『 -- 念じた通りにジャンケンロボ 脳の情報を信号化 --

 人間がチョキを出したら、ロボットもチョキ――。脳の情報を読み取り、ロボットハンドに人と同じ動きをさせるシステムの開発に、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)とホンダの共同研究チームが成功し、24日発表した。脳に電極を埋め込む方法などが欧米で研究されているが、今回の方法は人間側の負担が格段に少ない。

 川人光男・ATR脳情報研究所長らの説明によると、人が「グー」「チョキ」「パー」の手の動きをするときの脳活動を、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で検出。コンピューターで解読してロボットに伝えたところ、9割近い精度で同じ動きを再現できた。この技術を応用すれば、重度の身体障害者向けに、脳からの信号だけで思い通りに作動する電動車いすや人工発話装置などがつくれるという。

 1年以内をめどに、手を動かさなくても念じただけでロボットハンドを操れる技術に発展させ、脳情報の読み取り装置を帽子サイズに小型化した上で、8〜10年後の実用化を目指す。 』

 コンピュータというのは人間の脳の機能を拡張するものであるからこういった脳内の活動パターンを認識させ機械の制御を行うという発想は新しいものではないが,認識させる信号パターンとしてfMRIを使った点と脳情報の読み取り装置の改良がポイントなのだろう.

 こういう装置というとすぐに身体障害者用と考えるのは早計で,もちろん失われた身体機能を取り戻すということにも有用だが,人間の身体機能を拡張する上で非常に有用だろう.たとえば老人が老人を介護する際などに介護者がこの装置でロボットスーツを制御できれば一人で体位交換や入浴介助などが行えるようになったり,危険な作業を遠隔操作で行う際もマニピュレータの繰作の精度が上げられるのではないだろうか.

 外科手術なども最近ではネットワーク回線を使って遠隔手術をしたりする実験が行われているが,この場合は触った物の感覚が術者側にフィードバックされる必要があり,ロボットハンドの感覚センサーと人間の脳とのインターフェースが問題になるだろう.脳外科の手術がそう簡単にロボットハンドにとって代わられるとは思えないが,ロボットスーツを着て散歩したりする老人なんかは近い将来に現れるかもしれない.もっともその頃には私も老人なんだろうが.

 

コメント

スミぱん@国会を見よう
スミぱん
2006年5月26日9:05

この記事を読んで、思わず、大友克洋の「老人Z」を連想してしまいました。

運命って・・・
運命って・・・
2006年5月26日11:51

脳外科医様
時々お越しいただき、ありがとうございます。
もしかすると初めて拝見したかもしれません(すみません・・・)。また読ませていただきます。
脳外科が研修医に一番不人気なんですね。病理医かと思ってました。でも、病理は診療科じゃなかったですね。
実は、私も仕事で人様の頭をあけさせていただくこともありました・・・。今は昔ですけど〜。
ではでは。

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