問題は不眠だけじゃない
2006年6月9日 医療の問題 コメント (4)『 -- 不眠は約3兆5000億円の損失 日本大教授が試算 --
不眠の問題で生じている日本の経済損失は年間約3兆4700億円-。日本大学医学部の内山真(うちやま・まこと)教授(精神神経医学)が7日までに、こんな試算をした。睡眠に問題を抱える人は、勤務中の眠気で作業の効率が約4割ダウンし、交通事故に遭う割合も高いという。内山教授は「仕事のミスや事故を防ぐには、十分な睡眠時間と質の改善が必要だ」と話している。
大阪の化学企業に勤める20-60代の男女5312人を対象にアンケート。このうち有効な回答があった3075人のデータや、国などの統計資料を基に試算した。
それによると、男性で34・7%、女性で42・6%が寝付けなかったり、夜間や早朝に目が覚めるなど「睡眠に問題あり」とされた。問題がある人は欠勤・遅刻が多く、勤務中に眠くなり、眠気がある場合の作業の効率は約60%。
内山教授は、これらのデータに労働人口や平均的な給与額などを加味して全国規模の損失額を算出。眠気による作業効率の低下、欠勤や遅刻などによる損失は約3兆2300億円で、交通事故に伴う損失も約2400億円とした。』
このニュースを読んだ医師はそれなら勤務時間を守らせろとか当直を減らしてくれとか思ったに違いない.以前に電車の運転士や旅客機のパイロットの睡眠時無呼吸が問題になっていたが,医師の場合は必要な休息が十分に取れないというのが一番問題だろう.
さすがに研修医の頃ほど睡眠不足になることはないが,それでも救急車が夜中から明け方に続けて来ると私でも翌朝は疲労感が残って頭はボーッとしている.予定手術なら前日の当直を避けることは可能だが,臨時手術ではそうもいかないし人手が足りないから臨時手術のあとに予定手術をやらなければならないこともある.そもそも医師が当直明けに代休をもらえる病院なんて聞いたこともない.
看護師さんには夜勤明けには休みがあるが医師にはないのである.医師には労働基準法は関係ないとでもいうのだろうか.そもそも当直業務は勤務時間に入っていないようだし時給で計算して通常勤務と比べると報酬も低いのが現実である.しかし,医師からみれば,他に医師がいない病院に残される精神的な負担は大きいし労働量は少なくとも休息がきちんと取れないという点で肉体的な負担も大きく,はっきり言って割に合わない仕事である.
病院経営側からみれば当直業務だけでは収益にならないから当直料を低く抑えて,それで救急車が来てくれれば収益性は上がり好都合だろうが,そのしわ寄せはすべて医師に来るわけである.そして,もし睡眠不足で疲れた体で手術となり普段ならしないようなミスをすればそれも医師の責任となるのだ.こんな状態でずっと働き続けられる医師はそうはいないだろう.
残念ながら労働者を守るはずの厚生労働省も看護師の夜勤回数の制限はしても医師の当直回数の制限はしていない.安全な医療を国民に提供するようなことを言いながらすべては現場まかせにしているのが現状である.医師数が足りているというならなぜ勤務時間や当直回数を制限して医師の過労を防ごうとしないのだろうか.こういった問題を真剣に議論しないかぎり地域や診療科による医師の偏在という問題は解決することはないと私は思うのだがどうだろうか.
不眠の問題で生じている日本の経済損失は年間約3兆4700億円-。日本大学医学部の内山真(うちやま・まこと)教授(精神神経医学)が7日までに、こんな試算をした。睡眠に問題を抱える人は、勤務中の眠気で作業の効率が約4割ダウンし、交通事故に遭う割合も高いという。内山教授は「仕事のミスや事故を防ぐには、十分な睡眠時間と質の改善が必要だ」と話している。
大阪の化学企業に勤める20-60代の男女5312人を対象にアンケート。このうち有効な回答があった3075人のデータや、国などの統計資料を基に試算した。
それによると、男性で34・7%、女性で42・6%が寝付けなかったり、夜間や早朝に目が覚めるなど「睡眠に問題あり」とされた。問題がある人は欠勤・遅刻が多く、勤務中に眠くなり、眠気がある場合の作業の効率は約60%。
内山教授は、これらのデータに労働人口や平均的な給与額などを加味して全国規模の損失額を算出。眠気による作業効率の低下、欠勤や遅刻などによる損失は約3兆2300億円で、交通事故に伴う損失も約2400億円とした。』
このニュースを読んだ医師はそれなら勤務時間を守らせろとか当直を減らしてくれとか思ったに違いない.以前に電車の運転士や旅客機のパイロットの睡眠時無呼吸が問題になっていたが,医師の場合は必要な休息が十分に取れないというのが一番問題だろう.
さすがに研修医の頃ほど睡眠不足になることはないが,それでも救急車が夜中から明け方に続けて来ると私でも翌朝は疲労感が残って頭はボーッとしている.予定手術なら前日の当直を避けることは可能だが,臨時手術ではそうもいかないし人手が足りないから臨時手術のあとに予定手術をやらなければならないこともある.そもそも医師が当直明けに代休をもらえる病院なんて聞いたこともない.
看護師さんには夜勤明けには休みがあるが医師にはないのである.医師には労働基準法は関係ないとでもいうのだろうか.そもそも当直業務は勤務時間に入っていないようだし時給で計算して通常勤務と比べると報酬も低いのが現実である.しかし,医師からみれば,他に医師がいない病院に残される精神的な負担は大きいし労働量は少なくとも休息がきちんと取れないという点で肉体的な負担も大きく,はっきり言って割に合わない仕事である.
病院経営側からみれば当直業務だけでは収益にならないから当直料を低く抑えて,それで救急車が来てくれれば収益性は上がり好都合だろうが,そのしわ寄せはすべて医師に来るわけである.そして,もし睡眠不足で疲れた体で手術となり普段ならしないようなミスをすればそれも医師の責任となるのだ.こんな状態でずっと働き続けられる医師はそうはいないだろう.
残念ながら労働者を守るはずの厚生労働省も看護師の夜勤回数の制限はしても医師の当直回数の制限はしていない.安全な医療を国民に提供するようなことを言いながらすべては現場まかせにしているのが現状である.医師数が足りているというならなぜ勤務時間や当直回数を制限して医師の過労を防ごうとしないのだろうか.こういった問題を真剣に議論しないかぎり地域や診療科による医師の偏在という問題は解決することはないと私は思うのだがどうだろうか.
コメント
脳外科医さまもお体だけは本当に大事にされて下さいね。
医師という職業は、労働基準法の治外法権にあるようです。一晩中救急外来やったあとに、普通に朝から仕事があるなんて
他の職業なら考えられないですよね。それでも不注意とかれば
徹底的に叩かれるわけですし・・・。
いつになったら、医師の労働時間の規制とか基準とか
できるのでしょう・・・(’A`)
55歳の循環器科の医師ですが、今年の春に退職しました。24時間拘束された生活でしたが、今は、不定期に検診業務をしています。私は、自分と家族のための生活をすることにしました。