『 -- 坂本龍一氏ら呼びかけ、PSE法反対7万5千人が署名 --

 4月から安全性保証マークのない中古家電製品の販売が制限される電気用品安全法(PSE法)に対し、反対する活動をしてきた日本シンセサイザープログラマー協会は15日、経済産業省に約7万5000人分の反対署名を提出する。中古楽器を制度の適用除外にすることを要望するとともに「混乱を招いた責任の所在」を明らかにするよう迫るという。

 中古楽器には「ビンテージ」と呼ばれる年代物の名器があり、そうした製品を売買できなくする法は文化破壊だ――。音楽家の坂本龍一氏や松武秀樹氏らが呼びかけ、インターネット上で署名を募った。2月18日から締め切りの3月5日の間、1日5000件前後もの署名が寄せられた。同協会は14日会見を開き、松武氏は「彼らの声を届けたい」と話した。

 経産省は14日、ビンテージ品についてマークなしでも販売できる緊急対策を発表したが、同協会は「音楽家の立場で楽器を対象に訴えてきたが、求めているのは法施行前の中古品の販売を認めること」としている。 』

『 -- 中古家電規制「迷走」 PSE、対象品の線引きあいまい --

 安全性を保証する「PSEマーク」のない電気製品を06年4月から順次販売禁止にする措置に関し、経済産業省が土壇場で、希少価値の高い「ビンテージ楽器」を除外するなどの特例を決めた。実施直前のどたばたの背景には、規制強化を盛った法改正を行う際、中古品の扱いをきちんと議論せず、その後の周知も徹底しなかったという問題がある。リサイクル業者や中古楽器愛好者などから噴出した不満に泥縄で対応はしたものの、混乱は尾を引きそうだ。

 今回の規制強化を盛った改正電気用品安全法(電安法)は01年4月に施行されたが、販売禁止まで5〜10年の猶予期間を設定。対象450品目のうち、まず冷蔵庫など白物を含む259品目の猶予期間が3月で切れる。

 だが、リサイクル業界最大手の「生活創庫」(静岡県浜松市)でさえ、経産省から中古品の扱いについて初めて連絡を受けたのは昨年11月という。法の条文では中古品の扱いに全く触れておらず、経産省がホームページで中古品が対象になることを明示したのも今年2月になってから。リサイクル業者の間には「法自体に不備がある」として猶予期間の延長を求める声もある。

 この法改正作業は99年の通常国会で行われたが、電気事業法など10法と同時だったため委員会でもほとんど論議は行われなかったという。経産省は「もっと周知徹底を早めからやるべきだった」(杉山秀二事務次官)と反省はするものの、対象商品の販売は予定通り4月から禁止する方針で、つじつま合わせに「緊急対策」を講じる羽目に陥った。

 14日に示した緊急対策は、(1)漏電検査の無料代行または機器貸し出し(2)PSEマーク届け出書類の簡素化(3)ビンテージ楽器などを販売禁止対象外にすること、の3点。電安法では、リサイクル業者が漏電などの自主検査をして、経産省に届け出れば製品にPSEマークを付けて売ることができる。(1)と(2)は、中小零細業者が、新たな負担なしに中古品を販売できるようにする救済措置だ。

 だが、この措置には大きな問題が潜む。漏電以外の欠陥があってもマーク付きで売られてしまう懸念があるためで、経産省自ら「『マークが付いているから安全』とは言えない」と認める。

 規制対象外とするビンテージ楽器の条件も「希少価値があること」「現行製品で代替できないこと」などとあいまいだ。楽器販売大手の石橋楽器(東京)は「どこまでが認められるのか線引きが不明確で、基準がはっきりするまでは冒険できない」と話し、引き続きマークのない中古楽器は買い取らない方針だ。 』

 安全性というと消費者はあきらめるとでも思っていたのだろうか.経済産業省の官僚も意外な反応に驚いたことだろう.だが,この法律はどの程度の科学的根拠に基づいているのか疑わしい.たしかに古くなれば絶縁などに劣化が生じて漏電するような気はするが,家電製品の漏電事故のニュースなんてあまり聞いたことが無い.本当に問題があるのならビンテージ楽器だって例外にすべきではないだろう.

 別に坂本龍一氏が反対したからではないだろうが,このように反対のあった「ビンテージ楽器」を除外したり,漏電検査をしてPSEマークを付ければ売れるなどの抜け道がある事自体がこの法律に対する経済産業省のいい加減さを示している.本当に消費者の安全のための法律なのだろうか.

 厚生労働省も診療報酬改定でよく使う手のようだが,制度を変えてもあまり周知しないでおいて監査の時になって知らない者が馬鹿をみるようにしたり,土壇場になって解釈を変えてつじつまをあわせるのが官庁のやり方のようである.PSE法も同様のやり方で中古電化製品に流通規制をかけるのが本当の目的と考えた方がつじつまが合いそうだ.おそらく景気回復のために買換え需要を喚起しようと家電メーカーの天下り官僚と仕組んだのではないだろうかとも考えられる.そういう意味では「混乱を招いた責任の所在」を明らかにするのは大変いいことだろう.

 経済産業省は法律をたてに対象商品の販売は予定通り4月から禁止する方針のようだが,つじつま合わせに「緊急対策」の範囲がどこまで広がるのかに注目したい.そして,おそらく最後まで規制が残った電化製品を売っている家電メーカーあたりがPSE法の仕掛け人なのだろう.

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