研修医が一人で当番?
2005年3月14日 医療の問題『--動脈瘤見落とし患者死亡 高知の県立病院で研修医--
高知県立安芸病院(安芸市)で昨年11月、当番医をしていた20代の女性研修医が、80代の男性患者のCT検査で胸部大動脈瘤(りゅう)を見落とし、男性がその後死亡していたことが分かった。県が11日、明らかにした。
同病院によると、男性は昨年11月13日未明、胸と背中の痛みを訴え救急車で運ばれた。研修医は心電図やCTを使って検査したが、筋肉痛と誤診。男性に湿布などを処方し帰宅させた。
同日午前11時半ごろ、別の医師がCT検査の結果をみて胸部大動脈瘤の疑いを指摘。研修医はもう1度来院するよう男性宅に電話したが、男性は自宅を出たところで動脈瘤が原因の発作を起こし、間もなく死亡した。
研修医は男性に再来院を求めた際も救急車の手配など適切な対応をしていなかった。
病院側は「最初に疾患を見つけていれば助かった可能性が高い」として遺族に謝罪。事故後、研修医が当番医のときは経験のある医師1人を付けるようにしたという。』
研修医が一人で当番をするのだったら研修医制度の言うところの研修医による医療過誤を減らすという意味はないだろう.こんな病院で研修することになった研修医には同情してあげてもいいだろう.
この場合はまだ訴えられてはいないが,同様に研修医が当番で一人で救急処置をして医療過誤で患者が死亡したら業務上過失致死罪で訴えられることもあるだろう.その場合,誰がその責任を負うのかが問題なのだが,いずれにしても研修医は責任を負わされることは間違いないだろう.病院側は監督責任を問われるだろうが院長が刑事責任まで問われることはないだろう.
結局,研修医であれ自分のやったことの責任は自分でとらねばならないという当たり前のことになるだけである.だが,研修医が危険な処置はせずに見学だけしていたのではいつまで経っても自分でできるようにはならないのも事実だろう.危険はたとえ熟練した医師がついてもゼロにはならない.2人でやれば責任を分かち合うことになるだけなのだ.
すくない研修時間で指導する医師との人間関係を築き技術を身につけなくてはならないのだが,今の研修制度でそれができるだろうか.正直に言うと私はそこまで研修医を信用することはできないだろう.だから危険なことはやらせないで安全第一を優先し,いやな体験をさせないでさっさと次の診療科の研修に回ってもらうことになるだろう.
こんなことをすべての科でやったとしたら,これは大学での学生の実習でもできそうなことだ.結局2年間の研修体験だけで身につくことはそう多くはないだろう.その後,救急の現場を離れたら数年で救急処置など忘れるだろう.そういう意味では胸部大動脈瘤を見落としたこの20代の女性研修医は大変貴重な経験を積んだわけでこれを乗り越えてしっかり勉強して将来も是非臨床で活躍してもらいたいと思う.
高知県立安芸病院(安芸市)で昨年11月、当番医をしていた20代の女性研修医が、80代の男性患者のCT検査で胸部大動脈瘤(りゅう)を見落とし、男性がその後死亡していたことが分かった。県が11日、明らかにした。
同病院によると、男性は昨年11月13日未明、胸と背中の痛みを訴え救急車で運ばれた。研修医は心電図やCTを使って検査したが、筋肉痛と誤診。男性に湿布などを処方し帰宅させた。
同日午前11時半ごろ、別の医師がCT検査の結果をみて胸部大動脈瘤の疑いを指摘。研修医はもう1度来院するよう男性宅に電話したが、男性は自宅を出たところで動脈瘤が原因の発作を起こし、間もなく死亡した。
研修医は男性に再来院を求めた際も救急車の手配など適切な対応をしていなかった。
病院側は「最初に疾患を見つけていれば助かった可能性が高い」として遺族に謝罪。事故後、研修医が当番医のときは経験のある医師1人を付けるようにしたという。』
研修医が一人で当番をするのだったら研修医制度の言うところの研修医による医療過誤を減らすという意味はないだろう.こんな病院で研修することになった研修医には同情してあげてもいいだろう.
この場合はまだ訴えられてはいないが,同様に研修医が当番で一人で救急処置をして医療過誤で患者が死亡したら業務上過失致死罪で訴えられることもあるだろう.その場合,誰がその責任を負うのかが問題なのだが,いずれにしても研修医は責任を負わされることは間違いないだろう.病院側は監督責任を問われるだろうが院長が刑事責任まで問われることはないだろう.
結局,研修医であれ自分のやったことの責任は自分でとらねばならないという当たり前のことになるだけである.だが,研修医が危険な処置はせずに見学だけしていたのではいつまで経っても自分でできるようにはならないのも事実だろう.危険はたとえ熟練した医師がついてもゼロにはならない.2人でやれば責任を分かち合うことになるだけなのだ.
すくない研修時間で指導する医師との人間関係を築き技術を身につけなくてはならないのだが,今の研修制度でそれができるだろうか.正直に言うと私はそこまで研修医を信用することはできないだろう.だから危険なことはやらせないで安全第一を優先し,いやな体験をさせないでさっさと次の診療科の研修に回ってもらうことになるだろう.
こんなことをすべての科でやったとしたら,これは大学での学生の実習でもできそうなことだ.結局2年間の研修体験だけで身につくことはそう多くはないだろう.その後,救急の現場を離れたら数年で救急処置など忘れるだろう.そういう意味では胸部大動脈瘤を見落としたこの20代の女性研修医は大変貴重な経験を積んだわけでこれを乗り越えてしっかり勉強して将来も是非臨床で活躍してもらいたいと思う.
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