『 --医師定員の一律規制緩和へ へき地で知事裁量認める 48年の法施行以来初 厚労省、地域事情を考慮--
厚生労働省は25日までに、医療機関の患者数に応じて必要な医師や看護師などの人数を示す全国一律の「配置標準」を一部緩和し、人員確保が難しいへき地などでは都道府県知事が地域の実情に合わせて決めることができるよう制度を見直す方針を固めた。
全国一律の原則を変えるのは1948年の医療法施行以来初めて。来年の医療制度改革の一環として、29日の社会保障審議会医療部会に示す中間まとめ案に方向性を盛り込む。
一律の規制は、大学病院の医師らが実際に勤務していない病院から報酬を受ける「名義貸し」の背景とされている。
厚労省によると、国は引き続き目安として配置標準を示すが、都道府県が策定する医療計画の中で、必要な医療提供体制が整備されている地域は知事の裁量で緩和を認めることを検討する。
緩和条件として、病院間の支援体制充実やテレビ電話を使う遠隔医療導入などが考えられる。医療機関には人員配置数の情報公開を促し、患者が十分な情報から施設を選択できる体制が整えば、将来的に配置標準の廃止も検討するという。
現行制度では、医師や看護師の配置数が標準を大幅に下回る医療機関は診療報酬の支払いが減額されたりする。
規制を免れるため北海道や東北では大学病院の医師の「名義貸し」が問題化。医療部会でも「必要な医師数は地域で違うのに一律規制は難しい」との意見があった。
厚労省の集計では、2003年度に立ち入り検査した全国の病院のうち、医師配置が標準に満たない病院は約5分の1。04年度に始まった医師臨床研修制度の影響で、大学病院が医師を派遣先の病院から引き揚げるケースも相次ぎ、医師不足は深刻化している。』
名義貸しが北海道から発覚したせいか道内の病院に対する監査は非常に厳しく全国と比べて北海道は特に処分が多かったような印象がある.さらに問題と思われるのは北海道医師会と社会保険庁が情報交換をして医師会にとって都合の悪い病院をこの機に乗じて処分したと思われることである.単なる噂というのは簡単だが,あとで問題になることがないように監督官庁である厚生労働省には道内の病院に対する監査と処分が公平かつ適正に行われたかどうかを再確認してもらいたいものだ.
以前に道知事が要望していた医師定数に関する知事の権限を認められたという点では評価できると思う.ただ,これで僻地の病院の医師の定数は減少することはあっても増加することはないであろう.そうなると医師の労働量という点からはあまり歓迎すべき事態ではない.過労死するほど忙しいというのを私はまだ経験したことはないが,拘束時間が多いことは医師になった時からであるし2日間くらい家に帰れないことはざらにある.こんな状況が続くのも医師が足りないからなのであるが,問題はただ医師数が少ないからだけではない.
医師の世界も年功序列である.中には大学教授や大病院の院長でありながら月に数回は当直もするなどという人格者もいるが99%そんなことはない.ところが,地方の小さな病院では院長が週に1回当直してもまったく当直要員が足りなくて困っているところが多いのが実情だ.労働基準法では医師の週当りの労働時間は44時間でそれによると当直業務は週1回のはずであるがそんなことが守られている病院はおそらくほとんどないのではないだろうか.
知事が地域の実情に合わせて決めることができるよう制度を見直した結果,さらに僻地の医師数が減れば当直や急患の対応などで個々の医師の負担はさらに増加することを私は危惧している.その結果として医療事故などもきっと増加するだろう.これでは意味がないだろう.そこで私は厚生労働省が医師の定数を管理するのではなく医師の勤務実態をよく把握して医師の過労を防ぐことで適正な医師の配置数を確保するように求めたい.
勤務医というのは病院経営者からみれば単なる労働者にすぎないのである.最近は医療事故を起したら医師個人がその責任を自分で負うという念書みたいなものを書かせる病院まであるようだ.不当に長い勤務による過労から判断力が低下して事故を起した揚げ句に責任をとらされたり,責任感で働き続けて過労死するというのではあんまりではないだろうか.こう考えると医師という職業は今やハイリスクな職業になったと言えるだろう.
今回の規制緩和で医療行政に関する権限が増大した知事にはこの際よりよい医療サービスを提供するのには医師の必要数をどう決定するのかよく考えていただきたいものだ.
