『「机上の議論」などと反発 中医協改革案に日医や自民

 中央社会保険医療協議会(中医協)の改革案をまとめた厚生労働相主宰の「中医協の在り方に関する有識者会議」の報告書について、21日、日本医師会が「机上の議論」などとする談話を発表、自民党厚生労働部会では「党内で了承されていない」と異論が出るなど反発が広がった。

 有識者会議は、中医協の委員構成を開業医の発言力が大きい日医の影響力を薄めるため、医師代表5人のうち、病院代表を現在の1人から2人に増やすなどとした改革案を20日に報告。尾辻秀久厚労相は、厚労相が病院団体に委員2人の推薦を求め、この2人を含む5人を日医が推薦すべきだとの見解を示した。

 これに対し、日医は「有識者会議の委員は中医協の会議を一度も見ず、現場を理解しないまま机上の議論に終始」などと批判。

 自民党厚生労働部会では「事前に内容を聞いていない」「党内手続きが不十分だ」と異論が噴出。同部会で関連法の改正案を審議する際などにも議論になりそうだ。

 一方、11の病院団体でつくる日本病院団体協議会は21日、報告書を「大いに評価する」と歓迎する談話を発表した。』

 医師がすべて日本医師会に属していると一般人は思われるかもしれないがそれは間違いである.公立病院や大学病院の医師のほとんどは医師会には属していない.だから日医を医師の代表と考えるにはもともと無理があったといえるだろう.

 日医は明らかに開業医の利益を代表する団体である.それは医師が開業するにあたっては地元の医師会に属さねばならない事実が示すところであるから異論はないだろう.そして,診療報酬改定はいつも開業医が,もっと言えば開業内科医の利益が守られるように改定されてきたと言っても過言ではないだろう.

 今回の「中医協の在り方に関する有識者会議」の報告書に対する日医の反発は自分たちの利益を守るために当然であろう.そして同様に反発した自民党厚生労働部会の議員もまた日医に有利な診療報酬改定から利益を受けていたということなのだろう.

 脳外科医の立場から言わせてもらえば,現在の診療報酬は外科と内科の診療報酬もリスクを含めて考えれば外科に不利なものである.外科手術に比べて患者へのリスクや侵襲が低いにもかかわらず点数が高いものがあるのは開業内科医に有利である.楽な検査と外来で利益を上げ,休日前や患者の状態が悪くなると総合病院へ転送する開業内科医がどこに行ってもいるものだが,真面目に患者さんを診ている医師には目障りなだけである.

 足りない医療費を有効に使うためにも診療コストやリスクに見合った診療報酬体系にしてもらいたい勤務医は私だけではないだろう.

コメント

nophoto
外科系勤務医
2006年6月18日10:36

おっしゃりたいこと非常によくわかります.生活習慣病管理料 はあまりに高額すぎます.これが多くの現在の医療上のひずみを生み出していると思います.この管理料がなくなるとどれだけの国の財源が還元されるか(恐らく年間数兆円になるとお思います)一度全医療人は考え直すべきです.特異的に高額なこの管理料はご指摘の通り,外科系手術手技料などと比べ,リスクをともなうことなく国に請求できるものと思ってます.患者の負担も大変なものでしょう.結局のところこのお金はみーんな開業内科クリニックがもらうことになります.医師といえども人間ですから,外科,産婦人科,小児科などに興味があっても過剰労働・リスクのことを考えて進路をためらう方も多いでしょう.ですから若手医師の多くはリスクの多い,体にきつい科を敬遠し,楽して儲かる所に集中する傾向にあります.外科系・産科・小児科は医者の数が減ってますます過酷な労働を強いられ,翻って患者に負担を強い,国の脆弱化を来たすものと考えます.本来,開業内科医なんてものがあるのもこの国ぐらいだけなのではないでしょうか?これらの仕事はおそらく大多数の先進国では家庭医の仕事の一部だと思います.世界の一般開業医たちのほとんどはは小児・産婦人科のプライマリケア,一部簡単な外科系の処置も行って,額に汗して食べているはずです.これらの労働があってこそ外科系・小児の勤務医の負担の多くが軽減され病院専門業務に専念できるのではないでしょうか?
生活習慣病指導管理料などという不当に高額な診療報酬体系を外科系の医師の意見も取り入れて,今一度見直すべきであると思います.

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