『着床前診断は命の創造か、選別か 生命倫理めぐり賛否
命の創造か、選別か-。神戸市中央区の産婦人科医院「大谷レディスクリニック」で昨年2月から日本産科婦人科学会の指針に違反し、129組の夫婦に新型の着床前診断が行われ、19人が出産していた事実が11日、発覚した。不妊に悩む夫婦にとって朗報である一方、染色体異常が見つかった受精卵を破棄する着床前診断には「命の選別」との批判も強く、今後、議論を呼びそうだ。
「命を作るための技術であり、命の選別ではない」
大谷徹郎院長(57)は11日の記者会見で、新型の着床前診断をこう説明し、「年齢とともに染色体異常が増え、妊娠率が低くなり流産率が高くなる」として、高齢出産が増える現状での診断の有用性について理解を求めた。
大谷院長は会見の冒頭、「針をさして調べる羊水検査は命の選択になるが、着床前診断は妊娠の成立前に調べるので、命の選択をしているという批判はあてはまらない」と強調した。
日本産科婦人科学会が認めていない診断を実施したことの是非については、「不妊や流産に悩む人を救える方法があるのなら、救いたい」と話した。
一方、大谷レディスクリニックでの着床前診断について、日本産科婦人科学会は、着床前診断を重い遺伝病の患者などに限定した学会の見解に沿っているか、月内にも学会の倫理委員会を開いて検討する方針。その上で、「今回の着床前診断は、学会の見解とまったくかけ離れている訳ではないが、ダウン症などを選別することになりかねず、難しい問題だ」(事務局)としている。
藤沢秀年・京都府立医大助教(周産期)は「今回の方法は高額だが精度は高い。不妊に悩む人は多く、朗報と言えるかもしれない」と話す一方で、「日本では着床後の胎児の遺伝子診断を含め、倫理的な問題も指摘されている。生命への畏敬が深いなど、日本の文化的な背景があると思う」と議論の高まりを期待した。
無申請で着床前診断を行ってきた大谷院長については、日本産科婦人科学会が平成16年4月に除名処分にしたが、21年5月に再入会が認められている。』
私は,「針をさして調べる羊水検査は命の選択になるが、着床前診断は妊娠の成立前に調べるので、命の選択をしているという批判はあてはまらない」というのが倫理的にどうなのか疑問である.
しかし,「年齢とともに染色体異常が増え、妊娠率が低くなり流産率が高くなる」のは事実だから,着床前診断を重い遺伝病の患者などに限定した学会の見解というのも高齢出産が当たり前になってきている現代においてはその適応範囲を変える必要もありそうだ.
そうなると,不妊症の治療としての体外受精だけでなく高齢出産の場合にも体外受精による着床前診断を認めなければ不公平ではないのだろうか.そんなことが認められればさらに高齢出産に拍車がかかることも危惧されるが,妊娠すると産休をとらせず辞めさせるような企業が多いわが国では高齢出産も仕方がないことなのだろう.
社会が病んでいるから,子供が少なくなるだけでなく心身を病んだ子供が増えるのは長い目で見ればわが国にとって不利益なのだが,原発事故後の対応をみてもわかるようにわが国はその程度の国なのだから,自分の身を自分で守るためには手段を選んでいる場合ではないのだろう.
命の創造か、選別か-。神戸市中央区の産婦人科医院「大谷レディスクリニック」で昨年2月から日本産科婦人科学会の指針に違反し、129組の夫婦に新型の着床前診断が行われ、19人が出産していた事実が11日、発覚した。不妊に悩む夫婦にとって朗報である一方、染色体異常が見つかった受精卵を破棄する着床前診断には「命の選別」との批判も強く、今後、議論を呼びそうだ。
「命を作るための技術であり、命の選別ではない」
大谷徹郎院長(57)は11日の記者会見で、新型の着床前診断をこう説明し、「年齢とともに染色体異常が増え、妊娠率が低くなり流産率が高くなる」として、高齢出産が増える現状での診断の有用性について理解を求めた。
大谷院長は会見の冒頭、「針をさして調べる羊水検査は命の選択になるが、着床前診断は妊娠の成立前に調べるので、命の選択をしているという批判はあてはまらない」と強調した。
日本産科婦人科学会が認めていない診断を実施したことの是非については、「不妊や流産に悩む人を救える方法があるのなら、救いたい」と話した。
一方、大谷レディスクリニックでの着床前診断について、日本産科婦人科学会は、着床前診断を重い遺伝病の患者などに限定した学会の見解に沿っているか、月内にも学会の倫理委員会を開いて検討する方針。その上で、「今回の着床前診断は、学会の見解とまったくかけ離れている訳ではないが、ダウン症などを選別することになりかねず、難しい問題だ」(事務局)としている。
藤沢秀年・京都府立医大助教(周産期)は「今回の方法は高額だが精度は高い。不妊に悩む人は多く、朗報と言えるかもしれない」と話す一方で、「日本では着床後の胎児の遺伝子診断を含め、倫理的な問題も指摘されている。生命への畏敬が深いなど、日本の文化的な背景があると思う」と議論の高まりを期待した。
無申請で着床前診断を行ってきた大谷院長については、日本産科婦人科学会が平成16年4月に除名処分にしたが、21年5月に再入会が認められている。』
私は,「針をさして調べる羊水検査は命の選択になるが、着床前診断は妊娠の成立前に調べるので、命の選択をしているという批判はあてはまらない」というのが倫理的にどうなのか疑問である.
しかし,「年齢とともに染色体異常が増え、妊娠率が低くなり流産率が高くなる」のは事実だから,着床前診断を重い遺伝病の患者などに限定した学会の見解というのも高齢出産が当たり前になってきている現代においてはその適応範囲を変える必要もありそうだ.
そうなると,不妊症の治療としての体外受精だけでなく高齢出産の場合にも体外受精による着床前診断を認めなければ不公平ではないのだろうか.そんなことが認められればさらに高齢出産に拍車がかかることも危惧されるが,妊娠すると産休をとらせず辞めさせるような企業が多いわが国では高齢出産も仕方がないことなのだろう.
社会が病んでいるから,子供が少なくなるだけでなく心身を病んだ子供が増えるのは長い目で見ればわが国にとって不利益なのだが,原発事故後の対応をみてもわかるようにわが国はその程度の国なのだから,自分の身を自分で守るためには手段を選んでいる場合ではないのだろう.
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