『 -- 公的医療機関に協力義務 小児科などの医師確保で --

 厚生労働省は20日、人手不足の小児科、産科、へき地、救急医療などの医師確保策について、2007年度から公立病院などの公的医療機関に協力義務を課す方針を都道府県の医政関係主管課長会議に示した。

 今回の医療制度改革に伴う医療法改正案で、都道府県による「医療対策協議会」の開催を明文化。病院や大学、社会医療法人などの関係者が参加し、小児科などの医師確保に向け「都道府県を中心に、実効性ある施策を講じる」と位置付けた。

 都道府県は地域で不足している診療科などの医師確保策を医療計画の重点項目とするほか、公的医療機関は協力義務を負い、医師や看護師も「協議会の結果を踏まえ、都道府県に協力する」努力義務が生じる。

 協議会はこれまでも、厚労省などの通知に従い、ほとんどの都道府県に設置されていたが、「取り組みがまちまちで、差が大きかった」(同省)という。

 医師確保策では、医療保険から医療機関や調剤薬局に支払われる診療報酬の06年度改定で小児科などが引き上げられるほか、医師の就労を支援する補助金制度なども新設される。』

 仕事がら拘束時間が多い医師であれば,それ以外で拘束されることを最も嫌うのは当然であるのだが,もともと診療報酬,応召義務とただでさえ不自由な思いをさせられた上に最近では刑事訴訟だ逮捕だと精神的に医師は追い込まれる一方なのである.

 なのに,今度は公的医療機関に協力義務ときた.目的が人手不足の小児科、産科、へき地、救急医療などの医師確保というのだから机上の空論も極まった感がある.いったいどこの公的医療機関に余剰な小児科医や産科医がいるのであろうか.

 この時代,働き盛りの医師はいつ公立病院を辞めて開業しようかと考えたり,小児科や産科の医師はいつ他の科に変わろうかと思ったりしているのである.そこにこんな義務が生じたら逃げ出したくなるのも当然である.これで2006年度中に公的医療機関からの医師の引き上げが一層加速し多くの公立病院は赤字のまま消えていくのだろう.

 相変わらず厚生労働省の官僚は何を考えているのかと言いたいところだが,これはひょっとすると国民の声を聞いているふりをしながら公的医療機関を整理するつもりなのかもしれない.入院するベッドがなくなれば医療費は削減できると考えているようであるから.

 

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