今年は全国的に雪が多かったので凍った路面で足を滑らせ転倒し道路に頭をぶつけた人が多かったのではないだろうか.そして,それから1〜2ヶ月して認知症のような症状が出てきたという高齢者がもし身近にいたら慢性硬膜下血腫かもしれない.

 慢性硬膜下血腫は私の受験した医師国家試験の脳神経外科のヤマで「高齢の酒好きな男性が,酔って転んで頭をぶつけ,数カ月して見当識障害,歩行障害,尿失禁がみられたらこれを疑う」と記憶した病態である.

 教科書的には,頭部外傷後1〜3ヶ月に約90%が発症し,高齢の男性に多く,主な症状としては頭痛,片麻痺,意識障害があるとされている.治療としては穿頭による血腫の洗浄と閉鎖式血腫腔ドレナージである.

 先日,久しぶりにこの手術をして術後に家族に話をしたのであるが,家族は年明けから認知症になってきたと思っていたらしい.そして,今度は歩くとふらつくので脳梗塞になったと思って病院に連れてきたようだが,実は慢性硬膜下血腫だったというわけだ.

 症状が見当識障害だけの場合,内科や精神科に認知症だと思って受診すると見落とされる可能性があるので,認知症だと思う前にまず脳神経外科で手術で治る病気かどうかを診てもらったほうがいいかもしれない.


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