厚生労働省は25日までに、医療機関の患者数に応じて必要な医師や看護師などの人数を示す全国一律の「配置標準」を一部緩和し、人員確保が難しいへき地などでは都道府県知事が地域の実情に合わせて決めることができるよう制度を見直す方針を固めた。
全国一律の原則を変えるのは1948年の医療法施行以来初めて。来年の医療制度改革の一環として、29日の社会保障審議会医療部会に示す中間まとめ案に方向性を盛り込む。
一律の規制は、大学病院の医師らが実際に勤務していない病院から報酬を受ける「名義貸し」の背景とされている。
厚労省によると、国は引き続き目安として配置標準を示すが、都道府県が策定する医療計画の中で、必要な医療提供体制が整備されている地域は知事の裁量で緩和を認めることを検討する。
緩和条件として、病院間の支援体制充実やテレビ電話を使う遠隔医療導入などが考えられる。医療機関には人員配置数の情報公開を促し、患者が十分な情報から施設を選択できる体制が整えば、将来的に配置標準の廃止も検討するという。
現行制度では、医師や看護師の配置数が標準を大幅に下回る医療機関は診療報酬の支払いが減額されたりする。
規制を免れるため北海道や東北では大学病院の医師の「名義貸し」が問題化。医療部会でも「必要な医師数は地域で違うのに一律規制は難しい」との意見があった。
厚労省の集計では、2003年度に立ち入り検査した全国の病院のうち、医師配置が標準に満たない病院は約5分の1。04年度に始まった医師臨床研修制度の影響で、大学病院が医師を派遣先の病院から引き揚げるケースも相次ぎ、医師不足は深刻化している。』
名義貸しが北海道から発覚したせいか道内の病院に対する監査は非常に厳しく全国と比べて北海道は特に処分が多かったような印象がある.さらに問題と思われるのは北海道医師会と社会保険庁が情報交換をして医師会にとって都合の悪い病院をこの機に乗じて処分したと思われることである.単なる噂というのは簡単だが,あとで問題になることがないように監督官庁である厚生労働省には道内の病院に対する監査と処分が公平かつ適正に行われたかどうかを再確認してもらいたいものだ.
以前に道知事が要望していた医師定数に関する知事の権限を認められたという点では評価できると思う.ただ,これで僻地の病院の医師の定数は減少することはあっても増加することはないであろう.そうなると医師の労働量という点からはあまり歓迎すべき事態ではない.過労死するほど忙しいというのを私はまだ経験したことはないが,拘束時間が多いことは医師になった時からであるし2日間くらい家に帰れないことはざらにある.こんな状況が続くのも医師が足りないからなのであるが,問題はただ医師数が少ないからだけではない.
医師の世界も年功序列である.中には大学教授や大病院の院長でありながら月に数回は当直もするなどという人格者もいるが99%そんなことはない.ところが,地方の小さな病院では院長が週に1回当直してもまったく当直要員が足りなくて困っているところが多いのが実情だ.労働基準法では医師の週当りの労働時間は44時間でそれによると当直業務は週1回のはずであるがそんなことが守られている病院はおそらくほとんどないのではないだろうか.
知事が地域の実情に合わせて決めることができるよう制度を見直した結果,さらに僻地の医師数が減れば当直や急患の対応などで個々の医師の負担はさらに増加することを私は危惧している.その結果として医療事故などもきっと増加するだろう.これでは意味がないだろう.そこで私は厚生労働省が医師の定数を管理するのではなく医師の勤務実態をよく把握して医師の過労を防ぐことで適正な医師の配置数を確保するように求めたい.
勤務医というのは病院経営者からみれば単なる労働者にすぎないのである.最近は医療事故を起したら医師個人がその責任を自分で負うという念書みたいなものを書かせる病院まであるようだ.不当に長い勤務による過労から判断力が低下して事故を起した揚げ句に責任をとらされたり,責任感で働き続けて過労死するというのではあんまりではないだろうか.こう考えると医師という職業は今やハイリスクな職業になったと言えるだろう.
今回の規制緩和で医療行政に関する権限が増大した知事にはこの際よりよい医療サービスを提供するのには医師の必要数をどう決定するのかよく考えていただきたいものだ.
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