『呼吸器取り外しも可能に 議連の尊厳死法案

 超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議員)は31日、議員立法での国会提出を準備している尊厳死に関する法案の原案を修正し、免責対象となる医師の行為を、人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命治療の中止」に拡大する方針を決めた。

 これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。がんなどで終末期にある患者本人が尊厳死を望む意思を表示している場合で、2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。

 議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。障害者団体や医療関係者、弁護士らの意見を聞いてさらに検討を続け、今国会か次期臨時国会での法案提出を目指す。ただ生命倫理にかかわるため、各党には反対の議員も多く、提出や成立の見通しは不透明だ。

 修正案には、障害や重い病気で意思表示が難しい人を対象外とするため「障害者の尊厳を害することのないように留意しなければならない」との文言も追加。いったん示した意思を撤回することも可能にした。

 議連は3月、法案の原案を公表。患者本人が健康で正常な判断ができる間に延命を望まない意思を書面にしていることなどを条件に、新たな延命措置を開始しないことを容認。医師は刑事、民事、行政上のいずれの責任も問われないとしていた。

 修正の理由について議連関係者は「延命中止が除外されれば法制化の意味がないとの意見を参考にした」と説明。「『障害者らの命の切り捨てになる』との懸念にも配慮した」としている。』

 「本人が書面で延命を望まない意思を明確にしている場合で2人以上の医師の判断を条件として呼吸器を取り外しても,医師は刑事、民事、行政上のいずれの責任も問われない.」ということに法的な根拠を与えてくれるのはいいことだと思う.

 しかし,がんなどの終末期に限るとされると脳卒中による遷延性意識障害で呼吸器をつけないと生命維持ができない患者については対象外ということになるだろう.もっともこの場合は終末期ではない.呼吸器と栄養があれば生き続けることができるからだ.

 尊厳死という概念で言えば本人が遷延性意識障害のまま生き続けることを望まなければ同じように思えるのだが,脳卒中の場合は突然に意識がなくなり本人の意志確認はできない場合がほとんどであるから,「延命治療の不開始」でさえ家族の意思による場合がほとんどだ.

 最近は,延命治療としての呼吸器の接続を希望しないと意思表示をする家族も増えているが,病状を説明しても判断に迷うのか返事をしない家族も実際には多い.そうなると病状が悪化し呼吸不全になった場合に現場の医師は呼吸器を接続せざるをえなくなる.

 そのようにして最近は呼吸器をつけてPEGからの経管栄養で生きている意識のない患者さんが増えてきている.今は慢性期の管理のレベルが上がったために心不全や腎不全といった合併症がない患者さんはそういった状態でも長期の生存が可能になっているのだ.

 このような患者さんはおそらく人口1万人当たり数人はいるのではないだろうか,つまり全国では少なくとも1万人以上はいるのだろう.そして高齢者人口が増えたのでこれからは今まで以上に脳梗塞でこのような状態になる患者が増えると思われるが,これをどう考えれば良いのだろうか,誰か答えてくれないだろうか.




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