我田引水

2006年6月23日 医療の問題
『 -- 療養型の収益率8・3% 一般病院の6倍強  --

 長期療養向け患者が多く入院する療養型病院は収入に対する黒字の割合(収益率)が8・3%と、一般の病院の1・3%の6倍強となっていることが21日、厚生労働省の2005年6月実施の医療経済実態調査で分かった。

 病院には急性期の医療を担う一般病床のほか、慢性病などを抱えた療養病床があるが、今回新たに全病床のうち療養病床が6割以上を占める療養型病院の収支が判明し、初めて公表された。

 公的病院などを除く医療法人の収支を見ると、一般病院の場合、収入に対する費用の割合は給与費52・1%、医薬品11・8%など全体で98・7%。この結果、収益率は1・3%となった。

 一方、療養型は費用のうち医薬品が6・2%と一般に比べ低く、費用が収入に占める割合は91・7%と低く抑えられ、収益率は8・3%と高水準となった。

 これまで療養病床は高齢化の進展を背景に、高齢者医療や慢性期医療を支える病床として位置付けられてきたが、今回の調査で高収益体質が明らかになり、7月からの診療報酬を引き下げる材料となりそうだ。』

 療養病床の削減と診療報酬改定が終わったばかりなのにそれ以前の収益率を今頃だしてくるのは何故なのだろうか.療養型病床の認定を受ける時に病棟の増改築をやった病院がほとんどのはずなのにたった数年でまた制度の変更をされ,まだ借金の返済も終わらないうちに今回の改定で病棟を閉鎖したところも多いというのに.官庁の優越的地位の乱用というものはわが国では問題にされないということだろう.

 厚生労働省は本気で健康保険医療を崩壊させようとしているのではないだろうか.一般の病院の1・3%の6倍強というと高く聞こえるかもしれないが,一般の病院の収益率が1・3%しかなかったということは今回の改定では赤字に転落しているはずで,これで医療費削減をするのは無謀なのではないのだろうか.勤務医の立場で言わせてもらえば,その高い収益率というのも厚生労働省が意図的に労働基準法を医師に適用せずに医療コストを下げるという不公正な手段を用いて達成されているということも忘れるべきではないだろう.

 医療機関に自ら健康保険診療を放棄させた挙げ句にすべてを医者の責任にして厚生労働省の責任を隠ぺいするという常套手段で健康保険制度を崩壊させようとしているのかもしれない.そうなれば困るのは高額な医療費を直接負担する患者ということになるだろうが,それでいいのだろうか.最近のB型C型肝炎の訴訟に対する厚生労働省の態度をみてもまったく無責任な彼らのやることなど信用できないと思うのは私だけだろうか.

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