『--治療行為の停止、殺人容疑と認定 医師を書類送検--
北海道立羽幌病院で昨年2月、当時勤務していた女性医師(33)が人工呼吸器を取り外して男性患者(90)を死亡させた問題で、道警は18日、同医師を殺人の疑いで旭川地検に書類送検した。
調べでは、男性患者は食事をのどに詰まらせて病院に搬送されたが、心肺が停止。医師の蘇生措置で心臓は動いたものの、自発呼吸停止と瞳孔拡大から医師は脳死状態と判断した。翌日に親族の同意を得て呼吸器を外したという。
95年の「東海大病院事件」の横浜地裁判決で、治療行為の中止が合法とされる要件として、死が避けられない末期状態であることや、家族による本人意思の推定などの3点が示された。道警は今回のケースが当てはまるかどうかについて、専門知識が必要になるため判断を避けたという。
神戸生命倫理研究会代表の額田勲医師は「今回のような場面に医師として遭遇することはよくある。生命維持装置を使った延命と、患者個人の尊厳のどちらを重視するかは現代医学最大の難問とも言え、今回の件を一人の医師の問題に矮小(わいしょう)化するべきではない」と話している。 』
『--羽幌病院問題の経過--
2004年2月14日午後1時ごろ 男性=当時(90)=が昼食をのどに詰まらせ心肺停止状態で病院搬送。女性医師が蘇生(そせい)措置したが、自発呼吸が戻らず、瞳孔散大。人工呼吸器を装着し、家族に「脳死状態。長くもたない」と伝える
2月15日午前 家族が人工呼吸器の停止に同意
15日午前10時40分ごろ 家族立ち会いの下、医師が人工呼吸器のスイッチを切る
15日午前10時55分ごろ 男性の死亡を確認
16日 医師が院長に「家族に説明は十分した。家族の強い希望があった」と説明
5月14日 問題発覚 』
現場で行われる手順としては,1.自発呼吸がない時点で人工呼吸器を装着するかどうか家族の同意を得て呼吸器を装着する.2.呼吸器を装着した場合はそのまま心停止を待つ.というのが正解だろう.
救命救急の現場ではとりあえず可能な救命処置をやってから家族にインフォームドコンセントする場合がほとんどである.この女性医師がまずかったのは一人で勝手に脳死と決めてしまったことにある.医師が脳死状態と考えることと法的な脳死とは違うということがわからなかったためにこんな結果になったのだろう.
マスコミはこれを終末医療と関連づけて論評しているが,それはちょっと違うような気がする.また,このケースでは脳死判定が必要な状態とも考えられない.問題は救命救急の手順であって1週間くらいで死亡するような患者に生命維持装置を使うか使わないかの問題ではないだろう.呼吸器を装着するだけで何年も生存する遷延性意識障害の患者とは違うのである.
北海道立羽幌病院で昨年2月、当時勤務していた女性医師(33)が人工呼吸器を取り外して男性患者(90)を死亡させた問題で、道警は18日、同医師を殺人の疑いで旭川地検に書類送検した。
調べでは、男性患者は食事をのどに詰まらせて病院に搬送されたが、心肺が停止。医師の蘇生措置で心臓は動いたものの、自発呼吸停止と瞳孔拡大から医師は脳死状態と判断した。翌日に親族の同意を得て呼吸器を外したという。
95年の「東海大病院事件」の横浜地裁判決で、治療行為の中止が合法とされる要件として、死が避けられない末期状態であることや、家族による本人意思の推定などの3点が示された。道警は今回のケースが当てはまるかどうかについて、専門知識が必要になるため判断を避けたという。
神戸生命倫理研究会代表の額田勲医師は「今回のような場面に医師として遭遇することはよくある。生命維持装置を使った延命と、患者個人の尊厳のどちらを重視するかは現代医学最大の難問とも言え、今回の件を一人の医師の問題に矮小(わいしょう)化するべきではない」と話している。 』
『--羽幌病院問題の経過--
2004年2月14日午後1時ごろ 男性=当時(90)=が昼食をのどに詰まらせ心肺停止状態で病院搬送。女性医師が蘇生(そせい)措置したが、自発呼吸が戻らず、瞳孔散大。人工呼吸器を装着し、家族に「脳死状態。長くもたない」と伝える
2月15日午前 家族が人工呼吸器の停止に同意
15日午前10時40分ごろ 家族立ち会いの下、医師が人工呼吸器のスイッチを切る
15日午前10時55分ごろ 男性の死亡を確認
16日 医師が院長に「家族に説明は十分した。家族の強い希望があった」と説明
5月14日 問題発覚 』
現場で行われる手順としては,1.自発呼吸がない時点で人工呼吸器を装着するかどうか家族の同意を得て呼吸器を装着する.2.呼吸器を装着した場合はそのまま心停止を待つ.というのが正解だろう.
救命救急の現場ではとりあえず可能な救命処置をやってから家族にインフォームドコンセントする場合がほとんどである.この女性医師がまずかったのは一人で勝手に脳死と決めてしまったことにある.医師が脳死状態と考えることと法的な脳死とは違うということがわからなかったためにこんな結果になったのだろう.
マスコミはこれを終末医療と関連づけて論評しているが,それはちょっと違うような気がする.また,このケースでは脳死判定が必要な状態とも考えられない.問題は救命救急の手順であって1週間くらいで死亡するような患者に生命維持装置を使うか使わないかの問題ではないだろう.呼吸器を装着するだけで何年も生存する遷延性意識障害の患者とは違うのである.
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