『--著者全員が論文撤回に同意 ES細胞、決定来週以降に--

 ソウル大が完全な捏造(ねつぞう)と判定した黄禹錫(ファン・ウソク)教授らの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)論文について、掲載した米科学誌サイエンスは4日、25人の著者全員が論文の撤回に同意したと明らかにした。

 同誌は来週にも発表されるソウル大調査委員会の最終報告の内容を反映させる形で正式決定するとしている。同誌スポークスマンは「著者による撤回か、編集部判断とするかなど撤回の形式についても、調査結果を受けての判断になる」と述べた。

 論文は、患者の皮膚細胞を基にしたクローン胚から、患者とDNAが同じ計11個のES細胞をつくったとする内容。昨年5月にサイエンス誌に掲載され、拒絶反応のない再生医療が現実味を増したと高く評価された。

 しかし共同研究者が疑惑を暴露。ソウル大調査委は昨年末、同論文を完全な捏造と結論付けた。同教授は「写真の誤り」を理由に論文撤回を申し出たが、ES細胞の作成技術はあるとし、証拠となる細胞が何者かに「すり替えられた」と主張している。』

 わが国が耐震データの捏造事件で大騒ぎしている頃にお隣の韓国では国辱だと大騒ぎになったデータの捏造事件である.コンピュータソフトと科学雑誌の差はあるが,どちらも信憑性の高い(と思われている)ものだっただけに騙されたと気づくのが遅かったということだろう.これも一種の権威主義なのだろうが,自分で検証できなければ権威を信用するしかないから一般人にはどちらもまったく理解できなくとも仕方がない.

 最近は成果主義とかでインパクトの高い論文とならねば研究費ももらえないのであるから研究者も大変である.つまり研究を続けるためにはいい論文を書かねばならない.とは言ってもそれには都合のいいデータが必要である.では,いいデータが出なければどうするのか.研究を続けるためあるいは生活のためになんとかいいデータにしようとするあまり捏造になってしまうのだろうか.これではどこかの元建築士と同じであろう.

 私は科学的真実とか倫理とか安全とかが重要な問題に関してコストという圧力をかければ今後も同じような問題が起きるだろうと思う.優秀な人が十分に時間とコストをかければ必ずしもいい結果が出るわけでもないだろうが,コストを圧縮して結果を急ぐあまり間違ったものが世の中に流れるようではリスクは増大するばかりで結果的に安全のためのコストは増大してしまうと思うのだがどうだろうか.

 

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