『男性死亡で医師を書類送検 チューブ交換ミスの疑い 福岡

 福岡県警西署は6日、福岡市西区の西福岡病院で平成21年3月、腹部に開けた穴から胃に流動食を送る「胃ろう」チューブの交換ミスで、入院中の同市博多区の無職男性=当時(70)=を腹膜炎による多臓器不全で死亡させたとして、チューブを交換した男性医師(53)を業務上過失致死容疑で書類送検した。

 送検容疑は、糖尿病などで入院していた男性の胃ろうチューブを交換する際、チューブが胃の内部にまで届いていないことに気付かず、看護師に栄養剤の注入を指示。栄養剤を男性の腹腔内に漏れ出させて腹膜炎を発症させ、21年3月16日に多臓器不全で死亡させたとしている。

 西署によると、チューブは長さ20センチ、直径約1センチのシリコン製。男性は17年9月に入院し、4カ月に1回チューブを交換していた。男性医師は容疑を認めているという。』

 PEGのリスクについては2005年2月23日にここにも書いた(http://nougekai.diarynote.jp/200502232017290000/)が,その当時でもすでにPEGドクターズネットワークでは交換時に内視鏡で確認することを強く勧めていたから,この男性医師は,こういったPEG交換の際の事故のニュースを知らなかったか,知っても自分には起こらないと思っていたかのどちらかなのだろう.

 私自身も数百例の増設と交換を経験しているが,確かに十数年前までは在宅診療で言わば手応えだけを便りに交換していた時代もあった.しかし,その後に非常に頻度は少ないとは言え,特に初回の交換時に肝をひやした症例がいくつかあり以後は画像診断や内視鏡での確認を必ずするようになった経緯がある.

 今の時代であれば内視鏡での確認は必須で,交換後に内視鏡で証拠写真を撮っておくというのがデフォルトと言ってもいいのではないだろうか.以前は造影剤を注入して単純写真を撮ったりしたこともあったが,それでも不完全だった経験があるからやはり内視鏡を使う方が安心である.

 診療報酬上もPEG交換の手技料は交換時に画像診断もしくは内視鏡での確認をしないと請求できないようであるから,わざわざただ働きして危険な目に遭うことはないだろう.もっとも,内視鏡まで使って手技料が2000円というのはリスクの割にちょっと安すぎるような気もするがどうなのだろうか.

 このニュースでもう一つ引っかかる点は交換が4カ月に1回というところである.当初からシリコンチューブの交換は6ヶ月が目安で,最近では1年もつものもあるようなのに4ヶ月というのはちょっと早すぎるような気もする.まさか,病院の経営方針のためだったのではないだろうが,万が一そうだとしたらわざわざ交換による事故のリスクを上げていたようなもので情けない話である.

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