『 -- 医師の本音、専用ブログで紹介 --

 「科によって給料あげるとかしないと、みんな耳鼻科医とか皮膚科医とかになっちゃうぜ」(循環器内科医)、「研修医の息子が外科医になろうかなって…… 複雑な心境」(外科医)――そんな医師の本音をインターネットで読める専用ブログサイトが4月から始まった。閲覧は誰でもでき、医師と一般の人との距離を縮めることが狙いだという。

 サイトは「ドクターズブログ」。00年から医療関係者限定のサイトを手がける「ソネット・エムスリー」(本社・東京都港区)が運営する。ブログの書き込みは、身元確認した会員約29万人のうち、約12万5000人を占める医師に限って認めている。

 福島県の県立病院での妊婦死亡をめぐって産婦人科医が逮捕された事件を受け、会員サイトで様々な議論が起こったこともあり、ブログサイトを新設した。

 ブログを公開する医師は徐々に増え、今では170人を超えた。日常業務から、恋愛や趣味など幅広い。

 「やぶ医師のつぶやき」ブログは、脳外科医希望の新人医師が減っているとの新聞記事について「米国では、脳外科医なら年収4500万円。日本では、開業医の収入が高く、勤務医は診療科によらず低め。大学教授ですら1000万円ちょっと」などと解説する。

 「美人女医さんのひ・み・つ」ブログでは、娘を妊娠中、診察してもらった産婦人科医の「大丈夫!」という口癖に、「この訴訟社会に、産科でこの口癖はスゴイ」と感心しながら「(私は)マネ、できないけど……」と付け加えている。

 同社は「医師の率直な意見や思いを提供することで、医師や医療の不信感をなくすことにつながれば」といっている。』

 これだけブログが普及してくればいつかは出てくるような気はしていた.でも,登録で身元確認された医師であると言ってしまうとなりすましが現われるような気もするし,登録者の情報がWinnyなんかで漏れる危険なんかを考えると私にとってはリスクが高い.それにDiaryNoteは秘密日記が面白い.だから当分ここで書いていくだろう.

 さて,ブログは医師や医療の不信感をなくすだろうか.私はそんなことはないだろうと思う.もちろん不信感を減らす場合もあるだろうが,逆に増大させる場合もあるだろうから.ブログは個人の中の物事に対するイメージを匿名性を保ちながらネット上に拡散させるだけである.ブログに本音を書かなければならないルールなんてないのである.その点で実社会との違いは匿名性が保たれるという仮定のみである.

 日常の対人関係では匿名の発言はできないから発言には即責任が生じる.ブログではその対人関係が匿名で見えないから自由な発言がしやすい.だから,私が脳外科医として本音を書くこともできるのである.だが,注意してもらいたいのはいつも本音で書いているとは限らないということである.なんでも生のままで書いたらきっと読むに堪えないだろうし,誤解を与える書き方ではかえって不信感が増大してしまうだろう.

 私のブログで結果として医師や医療への不信感がなくなるのなら結構な話であるが,私の書き方が悪いのか,読む方の理解力がないのか,残念ながらコメントをいただいても真意がわからず返答不能なものも稀にあるのである.だが,似たようなことは患者や家族との関係でも日常経験することで不思議でもなんでもない.人間のコミュニケーション能力というものは,その人間の経験により獲得されたものであるからいつも話があうとは限らないのである.

 中学校2年生の国語の教科書に、西江雅之著の「伝え合い」という単元があるそうだ.学習のねらいは、たとえ言葉が通じても,その使い手の属する世界や身に付けている習慣によって同じ言葉でも意味合いが異なってしまうことで、本文には言葉は通じているが、話し手と聞き手の意味のとり違いの例が載っているそうである.価値観の多様化した現代ではこういう教育も必要なのだろう.

 『医者の考え方を理解してもらえれば,医者の言うことも理解してもらえるだろう.』と考えるのは医者の思い過ごしで,現実には『担当医の説明より,みのもんたさんの言うことのほうが信じられる』とか,『処方された薬は飲まないが,テレビでやっていた健康食品は毎日欠かさない』という世界なのだから医者がやりにくいのも当然だろう.こんな世界がブログで変わるなんて信じられないのは私だけだろうか.


コメント

流知翕
流知翕
2006年5月22日21:14

>ブログは医師や医療の不信感をなくす?

情報は、多いほうが不信感は減っていくと思います。
専門家が与える情報だから、有り難いですよ。

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