『--3-5%引き下げ必要 財政審、診療報酬本体で 「医師の給与水準高い」--

 財政制度等審議会は4日、財政制度分科会合同部会を開き、医療など社会保障分野の歳出削減策を議論した。西室泰三分科会長(東京証券取引所会長)は記者会見で、医師の治療行為への対価である診療報酬の本体部分を3-5%程度引き下げる必要があるとの認識を示した。財政審は11月中旬にまとめる建議(意見書)で、診療報酬の大幅引き下げを明記する方針だ。

 「医師の平均給与が高い水準」(西室会長)にあることに加え、近年のデフレで公務員や民間企業の賃金水準が下がる中、「医師の給与水準が維持されている」(同)ことに批判があるためだ。

 日本医師会は引き上げを求めており、来年4月に改定する診療報酬をめぐり日本医師会が強く反発するのは必至。予算編成での激しい攻防が予想される。

 診療報酬は税金と保険料で8割以上が賄われており「医師は実質公務員」(財務省幹部)との指摘がある。公務員給与と物価は1999年度から7年間で平均約5%下がる一方、診療報酬本体は0・6%上昇しており、「5%以上の格差があり、是正すべきだ」(財務省)としている。

 診療報酬の薬価部分の引き下げも含め、仮に診療報酬が5%下がれば医療費全体で年間1兆5500億円、国、地方の負担がそれぞれ3750億円、1500億円抑制できる計算だ。2004年度改定では、診療報酬のうち薬価部分は引き下げられたが、本体部分は据え置きになった。

 また医療費の伸びを経済指標などに連動させて抑制する総額管理について、西室会長は「期間5年の中期計画を作り、1年ごとに目標を定める必要がある」と語った。』

 「医師は実質公務員」とは勝手な言い方だ.それなら健康保険はすべて廃止して自由診療にしたらどうだ.米国はすでにそうである.日本では生活保護や身体障害者手帳の対象者だけを税金で診るようにしてもらったほうが真面目に健康保険料を払っている私としてはありがたい.

 そもそも自分の健康は自分で守るという立場で言わせてもらえば,保険料は自分で払った分で自分が病院にかかれるのが本当である.国民皆保険を堅持しようとするあまり一律に負担増にしたり,診療報酬をカットするなどは論外である.自動車保険だって事故に遭わなければ割引されるものであるし,診療にかかるコストが払えないなら診療の質を下げろと言うのが資本主義だろう.診療の質を維持してコストだけ下げろとは無茶な話である.

 それに診療報酬という言い方も聞こえが悪い.この制度は病院でかかったお金の一部を健康保険にしたがって患者に代わって支払うというものであり決して医師への直接報酬などではない.要するに診療費の払い戻しを患者にかわって病院が健康保険組合に請求しているだけである.しかし,その払い戻しのレートも国が勝手に決めているのである.だから別に医師が税金で払ってくれと言っているわけではなく,国民皆保険制のために国が強制しているのである.

 先日も書いたとおり普通の勤務医の給与は決して高くないし,他業種と比較するのも間違いである.そもそも患者あたりの医師数では名義貸しなどでさんざん騒がれたが,一方で過労死など医師の労働時間の規制は同じ厚生労働省なのにまったくといっていいほど真面目に取り組んでくれてはいないのである.医師は公務員より低い時給で働いて過労死したり医療事故に巻き込まれてもいいとでもいうのだろうか.

 つまり,そこだけは医師の良心に期待しておきながら,今度はただでさえ少ない労働時間あたりの給与を下げろと言っているようなものなのだ.おまけに働きたくなくとも患者の診療を拒否する自由もないわけだからこれで他業種と比較されたのではたまったものではない.

 公務員はボーナスや退職金や恩給といった制度があるが勤務医にはそんなものさえない場合も多いのである.そもそも医師を予算の水増し請求をしたり,税金の無駄遣いをしても誰も責任をとらない優遇された公務員と一緒にされるのは不愉快である.医師はレセプトの審査で常に監視されており診療報酬の水増しなどはできないし,不正請求は返還しなければならないのだから省庁の公務員よりはるかに良心的というべきだろう.

 健康にコストをかけたくないなら診療報酬を減らすのは結構だが,その結果何が起きてもそれは政府の責任だろう.まあ結局はお金のことしか頭にない西室泰三分科会長も財務省の公務員も責任は負わないのだから好き勝手なことがいえるのだろう.

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