『 --介護疲れで妻殺害、猶予判決受けた夫が自殺 名古屋--
自宅で介護していた認知症の妻を絞殺したとして、殺人罪で25日に執行猶予付きの有罪判決を受けた、名古屋市千種区北千種2丁目、無職梶恒夫元被告(68)が29日に飛び降り自殺していたことが分かった。
愛知県警千種署によると、梶元被告は29日午後7時55分ごろ、市営住宅5階の自宅前の通路から飛び降りたとみられる。自宅には、親類にあて「ごめんなさい」とだけ書かれたメモが残されていたという。
梶元被告は、03年にアルツハイマー病を発症した妻の介護を1人で続けてきた。しかし昨年7月、症状が悪化し、夜中に苦しむ妻(当時74)の様子を見て不憫(ふびん)に思い、ネクタイで首を絞めて殺害し、警察に自首した。
近くの住民らは、裁判で情状酌量を求めるために嘆願書を提出。名古屋地裁は、「心情には酌むべきものがある」として、懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡していた。 』
在宅での介護の苦労は一般の人が想像するよりはるかに大変なものである.介護保険制度にはじまり,今年の療養型病床のさらなる削減へと厚労省は病院から慢性期の入院患者を引き離すのに躍起になっている.
しかし,介護保険施設への入所は経済的な負担があるし在宅療養では家族の肉体的な負担も大きい.そんな中で最近は介護者が介護疲れからこれを放棄してしまい殺人や心中という悲惨な結末となるケースがニュースで取り上げられるのが目立つようになってきたような気がする.
痴呆で徘徊したり暴言を吐いたりする老人に一人で対応するのも,寝たきりで全介助を要する家族を一人で世話することも不可能な話である.寝たきりと言っても喀痰を吸引したり,蓐瘡(じょくそう)予防のために時間ごとに体の向きを変えたり,食事,排泄,着替えなどやることはいくらでもあるのである.ヘルパーや入浴サービスがあってもつかの間の休息にしかならない.
核家族化と少子化のわが国では夫婦と子供一人の家族で在宅介護なんて到底出来るはずがない.大家族制の残る田舎を引き合いに出すのは時代錯誤的でさえある.このニュースのように68歳の夫が74歳の妻を介護するなんてまったくひどい話である.この夫はいったい何のために人生最後の時を費やしたのであろうか.最初はできると思っても毎日続けば無理なものはやはり無理なのである.離婚して妻を生活保護にして施設入所させればよいとでも言うのだろうか.
健康保険が破綻するとして厚労省は経済的にも社会的にも最も効率的に行われてきた社会的入院から慢性期の患者を退院させようとしている.だが問題は解決するどころか経済的な国民の負担とともに,もっと深刻な社会問題を増やす方向に進んでいるように見えるのだがこれからどうなるのだろうか.在宅介護が無念の死で終わるような日本に誰がしたのであろうか.
追加記事
『--介護施設への転換など課題 療養病床再編で受け皿に--
常時の治療を必要としない人が数多く長期入院している療養病床の再編、縮小と患者の受け皿づくりが、来年度から始まる医療制度改革の大きな課題になっている。再編は医療費適正化の鍵となる入院日数の短縮に不可欠だが、療養病床の受け皿となる介護施設への転換方法などをめぐり、病院経営者らは懸念を表明している。
政府、与党は昨年12月に決定した医療制度改革大綱で、平均入院日数の短縮を生活習慣病対策と並ぶ中・長期対策の柱に据えた。厚生労働省は改革による医療給付費の抑制効果を2025年度で計8兆円と見込むが、このうち入院日数の短縮は3兆8000億円とほぼ半分を占める。
療養病床の再編は、こうした基本方針の具体策となる。医療保険が適用される医療型約25万床、介護保険が適用される介護型約13万床を来年度から順次縮小し、将来は「医療の必要度の高い患者を対象とする施設」に衣替え。介護型は12年度に保険適用を廃止する。
医療の必要度が低い人で、家庭の事情などにより自宅へ戻れない人には、不要になる療養病床からの転換で増える、老人保健施設やケアハウスなどの居住系施設への移動を促す。同省は施設転換費用の助成などを行う。
これに伴い、医師や看護師も、医師が不足している救急、産科、小児科、終末期を含む往診・訪問看護へ振り向ける余地が生じる。同省は医療保険から医療機関や調剤薬局に支払われる診療報酬の配分を、こうした分野に手厚くすることなどで後押しする。
過剰な医療を減らし給付費の膨張を抑制するだけでなく、「医療の供給体制全体を国民の要望に応える形に改革する」(同省幹部)狙い。
これに対し、与党の一部から「入院患者の仕分けがうまくできるのか」、病院団体から「介護保険法の改正が必要なので十分な審議を」「療養病床と建築基準が違う介護施設などに転換するには、土地の手当てや多額の改築費用が必要」などの疑問や指摘が出ている。
ただ改革の方向性への異論は少なく、「やらなければならない課題」(自民党の厚労族幹部)とされる。今国会への関連法案提出に向け、同省がより具体的な施設転換の手順や方法を提示し、早急に関係者の理解を得る必要がありそうだ。』
少なくとも医師不足解消の話は嘘でしょう.これは療養病床の必要医師数を減少させれば済むことです.そうすれば人件費が減るので入院費も下げられます.改革の方向性への異論が少ないのは小泉首相が恐いのだろうか.療養病床からの転換で増える、老人保健施設やケアハウスなどの居住系施設ということはまた建築需要が出るので景気対策という意味もあるのだろうか.こんなことで「医療の供給体制全体を国民の要望に応える形に改革する」といえるのだろうか.私には理解できないことだらけ.
