視界不良

2009年2月3日 私の写真集
視界不良
『積丹岳遭難:救助中滑落の不明男性死亡 北海道

 北海道積丹町の積丹岳(1255メートル)山頂付近で遭難した札幌市豊平区平岸1の5、会社員、藤原隆一さん(38)が道警による救助活動中に滑落し再び行方不明となった事故で、道警は2日朝、捜索を再開し、午前7時40分ごろ、8合目付近で道警航空隊ヘリが藤原さんを発見、収容した。藤原さんは札幌市内の病院に搬送されたが、午前8時54分に死亡が確認された。

 道警によると、藤原さんが見つかったのは滑落現場から500~600メートル下の8合目付近(標高約1000メートル)の南斜面で、救助用のそりに乗ったまま倒れていた。道警が死因を調べている。

 藤原さんは1月31日、スノーボードをするため入山後、行方不明となり、捜索していた道警山岳救助隊員5人が1日正午ごろ、発見した。しかし、吹雪の中を下山中に隊員3人と藤原さんが約200メートル滑落。隊員がそりに藤原さんを乗せて約50メートル引き上げたが、そりをロープでくくりつけたハイマツが折れ、藤原さんは再び滑落し行方不明となっていた。

 道警地域部の佐々木茂信管理官は「救助のために厳しい現場で最善を尽くした」とコメントした。

 積丹岳では07年3月、スノーモービル愛好者14人が雪崩に巻き込まれ、4人が死亡する事故が発生。積丹町は08年2月からスノーモービルの乗り入れを禁止しているが、スノーボードやスキーを目的とした入山は制限されていない。』

 積丹岳は札幌近郊なら手稲山ぐらいの高さである.それでも,吹雪で視界が5〜6mで救助隊員5人のうち3人が滑落したというのだから救助するほうも命がけの状況だったのだろう.救助隊がやってきて安心したのもつかの間で再び滑落するなんてあまりに悲惨な結末だが,この状況で救助隊を責めるのも酷な話ではないだろうか.

 家族がこれで納得するのか,検察がこれを過失致死罪としないのか,など気になる点もあるのだが,この話は医療事故とちょっと似ているような気がして,私は救助隊員を責める気にはなれないし,これを期にスノーボードやスキー目的の入山も禁止するなんて話になるのもどうかと思う.どんなスポーツにもリスクはつきものなのだから,そのリスクを自分で負えないならやるべきではなく,最初に救助の原因をつくった本人が責任を負うべきではないだろうか.

 「ベストエフォート(best effort, 最善努力)」という言葉があるが,これは最大の結果を得られるような努力がなされた場合には結果に対する責任を負わないだけでなく,要求がその能力を超えた場合には超過分を捨て去ることだそうだ.

 体力的に限界になった救助隊員が,そりを木にくくりつけて交代しようとしたら木が折れて再び滑落したらしいが,木が折れる事を予想する能力なんていうのも当たり前のものとして要求されるのだろうか.

 病院が満床だったり,医師不足で救急患者を受け入れられないのに医師の責任のように言われたり,当直医のはずが救急患者に対応して専門外の診断能力を求められたりするのはまったくおかしな話ではないだろうか.

 人に迷惑でも煙草を吸い,好きなだけ食べたり飲んだりした挙げ句に生活習慣病になるのも自由だし,喧嘩や交通事故で怪我をするのは仕方がないのかもしれないが,結果に文句を言う前に,この「ベストエフォート」という言葉を知っておいてもらいたいものだ.

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