『 -- 大学の小児科医が激減 3年前の半数 救急医療の現場へ影響も --

 ことし4月から大学の医局や関連病院で小児科医になる医師の数が、3年前の半数近くに激減していることが21日、日本小児科学会の調査で分かった。

 この傾向が続くと、多くの大学が市中の病院から医師を医局に引き上げざるを得なくなり、病院の小児科医が不足。「たらい回し」と批判の多い特に小児救急の現場の崩壊がさらに進む恐れがあるという。

 調査は、医学部のある全国の106大学を対象に実施。これまでに83大学から回答を得た。

 大学病院や関連の病院で新たに小児科医になった医師は2002年は394人、03年は502人だった。この中で04年、医師免許取得後に指導を受けながら診療経験を2年間積む新臨床研修制度がスタート。新制度を終えた医師が初めて進路を決める06年は03年の約55%の276人にとどまった。

 一方、全国の小児科がある約1000の医療施設を対象とした調査で、研修前に小児科志望だったのにその後ほかの科に変更した人は223人だった。多くは内科や外科に移った。反対にほかの科から小児科に変更した人は70人で、地域医療の現場でも小児科離れが進んでいることを裏付けている。

 学会は「小児科医が不足しているために勤務が過酷になり、さらに小児科離れが進むという悪循環に陥りつつある」と分析。「地域医療だけでなく子どもの難病の研究などへも影響しかねない。職場を離れている女性医師の活用や、診療報酬制度の見直しも含めて小児科医を確保する必要がある」としている。』

 小児科学会はかなりの危機感を持っているのだろう.産婦人科学会はやらないのだろうか.脳外科専門医は多すぎるという声も依然あるようだから脳外科学会はたぶんやらないだろう.

 ただ,これは調査の対象が大学病院とその関連病院だけのようだから本当は研修医全体を対象にしなければ正確なことは言えないだろう.研修先の小児科が人的にも治療内容も充実したものであれば小児科を希望する研修医も当然いるはずである.しかし,大学病院とその関連施設で45%も希望者が減っているということは,今後,地方の公立病院の小児科は閉鎖が相次ぐことになることは間違いないだろう.

 ところで診療科はどうやって決めるのだろうか.私の場合は大学の脳外科医局に入った理由は1.ヒトの中枢神経系に興味があった.2.講義を聞いてみて教授がよかった.3.外科系に進みたかった.4.大学院で研究してみたかった.という順番の単純な理由である.

 親が医者でもない医学生だった私にとっては純粋に自分の好きな道を選んだつもりだった.もちろん1年目は後悔の毎日であり,私が病棟でボロボロになっている姿を見て2年程は部活の後輩が入局しなかったくらいである.

 現在は研修医制度があるのでもっと現場を良く見て考える時間があるのだろうか.だが,昔と違って情報も時間もあるとなれば純粋にというか何も考えずに診療科を選んでしまうことはなくなるだろう.こうなると診療科の選択は「学問的な興味」よりは「やりがい」があるかどうかということになってしまうのではないだろうか.

 ここで言う「やりがい」には当然,知的欲求を満たすということもあるが,むしろ楽でお金になるとか,自分の時間が持てるとか,都会で働ける,なんてことが選択の基準になることもあるだろう.だが,私は医師の「やりがい」で最も大きなものは『患者さんに喜ばれる』ということではないかと思うのである.

 確かに過重労働は医師の寿命を縮めるだけでなく,患者のリスクを高めるものであるから早急に改善する必要があるだろうし,なり手が少ない診療科の報酬を上げるのもいいだろう.だが,それ以上に病院にかかる患者側にも医師がやめたくなる理由があるということにそろそろ気がついてもいいのではないだろうか.

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