自宅で介護していた認知症の妻を絞殺したとして、殺人罪で25日に執行猶予付きの有罪判決を受けた、名古屋市千種区北千種2丁目、無職梶恒夫元被告(68)が29日に飛び降り自殺していたことが分かった。
愛知県警千種署によると、梶元被告は29日午後7時55分ごろ、市営住宅5階の自宅前の通路から飛び降りたとみられる。自宅には、親類にあて「ごめんなさい」とだけ書かれたメモが残されていたという。
梶元被告は、03年にアルツハイマー病を発症した妻の介護を1人で続けてきた。しかし昨年7月、症状が悪化し、夜中に苦しむ妻(当時74)の様子を見て不憫(ふびん)に思い、ネクタイで首を絞めて殺害し、警察に自首した。
近くの住民らは、裁判で情状酌量を求めるために嘆願書を提出。名古屋地裁は、「心情には酌むべきものがある」として、懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡していた。 』
在宅での介護の苦労は一般の人が想像するよりはるかに大変なものである.介護保険制度にはじまり,今年の療養型病床のさらなる削減へと厚労省は病院から慢性期の入院患者を引き離すのに躍起になっている.
しかし,介護保険施設への入所は経済的な負担があるし在宅療養では家族の肉体的な負担も大きい.そんな中で最近は介護者が介護疲れからこれを放棄してしまい殺人や心中という悲惨な結末となるケースがニュースで取り上げられるのが目立つようになってきたような気がする.
痴呆で徘徊したり暴言を吐いたりする老人に一人で対応するのも,寝たきりで全介助を要する家族を一人で世話することも不可能な話である.寝たきりと言っても喀痰を吸引したり,蓐瘡(じょくそう)予防のために時間ごとに体の向きを変えたり,食事,排泄,着替えなどやることはいくらでもあるのである.ヘルパーや入浴サービスがあってもつかの間の休息にしかならない.
核家族化と少子化のわが国では夫婦と子供一人の家族で在宅介護なんて到底出来るはずがない.大家族制の残る田舎を引き合いに出すのは時代錯誤的でさえある.このニュースのように68歳の夫が74歳の妻を介護するなんてまったくひどい話である.この夫はいったい何のために人生最後の時を費やしたのであろうか.最初はできると思っても毎日続けば無理なものはやはり無理なのである.離婚して妻を生活保護にして施設入所させればよいとでも言うのだろうか.
健康保険が破綻するとして厚労省は経済的にも社会的にも最も効率的に行われてきた社会的入院から慢性期の患者を退院させようとしている.だが問題は解決するどころか経済的な国民の負担とともに,もっと深刻な社会問題を増やす方向に進んでいるように見えるのだがこれからどうなるのだろうか.在宅介護が無念の死で終わるような日本に誰がしたのであろうか.
追加記事
『--介護施設への転換など課題 療養病床再編で受け皿に--
常時の治療を必要としない人が数多く長期入院している療養病床の再編、縮小と患者の受け皿づくりが、来年度から始まる医療制度改革の大きな課題になっている。再編は医療費適正化の鍵となる入院日数の短縮に不可欠だが、療養病床の受け皿となる介護施設への転換方法などをめぐり、病院経営者らは懸念を表明している。
政府、与党は昨年12月に決定した医療制度改革大綱で、平均入院日数の短縮を生活習慣病対策と並ぶ中・長期対策の柱に据えた。厚生労働省は改革による医療給付費の抑制効果を2025年度で計8兆円と見込むが、このうち入院日数の短縮は3兆8000億円とほぼ半分を占める。
療養病床の再編は、こうした基本方針の具体策となる。医療保険が適用される医療型約25万床、介護保険が適用される介護型約13万床を来年度から順次縮小し、将来は「医療の必要度の高い患者を対象とする施設」に衣替え。介護型は12年度に保険適用を廃止する。
医療の必要度が低い人で、家庭の事情などにより自宅へ戻れない人には、不要になる療養病床からの転換で増える、老人保健施設やケアハウスなどの居住系施設への移動を促す。同省は施設転換費用の助成などを行う。
これに伴い、医師や看護師も、医師が不足している救急、産科、小児科、終末期を含む往診・訪問看護へ振り向ける余地が生じる。同省は医療保険から医療機関や調剤薬局に支払われる診療報酬の配分を、こうした分野に手厚くすることなどで後押しする。
過剰な医療を減らし給付費の膨張を抑制するだけでなく、「医療の供給体制全体を国民の要望に応える形に改革する」(同省幹部)狙い。
これに対し、与党の一部から「入院患者の仕分けがうまくできるのか」、病院団体から「介護保険法の改正が必要なので十分な審議を」「療養病床と建築基準が違う介護施設などに転換するには、土地の手当てや多額の改築費用が必要」などの疑問や指摘が出ている。
ただ改革の方向性への異論は少なく、「やらなければならない課題」(自民党の厚労族幹部)とされる。今国会への関連法案提出に向け、同省がより具体的な施設転換の手順や方法を提示し、早急に関係者の理解を得る必要がありそうだ。』
少なくとも医師不足解消の話は嘘でしょう.これは療養病床の必要医師数を減少させれば済むことです.そうすれば人件費が減るので入院費も下げられます.改革の方向性への異論が少ないのは小泉首相が恐いのだろうか.療養病床からの転換で増える、老人保健施設やケアハウスなどの居住系施設ということはまた建築需要が出るので景気対策という意味もあるのだろうか.こんなことで「医療の供給体制全体を国民の要望に応える形に改革する」といえるのだろうか.私には理解できないことだらけ.
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