『 -- ヒトクローン胚研究、女性研究者からの卵子提供を禁止 --

 ヒトクローン胚(はい)研究の指針作りを進めている文部科学省は、胚の作製や利用にあたる研究チームが、チーム内の女性や研究者の親族の女性から卵子提供を受けるのを禁止する方針を固めた。6日の同省科学技術・学術審議会の作業部会で決定する。

 研究に必要な卵子の確保は、ボランティアで提供してくれる人は少なく、非常に難しいのが実情だ。このため、上司の研究者が、部下の女性研究者に卵子の提供を強要する“アカデミック・ハラスメント”が起こる恐れがある。

 実際、ヒトクローン胚由来のES細胞の論文をねつ造した韓国ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授は、研究チームの女性研究者から卵子提供を受け、倫理的問題が指摘されていた。作業部会はそれを教訓にした。

 指針では、研究チームに属する女性研究者からの卵子提供は全面的に禁止する。男性研究者の妻や女性親族なども禁止するが、どこまでを禁止の対象とするかは今後検討する。』

 アカデミック・ハラスメントとは研究教育の場における権力を利用した嫌がらせ行為で研究教育の場でのセクハラも含んだもののようである.卵子提供は女性にしかできないことであるから女性研究者からの卵子提供はセクハラの要素もかなり高い.男性研究者の妻や女性親族などを対象にすることも同様だろう.

 だが,それ以上に不妊治療の女性などが対象になっているのではないかということがふと気になったのだがどうなのだろうか.どうしても治療してもらっているほうは立場が弱いので研究のためと言われると断りたくても断りにくいということはないのだろうか.

 臓器移植に関しても同様のことが危惧される.2003年11月30日の日記に書いたが,「件数が伸び悩んでいる脳死臓器移植の普及を図ろうと、日本低温医学会は二十七日、札幌市内で開いたシンポジウムに医師や看護師、医薬品メーカー社員などの医療従事者約二百人を集め、率先してドナーカードを持つよう呼び掛けた。」などというのも考えようによっては踏み絵のようなものでこの業界にいる人に臓器提供を押し付けているようなものだろう.

 ドナーカードに臓器提供拒否と書いていない人は提供者というのもデフォルトを賛成にすれば提供者が増えるというとんでもない期待感があるのが明らかで,あまり公正なやり方とは思えない.中国の死刑囚から日本人への臓器移植だって人権意識の低い中国ならではの方法であり売春ツアーと根っこは同じような気がする.

 話をもとに戻すが,研究の結果を要求するあまり倫理観を失うのは科学者にありがちなことであるが,目的のために手段を選ばないというのはやはりあってはならないことだし,そうして得られた成果は一時的には評価されても歴史的には自ら輝きを失うに違いない.中でもライフサイエンスを研究対象とするものには強い自制心が必要だろう.

コメント

nophoto
ケアネット孫(そん)
2006年3月6日15:53

ブログへのコメントにて失礼を致します。私はケアネットの孫(そん)と言います。

3月15日から、ケアネットで開設しております「ケアネット・ブログ」にて、注目の医療系ブログの新着情報を集めて、全国の医師などにご紹介する予定でおります。

つきましては、先生のブログのRSSも取得させていただき、ケアネット・ブログのポータル上にて新着情報をご紹介させていただければと存じます。

ケアネット・ブログ http://blog.carenet.com/
紹介は3/15からの予定です
場所は現在の新着コメントの下での紹介となります

もしRSSの取得がダメなようでしたら、お返事をいただければと存じます。
ssong@carenet.co.jp

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