時まで受け付けている。
今回、問題となった誤記載があるのは177ページ。SLE、全身性血管炎、多発性筋炎など、治療抵抗性のリウマチ性疾患に対してエンドキサンを投与する際の用量を「1日1回500-1000mg/m2静注を4週間」と記載している。正しくは「1日1回500-1000mg/m2静注。投与間隔は4週間」となる。』
医学出版社の南江堂は4月3日、書籍「今日の治療薬2013」(第35版第1刷、2013年1月25日)の一部に重大な誤記載があったとして、訂正を求めている。
誤記載があるのは177ページ。SLE、全身性血管炎、多発性筋炎など、治療抵抗性のリウマチ性疾患に対してエンドキサンを投与する際の用量を「1日1回500-1000mg/m2静注を4週間」と記載している。正しくは「1日1回500-1000mg/m2静注。投与間隔は4週間」となる。
誤った記載の通りに投与すると過剰投与となり、薬剤事故につながる恐れがある。南江堂は関係学会や病院に通知文を発送するなどして対応するとともに、4月11日頃に書籍回収や交換の詳細を発表する予定という。
南江堂よりの『今日の治療薬 2013』に関する重要なお知らせ文書へのリンク
http://www.nankodo.co.jp/wasyo/html/chiryoyaku2013/20130403.pdf 』
エンドキサン(シクロホスファミド)は第一次世界大戦で使用された生物化学兵器であるマスタードガスを起源に持つナイトロジェン・マスタードの毒性を抑えた薬として開発されたもので,学生時代に悪性リンパ腫に対するCHOP療法に使用する薬として記憶した覚えがある.
造血抑制作用があり免疫抑制剤として使われる事も多くSLE、全身性血管炎、多発性筋炎など、治療抵抗性のリウマチ性疾患への使用はこれが目的で,今回の間違いは投与後4週間以上は再投与しないものを4週間連続投与するかのように書かれていたという事だろう.
『今日の治療薬』という本も医師には非常にポピュラーな本でどこの病院にも外来や病棟ごとに1冊は置かれているほど使われている薬品情報の本であるから,研修医などが上の先生の指示で処方するときに間違う可能性はあるかもしれない.
実際には,たとえ医師が間違えても薬局のチェックでひっかかるはずであるが,そういえば以前にもどこかの大学病院で若い医師が抗がん剤を連日投与して患者の女子高生が副作用死した事故があったから同様のことが起きる可能性は否定できない.
最近は,『今日の治療薬』で探すのも面倒なのでiPhoneで検索したり,使用頻度の高い薬などの情報はPDF文書をiPhoneに保存しておいたりしているからあまり使わなくなってきている.抗がん剤は,投与プロトコールがきちんとしているので投与量を決めるのは簡単そうに見えるが,実際には作用も副作用も個人差があるので適宜減量したり投与間隔を変えるなどさじ加減が難しいと私は思っている.
大学で脳腫瘍の研究や臨床をやっていたころは抗がん剤も毎日のように使っていたのだが,今は悪性脳腫瘍の患者さんの治療をする機会はほぼ無くなったたのでエンドキサンと聞いて懐かしくなった次第である.
追記)
『 回収発表「今日の治療薬2013」
医学出版社の南江堂は4月11日、書籍「今日の治療薬2013」(第35版第1刷、2013年1月25日発売)に重大な誤記載があるため、書籍の回収と交換を行うと発表した。「訂正版」は5月に発行予定。交換方法の詳細については、個別に電話で問い合わせてほしいと呼び掛けている。電話番号は0120-582-076。午前9時から午後6時まで受け付けている。
今回、問題となった誤記載があるのは177ページ。SLE、全身性血管炎、多発性筋炎など、治療抵抗性のリウマチ性疾患に対してエンドキサンを投与する際の用量を「1日1回500-1000mg/m2静注を4週間」と記載している。正しくは「1日1回500-1000mg/m2静注。投与間隔は4週間」となる。』
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