『 救急救命士が医療事故 気管チューブを食道に

 名古屋市は7日、救急隊が心肺停止状態の患者を搬送する際、救急救命士の男性(37)が人工的に呼吸させるため気管に入れるチューブを過って食道に入れる事故を起こした、と発表した。患者は搬送先の病院で死亡が確認されたが、事故との因果関係は「調査中」としている。救急救命士による気管チューブを使った医療行為は04年7月から認められたが、総務省消防庁は「こうした事例は聞いたことがない」としている。

 市消防局によると、死亡したのは同市瑞穂区の女性(68)。1日午前0時すぎ、家族から「息ができず苦しんでいる」と119番通報を受け、瑞穂消防署の救急隊が駆けつけたが、数分後に心肺停止状態に陥った。隊員3人のうち救急救命士の資格を持つ1人が、医師に携帯電話で指示を受けながら、女性に気管チューブを挿入するなどして蘇生を図ったが、搬送先の同市立大学病院で午前1時15分、心筋梗塞(こうそく)による死亡が確認された。医師が気管チューブを取り外す際、過って挿入していたことがわかったという。この救急救命士が気管チューブの挿入を行うのは2回目だった。女性は心筋梗塞の持病があったという。

 市は近く、医師や弁護士らによる第三者機関を設け、原因究明と再発防止を検討する。女性の家族には葬儀を終えた3日午後2時ごろ、医療事故について説明。遺体の解剖は行われていないという。 』

 経験豊富な麻酔科医でも挿管困難なケースがあるのだから,たとえ救命センターなどで十分な研修を受けていたとしても,経験の少ない救急救命士が気管チューブの挿入など出来なくても別に不思議でもなんでもないことだ.だから,この種の事故は再発をゼロにすることはおそらく不可能で,今後も同様のことが起きるだろう.

 群馬大病院では頸静脈へのIVHカテーテルの挿入で事故があったようだが,これも同じようなものだ.医療行為の中にはこのように死に直結する可能性をゼロにはできないものも多々あるわけで,そのリスクを犯してもやる価値があるかどうかを判断できる資格というのが医師免許の真価なのではないだろうか.

 結果だけから業務上過失致死というのは簡単だが,リスクを家族や本人が承知して行われたものはたとえ結果が悪くても過失にはあたらないと私は思うのだがどうだろうか.そして,救急車や救命救急部門ではリスクの説明をしている時間もないのだから利用する人は暗黙の了解ということにしてもらわないと,いずれは訴訟が怖くて助かるものも助けられなくなるのではないだろうか.

http://diarynote.jp/d/41284/20040324.html

コメント

nophoto
れい
2007年5月8日11:53

このようなケースで業務上過失致死を心配しなければならないとは、何でもかんでも責任を転嫁する風潮が蔓延しているようで嘆かわしい限りです。救急救命士に与えられている医療行為を認めた背景には、それによって助かる命がその医療行為を行わない場合と比較して格段に(少なくともかなり)多いからでしょう?注意不足や違反行為などによる事故なら責任が問われるのは当然にしても、今回の事例は、経験ある医師でも困難な場合があると言うなら、その責任を救急救命士に問うのは無茶でしょう。

 医療について、どのような治療・措置を受けるかは原則として患者の自己責任だと思います。その前提は、お医者さまに、インフォームドコンセントをしっかりやってもらうことが必要ですが、あまりにも責任を他人に求めることが多過ぎるのではないでしょうか。それは上に向かって唾するのと同じに、最後は自分に跳ね返って来るだけです。

nophoto
ニックネーム無し
2007年5月8日13:11

>リスクの説明をしている時間もないのだから利用する人は暗黙の了解ということにしてもらわないと,いずれは訴訟が怖くて助かるものも助けられなくなるのではないだろうか.

同意!!
どんな業務でもそうですがサービスを提供する側もそれを受ける側もある程度の認識を持って、その業務を遂行ならびに受け入れることは必要と思われる。事故当事者の双方で意見の食い違いが出るということは、どちらかの認識不足であるのが原因であるので日頃からの情報提供と指導、広報活動等を行うことが大事だと思う。 医療現場に限った事ではないのですが一般の会社企業でも社内や顧客とのトラブルはつきものです。
このトラブルをなくすためには双方が同じ認識(合意)のもとで行わなければいけないと思います。
ただ、今回の場合はあまりにもリスクが大きすぎるので日頃から医療、福祉や行政の広報等での説明が必要だと思います。

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