肥満や喫煙の方が怖い?
『「年間20ミリシーベルト」の根拠は何か

 政府は22日、福島第一原発から半径20キロ圏外で、今後1年間の累積放射線量が20ミリシーベルト以上になりそうな福島県の地域を「計画的避難区域」に指定した。5月末までに住民を避難させる。対象となるは飯舘村の全域、川俣町の一部、浪江町と葛尾村の20キロ圏内を除く地域。

 また、これまで屋内退避としていた20~30キロ圏内で、「計画的避難区域」からはずれた南相馬市や田村市の一部、川村村と楢葉町の20キロ圏内を除く地域、広野町を「緊急時避難準備区域」とした。20キロ圏内は「警戒区域」とし、立ち入り禁止となった。

 計画的避難区域を指定するための基準となった「年間20ミリシーベルト」という数字は何にもとづく数値なのか。実は、国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告に準拠するもので、勧告では以下のような目安で防護対策をとることになっている。

(1)平常時:年間1ミリシーベルト以下に抑える
(2)緊急事態時:事故による被曝量が年間20~100ミリシーベルトを超えないようにする
(3)事故収束後の復旧期:年間1~20ミリシーベルトを超えないようにする
 現在の福島第一原発は(2)の緊急事態時に相当するため、より安全サイドに立ち、下限値である年間20ミリシーベルトを採用したのである。』


『「肥満」のリスクは何ミリシーベルトに相当するか

 学校の校庭や公園を利用するときの判断基準として、「毎時3.8マイクロシーベルト」という放射線量がよく引き合いに出される。この数値も前述したICRPの助言にもとづいて算出されている。ICRPは3月21日、「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、年間1~20ミリシーベルトの範囲で考えることも可能」とする声明を出した。

 それを受けて、文科省は「1年間で蓄積される放射線量が20ミリシーベルトを超えないようにする」とした。1日の生活を屋外で8時間、室内で16時間と想定し、室内の放射線量を屋外の0.4倍として計算されたのが「毎時3.8マイクロシーベルト」という数値だ。 これを超える場合は、念のために手洗いやうがいをしたり、放射線量に応じて校庭や屋外で遊ぶ時間を制限するように文科省は指導している。それ以下の場合は「普通に生活して支障はない」という。

 ところが、こうした数値に「本当に安全なのか」と不安を抱く人は少なくない。今回の原発事故で語られる放射線量のレベルはどれだけのリスクが伴うのだろうか。

 「福島第一原発事故で、直近の地域以外で報告されている放射線量は、少なくとも人体に悪影響を及ぼす値ではない」とする国立がん研究センターは、がんのリスクが高まる「目安」について発表しており、それを表にまとめた。放射線に関するリスクは、広島・長崎の原爆被曝者の約40年の追跡調査、チェルノブイリ原発事故の被曝者(18歳以下)の10~15年後に行った甲状腺がんスクリーニングのデータに基づいて推定されている。

 200~500ミリシーベルトを浴びた場合、がんのリスクは1.16倍だが、これは「肥満」や「やせ」よりリスクが低い。また、1000~2000ミリシーベルトという大きな数値でも、驚いたことに「喫煙者」や「毎日3合以上の飲酒」より、がんのリスクは低いという結果になっている。そして、100ミリシーベルト未満は「検出不可能」とし、がんのリスクに対する影響は予測できないとしている。

 放射線医学総合研究所も、「100ミリシーベルト未満の低い値では、放射線ががんを引き起こすという科学的な証拠はない」と指摘し、100ミリシーベルトの放射線量でがんや白血病による死亡は0.5%増加する可能性があるとしている。』


『原発作業員の年間被曝量、上限撤廃へ 厚労省が特例措置 全国の原発保守を懸念

 厚生労働省は27日、通常時は年間50ミリシーベルトと定めている原発作業員の被曝(ひばく)線量の上限を当面の間、撤廃する方針を固めた。5年間で100ミリシーベルトの基準は維持する。原発作業に従事できるのは全国で7万人余りしかいない。各地から福島第1原発への派遣が相次ぐ中、規定の被曝線量を超えると、ほかの原発の保守や定期点検に支障が出かねないとして、経済産業省が厚労省に特例的な措置を要請していた。しかし、この措置は、過酷な環境下で働く作業員の安全を軽視しているとの批判も出そうだ。

 厚労省は3月15日に省令で、福島の事故の応急対策に限定して緊急時の被曝線量を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げていたが、通常時の基準は変えていなかった。米国も、緊急時の線量上限を民間人で100ミリシーベルト、通常時は年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトとしている。』

 いつの間にやら低容量の放射線は肥満よりも怖いものではなくなったらしいが,私は喫煙者でも肥満でもないので被爆はやはり怖いのである.

 ところで,X線CTは1回6.9ミリシーベルトだから1年間に3回程度で計画的避難区域に相当する20ミリシーベルトになるのだが,それでも最近はCT検査によりがんのリスクが高まると言われているのである.

 「100ミリシーベルトの放射線量でがんや白血病による死亡は0.5%増加する可能性がある」と言うが,年間に15回も検査を受けなくともCT検査による発がんリスクは存在するだろうから,100ミリシーベルト未満でもリスクはあると考えるべきではないのだろうか.

 どれが真実なのか私にはわからないが,政府や官僚による情報操作や強引で場当たり的な対応を今まで何度も目の当たりにしてきたから,彼らにとって都合のいい説明なんて信じる気にはとてもなれないのだ.

コメント

アミ
2011年4月30日6:50

おはようございます!

表題にピピッと反応し、即、クリックを。
いつも、覗いてはいたのですが、今日からは、どうどうと・・・。(笑)
よろしくお願いいたします。

ブログ脳外科医
2011年4月30日7:21

これからもよろしくお願いします.

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索