『 -- シンドラー社は説明拒否、住民怒り エレベーター事故 --

 都立高校2年の男子生徒(16)が東京都港区の公共住宅のエレベーターに挟まれて死亡した事故で、事故機を製造したシンドラーエレベータ(東京都江東区)が住民説明会への出席を拒否し続けている。区長からの要請にも応えず、6日夜の説明会にも姿を現さなかった。

 「なぜ、呼べないのか」「製造会社がいないのでは、説明を聞いても仕方がない」。集まった住民約100人から怒りの声があがり続けた。

 5日夜、午後7時から3時間半に及んだ住民説明会。住宅を管理する区住宅公社や区の幹部、保守・点検を委託された会社の担当者が並んだが、シンドラーの関係者の姿はなかった。

 開始から1時間半。「職員でだめなら、区長が直接電話してほしい」「どうしても説明を聞きたい」という住民からの再三の要望で、武井雅昭区長が途中退席。同社の担当者を相手に携帯電話で出席を求めたが、答えは「現在進んでいる捜査に支障をきたす理由がある」だった。住民や報道各社にも同じ言葉を繰り返している。

 港区の山田憲司・街づくり支援部長は「住民からも怒りの声があがっている。非常に残念」。区は要請を続けているが、6日夜の説明会にも出席はなかった。

 3日の発生の当夜、土曜ということもあり、区は同社と連絡が取れなかった。4日になって連絡が取れたが、面会要請は断られた。区幹部は「諭しても、反応をいただけない」という。

 シンドラーは現場検証には立ち会っている。6日の生徒の告別式には、ケン・スミス社長が姿を見せた。

 この住宅では、事故機を含めた2基の双方がシンドラー製。事故機でない方は、委託業者が点検した上で5日に運転を再開したが、住民からは「製造元から説明を受けるまでは、怖くて乗れない」という声もあがる。90世帯のうち約半数の住民は階段で昇降しているという。』

『 -- 救出直後に急上昇、最上階を超え激突 エレベーター事故 --

 東京都港区の公共住宅「シティハイツ竹芝」(23階建て)で、都立高校2年の市川大輔(ひろすけ)さん(16)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、市川さんが救出された直後、エレベーターが急上昇し、本来の停止位置から最上階を超えて天井寸前の衝突止めに激しくぶつかって止まっていたことが、警視庁の調べで分かった。同住宅のエレベーター2基では、約3年間で41件ものトラブルが起きていた。

 同庁はブレーキを制御する装置の不具合が事故につながった可能性があるとみて、6日も専門家の立ち会いのもとで現場検証を続けている。

 捜査1課の調べでは、エレベーターは滑車に通したロープで箱部分をつるし、もう一方の端のおもりとでバランスをとる構造。安全を確保するために、各階にあるブレーキパッドと、ドアが閉じないと稼働しないための安全装置が連動しており、乗降中に動き出さないよう屋上にある機械室で制御している。

 ところが、12階の天井部分に挟まれていた市川さんが救出された際、作業員が電源を切ったにもかかわらずエレベーターは急上昇し、最上階の停止位置を超えて天井寸前に達していた。衝撃で8本あるワイヤのうち3本が滑車から外れたという。エレベーター管理会社によるとこうした急上昇は「突き上げ」と呼ばれ、発生はきわめて少ないという。

 事故当時、同じエレベーターには女性(57)が同乗していたが、急上昇する前に13階から救助されていたため無事だった。

 同住宅を管理する港区住宅公社が過去のトラブルについて調べたところ、03年4月以降、エレベーター2基で計41件に上ることが分かった。公社は4日の会見で「不具合は19件」としていたが、その後の調査で新たに報告が寄せられたという。公社はエレベーターが稼働し始めた98年までさかのぼって調査を進めており、トラブル件数はさらに増える可能性もある。

 警視庁は制御装置の不具合が事故につながった可能性があるとみて、過去のトラブルを詳細に分析し、事故原因の特定を進めている。 』

 以前からエレベーターに一人で乗る時に時々思っていたことがある.それは映画のようにケーブルが切れて落下することと乗り降りする時にそれが起こったらどうなるかということである.だが,エレベーターは落下を感知すると自動的にブレーキがかかるという話は聞いたことがあったのでなんとかなるだろうくらいに思っていた.

 だが,今回は落下ではなく上昇だったのでブレーキは働かなかったのだろうか.私は医療事故事故防止委員会で「考えられる事故は起こる」とよく言っているのだけれども,まさかエレベーターでこんな事故が本当に起きるとは思わなかった.こんな事故が起きることを予想できた人はまずいないだろうが,考えてみれば起こる可能性はある事故なわけだから製造者側の責任は逃れられないだろう.

 シンドラー社は外資系の会社で競争落札で業者を決定する官公庁に納入されていることが多いようだから自分が毎日使っているエレベーターが同社のものだったらさぞかし気持ちが悪いことだろう.実は私も今朝確認したら国産有名ブランドだったので少し安心している.

 事故の犠牲となった高校生も同乗していた女性も突然のことで何がなんだかわからなかっただろうが,考えてみれば予期せぬ事故というのは誰にでも起こり得るわけである.生と死はいつも紙一重で存在しているが,いつ自分が死ぬかはわからないということにまた気づかされた.『人間には未来を知る力は与えられていない』ということである.

コメント

nophoto
rtart_dush
2006年6月7日12:59

sonotooridesu



その通りですね。「人間には未来を知る力はない」という言葉は名言です。考えさせられます。

nophoto
start_dush
2006年6月7日13:03

失礼しました。変なコメントになりました。お許しください。

ブログ脳外科医
脳外科医
2006年6月10日6:52

私がブログをはじめた理由は最初のページに書いてあります.
脳神経外科専門医ですが転職の予定はありません.
医学的に誤った記述がありましたら具体的にご指摘いただければ幸いです.

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