『--「首相の靖国参拝は違憲」大阪高裁判決、賠償は認めず--

小泉首相の靖国神社参拝をめぐる違憲訴訟の控訴審判決に臨むため、大阪高裁に入る原告団=30日午前9時42分、大阪市北区で
 01年から03年にかけての3度にわたる小泉純一郎首相の靖国神社参拝で精神的苦痛を受けたとして、台湾人116人を含む計188人が、国と小泉首相、靖国神社に1人あたり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。大谷正治裁判長は、参拝が首相の職務として行われたとしたうえで、「国内外の強い批判にもかかわらず、参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え、特定宗教を助長している」として、憲法の禁じる宗教的活動にあたると認めた。一方で、信教の自由などの権利が侵害されたとは言えないとして、原告らの控訴を棄却した。

 小泉首相の靖国参拝をめぐる訴訟の判決は、全国の6地裁と2高裁で計9件言い渡されており、いずれも賠償請求を退けている。このうち昨年4月の福岡地裁判決が違憲判断を示したが、高裁の違憲判断は初めて。過去には中曽根康弘元首相の靖国神社公式参拝について、大阪高裁が違憲の疑いがあるとする判決を出している。

 今回の訴訟の対象になったのは、小泉首相の昨年までの4回の参拝のうち、01年8月13日、02年4月21日、03年1月14日に行ったもの。

 判決はまず、参拝が首相の職務にあたるかを検討。公用車を使用し首相秘書官を伴っていた▽公約の実行としてなされた▽小泉首相が私的参拝と明言せず、公的立場を否定していなかったこと――などから、「内閣総理大臣の職務と認めるのが相当」と判断した。

 さらに、3度にわたって参拝し、1年に1度の参拝をする意志を表明するなど参拝実施の意図が強固だったと認定。「国と靖国神社の間にのみ意識的に特別にかかわり合いを持ち、一般人に国が靖国神社を特別に支援している印象を与えた」とした。

 そのうえで、参拝の効果について「特定の宗教に対する助長、促進になると認められ、我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超える」として、憲法20条3項の禁止する宗教的活動にあたると結論づけた。

 一方で、首相の参拝が原告らに対して靖国神社への信仰を奨励したり、その祭祀(さい・し)に賛同するよう求めたりしたとは認められないと指摘。原告らの権利や利益は侵害されていないと判断し、損害賠償請求は一審に続いて退けた。

 訴訟は、台湾立法院議員で原住民族「タイヤル族」の高金素梅さん(40)らが参加し、03年2月に起こされた。原住民族の中には第2次大戦中に日本軍のもとで戦った戦没者の遺族も含まれ、「日本の植民地支配で被害を被っており、戦前日本の精神的支柱である靖国神社への首相の参拝で苦痛を受けた」などと主張した。

 昨年5月の一審・大阪地裁判決は、首相が3回の参拝で公用車を使ったり、秘書官を同行させたりした点について「緊急事態や警備のため」と指摘し、首相の職務行為に当たらないと判断。参拝で原告らが不利益を被ったとは言えないとして、憲法判断に踏み込まないまま原告の請求を棄却した。原告はこれを不服として控訴していた。

 靖国神社は「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出した。 』

 政教分離は価値観が多様化した現代には当然のことと思われる.小泉首相はこの判決を「する必要のない憲法判断をしている」と言ったそうだが,国家のためには必要もない参拝を頑固に続けるのも首相であるから説得力はない.

 そもそも靖国神社に祀る,祀られたと言い争うが死者にとって何の意味があるのだろうか.人間は死ねば肉体はなくなり,その人の記憶でさえいずれ人々から消え去るものなのである.ましてや宗教が世の中を改善することなどあるのであろうか.宗教が人間の精神の糧となり行動によい影響を与えることもあるかもしれないが,一方には宗教が紛争の種になり続けているという現実がある.

 ひとには宗教が必要であるにしても同時にそれは悪でもあることを理解できれば異なる宗教に寛容にもなれるのだろうが,教義がそれを拒むのであろう.靖国神社が「首相参拝が違憲と判断されたのは極めて遺憾である」とのコメントを出すのもおそらく神社が国の宗教であることを自認しているからなのではないだろうか.

 他人の価値観を頑固に認めなければ喧嘩になるのは個人でも国家でも同じことであろう.小泉首相も今年の阪神ファンのように少しは大人になって道頓堀川に飛び込むようなまねはやめてもいいような気もするが,確固たる思い込みがなければ政治家になんてなれないだろうからやはり参拝は中止しないとみるべきなのだろうか.

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