行き場を失うのは誰?
2008年6月4日 医療の問題 コメント (1)『病床削減で救急に影響 高齢者搬送でベッド満杯に
高齢者らが長期入院する療養病床を大幅に削減する国の計画の影響で、現在厳しくなっている救急病院での患者の受け入れ状況がさらに悪化する懸念が出ている。
療養病床が削減され、介護施設や在宅に移った場合、緊急時の対応ができずに高齢者が救急病院に運び込まれるケースが増える。このため受け入れベッド数が足りなくなる恐れがあるためだ。
現在、介護型の療養病床の常勤医師数は入院患者100人に対し3人。これが、療養病床から転換先となる介護療養型老人保健施設になると1人になる。
事実上、夜間は医師が常駐できず、症状が悪化した場合は、救急病院に搬送せざるを得ない。在宅での療養に移った人も同じ事態が起きる。
受け入れ側の救急病院では、高齢患者の増加などでベッドに余裕がない状態。消防庁の調査によると、救急車で運ばれた人のうち、高齢者の割合は2006年時点で45%に上るなど年々、増えている。
帝京大救命救急センター長の坂本哲也(さかもと・てつや)医師は「在宅や介護施設に移す政策が進み、体の弱い高齢者が救急に押し寄せている。症状が落ち着いても、もとの施設にも自宅にも戻れず、そのまま救急病院で診なければならない。このため高齢者でベッドが埋まり、新しい患者を受けられない状況だ」と説明する。
日本療養病床協会の武久洋三(たけひさ・ようぞう)会長は「症状が悪化したときに対応できる療養病床が減れば、さらに搬送が増える。救急でしか診られない患者と、それ以外の患者を診る療養病床とで、役割分担するべきだ」と話している。』
以前に救急外来への介護施設からのコンビニ受診が増えていると書いたが,今後はこれが増えていくのだろう.軽症なら点滴してお引き取り願いたいところだが,施設の付添の人は自分のところで経過をみるのも手間なので入院を希望されることも多い.その結果として満床になってしまい救急車の搬入ができなくなることもある.
今や療養病床に入院できるのは経管栄養や気管切開のために医師や看護師がチューブやカニューレを定期的に交換する必要があるような介護施設では暮らせない人たちだけである.だから,介護施設から受診して入院する人たちは急性期病棟に入院することになるのだが,当然のこととして後期高齢者と呼ばれる人たちが多いので,風邪をこじらせた肺炎だけでも1ヶ月以上もリハビリテーションが必要になることも珍しくはないのである.
数年前まで急性期病床に空きがないために救急搬入されたクモ膜下出血の患者さんに付き添って搬送するような事態になるとは思ってもみなかったが,これが今の救急の現実なのだろう.比較的軽症だが介護施設では対応できない患者さんが急性期病床にあふれ,本当に緊急を要する患者さんが入院できないというのはもうすでに起きていることである.
こんなことも厚労省にとっては想定外だったのだろうが,今更気づいたとしても消えたベッドはもうどうにもならないのである.医師だけでなく病床も足りなくなったのだから,当然の結果として救急医療の崩壊はさらに進むことになるのだろう.
高齢者らが長期入院する療養病床を大幅に削減する国の計画の影響で、現在厳しくなっている救急病院での患者の受け入れ状況がさらに悪化する懸念が出ている。
療養病床が削減され、介護施設や在宅に移った場合、緊急時の対応ができずに高齢者が救急病院に運び込まれるケースが増える。このため受け入れベッド数が足りなくなる恐れがあるためだ。
現在、介護型の療養病床の常勤医師数は入院患者100人に対し3人。これが、療養病床から転換先となる介護療養型老人保健施設になると1人になる。
事実上、夜間は医師が常駐できず、症状が悪化した場合は、救急病院に搬送せざるを得ない。在宅での療養に移った人も同じ事態が起きる。
受け入れ側の救急病院では、高齢患者の増加などでベッドに余裕がない状態。消防庁の調査によると、救急車で運ばれた人のうち、高齢者の割合は2006年時点で45%に上るなど年々、増えている。
帝京大救命救急センター長の坂本哲也(さかもと・てつや)医師は「在宅や介護施設に移す政策が進み、体の弱い高齢者が救急に押し寄せている。症状が落ち着いても、もとの施設にも自宅にも戻れず、そのまま救急病院で診なければならない。このため高齢者でベッドが埋まり、新しい患者を受けられない状況だ」と説明する。
日本療養病床協会の武久洋三(たけひさ・ようぞう)会長は「症状が悪化したときに対応できる療養病床が減れば、さらに搬送が増える。救急でしか診られない患者と、それ以外の患者を診る療養病床とで、役割分担するべきだ」と話している。』
以前に救急外来への介護施設からのコンビニ受診が増えていると書いたが,今後はこれが増えていくのだろう.軽症なら点滴してお引き取り願いたいところだが,施設の付添の人は自分のところで経過をみるのも手間なので入院を希望されることも多い.その結果として満床になってしまい救急車の搬入ができなくなることもある.
今や療養病床に入院できるのは経管栄養や気管切開のために医師や看護師がチューブやカニューレを定期的に交換する必要があるような介護施設では暮らせない人たちだけである.だから,介護施設から受診して入院する人たちは急性期病棟に入院することになるのだが,当然のこととして後期高齢者と呼ばれる人たちが多いので,風邪をこじらせた肺炎だけでも1ヶ月以上もリハビリテーションが必要になることも珍しくはないのである.
数年前まで急性期病床に空きがないために救急搬入されたクモ膜下出血の患者さんに付き添って搬送するような事態になるとは思ってもみなかったが,これが今の救急の現実なのだろう.比較的軽症だが介護施設では対応できない患者さんが急性期病床にあふれ,本当に緊急を要する患者さんが入院できないというのはもうすでに起きていることである.
こんなことも厚労省にとっては想定外だったのだろうが,今更気づいたとしても消えたベッドはもうどうにもならないのである.医師だけでなく病床も足りなくなったのだから,当然の結果として救急医療の崩壊はさらに進むことになるのだろう.
コメント
想定外だったのではなく、想定内だったように思います。
でも、それには目を瞑っていた。というかあえて無視したんじゃないかと思います。