『 -- 医療過誤訴訟:金沢大病院「過失ない」争う姿勢 --
金沢大付属病院(金沢市)に入院していた小松市の女性(59)が、脳こうそくを発症して神経に障害が残ったのは病院側の治療後の措置に過失のためとして、同大相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、金沢地裁(倉田慎也裁判長)であった。金沢大側は「過失はなかった」として争う姿勢を見せた。
訴状によると、女性は01年12月10日に心不全で同大に入院。心臓検査のため、頸(けい)静脈にカテーテルを挿入した。同13日にカテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り、脳こうそくを発症。付き添い介護が必要な後遺症が残った。
病院側はこれに対し、▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽カテーテルを抜去後の処置は医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない▽ベッド交換が直接の原因とは断定できない----などと反論した。』
頸静脈のカテーテルの挿入口から多量の空気が静脈に入り空気塞栓による脳梗塞を起したという事故なんて経験したこともないし聞いたこともなかった.だが,起きる可能性はあったのではないだろうかと私は思う.
非常に稀な現象だろうが,心臓検査のためのカテーテルとあるから比較的径の太いカテーテルにより瘻孔が形成されていたところへ,起立と呼吸により静脈圧が陰圧となり空気が入り込み,さらに移動の際に今度は右心系の圧が上昇し,心内の右-左シャントを介して奇異性塞栓を起したという可能性はあるのではないだろうか.
本当にこんなことが起きるのだろうかという疑問は残るのだが,発症時の頭部CTで梗塞部位の脳血管内に空気がみとめられていたなら可能性は否定できないだろう.予防としては,やはりカテーテルの抜去は常に臥位で行い,気密性の高い被覆材を使うくらいしかないだろうか.いずれにしても明日は我が身,可能性のあることはすべて起きるというのが持論の私としてはちょっと気になる話だ.
金沢大付属病院(金沢市)に入院していた小松市の女性(59)が、脳こうそくを発症して神経に障害が残ったのは病院側の治療後の措置に過失のためとして、同大相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、金沢地裁(倉田慎也裁判長)であった。金沢大側は「過失はなかった」として争う姿勢を見せた。
訴状によると、女性は01年12月10日に心不全で同大に入院。心臓検査のため、頸(けい)静脈にカテーテルを挿入した。同13日にカテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り、脳こうそくを発症。付き添い介護が必要な後遺症が残った。
病院側はこれに対し、▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽カテーテルを抜去後の処置は医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない▽ベッド交換が直接の原因とは断定できない----などと反論した。』
頸静脈のカテーテルの挿入口から多量の空気が静脈に入り空気塞栓による脳梗塞を起したという事故なんて経験したこともないし聞いたこともなかった.だが,起きる可能性はあったのではないだろうかと私は思う.
非常に稀な現象だろうが,心臓検査のためのカテーテルとあるから比較的径の太いカテーテルにより瘻孔が形成されていたところへ,起立と呼吸により静脈圧が陰圧となり空気が入り込み,さらに移動の際に今度は右心系の圧が上昇し,心内の右-左シャントを介して奇異性塞栓を起したという可能性はあるのではないだろうか.
本当にこんなことが起きるのだろうかという疑問は残るのだが,発症時の頭部CTで梗塞部位の脳血管内に空気がみとめられていたなら可能性は否定できないだろう.予防としては,やはりカテーテルの抜去は常に臥位で行い,気密性の高い被覆材を使うくらいしかないだろうか.いずれにしても明日は我が身,可能性のあることはすべて起きるというのが持論の私としてはちょっと気になる話だ.
コメント
地方で循環器内科医をやっておりますが、ブログのコメントに2−3点気になる点があります。
1)検査のためのカテーテル(S−Gカテでしょうか)挿入であれば、すぐ抜去するので、airが入るほどのろう孔はめったにできないのでは。
2)たとえPFOがあってもairが入るほど右心圧が低い状態で右左シャントになるのか。(valsalvaをわざとかけたのでしょうか)。PFOのあるのであればむしろ臥床による血栓塞栓のほうが可能性が高いのでは?
循環器内科医として非常に気になる点です。今後の真相究明に期待したいところです。