『 -- リハビリに日数制限 撤廃求め44万人署名提出 --
診療報酬改定:リハビリに日数制限 不安訴える患者、撤廃求め44万人署名提出

 ◇自分の命、守れない

 4月の診療報酬改定により医療保険で受けられるリハビリの期間に上限が設けられたのを受け、患者などで作る「リハビリ診療報酬を考える会」はこのほど、上限撤廃を求める約44万4000人の請願署名を厚生労働省に提出した。同省は「限られた予算で急性期に重点を置いた措置。必要かつ適切なリハビリは確保されている」と説明するが、患者らは「リハビリが受けられなくなるのでは」と危機感を募らせる。

 「リハビリで寒い冬に低下した機能を取り戻してきたのに。打ち切られたら自分の命を守れない……」。03年5月に脳出血で倒れ左半身にまひが残る大阪市内の女性(49)が、不安そうな表情で話す。女性は3年間のリハビリで、バス停一つ分は歩けるようになり今も週1回病院に通う。

 女性の場合、医療保険でまかなえるリハビリ期限は9月末。病院には、それ以降リハビリを受けられるかどうかは分からないと告げられた。同省は、今回の措置に伴い介護保険の利用を勧める。そこで女性が訪問介護ステーションに相談したところ、介護保険でリハビリを受けるめどは立っていないと言われた。鍼灸(しんきゅう)の通院費用も、生活保護だけではねん出が難しく、女性は「私たちの実態を見て」と訴える。

 リハビリの上限は、▽呼吸器で90日▽心大血管疾患と骨折などの運動器は150日▽脳血管疾患でも180日----などとなるが、医学的に改善が期待される場合は、規定が除外される。

 西宮協立脳神経外科病院の小山哲男・リハビリテーション科医長は「基準があいまいで、保険でできると思って受け入れてできなかったらどうしたらいいのか。リハビリで機能低下を防いでいる例もあるのに」と、ため息をもらす。

 日本リハビリテーション医学会などは「時期にかかわらず必要なリハビリが提供できる仕組みを」などとする意見書をまとめる予定だ。』

 リハビリの上限が,呼吸器で90日,心大血管疾患と骨折などの運動器は150日,脳血管疾患は180日とあるが,この日数の根拠はいったいなんなのだろうか.病院でのリハビリテーションは改善がそれ以上認められない状態がゴールと考えるから,それぞれの疾患にこれくらいの日数があれば十分という判断なのだろうが,医療費抑制の大義名分のためとはいえずいぶん一方的な話である.

 もちろん,それだけではまずいと思ったので「医学的に改善が期待される場合は、規定が除外される」と付け加えたのであろうが,こんな言葉を鵜呑みにするほど医療機関はお人好しではない.おそらく実際の診療報酬請求の際には日数制限だけで一方的に査定され,それを超えたリハビリテーションが病院の赤字となると思われるからである.過去にもこのようにして痛い目をみている医療機関は,厚生労働省は病院の都合など考えないということをよく知っている.

 この女性が「私たちの実態を見て」というのもよくわかる.病院で医療保険によるリハビリテーションを自費で受けることは制度的に不可能であるが,介護保険で受けられると言われているリハビリテーションが病院で受けられるものとは違うということが議論から抜け落ちているということが問題である.ちょっと考えればわかることだが,介護保険で病院と同じレベルのリハビリテーションを受けるには病院並みのコストが発生するということである.介護保険では介護レベルを越える費用は自費になるわけだから,当然患者さんの経済的負担は増えるのである.

 小泉首相は6月22日の経済財政諮問会議で「歳出をどんどん切り詰めていけば『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」と発言していたそうだから,厚生労働省も保険医療費のカットをやめてほしいと言うまで続ける気なのだろうか.診療報酬のルールを作るのはいいが,少なくともルールをそう決めた理由をわかりやすく国民に説明したり,ルールの適用をもっと明確に公示する義務が厚生労働省にはあるのではないだろうか.
 

コメント

モモ
モモ
2006年7月7日17:34

ご指摘のとおり、制限日数の根拠なんてテキトーでしかないと思っています。
摂食嚥下療法に至っては「開始から1ヶ月」って、いったいどこが1ヶ月目なのか?
翌月の同日付だとすると、2月なんかは28日しかないわけで
むちゃくちゃとしか思えません。

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