『--アミロイド生成を妨害 アルツハイマー治療薬も--

 アルツハイマー病発症の原因物質アミロイドの生成にかかわる酵素に結合、アミロイドができるのを妨げる化合物を合成することに京都薬科大の木曽良明(きそ・よしあき)教授(薬品化学)と木村徹(きむら・とおる)助手、東京大、理化学研究所が27日までに成功した。

従来症状を軽くする薬はあったが、この化合物は治療薬開発に役立つのではないかという。

 木曽教授らは、βセクレターゼという酵素の遺伝子が欠損したマウスでは、アミロイドがほとんどできない点に着目。

 この酵素が機能する中心部分に結合し働かなくする化合物として、アミノ酸8個の化合物を設計し合成。さらに脳細胞に入りやすいようアミノ酸を5個にしてコンパクト化した。

 家族性アルツハイマー病遺伝子を発現させたマウスと普通のマウスで、脳の記憶に関係する海馬という部分にこの化合物を注射すると、いずれも3時間後には生成されるアミロイドが約4割減少し、副作用もなかったという。

 木曽教授は「発症を遅らせることができそうで、経口投与で効果があるよう研究を進めたい」と話した。

 研究結果は大阪市で開かれる日本薬学会で28日、発表する。』

 外来に痴呆を心配して受診する患者と家族がここ2週間くらいに3組も来た.話を聞いているうちに「痴呆症は大丈夫だろうか.新聞によく効く薬があると書いてあった.」と一様に言うのである.いままでもテレビの健康番組で脳梗塞の予兆はコレというような話をやると翌日の外来にそれを心配する患者が増えたりすることはあった.

 痴呆症も話を聞いて,MRI検査とHDS-Rをやって異常なしでもいいのだけれど,心配なのは痴呆を治す薬があると思っているらしいことである.どうも新聞には痴呆が治ると言うように書いてあったらしい.現在のところ痴呆を改善する薬は知られていない.

 このニュースも「発症を遅らせることができそう」ということで治すとか改善するというのではないだろう.そこに「治療薬開発に役立つのではないか」と書かれているのは希望的予想であってこれが本当に治療薬になるかどうかはまだわからないのである.

 一般の人が読むマスコミの医療ニュースには医師が読むと意味がわからないことが書かれていることがよくある.特に問題なのはこういった薬効や副作用に関する過大もしくは間違った解説や医療事故などでの事実の不正確な記述である.これも一種の医師たたきなのかもしれないが,いいかげんな記事で医師の仕事を増やすのはやめて欲しい.

 例によってマスコミはたとえ間違って報道してもめったなことでは訂正したり謝罪はしないだろうし世間を騒がせた責任もとらないのだろうから,せめて医療情報を記事にするときにもっとよく考えて正確な事実を科学的な解説のもとに記載して欲しいものだと思う.


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