『--幹細胞、長い培養でがん化 欧で確認、安全確保に課題--

 人の骨髄や脂肪細胞などに含まれ、日本や各国で傷んだ組織を修復する再生医療に使われ始めている「間葉系幹細胞」と呼ばれる未熟な細胞について、スペイン・マドリード自治大などのチームが「試験管内で約5カ月にわたって培養したら、がんを起こす細胞に変質した」と米医学誌「キャンサーリサーチ」に21日までに発表した。一般的とされる2カ月以下の培養では異常はなかったものの、幹細胞を医療に利用する際には安全性の慎重な確認が課題となりそうだ。

 チームが調べたのは、人の脂肪細胞から分離した間葉系幹細胞。4-5カ月培養を続けた細胞のサンプルの一部が、分裂速度が速く染色体に異常を持つ細胞に変質し、これをマウスに移植したらがんができたという。受精卵からつくる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は、人体のどんな細胞にも成長できる代わりに、そのまま移植するとがん化することが分かっている。しかし間葉系幹細胞のような大人の体からも採れる細胞が、培養中に自然にがん化したとの報告は初めて。』

 脳神経外科領域では脳梗塞や脊髄損傷の夢の治療である神経再生の鍵となる幹細胞であるが神経細胞は間葉系ではなく外胚葉系であるのがせめてもの救いなのだろうか.

 脊髄のような末梢神経系でも細胞分化の制御ができなければ移植した細胞が癌化する可能性があるのだろうから,こういうニュースをみると夢がまた遠のくような気分になる.

 これが皮質領域の脳梗塞となると細胞分化の後に神経回路の再構築という問題があるわけだからさらに道のりは遠いのだろう.この辺に中枢神経系ならではの問題があるのだが,この問題はいつになったら先が見えるのだろうか.私にとってはまだまだ先の長い道のりのように思える.

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