『--家族の負担などが課題 厚労省、在宅死4割目指す--
厚生労働省は終末期医療の在り方を見直し、自宅で死亡する割合を現在の2割から4割に増やすことを目指しているが、在宅医療体制の整備や家族の負担増などの課題も多い。
2003年に厚労省が国民5000人を対象に実施した調査によると、痛みを伴う末期状態になった場合、「必要になれば病院に入院したい」人を含めると「終末期を自宅で療養したい」人が回答者の59%だった。
ただ、「最期まで自宅」を望む人は11%にとどまり、自宅で死を迎えるのが難しい理由として「家族の介護負担が大きい」「急変した時の対応に不安がある」などを挙げる人が多かった。
東京都足立区を中心に在宅医療に取り組んでいる柳原診療所の増子忠道(ましこ・ただみち)所長は、治療法がなくなったがん患者が大学病院などから退院させられるケースも目立ち、在宅医療のニーズは高いと指摘。同時に「末期状態になった時に家族がいなくても自宅での生活を支援する24時間介護が受けられる体制作りが先」と語る。
また、「高齢になるほど医師に依存する傾向もみられ、本人や家族が希望しない場合は在宅死を進めるべきではない」(日本福祉大の近藤克則(こんどう・かつのり)教授)との見方もある。
在宅死を4割まで増やせば、2015年には約2000億円、25年には約5000億円の医療費削減の効果が見込めるといい、厚労省は、訪問診療に対応できる医師の確保や訪問看護サービスの普及、介護付き賃貸住宅など高齢者の多様な居住の場の整備などを通じ、在宅での死亡を増やすことを計画している。』
終末期を自宅で迎えたいという国民のニーズを強調したいのだろうが,厚労省の本音はあくまでも医療費削減であって健康保険を使わせないということだけだろう.終末期医療全体で見れば国民の考えているような自宅で迎える穏やかな最期を実現してもかかるコストが減るわけではないだろう.
むしろ自宅に戻ることにより介護保険や家族の負担は確実に増え社会的なコストは増大するに違いない.これは形を変えて自己負担が増大することを意味するのである.これは果たしていいことなのであろうか.医療費は削減できて終末期を自宅で迎えられるということでいいことだと思う人は中国の故事「朝三暮四」を思い出すべきである.
http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/koji/kj021.htm
社会的入院を減らし医療費を削減するためにできた介護保険制度であるが,さて医療費の削減と介護保険の増大を差し引きするとどうなっているのであろうか.病院などの療養型施設はある意味でもっとも低コストで介護ができるはずであり,医療資源を有効に使うにはもっとも適しているところである.同じレベルの管理を在宅で行おうと思えばコストは増大するのは当然だ.
医療費削減という言葉につられず,今こそ国民は自分の希望する医療サービスとは何かについてよく考えるべきだろうと思うのだが,どうだろうか.
厚生労働省は終末期医療の在り方を見直し、自宅で死亡する割合を現在の2割から4割に増やすことを目指しているが、在宅医療体制の整備や家族の負担増などの課題も多い。
2003年に厚労省が国民5000人を対象に実施した調査によると、痛みを伴う末期状態になった場合、「必要になれば病院に入院したい」人を含めると「終末期を自宅で療養したい」人が回答者の59%だった。
ただ、「最期まで自宅」を望む人は11%にとどまり、自宅で死を迎えるのが難しい理由として「家族の介護負担が大きい」「急変した時の対応に不安がある」などを挙げる人が多かった。
東京都足立区を中心に在宅医療に取り組んでいる柳原診療所の増子忠道(ましこ・ただみち)所長は、治療法がなくなったがん患者が大学病院などから退院させられるケースも目立ち、在宅医療のニーズは高いと指摘。同時に「末期状態になった時に家族がいなくても自宅での生活を支援する24時間介護が受けられる体制作りが先」と語る。
また、「高齢になるほど医師に依存する傾向もみられ、本人や家族が希望しない場合は在宅死を進めるべきではない」(日本福祉大の近藤克則(こんどう・かつのり)教授)との見方もある。
在宅死を4割まで増やせば、2015年には約2000億円、25年には約5000億円の医療費削減の効果が見込めるといい、厚労省は、訪問診療に対応できる医師の確保や訪問看護サービスの普及、介護付き賃貸住宅など高齢者の多様な居住の場の整備などを通じ、在宅での死亡を増やすことを計画している。』
終末期を自宅で迎えたいという国民のニーズを強調したいのだろうが,厚労省の本音はあくまでも医療費削減であって健康保険を使わせないということだけだろう.終末期医療全体で見れば国民の考えているような自宅で迎える穏やかな最期を実現してもかかるコストが減るわけではないだろう.
むしろ自宅に戻ることにより介護保険や家族の負担は確実に増え社会的なコストは増大するに違いない.これは形を変えて自己負担が増大することを意味するのである.これは果たしていいことなのであろうか.医療費は削減できて終末期を自宅で迎えられるということでいいことだと思う人は中国の故事「朝三暮四」を思い出すべきである.
http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/koji/kj021.htm
社会的入院を減らし医療費を削減するためにできた介護保険制度であるが,さて医療費の削減と介護保険の増大を差し引きするとどうなっているのであろうか.病院などの療養型施設はある意味でもっとも低コストで介護ができるはずであり,医療資源を有効に使うにはもっとも適しているところである.同じレベルの管理を在宅で行おうと思えばコストは増大するのは当然だ.
医療費削減という言葉につられず,今こそ国民は自分の希望する医療サービスとは何かについてよく考えるべきだろうと思うのだが,どうだろうか.
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