『 -- 米の大学生、一般教養は「落第」--

 米国の大学の一般教養教育は「落第」――。米国の大学間学問研究所(ISI)が全米50大学の学生の政治や歴史の基礎知識を調べたところ、4年生でも新入生と大差なく、エール大など16校では逆に4年生の方が成績が落ちていることがわかった。必修科目しか勉強しないことが一因と見られ、大学生の「常識」の欠如ぶりにISIは「名門大学でも教育の内容に問題がある」と批判している。

 調査は、新入生と4年生の計1万4000人を対象に昨年秋に実施。(1)米国史(2)政府機構(3)国際情勢(4)経済の各分野の基礎知識に関する60の質問で、学生の知識の習得度を調べた。

 その結果、「人は生まれながらにして平等である」という文言が「独立宣言」と答えられたのは4年生の半数以下、「連邦政府の最大支出は社会保障費」と正しく認識しているのは2割、など衝撃的な数字が出た。

 4年生全体の平均正答率も53.2%と、新入生に比べて1.5ポイント上回っただけ。この数字では「F(落第)」の判定になるという。

 大学別では、4年生の正答率が新入生に比べて一番上がっているのがローズカレッジ(11.6ポイント)で、コロラド州立大が続いた。逆に、在学中に知識を減らしている「マイナス学習」と判定されたのは、7.3ポイント下がって最下位だったジョンズホプキンス大はじめ、カリフォルニア大バークリー校(49位)、エール大(44位)など有名校を含む16校だった。

 ISIによると、上位の2校は必修が多く、4年生が政治や歴史を平均4.2単位も履修していた。一方、最下位と49位の両校は2.9単位しか取っていなかった。「政治や歴史は必修科目にしないと勉強しない傾向がある」としている。ISI一般教養委員会のバンティング委員長は「こうした惨めな成績では次世代の育成に危機が迫っている」と批判している。』

 政治や歴史を学んでもそれでお金が稼げるわけではないから,米国の大学でも必修科目にしないと勉強しないのだろう.理系志望のわが国の高校生が,受験に関係ないから勉強しないのと同じに思える.私が高校生の頃は,日本史も世界史も試験のために暗記するだけで本気で勉強する気になどなれなかったが,今も同じなのだろうか.今でもあれを歴史教育といって必修科目とするのなら,やるだけ時間の無駄だろう.

 そういえば同じく倫理社会という教科があり,先生が面白かったのがきっかけで随分と哲学関係の本や19世紀の文学書などを読んだおぼえがある.その結果わかったことは,思想の上では人類はそれほど進歩していないということだ.戦争も貧富の格差も有史以前から現代まで続いているし,それに関わる個人の悩みも,恋愛,健康,お金と何一つ無くなったものがないことが昔の人の書いた物を読むとわかる.

 今の若い人たちは「自分以外はバカ」だと思っているという話もどこかで聞いたような気もするが,自分の経験だけで判断できることなど限られているし,目先の利益ばかりに捕らわれると大きな間違いを冒すことを,歴史という過去の人たちの行動と結果から学ぶことは価値があることだろう.そうして,他人の価値観を自分の中に取り込んで理解できた人が教養のある人間ということなのだろう.

 今,国会では教育基本法改正案が成立しようとしているが,政府に都合のいい教育ではなくて,地球全体を視野に入れた教育を考える時が来ていることにそろそろ国民が気づくべきではないだろうか.目先の問題は色々あるだろうけど,地球の温暖化は核戦争並の環境破壊をもたらすだろうし,AIDSだっていつわが国で爆発的に流行するかわからないのだから.国際競争に勝って幾ばくかの富を手に入れるのもいいけれど,少なくとも21世紀を無事に生き延びれるような知識と教養を子供たちに授けて欲しいと思うのは私だけだろうか.

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