研修制度はすでに形骸化
2005年12月3日 医療の問題 コメント (2)『--指導医の60%「時間ない」 新臨床研修制度めぐり調査--
全国の病院で「医者の卵」を指導する医師の約60%は、昨年4月に始まった臨床研修制度について「指導時間が不十分」と感じていることが1日、全日本医学生自治会連合(医学連)の調査で分かった。
厚生労働省は、指導医が研修医に対する指導時間を十分確保するよう通知で受け入れ側の病院に求めている。
医学連は「指導医は忙しい中で患者の診療と研修医の指導を両立させている。このままではいずれも不十分になりかねない」として同日、厚労省に指導医の環境改善を要望した。
調査は今年7-11月、研修医を受け入れている971病院を対象に実施。202病院の925人の指導医から回答を得た。
指導時間が「不十分」と感じているのは550人(59・5%)で、「十分」と感じている253人(27・4%)を大幅に上回った。
指導に対する給与の手当も「全くない」が528人(57・1%)。「不十分」の236人(25・5%)と合わせると80%以上に上り、「十分」は91人(9・8%)にとどまった。』
医学連のアンケート結果を見ると研修医は将来の進路と一人前の医師になれるかどうかに不安があり,指導医の確保と業務保障が研修の改善のために必要とされると感じているようだ.
指導医からの結果を見るとこれはひどいもので経済的にも業務保障も指導の時間もないとまさに現場の指導医の精神力に頼るのみの研修であることがわかる.研修医の立場は考慮しても指導医に対する配慮がなければまともな研修内容になるわけがない.
私は新臨床研修制度の真の目的は大学中心の医局制度の崩壊にあると思っていたし,事実そうなっているのだから効果は絶大であった.大学の研修医がいなくなり派遣先の地方病院からの引き上げというおまけも付いて地方の医療の崩壊は現在も進行中である.さらに名義貸しによる病院の取り潰し,医療事故のマスコミによる過大な報道という流れの中ですでに現場は守りの体制である.
こんな状況で指導に十分な時間がかけられなければ危険なことは研修医にやらせるわけにはいかない.つまり研修医にとって腕をみがくチャンスはないだろう.指導医も一生懸命教えても自分のところの労働力になるでもなく,自分の給与になるでもなく,おまけに自分の仕事は研修医が帰ってからやらねばならないでは本音はもう辞めたいというところだろう.
ようするに制度があって自分のところの病院が研修医を募集するからやっているだけなのだ.研修医に自分の病院に残ってもらうためにやるとしたらあまりに効率が悪すぎるだろう.結局は給料もらって有名病院で学生時代のポリクリの補習をやっているようなものなのではないだろうか.今後は医局の人事の影響力もなくなり医師も能力主義になると思われる.今の研修医は研修が終わって半人前で就職しても今度は研修医以下の待遇で働くことになるかもしれないという危機感を持ったりはしないのだろうか.
全国の病院で「医者の卵」を指導する医師の約60%は、昨年4月に始まった臨床研修制度について「指導時間が不十分」と感じていることが1日、全日本医学生自治会連合(医学連)の調査で分かった。
厚生労働省は、指導医が研修医に対する指導時間を十分確保するよう通知で受け入れ側の病院に求めている。
医学連は「指導医は忙しい中で患者の診療と研修医の指導を両立させている。このままではいずれも不十分になりかねない」として同日、厚労省に指導医の環境改善を要望した。
調査は今年7-11月、研修医を受け入れている971病院を対象に実施。202病院の925人の指導医から回答を得た。
指導時間が「不十分」と感じているのは550人(59・5%)で、「十分」と感じている253人(27・4%)を大幅に上回った。
指導に対する給与の手当も「全くない」が528人(57・1%)。「不十分」の236人(25・5%)と合わせると80%以上に上り、「十分」は91人(9・8%)にとどまった。』
医学連のアンケート結果を見ると研修医は将来の進路と一人前の医師になれるかどうかに不安があり,指導医の確保と業務保障が研修の改善のために必要とされると感じているようだ.
指導医からの結果を見るとこれはひどいもので経済的にも業務保障も指導の時間もないとまさに現場の指導医の精神力に頼るのみの研修であることがわかる.研修医の立場は考慮しても指導医に対する配慮がなければまともな研修内容になるわけがない.
私は新臨床研修制度の真の目的は大学中心の医局制度の崩壊にあると思っていたし,事実そうなっているのだから効果は絶大であった.大学の研修医がいなくなり派遣先の地方病院からの引き上げというおまけも付いて地方の医療の崩壊は現在も進行中である.さらに名義貸しによる病院の取り潰し,医療事故のマスコミによる過大な報道という流れの中ですでに現場は守りの体制である.
こんな状況で指導に十分な時間がかけられなければ危険なことは研修医にやらせるわけにはいかない.つまり研修医にとって腕をみがくチャンスはないだろう.指導医も一生懸命教えても自分のところの労働力になるでもなく,自分の給与になるでもなく,おまけに自分の仕事は研修医が帰ってからやらねばならないでは本音はもう辞めたいというところだろう.
ようするに制度があって自分のところの病院が研修医を募集するからやっているだけなのだ.研修医に自分の病院に残ってもらうためにやるとしたらあまりに効率が悪すぎるだろう.結局は給料もらって有名病院で学生時代のポリクリの補習をやっているようなものなのではないだろうか.今後は医局の人事の影響力もなくなり医師も能力主義になると思われる.今の研修医は研修が終わって半人前で就職しても今度は研修医以下の待遇で働くことになるかもしれないという危機感を持ったりはしないのだろうか.
コメント
私は研修医2年目で新研修制度の一期です。
スーパーローテートの弊害は多々ありますし、指導医の先生にいつも御世話になっていることは重々承知しています。
しかし、指導医の先生の中にはローテートしてきて、他の科の知識を多少は持っている研修医を頼りにしてくれる方もいますし、他科との繋がりが研修医を介して円滑になっている部分もあると思っています。専門化しいる中で、他科の基礎的な知識を逆に指導医に教えてあげることもあります。
私としては、指導医におんぶに抱っこではなく、自ら積極的に医療に加わること、基本的な知識は自分で事前に勉強するなど、なるべく指導医の負担を減らすように心がけています。
私としては研修教育が指導医の負担になるばかりではないと信じたいです。指導医の先生自らに直接跳ね返ってくることは少ないかもしれませんが、医療全体のためにもよろしくお願いしますと言いたいです。