研修医に最も不人気な診療科となった脳神経外科の医師に愛の手を!

『  -- 研修後の若手医師、大学病院敬遠 脳神経外科も不人気 --

 全国80の国公私立大と付属病院からなる全国医学部長病院長会議は19日、臨床研修を終えて大学に残る若手医師の割合が、4年前に比べて20ポイント減少したという調査結果を発表した。研修後の診療科別の志望をみると、形成外科や皮膚科が増え、脳神経外科や外科が減っていた。会議は、現行の臨床研修制度は地域医療を担う大学病院の弱体化を招くと指摘。近く、制度の改善策を緊急提言する。

 臨床研修(初期臨床研修)は04年に必修化され、必修化1期生が今春、医師としての進路を選ぶことになる。以前の臨床研修制度は、給与面や教育プログラムの規定がなかったため、大学病院側にとっては若手を自由に安く使える労働供給源としての面もあった。

 同会議は80大学を対象に初期臨床研修の修了者の動向を調べ、68大学が回答した。その結果、大学を卒業し、その大学で後期臨床研修を受けた若手医師の割合は、平均で51%。02年の72%に比べ21ポイント減った。地域別では四国44ポイントと北海道で43ポイント減少し、その幅は著しかった。

 専門家の間では「地方に住むのを嫌がって大都市部に流れているのでは」との指摘がある一方、「地方の別の医療機関に流れているだけ」との見方もある。調査を担当した岩手医大医学部長の小川彰教授は「医師を地域に供給してきた大学病院のシステムは崩壊している」とみている。

 一方、研修後の診療科目別の増減率をみると、最も減少率が大きかったのは脳神経外科で42%減、次いで外科(33%)、小児科(28%)と続いた。反対に、形成外科は41%増で、ほかに皮膚科(24%)、麻酔科(23%)の増加が目立った。調査を担当した小川教授は「仕事がきつく、しかも生命に直接かかわる診療科への希望が減っている」とみている。

 厚生労働省の担当者は「最近の研修医は専門医志向が強く、多くが臨床経験を望んでいる。本来なら専門技術が学べる大学病院に研修医が集まっていいはずだ。一部に魅力ある研修プログラムを用意するなど工夫している大学病院もあるが、多くは研修医のニーズに応え切れていない。臨床研修制度が医師不足の原因になっているとはいえない」と話している。』

 外科系は脳外科>外科>(小児科)>整形外科>産婦人科の順に不人気なんですね.予想はしてましたが最下位というのはちょっとショックですね.胸部外科は外科に含まれているんでしょうか.さらに北海道と四国が不人気なのはやはり地理的要因なんでしょうか,それとも大学病院の研修体制の問題なんでしょうか.いずれにしてもこれからは大学病院は経営的にもかなり厳しい状況になり弱体化はまぬがれないのではないでしょうか.

 臨床研修制度がもたらした結果がこれだとすると,なんのための臨床研修だったのかわかりませんね.まあ,他科で研修した知識を生かして形成外科医や皮膚科医に一次救急をやってもらい,脳外科医が必要な場合に転送してもらえるんなら文句はないんですが.

 それと,厚生労働省の担当者の話はあいかわらずピンボケで,その責任回避の発言には毎度のことながら失望させられますね.

コメント

名犬@茗香
名犬@茗香
2006年5月20日23:17

医師のおかれている立場はなかなかいろいろな問題を抱えていますね。
私は、将来、胸部外科に憧れている医大生なのですが、医師としての立場だけでなく、子どもを生むという女性としての立場も考えてみると、興味のある分野へ行ってもやっていけるのだろうかと不安を抱えてしまいます。
脳外科や小児科は、医大に入ったときには、目指している人も結構見るのですが、現実が見えてきてしまうと躊躇してしまうのでしょうか。
私はまだ、現実がよく見えていないので、そのこと自体の不安も大きいです。
ただ、良い医師になろう!ってその気持ちだけは変わりませんが。

ブログ脳外科医
脳外科医
2006年5月21日12:16

 胸部外科のことはわかりませんが,手術が即生死にかかわる点で脳外科と同じくリスクは高いのではないでしょうか.お金のことを考えると開業するのでなければ現状はどの科もほとんど差はないです.だから,仕事が楽で生命に直接かかわらない診療科のほうが割がいいという考え方もあると思います.でも,せっかく医師になるのだったら自分が興味のある臓器を扱うほうが私はいいと思います.私は中枢神経系に興味があったし外科志向だったので脳外科をやっています.少しでも仕事の環境は良いに越したことはありませんが,形成外科に転身したいとは思いません.
 女性医師にとって働きやすい科というのもあるのかも知れませんが,本人が仕事と家庭の割合をどうしたいかということをしっかり決められればどの科を選んでもやり方は色々あるのではないでしょうか.脳外科でも女性医師はいますし出産や子育てのためであれば仕事は減らすべきであると思いますが,仕事上それで差別されるべきものではないと思います.こういう問題は診療科の問題というより所属する組織の問題だと思います.私は,少なくとも医学という生命科学の分野で女性に対する配慮に欠ける大学や病院などというのはそれ自体おかしなものだと思っています.外科系はたしかに体力的にも大変ですが,困難な手術が成功したときの充実感は格別だと思います.ぜひ頑張って胸部外科医をめざしてください.

名犬@茗香
名犬@茗香
2006年5月21日21:11

将来のことはまだ分かりません。これから勉強していくうちにもっと興味のわく分野も出てくるかもしれないので。けど、今の時点では心臓が好き。特に先天性疾患には興味がある。今は今、変わったときはそのとき。頑張って目指していきたいと思います。
女性に対する仕事環境は古い体制が残っているとよく耳にします。女性も男性も働きやすいそんな環境に医療現場がなっていくとよいですね。

nophoto
Dr. I
2006年5月21日23:48

脳外科医は手術も長いですし、救急も多いし、訴訟も多いですから、大変そうですもんね。
でも、医学部に入ったのはきっと人の命を救いたいとか、そういう気持ちで入っているわけですから、みんな形成とか耳鼻科になるのは辞めて欲しいですよね。

あ、トラックバックさせてもらいましたよ。

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