多量に飲酒して救急車で運ばれて来る人としては急性アルコール中毒なんていうのはきわめて稀なものだ.酔っぱらいが救急車で運ばれてくる一番の理由は外傷つまり怪我によるものである.

 私は脳外科医であるから頭部打撲が一番多いが,時には手足の骨折を診ることもあるし,たとえ手足に骨折があっても頭のほうに急性硬膜下血腫や脳挫傷があればそちらの方を優先するので入院してもらうことになる.

 頭骸骨にひびが入っただけだったり,頭皮が切れたりしただけでも酔っていて意識がはっきりしないと経過観察のために入院してもらうことになる.中には泥酔して名前も言わないので身元不明で入院する人もいる.

 その次に多いのが酒を飲んでいて意識を失ったという人だ,これには色々な原因があって,実は転んで頭をぶつけていて脳震盪だったというのから癲癇発作や心筋梗塞による心室性不整脈というのまであって,発症時の状況がよくわからないと入院してひと通りの検査が必要になり結構面倒なことになる.

 脳挫傷などでの意識障害から不穏状態になっているのなら仕方がないが,それとは別に病院に運ばれて来ても酔って暴れる人が結構いるので,夜中に起こされてその相手をさせらるのは非常に迷惑だ.こんな人が救急車をタクシー代わりに使い,急病の人と同じに診てもらえるのだから病院は酔っぱらいにとって天国みたいな所だろう.

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索